さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【怪しい楽器・大集合】インドの法螺貝

2006-06-23 23:32:21 | 鳴るほど・ザ・楽器遍歴
先日書いた、インドのへびつかいの笛と同時に買ったものの一つ。法螺貝はヒンドゥー教のヴィシュヌ神が左手に持っている重要なアイテムで、元はパンチャジャナという海に棲む悪魔だったが退治されてヴィシュヌの持ち物になった。ヴィシュヌがこの法螺貝を吹き鳴らすと、神々は勇み立ち、悪魔は震えあがると言われるが、私が吹くと残念ながらオナラのような音しか出ない。だから「ほら貝」ならぬ、「おなら貝」なんちっち。。。。


だがこのほら貝、日本の山伏が使う法螺貝に比べると相当小さく、まともな音が出ないのもうなずける。実はインド旅行の翌年に出羽三山の女性版山伏修行に参加し、そこで私は「おなら貝」ではなくちゃんと鳴る法螺貝と出会うことになる(開山1400年記念で出羽三山の女人禁制が解かれた初年度にあたる)。

修行中は起床、水行、食事、山駈け、勤行など、すべての合図が法螺貝でなされる。合図は3回鳴らされ、それぞれ「一の法螺=準備してください」「二の法螺=所定の位置についてください」「三の法螺=これから始めます」という意味であるが、音は素晴らしく良い。そもそも大きさが全然違う。インドの法螺貝が手と同じぐらいの大きさなのに対し、出羽三山の法螺貝は顔と同じぐらいある。右の絵はカメラ持込禁止だった修行中にひそかにノートに描いたスケッチである。インドの法螺貝を手にして以来、「ちゃんとした音が出る法螺貝を吹きたい」と思っていたので、私は休み時間中に山伏のおじさんに、吹き方を教えてほしいと申し出て、教えてもらった。持ってみると結構重くて立派なものである。ラッパのように唇の真ん中で吹くのではなく、出羽式は唇の右端で吹くのである(左頬にえくぼを作る要領)。音は無理やり五線譜に落とすこんな感じ。


私には金管の演奏経験は全くないが、それでも一番低いAの音は一発で鳴らすことが出来たので、「見どころがある」とおじさんに褒められる。とってもイイ音で、まるで法螺貝と一緒に上半身全体が振動しているような快感に酔ってしまった。調子こいて吹いていたら、他の修行参加者が間違えて食事の準備を始めてしまったらしい。。。

それはともかく、さらに唇をひきしぼり貝の口金を唇に押し付けながら強い息を吹き込むと、一オクターブ上のAの音が出た。私が出来たのはここまでで、一番上のEの音は、どうしても息が横から漏れてしまって、出すことが出来なかったのは残念!本来は吹く人の口に合わせてオリジナルの口金を作るんだそうだ。

完璧には出来なかったものの、一応音が出せたせいでおかげですっかり気に入られてしまい、東京に帰ってきてからもおじさんから電話が掛かってきて、「あなた専用の法螺貝を5万円で作ってやる」とか言われたのだが、当時の私は寮住まい。こんなところじゃとても吹けないだろうと思い、結局買わなかった。もしあの時買っていれば、今頃本物の出羽三山の法螺貝の写真がさぶりんブログに掲載されていたことだろう。
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