黄昏人生徒然日暮らし

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読書「草すべり」を読んで

2017-12-25 | 読書
「草すべり」南木圭士 著 文藝春秋


南木圭士の「草すべり」を読みました、草すべりは泉鏡花文学賞・芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した作品です、高校のクラスメートの55歳の男女が再開し浅間山に登る話しですが、南木氏自身は祖母と極貧の生活を経験した少年時代、父と義母と暮らした高校時代・そして医師になった南木氏の自伝的な面もあるので、主人公イコール著者として読んでいます。

前回読んだときとは違い、心に引っかかったのは感動的なところではなく「きんぴらごぼう」の個所でした。
主人公が山で紗絵と昼食をとるときに高校時代を思い出す、「高校時代の紗絵ちゃんの弁当は後ろからみても内容豊富でカラフルで、継母が義理で作るおかずはきんぴらごぼうだけなので恥ずかしく屋上で食べた」旨の文章に目が留まりました。

私の中学時代が思い出されました、貧しかったので弁当のおかずはきんぴらごぼうと漬物だけだった日のことを思い出しました、クラスメートに見られるのが恥ずかしく弁当箱の蓋でかくして急いで食べたことが思い出されました、身体が弱いのに懸命に働いている母には不満など言えないので色々と我慢したことが思い出されました。

南木圭士氏は一番好きな作家であり、著者自身医師として多くの死をみとった結果、パニック障害・うつ病に苦しんだ経験があるので患者の思いも解り癒されるので、心が疲れた時などに読み直していますが、弁当の思い出が同じだったとは。




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