ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

「学校」支援へ

2017-11-09 08:04:19 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「個から」11月3日
 レスキューストックヤード代表理事栗田暢之氏が、『命を守る 防災の現場から 復興支援 個から地域へ』という表題でコラムを書かれていました。その中で栗田氏は、『次世代にどんな町を残していくかを示していかなければならない。この意味で、今なお仮設住宅に入居されている方々に代表される、「被災者」という個の支援に加え、「地域」という面の視点による支援が必要とされている』と述べられています。
 確かにそうです。何かのトラブルに直面したとき、直接の被害者に対する救済が必要なのはもちろんですが、そこで終わってしまうというのはよくあることです。しかし、人は社会的な存在です。自分の傷が塞がれば、それだけでもとの生活に戻ることができるわけではありません。依然と同じような、仲間、人間関係が存在してこそ、再び同じ歩みを始めることができるのです。
 こうした「個から○○へ」という発想は、学校教育を考える際にも重要です。例えば、深刻ないじめ問題が起きたとします。被害者は自殺未遂で病院に運ばれ、事実確認のための調査が行われ、子供同士の間には犯人探し、加害者告発による疑心暗鬼が生じ、保護者は不確かな情報に右往左往し、教員は外部からの非難の嵐の中で萎縮し、というような状態です。
 このとき、今までの例からすると、第三者委員会が設けられて調査が行われ、スクールカウンセラーが増員されて悩みや不調を訴える子供のケアに当たり、保護者向けには説明会が複数回開かれると同時にPTA役員などを通じて騒ぎを収めるような働きかけがなされる、というような動きがみられます。それが悪いというのではありません。私も教委勤務時代に似たような対応をしてきました。
 しかしそれだけに止まることなく、混乱した学校が、来週には、来月にはどんな姿になっているか、少しでも明るい前向きなイメージがもてるように、子供と教員が作る学校というもの全体に対する支援が必要であるように思います。
 新たに具体的且つ短中期的な目標を掲げる、立ち直りを象徴するようなイベントを企画し取り組む、調査や懲罰的な役割を担う機関ではない外部協力機関を立ち上げる、教委が監視を強化し詳細な報告を求める役割から人や物の支援を強化するなどが考えられます。特に教委の対応が大切になります。私が勤務した教委では、嘱託の職員を派遣し、問題のあった学級を支える対応を取りました。些細なことですが、教委が学校を責めるだけではなく、これからの立ち直りに力になれることはありますか、と尋ねるような発想が重要だと感じたものでした。
 管理叱責する教委から、支え共に歩む教委へ、難しいですが模索し続けることが大切です。

 

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