観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「北方領土」「農業」を考察する予定(未定)。

大学病院勤務医(及び国立病院勤務医)の給与上げを

2023-11-02 00:42:14 | 厚生労働
大学病院医師の給料はなぜ安い?私立病院との違い・勤務医の年収UPを目指すには(メディカルキャリアナビ 2023.10.27)

独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した調査
経営形態 平均年収
国立 882万4,000円
公立 1347万1,000円
公的 1353万4,000円
社会保険関係団体 1280万7,000円
医療法人 1443万8,000円
個人 1414万円
学校法人 739万5,000円
その他の法人 1406万4,000円

>大学病院は研究・医師の育成を目的とした施設(医療機関)です。利益の追求を目的としていないことから、人件費の予算が低く設定されています。
>人件費の予算が少ないにもかかわらず医者の数が多い
>年功序列の風潮が残っている病院が多い

お医者さんの給与は高いイメージですが、大学病院の平均給与は学校の先生の平均給与並みであるようです(国立病院勤務医も低いようですが)。多分、低賃金激務の代わりに技術を身に着け易い環境にあって、それが魅力で大学病院や国立病院の勤務医の成り手はあるのでしょうが、年功序列でもあるようで、若い内は低賃金激務で働いて技術を身につけよという発想自体が古いと考えます。医者というエリート層が時代に適合しないモデルで働いていたら、示しがつかないところがなくないですか?他の業界でも医者がやっている、何が悪いとなりかねないでしょう。

具体的にどう改善するかですが、①人件費を増やす。②予算に併せて人員を減らす。の2通りしかありません。私は理由なく既存の秩序を壊したいと思っていませんから、①の方がいいと思う訳ですが、②でも他の医療機関が受け皿になる可能性は考えられます。その辺は実情を調査して政策に落とし込まなければならないんでしょうが、①だと技術を身につけられて給与も悪くないということで、医師の人気が集中する(コネがものを言うようになる?)可能性もあるでしょう。まぁ粗探しすれば、何でも言えますが、何にせよ調査が事実だとすれば、他の医療機関との格差が大き過ぎます。私は今の国民皆保険の制度は維持すべきと思いますが、時間やお金を投資して医者になっているでしょうに、技術料が安く搾取されるのは、適正価格の労働という理念に反する訳で、これからまだ高齢化社会は進行することは承知の上で、多少医療費を増大させることは止むを得ないと考えます。

その代わりと言っては何ですが、医療の質を上げ、コストを下げる医療DXをサボタージュするのを止めてもらいますし、相対的に富裕な高齢者の医療費負担は上げる余地があると思います。低所得の高齢者の1割負担自体は、病気になり易いことを考えると破綻させないために止むを得ないところがあると思います。ぶっちゃけ生活保護を切るという決断でなければ、破綻させたところで、寧ろ公費負担は上がる可能性もあります。1割or2割で壁を造るのではなく、なだらかに所得制限を設けてもいいでしょう。ただし現役以上の所得がある人の医療費を現役より安く抑える意義はよくよく考えられていいとは思います。

また年功序列の風潮は有り得ません。とにかく丁稚奉公の文化はどうにかした方が良く、少子化の原因になっていると共に、働かない高給取りの高齢者を逆ピラミッドで養うこと等、物理的に出来ません。医療報酬を国が設定できるのであれば、若い勤務医の給与をとにかく上げていき、単純に物価に併せた給与スライドをしないことです。勿論(技術を身に着けてない内から)一人前の給与という訳にもいかず、給与格差があっていいと思いますが、何事も程度問題です。今の若い人搾取=年功序列は有り得ないと思います。高齢者が若い内はそうして働いていたとしてもです。出来ないものは出来ません。

一方、今の少子高齢化の流れで、高齢者は死んでもいいというような風潮が一部にあることは否めませんが、私はその手の「理論」を全く評価していません。それは高齢者医療/介護に携わってない人の一方的思い込みに過ぎないと思うからです。確かに認知症等で訳が分からなくなった高齢者はいますし、そうなってまで生きてどうするんだ(自分はそこまでして長生きしたくない)という考え方は有り得るでしょうが、だからといって殺していいというのは人道上有り得ませんし、そうさせたくないという家族の気持ちがある高齢者も少なくないでしょうし、何より大病を患っても意外と意識のハッキリしている期間は長く(良性腫瘍と悪性腫瘍の区別は難しい面も?)、手術等で病気が治って、それからわりと(意識がハッキリしたまま)長生きすることも少なくないんですね。人は誰でも高齢者になります。ユニバーサルメディカルアクセスは一つの理想だと思う訳で、国民皆保険はそれをそれなりに実現してきたのだろう(維持すべき)と思います。医療だけでなく、日本人の働き方を変えるべき時期に来たとしても。

追記:こんな意見も・・・火鍋チャンネル(妖精)@hinabe_ch X
>玉木雄一郎さんの発言は突き詰めれば「家族からの支えがなく、資産のない高齢者に対しては、行政は一定年齢以上(例えば75歳)になったら支援しません」という意味で社会保障の水準を下げましょう、そのためには国庫が負担する医療費にはシーリングつけましょうという話に直結するんよね。

①人はどれだけ長生きするか分からないので、誰しも適切に資産を貯めることなんて出来ません。共助のシステムは意外と合理的です。
②家族に頼るシステムが機能するのは、あくまで生き延びる人が少なかった時代の話で、少子化社会では多くの人が切り捨てられることになります。

さすが火鍋(中国を中心に香港や台湾、マレーシア、シンガポールなどアジアで親しまれている鍋料理)。中国はこうやって(行政の切り捨てと家族システム依存で)少子高齢化を乗り切るつもりなのかもしれません。

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2 コメント

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ユニバーサルメディカルアクセスと患者負担 (管理人)
2023-11-03 14:43:26
優秀な医師にかかりたいという発想は一般に見られると思いますが、マンパワーは有限で、標準治療が地域で提供される「ユニバーサルメディカルアクセス」の実現が政策目標になるのではないかと私は思います(僻地医療はオンライン診療の役割拡大で)(医療DXに後ろ向き(?)であることを除けば、この意味で現状で日本の医療は先進的な面もあるかもしれません)。その上で(標準治療を重視した上で)、生命に関わる疾患の患者の負担を特に下げることが大切ではないかと思います。慢性疾患を軽視する訳ではないんですが(例えば自己免疫疾患は出来るだけ専門医に)、若い人がお金の問題で心臓外科手術を受けられないとか、そういう事態を出来るだけなくしたい訳です。また怪しい医療に高額の医療費を払う人が出るのは避けられないにしても、(HPVワクチンを加える等)標準治療が安ければ、被害者の発生は限定的になると思います。難病の治療法の開発はまた別枠で考える必要はあるでしょうけど。
医療の不採算部門 (管理人)
2023-11-03 16:49:32
小児科・(出産は保険適用ではありませんが)産科は少子化で供給を減らすために、あえて診療報酬を安くしているんでしょうが、見直しの時期に来ているのかもしれません。少子化対策が本気なら、出生率も反転させないと(供給を増やさないと)いけませんしね。

救急は24時間体制での待機や空きベッドの必要性で不採算になるようです。民間病院の救急を減らしたくないなら、公的支援が必要かもしれません。大学病院・国立病院の若い勤務医中心に待遇改善も必要だと思います。また高齢者の転倒等で需要もあるようで、認知症患者も急増していて負担になっています。

外科も不採算だと言い、赤字手術が少なくないようです。

不採算部門の見直しは基本的に国民の理解が得られると思うのですが、寝たきり・認知症の高齢者の尊厳死は考えるべき時期に来ているのかもしれません。

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