【読書録】キッチン

吉本ばなな／角川文庫

吉本ばななさんの本はイタリアでもよく読まれているらしい。私の知り合いのイタリア人の一人から、日本の女流作家として真っ先に名が挙がるのがこの人なのだが、そもそも歴史小説やノンフィクションに近い小説以外の小説をほとんど読んだことがない私は、吉本ばななさんの本も読んだこともなく、そのイタリアの方になんのコメントもできないのが悲しかった。

ということで、一冊ぐらいは読まねば・・と思って読んでみた。

最初、語り口が軽すぎて、なかなかその世界に入っていけなかった。でも中盤を過ぎてようやくわかってきた。身近な人の死をどう乗り越えるか。乗り越えたと思ったらまたお世話になった人の死が襲ってきて・・・でも自分よりもっと傷ついている人がいて、そうした中で自分に何ができるか・・・そして得られる得難いものもある・・といった重い内容なのであるが、現代風で、若者っぽい雰囲気ながら、ちょっと風変わりで、不思議で・・惹き込まれる感じがあった。

このタイミングを逃しては・・とホテルの窓から侵入する場面はワクワクしたなぁ。

吉本さんの本、時々読んでみよう。