南木圭士著 文藝春秋
医師であり作家でもある南木佳士氏の著書から心に残った言葉・共感できた言葉を引用し(太字)一言コメントしました。
「ふいに吹く風」のタイトルは突然に起こる予期せぬ出来事に翻弄される人生そのものかと思います。
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人生の記憶の始まりが母の死であったことは、後の私の性格形成に大きな影響を与えたようだ。祭りの中にいても、終わった後の寂しさばかりを考えてしまう、人生の楽しみ方の下手な男になってしまった。
(コメント 作者は幼い頃母を亡くし、山里で祖母と貧困生活を送った。)
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医療と無関係の仕事をしている同年代の人は心のどこかにオレだけは死なないという強い意識を持っているのを感じる。
(コメント この年になっても自分だけは大丈夫と思っているというより、思っていないと生きていけないのではないでしょうか)
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東京この巨大な都市には、目に見えない一方向の水流があり、人はそれに従って一方向に泳がされているのではないか。泳いでいるから前に進んでいると思うのは錯覚で、実はあの水槽にイワシたちにように、水流にもてあそばれているだけなのかもしれない。
(コメント 流れに逆らって生きていくことは難しいが、せめておかしな流れには距離を置きたい。)
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この土地の夏から秋への変化の時が好きで、小説の背景はもっぱら秋になってしまう。盛りを過ぎたもの。風にそよぐもの。流れていくもの。そんなものにばかり愛着がある。
(コメント 盛りを過ぎた高齢になり行雲流水や紅葉落葉・洛陽に心を惹かれますが、せめて「今生」をモットーに楽しく有意義に過ごしたいものです。)
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自分がここにいることを誰かに知ってもらいたい。露のように儚いいのちだが、ともかくも生きていたことを誰かに覚えておいてもらいたい。
(コメント 作家は作品が残りますが、凡人は何をしたら良いのか、子孫友人との楽しい思い出でしょうか、誰も死という言う避けられない運命、まさに諸行無常ですね。)