動物たちにぬくもりを!

動物愛護活動の活動経過や日々の出来事、世の中の動き等幅広く紹介します。

相次ぐ猫保護「里親を選択肢に」

2022-11-30 05:56:30 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

相次ぐ猫保護「里親を選択肢に」
 不適切飼育が名張でも 保護団体に聞く

2022年11月15日(火)  

さまざまな理由で保護された猫の新しい家族を探す「猫の里親会in名張」が、毎月第4日曜に三重県名張市東町の東町集議所で開かれている。
最近、地域で保護される猫が相次ぎ、より多くの里親が必要になっているという。
一体、何が起きているのか。


10月にあった里親会の様子=名張市東町で

主催者で、保護猫活動を続ける「にゃにゃ倶楽部」代表の村口早苗さんによると、市内で今年6月、高齢夫婦による多数の猫の不適切飼育が発覚した。
きっかけは、老夫婦宅を訪問する市包括支援センターから寄せられた情報だった。
市職員とともに、山近くにある民家を訪れた村口さんらメンバーは、繁殖した十数匹の猫たち、ふん尿が適切に処理されず異臭が近隣まで漂う現場を目の当たりにした。
アライグマなど他の野生動物も寄り付き、食いちぎられたのか尻尾が根元から失われたり、脚先の一部が無くなってしまったり、感染症にかかっていたりする猫なども確認された。

劣悪環境下の13匹保護
老夫婦の餌やりは5年以上前から続いていたといい、与えていたのは山盛りの白飯。
成猫に対して子猫の数が少なく、幼いうちに他の動物に捕食されていた状況も推測された。
村口さんらは夫婦を説得し、劣悪な環境に置かれた猫たちが安全に暮らせるよう、捕獲機を使って保護を進めた。
民家と山とを行き来する猫もいたため、捕獲は難航。
十数回通い、最後の1匹を捕獲し終えたのは8月下旬で、最終的に保護した数は子猫5匹を含む計13匹だった。
治療や寄生虫の駆除の他、去勢や不妊手術など繁殖制限措置を講じた後、猫たちは新しい家族との出会いに向けて里親会に参加した。


尻尾が失われた猫(提供写真)

里親会に参加する猫の保護経緯は、飼育放棄や迷子、高齢の飼い主が突然飼えなくなったなどさまざまで、老夫婦の事案は一例に過ぎない。
野良猫の場合は去勢や不妊手術を施した上で地域猫として元の場所に戻す「TNR活動」も広がっているが、どうしても元の場所に戻せないケースもあり、そんな時はやはり里親を探すことになる。
東町集議所での里親会には、団体や個人で一時保護されている50匹以上の猫が参加する。
このうち、正式譲渡に向けて一定期間、飼えるかどうかを見極めるトライアルに進むのは数匹にとどまる。
村口さんは「猫は繁殖力が強い動物で、あっという間に増えてしまう。可愛がる前に必ず不妊や去勢手術を受けさせて」と力を込める。
猫を飼いたいと考えている人に向けては「ペットショップへ行く前に、保護猫の里親になるという選択肢を考えて頂きたい」と呼び掛けている。
次回は11月27日正午から午後3時まで。

問い合わせは事務局の上田さん(まりこの猫活)(090・7680・1710)へ。
2022年11月5日付831号27面から


元歌手・佐良直美さんと考える「殺処分ゼロ」の裏側

2022-11-29 06:04:43 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

元歌手・佐良直美さんと考える「殺処分ゼロ」の裏側
 過密な保護施設で犬同士の咬傷事故死も

2022年11月14日(月)  

元歌手で日本レコード大賞受賞者の佐良直美さん(77)は栃木県那須塩原市で家庭犬しつけ教室を運営しつつ、動物愛護活動にも取り組んでいる。
このところの日課になっているのが野犬への餌付けだ。
朝と昼の2回、野犬が出没する森に出かけ、犬たちの名前を呼びながらエサを置いてくる。
佐良さんが運営するアニマルファンスィアーズクラブ(AFC)を訪ねて、その理由を聞いてみた。
犬や猫が人間と幸せに暮らすための環境はどうやったら整うのか?
行政の収容施設での「殺処分ゼロ」を実現するだけでは決して解決しない問題に真剣に向き合う時期が来ているようだ。
(ジャーナリスト・樫原弘志)


トレーニングセンターの佐良直美さん(筆者撮影)

◆「保護して、子どもを増やさない」
朝の8時と昼の2時、佐良さんは、スタッフとともにAFCから30分ほど離れた森に向かう。
別荘地として分譲された場所だが、どこにあるかは作業に関わるスタッフ以外には教えない。
いろんな人がやってくると犬が警戒して姿を消してしまう恐れがあるからだ。
現場につくや否や、スタッフがエサを入れる器を回収し、新しいエサを盛り付ける。
佐良さんは大きな声で犬たちの名前を呼ぶ。
現場付近で確認できているのは2021年秋生まれのオス、メスのきょうだい犬2頭と、別家族のもう2頭だ。
佐良さんのチームは今年夏、現場付近で生後間もない子犬8頭を保護した。
母犬の保護には失敗、母犬はそれ以来、姿を消した。
「子どもたちが連れていかれたからさぞ悲しかったのだと思う」と佐良さんは子犬と一緒に保護できなかったことを悔やむ。
昨秋生まれの雌雄2頭のきょうだいは子犬たちのお兄さん、お姉さん犬だ。
「エサをくれる人だとわかっているし、車もわかっている。でも絶対に近くに寄ってこない。タテ社会だから上からの命令には絶対服従ですからね、母親が近寄るなと言ったら近寄らない」
野犬を見つけた人が栃木県に相談すれば、県は捕獲箱くらい設置してくれるだろう。
しかし、それ以上のことは期待できない。
だからだろうか、佐良さんのところにも野犬の目撃者から野犬を捕獲して欲しいという相談が入る。
野犬がいったい何頭いるのかはわからない。
確実につかまるかどうかもわからない。
だからといって手をこまぬいていていい問題ではない。
「やはり、保護して、子どもを増やさないこと。捕獲して(不妊去勢)手術してあげれば、そのぶん繁殖させないで済むわけですから」 佐良さんはそう語る。

◆里親を探すか終生世話をするか
飼い主のいない犬や猫が「かわいそうだ」という気持ちでエサやりを生きがいにする人たちもいるが、エサを与えた犬や猫を保護して、里親探しを含めてその後の世話をしない人が大半だ。
保護して、繁殖させない手術をして、里親を探すか終生世話をするという点で佐良さんの試みは動物愛護の王道を行く試みといってよい。
AFCに保護された8頭の子犬たちは早朝5時過ぎから夜11時過ぎまで当番スタッフたちが入れ替わりで世話をし、順調に育った。
家庭犬しつけ教室として使う広いトレーニングルームにも犬舎から車で運ばれ、毎日1時間程度、先輩犬と遊んだりして犬社会のルールを身に着ける訓練も受けた。
「この犬たちが野犬のまま繁殖を繰り返していたら大変な数の犬に増えていくのは目に見えている。母犬には申し訳ないけど、子犬たちだけでも保護できてよかったと思う」 (佐良さん)
2012年の動物愛護管理法改正で、犬や猫を引き取った都道府県など自治体には返還や譲渡に努力義務が課せられることになって、多くの自治体が「殺処分ゼロ」を目標に掲げ、殺処分が激減する契機になった。
2012年度の犬猫の殺処分数16万1847頭(殺処分率77.3%)は2020年度に同2万3764頭(同32.8%)まで減っている。
特に犬の場合、譲渡適性があるのに里親を探せないなどの理由で殺処分されたケースは保健所を運営する都道府県・政令市など127団体のうち21団体、合計642頭残るものの、東京都、大阪府・市など106団体は狭い意味での殺処分ゼロをすでに実現している。
半面、難しい問題として残っているのが野犬対策で、全国でどのくらいの数が放浪、徘徊しているか狂犬病予防法を所管する厚生労働省や都道府県の保健所もつかんでいない。
野犬の群れが生息する場所として全国的に有名な山口県周南市の周南緑地公園付近では、最近も野犬に自家用車が傷つけられるなどの被害が表面化した。
広島県でも動物愛護センターに収容される犬(2021年度1101頭)のうち1028頭、実に93%は飼い主のいない野良犬で、その多くは野犬化した雑種の犬だ。
動物保護活動に取り組む地元広島や関西のNPO法人が収容犬を大量に引き出していくため、2016年度以降、犬の殺処分ゼロが続いているものの、高水準の野犬の繁殖→捕獲・引き取り→引き出しの循環には終止符を打てないままだ。
引き出すNPOの側も収容施設、スタッフ、運営資金の確保に四苦八苦している。

◆過密状態の結果、犬同士の咬傷事故死
佐良さんのAFCがある栃木県の隣、茨城県でも収容される犬はほとんどが雑種、野犬といっていい犬たちだ。
収容数がどんどん膨らんで、県動物指導センターの収容施設が過密状態になり、犬同士の咬傷事故死がこの夏に発生した。
1頭ずつ収容する犬房が不足して、新しく収容した犬を群れの中に入れてしまったことが原因だとみられる。
譲渡に向かない犬であってもできるだけ殺処分を回避するという県動物指導センターの方針が裏目に出た。
中央環境審議会動物愛護部会が2018年12月にまとめた「動物愛護管理をめぐる主な課題への対応について(論点整理)」の中で、環境省は動物の健康保持の観点から「(収容)数が多すぎると殺処分がありえるのではないか」とする見解も示している。
命を救おうと思っていても過密収容が解消できなければ動物にとっても大きなストレスとなる。
動物愛護どころか虐待になりかねないリスクと隣り合わせなのだ。
山口県は譲渡を促進するため、訪問初日であっても免許証などによる身元確認など簡単な手続きで里親に犬猫を引き渡している。
収容動物の健康チェックが不十分なまま西日本地域での感染例が多いとされるバベシア症など感染症を全国にばらまく原因になりかねない。
また、野犬は人間を怖がり、逃げ出すチャンスをうかがっているため、逸走事件が後を絶たない。
野犬の里親になったものの飼い続けることができなくなった人から野犬を引き取る2次保護団体を筆者も訪ねたことがある。
主宰者は「女優たちがSNSで拡散したためか、安易な気持ちで野犬の里親になる人が多い」と嘆いていた。
佐良さんは野犬の譲渡には非常に慎重だ。
まずは自分のスタッフ、そして親しい獣医師からの紹介。
犬猫の扱いにある程度の経験がある人でなければ渡さない。
「3歳になるとどんな犬でも本性が出てきます。私はその本性をみていない。そこが心配なところです。いろんなアドバイスもあげられないし、アドバイスをあげられたとしても、いま見ていることと、先をみていないからこの先どんな感じになるかという話ができないんですよ」
人間とかかわりのないところで生まれ、育ってきた犬の特性は佐良さんにもわからない。
だから一緒に研究してくれるような気持ちの飼い主でなければ安心して引き渡せないというわけだ。
佐良さん自身も飼い主として、家庭犬インストラクターとしての経験の中で、重篤な病気の犬や攻撃的でしつけ困難な犬の安楽死の場面を見てきた。
なにがなんでも「殺処分ゼロ」でなければならないかのような風潮には懐疑的だ。
野犬もそのもとをたどれば、人間が野に放ってしまった犬たちだ。
その責任は人間にある。
だから誰しも救いたいという気持ちにかられる。
佐良さんが野犬の餌付けを試みるのは、だれよりも野犬を救いたい気持ちが強いからだ。
しかし、殺処分ゼロのために譲渡適性の判断を軽視していると、飼い主も犬も不幸になる場合がある。
そのことも動物との共生を考えるとき、頭に入れておく必要があるようだ。

【取材協力】
佐良直美さんプロフィール
1945年東京生まれ、日本大学芸術学部卒。幼少期から動物に囲まれて育ち、小学生時代に乗馬も始める。16歳からジャズを学び、1967年「世界は二人のために」で歌手デビューし、日本レコード大賞新人賞を受賞。69年「いいじゃないの幸せならば」でレコード大賞受賞。1983年に那須に移住し、家庭犬インストラクターに。93年にAFCを設立し、動物と人間の幸せな生き方を広めるため家庭犬しつけ教室の運営など教育、啓発活動に取り組んでいる。

【画像】ホームセンターで社会化訓練

【筆者】樫原弘志
1958年広島県生まれ、日本経済新聞社にて経済部、国際部、地方部などに所属。シンガポール、大分、千葉の各支局長、編集委員、日経グローカル研究員などを歴任し、現在、フリーランス(日本記者クラブ個人会員)経済、金融、地方創生、農漁業、動物愛護などを幅広くカバーしている。

弁護士ドットコムニュース編集部

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福井県内保護収容犬

2022-11-28 05:52:43 | 保護・収容動物のお知らせ

福井県動物愛護センターで1匹の犬が保護・収容されています。
飼い主の方至急センターへ、そして心当たりの方々のご協力お願いします

【福井県動物愛護センター 本所】
 電話番号:0776-38-2212

収容日:2022年11月24日
保護場所:福井市栂野町 付近
種類:雑種
性別・体格:オス・中型
年齢:不明
毛色:白
所有者明示なし
公示終了:2022年11月28日


すでに猫を飼っている家庭で野良猫を迎え入れるときの注意点

2022-11-26 06:01:55 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

すでに猫を飼っている家庭で野良猫を迎え入れ、お世話するときの注意点|獣医師解説

2022年11月14日(月)

すでに猫を飼っている飼い主さんが野良猫を保護したとき、家に迎え入れようと考える人もいるでしょう。
その場合、野良猫をお迎えするにあたって、事前にどのようなことを考慮する必要があるのでしょうか。
ねこのきもち獣医師相談室の岡本りさ先生が解説します。

◆猫を飼っている家庭で野良猫を迎え入れるときに注意すべきこと
野良猫はお腹の中に寄生する内部寄生虫に感染していることがあります。
便検査を行ったうえで駆虫剤を投薬するなど、かかりつけの指示に従って対応するようにしましょう。
それまでは、先住猫とトイレや生活環境を一緒にしないようにしましょう。
ノミ・マダニが寄生している可能性もあるので、病院での確認と予防薬の塗布が完了するまでは、迎え入れた野良猫をケージから出さないことも大切です。
また、猫エイズや白血病ウイルスに感染している可能性があるので、ウイルスチェックが済むまでは先住猫と接触させないようにしましょう。
グルーミング、ケンカ、食器やトイレの共有で感染してしまうことがあるので、注意が必要です。
上記の理由から、野良猫を保護した際は先住猫とは完全に隔離をし、接触がないようにしましょう。
先住猫がワクチン接種をしていない場合はより注意が必要です。
また、保護した野良猫はできるだけ早急に動物病院を受診してください。
その際に先住猫がいることを獣医師に伝え、どのような注意や対応が必要か詳しく聞いてみてください。

◆先住猫がいる家庭で、保護した野良猫を家に迎え入れるかどうか検討する際のポイント
すでに猫を飼っている家庭で野良猫を保護し、飼う、飼わないの判断をする際のポイントとしては、下記のようなものに。
・猫同士の相性はどうか
・猫同士の相性や感染症の問題で猫同士が一緒の居住空間で暮らせない場合、適切に隔離できるかどうか これらを検討した上で問題ないと判断して飼うことを決めた場合、先住猫と保護した野良猫を対面させるタイミングとしては、動物病院での健康チェックや、不妊手術が終わったタイミングがよいでしょう。
野良猫を家に迎える場合、特に成猫の場合は人馴れするのに時間がかかったり、年単位で触れない可能性もあります。
そうした可能性があることも理解した上で、お迎えすることを検討してみてください。

(監修:ねこのきもち獣医師相談室獣医師・岡本りさ先生)

※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

 取材・文/柴田おまめ

ねこのきもちWeb編集室

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通算17回の災害現場に出動した救助犬、実は殺処分される元野犬だった

2022-11-25 05:53:30 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

通算17回の災害現場に出動した救助犬、実は殺処分される元野犬だった
 引退後は保護団体のアンバサダーに 

2022年11月13日(日)  

殺処分されるところを救い出され、人の命を救う災害救助犬として活躍した元野犬の夢之丞(ゆめのすけ)。
そのストーリーと、愛くるしいルックスから複数の本が刊行されるほどの注目を集めた一方、この夢之丞との出会いは、行き場のない犬の保護・譲渡活動を行うピースワンコ・ジャパンの本格的な活動のきっかけにもなりました。
同団体がこれまでにつないできた命は7000頭以上。
これも夢之丞との出会いがなかったら実現できなかったことと言って良いでしょう。
そんな夢之丞ですが、2021年に11歳になったことで災害救助犬を引退しました。
以降は「日本のワンコの殺処分ゼロ」を目指す「ワンドリーム・プロジェクト」アンバサダーに就任し、新しい目標に向かって進み始めています。


「災害救助犬」として活躍した元野犬・夢之丞

◆殺処分直前で保護され、災害救助犬として活躍するように
2010年、広島の動物愛護センターで殺処分されるところを引き取られた元野犬の夢之丞。
当時、推定では生後3ヶ月で愛護センターで他のワンコが処分されていくなか、保護された際にスタッフに抱き上げられると、おもらしをしてしまうほど恐怖に怯えていました。
以降も警戒心が強く、人が近づくだけで震えるという怖がりのワンコで、散歩に連れ出すのも1年がかり。
災害救助犬としてはおろか、飼い犬として生きていくのも難しいと思われたワンコでした。
しかし、そんな状況でもスタッフが諦めずに夢之丞に愛情を持って接していくと、徐々に心を開き始め、気がつけば訓練も次々とこなすようになりました。
後にピースワンコ・ジャパンのレスキューチームの一員として本格的な訓練を重ね、これまでに国内外17回の災害現場に出動することになりました。
中でも初出動となった2014年の地元における広島土砂災害では夢之丞が行方不明者を1名を発見。
この時期も日常での臆病ぶりは相変わらずだった一方、災害現場では、泥だらけになりながらも果敢に救助活動を行いました。

◆11歳を迎えたことで災害救助犬を引退
夢之丞の人命救助犬としての挑戦は、当初こそ「無謀」と言われましたが、結果的に「人間に救われた命が、人間の命をつなぐ災害救助犬」となり活躍したことで、多くの人に感動を与えました。
そんな夢之丞ですが、11歳を迎えたことで8年間に及んだ災害救助犬を引退することになりました。
今年5月17日にはYouTubeを介し、夢之丞の引退式もオンラインイベントとして実施されました。
多くの人々が見守るなか、和やかに引退することになりました。
このオンラインイベントでは、夢之丞に以下の感謝状が送られました。
「感謝状 夢之丞殿 あなたは2010年に殺処分目前から救われたのち、2014年の広島土砂災害からこれまで17回に渡り、災害現場に出動し、職務を全うされました。あなたの行動は多くの人とワンコたちに、夢と希望、勇気を与えてくれました。 今日、ピースワンコ・ジャパンがあるのもあなたの活躍のおかげです。よってここに、その功労を称え、記念品を贈り、感謝いたします。2022年5月17日 ピースワンコ・ジャパン一同」
いつもと違う様子のスタッフから感謝状の「紙」を渡されると、一瞬怯える夢之丞でしたが、拍手を迎えられた途端いつもの笑顔を取り戻し、嬉しそうにしていました。

◆夢之丞は「ワンドリームプロジェクト」のアンバサダーに就任
夢之丞の引退式の一部は、今もYouTubeで見ることができます。
また、災害救助犬として引退した夢之丞は現在、「殺処分ゼロモデルを全国に広める」ための「ワンドリームプロジェクト」のアンバサダーに就任。
これからも同団体の代表的ワンコとして元気に活動を行っていきます。
夢之丞との出会いから始まった同団体の活動により、以降7000頭以上の命が救われました。
同団体では「ドリームボックス」という犬の殺処分機の稼働を止め、日本全国の犬の「殺処分ゼロ」の実現を目指しています。
今後も夢之丞、そして同団体の活動に注目していってくださいね。

 (まいどなニュース特約・松田 義人)

【動画】ドリームボックスから生還した夢之丞
【動画】「ありがとう」救助犬・夢之丞の引退式

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各地で相次ぐ多頭飼育崩壊、なぜ?

2022-11-24 05:57:27 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

自宅に犬221頭、近隣苦情…各地で相次ぐ多頭飼育崩壊、なぜ?

2022年11月13日(日)  

ペットの繁殖をコントロールできなくなる飼い主が全国で後を絶たない。
世話が行き届かなくなり、「虐待」と認定されるケースもある。
好きで飼い始めたはずなのに、どうしてこんな事態を招いてしまうのか。
千葉県内で起きた事件から考えた。
【近森歌音】


千葉県八街市の女性の自宅で飼われていた犬たち。「多頭飼育崩壊」が起きていたとみられる=NPO法人アルマ提供

◇保健所が繰り返し指導したが
同県八街市の自宅で221頭の小型犬を不衛生な環境で飼育し、4匹を衰弱させたとして、60代の女性が9日、動物愛護法違反(愛護動物の虐待)の罪で略式起訴された。
6月に県警が書類送検していた。
3月に県警の捜査員たちが女性宅を訪れると、犬たちの体は排せつ物にまみれ、結膜炎などの影響で涙を流している犬もいた。
繁殖制御や個体数の把握ができなくなるほどにペットが増えることを「多頭飼育崩壊」と言う。
飼い主の女性はこの状態に陥っていたとみられている。
犬たちはどのようにして200頭を超える数まで増えたのか。
県警や捜査関係者への取材をベースに、経過を振り返ってみたい。

繁殖が始まったのは約20年も前のことだ。
もともと雄犬を飼っていたところに、雌犬を譲り受けた。
その後、雌犬が死んだことで、小型犬のシーズーの雌をペットショップで購入した。
避妊手術をしなかったことから約半年後に妊娠。
ここから少しずつ犬が増えていった。
女性は11年に現在の住所に転居した。
この時点で飼い犬は20頭を超えており、鳴き声や悪臭に対する苦情が近隣住民から相次いだ。
このエリアを管轄する印旛保健所が繰り返し女性を指導したが、改善しなかった。
それから10年。
飼い犬の数は約10倍にまで膨れ上がり、とうとう捜査のメスが入った。

◇動物に対する「愛情」はあった
捜査関係者によると、女性は調べに対し、避妊手術をしなかった理由について「収入が少なく余裕がなかった」「昔飼っていた犬を避妊手術で失ったので犬を死なせたくなかった」などと話したというが、供述内容の真偽は分からない。
一方で「ほとんどの時間を動物の世話に費やしていたが、苦ではなかった」とも述べたという。
少なくとも、動物への「愛情」は持っていたものと思われる。
本人に確かめようと女性宅を訪れたが、直接会うことはできなかった。
犬たちは保健所に引き取られ、女性宅の周辺は穏やかさを取り戻していたが、近所の住民たちも一様に口を閉ざした。

◇30メートル先でも鼻を突く異臭
そんな中、昨年10月から女性と繰り返し話し合いをしてきた人物に話を聞くことができた。
同県市川市の動物保護団体「ガンドッグレスキューCACI」の金子理絵代表だ。
別の保護団体を介して問題を知り、女性と交渉することになったという。
金子さんは「このままでは女性にとっても犬たちにとっても良くない」との思いから、犬を手放すよう説得した。
だが、女性は「自分にとっては子どもだ」と譲らなかった。
約30メートル離れた場所でも鼻を突く異臭がしていたが、女性は気にする様子もなかった。
「利己的な愛情、物に対する執着のようなものを感じた」と振り返る。
多頭飼育崩壊が疑われる事件は県外でも相次いでいる。
福岡県警は9月、飼育しきれなくなった多数のミニチュアダックスフントを公園や路上などに置き去りにしたとして、福岡市戸畑区の40代の夫婦を逮捕した。
群馬県でも同月、劣悪な環境で約30頭の犬を飼育したとして、60代の男性が逮捕された。
こうした事件が起きる背景には何があるのだろうか。

◇「アニマルホーダー」という病気の可能性
「多頭飼育者になってしまう人は、精神疾患の可能性がある」
こう指摘するのは、公認心理師として心の病を抱える人のカウンセリングに取り組んできた矢野宏之さんだ。
矢野さんによると、物を捨てることができなくなる「ためこみ症(ホーダー)」という病気がある。
日本ではあまりなじみのない病名だが、アメリカ精神医学会は独立した精神疾患と位置づけている。
このうち、特に動物をため込む人は「アニマルホーダー」と呼ばれる。
①収集する
②管理できない
③捨てられない
――の三つ全てが当てはまるかどうかが診断基準となっている。
発症のきっかけとなるのは「喪失体験」だ。
「これ以上失いたくない」との思いから、ため込みを始めることが多い。
対象物と引き離されることに強い拒絶感を示すのも特徴で、矢野さんは「たとえ紙くずであっても、自分の子どもや恋人に抱くような執着心を持っている」と説明する。
ためこみ症は治療により改善できる可能性があるが、日本では認知度が低いことが課題だ。
患者本人は自分が病気だと認識することが難しいため、自ら病院に来ることがほとんどない。
矢野さんによると、10代前半の思春期に病気の兆候が表れ、徐々に進行することも分かっている。
矢野さんは「症状がひどくなり地域で問題になる前に家族などが異常を察知し、外部に相談することが望ましい」と話す。

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【多頭飼育崩壊が起きた家で暮らす猫たち】  
崩れたキャットタワー、刺激臭…猫180匹多頭飼育崩壊はなぜ起きた


愛犬ラッキーの生涯

2022-11-23 05:53:02 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

保護犬ラッキーと過ごした10年
 滋賀の71歳、リハビリ支えられ最後はみとり

2022年11月8日(火)

譲渡を受けた保護犬との10年間をつづった本を滋賀県甲賀市の岡村喜造さん(71)が自費出版した。
犬が生活にもたらした喜びを通じて、飼育する犬や猫に責任を持つことや、高齢化したペットとの向き合い方を伝えている。


愛犬の介護経験などをつづった岡村さん(滋賀県甲賀市役所)

岡村さんは特別支援学校を退職後の2011年、軽度の認知症となった母親のセラピードッグとして、県動物保護管理センター(湖南市)で推定5歳のラブラドルレトリバー系雑種犬の譲渡を受けた。
ラッキーと名付けた。
執筆した「愛犬ラッキーの生涯」では、譲渡時のセンターとのやりとりから、岡村さん自身が脳梗塞になり、愛犬との散歩がリハビリになるなど回復の支えになったことや、訓練と5度の試験を通じて災害救助犬に認定されたことをつづる。
老犬となり寝たきりとなったラッキーの介護の様子には本の総ページの半分近くを割いた。
床ずれを防ぐため人間と同じように姿勢転換をしたり、背中や足をマッサージしたりするなど愛情を持って接した約1年の思い出を記録した。
岡村さんは市教育委員会を通じ、市内の小中学校などに自著を寄付した。
「犬や猫も人間同様に生きており、楽しい時間が続いても一緒にいられる時間は徐々に少なくなる。本を通じ、子供たちに命の大切さを感じてもらえたら」と話す。
四六判、143ページ。
残部があり、希望者に無償で譲渡する。

 

【愛犬ラッキーの生涯】

保護された犬が災害救助犬になった!

岡村喜造 (おかむらよしぞう)

保護犬だったラッキーとのかけがえのない日々と永遠の別れ。
犬がもたらす幸福を記す。
著者はラッキーを家に迎え、あるとき思い立って災害救助犬の試験に挑戦させます。
そこにはラッキーを捨てた元飼い主に「こんな賢い犬になったぞ、こんなに素晴らしい犬をあなたたちは捨てたのだ」と言ってやりたい気持ちがありました。
ラッキーは見事合格。その後も最期まで著者と幸せな日々を共にします。
ラッキーの雄姿を残すために。
そして、1匹でも多くの保護犬が幸せになるよう、祈りを込めて。



出版社名:文芸社
著者名:岡村喜造(著)
定価:1,100円 (本体 1,000円)
判型:四六並
ページ数:144
発刊日:2022/08/15
ISBN:978-4-286-23446-5


福井県内保護収容犬

2022-11-22 06:03:11 | 保護・収容動物のお知らせ

福井県動物愛護センターで2匹の犬が保護・収容されています。
飼い主の方至急センターへ、そして心当たりの方々のご協力お願いします

【福井県動物愛護センター 本所】
 電話番号:0776-38-2212

収容日:2022年11月21日
保護場所:大野市中保
種類:柴犬風
性別・体格:オス・中型
年齢:不明
毛色:茶
赤色の首輪着用・赤色のリード付
公示終了:2022年11月24日




【福井県動物愛護センター 嶺南支所】
 電話番号:0770-22-3747

収容月日:2022年11月21日
種類:秋田犬風
保護場所:大飯郡高浜町関屋 付近
性別・体格:メス・大型
年齢:不明
毛色:茶白
所有者明示なし
公示終了:2022年11月24日


小雨のなか道端のフェンスにつながれ置き去りにされていた秋田犬

2022-11-21 06:03:09 | 動物実験・動物虐待

置き去り、絶対やめて!
小雨のなか道端のフェンスにつながれた秋田犬を保護
 「自分に置き換えて考えて」

2022年11月11日(金)  

短いリードで道端のフェンスに繋がれた1匹の秋田犬。
周囲に人はおらず、どうやら前の飼い主から捨てられてしまった可能性があり、保護した方のツイッター投稿に注目が集まっています。

10月9日、投稿者の名月(@ranranharuru)さんは、住まいのある徳島県内でリードをフェンスに繋がれた秋田犬と出会いました。
警察への連絡などを経て、保護することを決めた名月さん。
犬はとら丸と名付けられ、名月さんとその家族と一緒に暮らしています。
当時のこと、とら丸くんを迎え入れてからの生活について投稿者さんに伺いました。


名月さんが発見したときのとら丸くん。短いリードがフェンスに繋がれています(画像提供:名月さん)

■保護した投稿者に聞いた
「その日は、小雨が降っていて。恵比須洞自体は観光地なので車もよく止まっている所で通行も多いと思います」。
とら丸君が繋がれていたのは、徳島県の恵比須洞のそば。
とら丸くんは1匹、その場に取り残されていたといいます。
「朝10時頃は車が停まってましたが、夕方通った時は1台もいなくて。山なので飼い主さんがもし崖から落ちたりしてたらと心配で周りは確認したんですけど何も無く。行くまで遠くで犬の遠吠えがずっと聞こえていたんです。ずっと飼い主を呼んでいたのかと思うと涙が出ます」。
とら丸くんのそばには小さなボウルが転がっており、なかには水、地面にはふやけたドックフードが落ちてました。
誰かに発見・保護されるまでのつなぎの食料として、前の飼い主が置いて行ったのでしょうか。
名月さんが近づくと「シッポふって寄って来たので、人懐っこい印象でした。16時頃警察に通報、聞き取りがあり、1時間後に保護に来てくださったそうです」。
「飼い主さんが現れればと思っていたのですが、警察に連絡したところ問い合わせなしで、捨てられたのだろうと。12日の朝には保健所の方が引き取りに来ると聞きましたのでその前に保護する事にしました」。
こういったケースの場合、捨てられた動物を「遺失物」として拾得者が届け出、警察が公告したのち、3か月以内に所有者(飼い主)が現れなければ拾得者が所有権を得られるそうです。

■困難がありながらも無事一緒に暮らすことに
そうして名月さんに保護されたとら丸くん。
家に来た初日は、新しい環境に慣れず夜通し遠吠えをしていたといいます。
当時を振り返り、名月さんは「遠吠えにはびっくりしました、よっぽど不安だったのだと思います。横で一緒に寝てあげました」と語ります。


家に迎えた初日はなれない環境のせいか、遠吠えを繰り返していたそうです(画像提供:名月さん)

また、大変なことはそれだけではなかったようです。
というのも、名月さんの家にはほかの家族や先住犬がおり、いきなり大型犬の家族が増えることについて家族の了承、環境の整備の必要がありました。
「両親祖母、一緒に暮らす家族にも説明して了解してもらわないといけなかったので、悩みましたけど受け入れて貰えて安心しています。(家族がとら丸を)初めて見た時は想像以上に大きかったみたいでびっくりしてましたけど(笑)。とら丸は今の家を気に入ってくれたみたいです」(名月さん)。
その後はとら丸くんの目がほぼ見えていないことも発覚。
「警察の方から(目が)見えてないみたいだと聞きました。少し散歩して帰ろうと付近を歩いたんですが、溝や壁にぶつかるので気づきました。具体的な年齢は分からないのですが、おじさんくらいなのかな。秋田犬に稀にある病気で若くして失明しているかもしれません」。
色々な壁がありつつも、名月さんがとら丸くんを保護して1か月ほどが経過。
互いに新しい生活にも慣れたようで、名月さんはとら丸くんの近況をツイッターに投稿しながら幸せに暮らしているそうです。
飼い主について名月さんに尋ねると、その後も名乗り出ていないとのこと。
名月さんは、「このような状況に自分が遭遇するとは思ってもみなかったですが、SNSでの反響で日々起こっている事なんだと知りました。捨てる側の気持ちは理解出来ませんし許せません。どんな理由があるにしても、置き去り以外の方法をとってほしかったです。自分に、家族に置き換えて考えて欲しいです」と、無責任な飼い主に対し憤ります。
しかし、とら丸くんと出会えた日々はこれまで以上に充実しているとも語ります。
「今は毎日の目薬や散歩も2倍になって大変ですが充実しています。とにかくめちゃくちゃかわいいです!!この子達のために健康でいようと思います!」


名月さん家族に迎えられ、散歩にでかけるとら丸くん(画像提供:名月さん)

(まいどなニュース・門倉 早希)

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