観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「北方領土」「農業」を考察する予定(未定)。

ワクチン後進国日本とマスコミの炎上商法

2021-02-12 11:06:17 | メディア

HPVワクチン「ガーダシル」

なぜ、日本は「ワクチン後進国」なのか? 豊田真由子が思う「理由」と「背景」(まいどなニュース 2021/2/6)

 豊田氏が指摘するように1980年代までワクチン開発国だった日本がワクチン後進国と言われるのは、「予防接種禍」を受けてのことで筆者が思うに基本的にはマスコミが煽ったからでしょう。日本国民はまんまと乗せられてしまったという訳ですが、何時までも乗せられたままでいいとは思えません。マスコミが煽り報道のマイナス面について反省しているかどうかは知りませんが、国民に出来ることは、知識をつけて乗せられないようにすることだと思います。

 考えてみれば、確率が稀な副反応のリスクより、病気にかかるリスクの方が高いことは誰が考えても分かるはずです。

 コロナのワクチンは新しい技術が問題にされていますが、では古い技術なら安心かと言えば、中国のワクチンはなお心配なことは言うまでもありません。新しい技術のリスクはゼロにはならないにせよ、コロナのリスク・コロナ対策のリスクを考えれば、取るに足りないリスクだと考えられます。日本の感染状況は欧米に比べて大したことはないにせよ、対策が経済に与える影響は無視できません。
 
 豊田真由子氏はマスコミにバッシングされたことで知られますが、その専門力は間違いないのでしょう。ワクチン後進国を指摘できるのも、マスコミにバッシングされて失うものがないからなのかもしれません。バッシングされた人もいいことを言っている時は認められていいような気がします。マスコミはバッシングに対して反省はあるのでしょうか。あるとしてもバッシングされた側が怒った時、その声を掬うのはマスコミではない気がします。バッシングをして売れるなら、またやりたいのが本音でしょうから。
 
 問題は厚労行政の失敗かマスコミの失敗か国民の失敗か医療の失敗かということです。それぞれ少しづつ責任はあるかもしれませんが、筆者の考え方では、この問題の責任の大半はマスコミにあります。副反応のリスクより病気にかかるリスクの方が高いのは自明と思われ、一般的に信頼性のあるマスコミが国民を裏切った問題と言えるからです。これは目先の金(売れること)に釣られたマスコミの失敗の1ページなのでしょう。
 
 厚労行政も情けないと言えば情けないのですが、(市民の皆さんによる)訴訟リスクが無視できないほどあるのでしょう。病気にかかった方がワクチンが推奨されなかったからと言って、国を訴える訳にはいかないのでしょうが、こちらの方が因果関係は自明なように思えます(つまりワクチンが普及していれば、病気にならなかった可能性が高い(絶対ではない)はずです)。

 豊田氏は日本がワクチン後進国なのは二つ目に国の危機管理の問題だからと言います。日本が日本国憲法の下、戦後平和主義に毒されてきたのも自明と言え、これに対する反省を受けて今の日本の保守主義があると理解しています。軍事(安全保障)のポジティブな側面を強調するのは、左派にできることとは思えず、基本的には左派と言えるマスコミがネガティブにこの問題を煽ってしまった理由の一つだと思えます。
 

労働分配率に関して

2021-02-04 07:26:26 | 経済財政

Clayton Christensen World Economic Forum 2013.jpg
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クレイトン・クリステンセン(ウィキペディア 20121/02/04 8:00 参照)

健保組合、従業員に二重苦 半数は負担割合上昇(日経新聞 2021年2月4日)

少子高齢化の負の影響を軽く見るべきではありませんが、労働分配率は(世界的な傾向もあって)下がっているので(世界企業 日本の立ち位置(3)労働分配率、日米欧で低調 日経新聞 2017年9月5日)、この見出しはミスリードを誘うのではないかと思います(人件費が上がっており、企業に余裕が無いような印象です)。日本だけでなく世界で必要なのは労働分配率を上げる政策かと。まぁコロナの影響も小さくはないでしょうが、政府が経済対策している面もあります。

労働分配率は大企業ほど低いようです(労働分配率の推移(資本金規模別) 内閣府)。大企業は効率的だと思いますが、その分を必ずしも労働者に分配している訳ではないのでしょう。中小企業を淘汰して大企業に転換するとは、菅首相の経済ブレーンと言われるデービッド・アトキンソン氏の戦略ですが(筆者は著書を複数買っており、嫌いではありません)、生産性が上がって、賃金が上がっても(一般に中小企業より大企業の方が待遇はいいでしょう)、格差が広がり、労働分配率の問題は別にどうにかする必要はあるかもしれません。

イノベーションは一般にプラスに見られるでしょうが、労働分配率を下げる効果もあるようです(第3節 イノベーションの進展による労働分配率と生産性への影響 内閣府)。だからと言って、イノベーションを否定する訳にはいきませんが、それはそれとして労働分配率の問題は別に考える必要はありそうです。イノベーションのジレンマ(グロービス経営大学院 >革新的な技術やビジネスモデルで従来の企業を打ち破った企業が、大企業になると革新性を失ってしまう状態や、さらに最先端の技術開発をしても成功に結びつかない状態などを、総じてイノベーションのジレンマと呼ぶ)とは有名な言葉ですが、プラスの意味で捉えられるイノベーションが労働分配率の低下に繋がる動きもイノベーションのジレンマと言えなくもありません。写真のクレイトン・クリステンセンは「イノベーションのジレンマ」の著者として著名です。念のため。

DX(デジタルトランスフォーメーション)に対応する教育訓練は必要と思いますが、それだけでは労働分配率の問題を「解決」しないかもしれません。

生産性を上げると賃金は上がるのでしょうが、それ以上に労働分配率を下げるようです。余裕を持つんでしょうね。難しいところです。