野坂昭如さんを 悼む

火垂るの墓

あのアニメだけしか、きちんと見たことのない私が
おこがましいかも知れないけれど
戦争を実感として知っている世代として
言わせてもらいたい。


長女がまだ１０代の頃、
“絶対に見て！すごく良いから”と
ビデオをセットし、テレビの前に座布団を置き
私を座らせてスイッチまで入れてくれた。

彼女はどこかへ出かけたので
私は一人、テレビを見入った。



あの時代、貧しい人々が田舎の町にさえ沢山いて
都会には、浮浪児と呼ばれる戦争孤児たちが必死で生きていた。


比較的恵まれた立場にいた私は
何か申し訳なさをうっすらと背負って成長してきた気がする。


そういう背景を持ってあのアニメを見たので
描かれた以上の内容を感じて
私は打ちのめされた。

亡くなった少女は、私と同い年です。




野坂さんを知る人のコメントのなかに
彼の罪悪感について話す人がいたが
私が感じていたのは　まさにそういう事だった。
きっと、深く傷ついて　おられたのだろう。
それらも含めて内に秘することなく
戦争の何たるかを知らせることを
貫かれた？


野坂さんのご冥福を祈ります。