観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「北方領土」「農業」を考察する予定(未定)。

新型コロナウイルスと大都市病、その他経済対策

2020-03-29 20:21:23 | 厚生労働
 新型コロナウイルスは大都市病の気配があります(地方都市で感染が無いとは言いませんが、地方での感染は大都市から貰ってきているようにも見えます。あくまで確率の問題でそう表現しています)。感染症は単純に数的に見られる面があって、大都市ほど密集しているからですが、感染症対策ビジョンを考える時、では地方都市や田舎に移住すればいいとはなりません。効率性の高さを捨て経済は回らないからですが、では大都市は何もしなくていいかというとそうでもないでしょう。単純に問題の発生しやすいところほど、対策も打たねばならないはずです。オーバーシュートの可能性を考える時、問題を放置していいという考え方もないはずです。対策せずに致死率2%で1000万人都市で20万人、致死率0.2%でも2万人死ぬことになりますし、対策すると経済が冷えるのは目に見えていますし、政府が対策しなくても国民が危険と判断したら出歩かなくなり対策したのと同じになるでしょうし、蔓延すればするほど危険と判断するでしょう。
 高熱を発するインフルと比べて、ウイルス自体の感染力はそう高くなさそうなものの、逆に軽症で済むから出歩いて病気としての伝播力があると思われる新型コロナウイルスの特性を考える時、仮に治療法が見つかったとして、根絶できるのかという問題があります。ワクチンなら根絶できるでしょうが、ゼロリスク志向ではワクチンのリスクを言われてしまうでしょう(これはこれで頭の痛い問題です。確率現象を確率の問題として捉えられずに一人でもと言い出すと車だって乗れないはずですが、乗れているのですから、ゼロリスクマンが言い訳しているに違いありません。ゼロリスク志向にプラスの面があるとしても、ワクチンも打てないようではそれこそ問題ではないかと指摘しています)。長期戦の構えが必要ですが、仮に季節性だとしても(中国人が多かろうが沖縄に感染は広がりませんでしたが、北海道に感染は広がりました。アメリカではNYが危険で、イタリアでは今のところ南部に広がっていません。中国でも北に広がりやすかった印象があります)(練習もままなりませんし、今夏では五輪を完全な形で迎えることはいずれにせよ難しかったでしょう。ヨーロッパは北にありますし、南半球の状況も見通せません)、再発の恐れがあるということになります。
 東京では今、危険な気配があります。新型コロナウイルスが大都市病だからでしょう(NYも同じです)。長期戦を前提で考える時、大都市での対策が鍵を握っているに違いありません。対策は一つに限りませんが、あらゆる対策を総動員し、新型コロナウイルス、あるいはインフルエンザもそうですが、その他感染症と戦っていく必要があると考えます。以下、思いつくままに羅列すると・・・

①立ち飲み屋のような密集飲食会話のような危険因子が多い業態を長期的に見直していく。具体的にはCDCのような専門的集団が、平常から厚労省の認可に関与して対策をとらせていく。換気が無ければアウトや密集度を減らす等の対策が考えられます。クルーズ船やジム、ライブハウスも同様ですし、屋形船も怪しいなら密閉度だけで測れない可能性も考えられます。飛沫感染が危ないのは無論ですが、政治家や(ハグや握手する)欧米人の感染ぶりから接触感染の注目が薄いような感じもあります。逆に言えば、同じ飲食でもレストランのような形態は比較的危険度が薄いように思えてなりません。いずれにせよ、プロ以外は業態に関する危険度の認識を忘れるのがゴールのように思います。少なくとも危険を認識している間は自粛が続くはずですから。皆をプロ化するという発想は経済面からは誤りだと考えます(例えば一般に手洗いやうがいが重要でないと言っているのではなく、危険なものが営業している訳がないというのがゴールだと指摘しており、疑うのはプロだけにしておかないと生活や経済が出来ないと指摘しています)。

②満員電車がどれだけ危険か分かりませんが、密集を避けるという意味でテレワーク/リモートワークを推進したり、フレックスタイムを推進すれば、仕事に関係する混雑はある程度解消できます。これは出産・子育てを考えると、女性活躍を高める副次的効果もあるかもしれません。そうだとすると、女性が出産子育てでキャリアの分断が避けられる効果が出れば、莫大な経済効果が見込めると考えます(転勤慣行と結婚でキャリアの分断という問題は依然として残りますが)。いずれにせよ、多様な働き方は経済的効果も高いと思われ、感染症対策にもなりそうです(大都市で特に必要だと言っているのであり、地方の工場でフレックスタイムにしろとかリモートワークだとか言っている訳ではありません)。女性枠が拡大すれば、必然的に男性枠が小さくはなるのですが、高い能力の女性を活用しないのは無駄が多いですし、きつい仕事という男性枠が人手不足で待っている面もあります(女性がきつい仕事をするのも歓迎されるべきですが、あくまで傾向の話をしています)。

③重症化しやすいリスクは遺伝子検査で判明する可能性はないでしょうか?日本の製薬業界は遺伝子治療の対応に遅れているようであり、またガラパゴスにならないか心配があります。これが判明すれば、重症化しやすい人が危険因子を避ける生活が出来、効率が良くなると考えられます。重症化しやすいリスクは傍目には分からない訳ですから(年齢は見れば分かるでしょうが、持病も重症化リスクにあって、風邪をひきやすい人なんかも重症化リスクがあると言います)。これは大都市とは直接的には関係ありませんが。

④経済対策は労働者に対しての保証が効果的とされます。収入減となれば、消費も減るからですが。企業も収入減になれば投資も減るでしょうが、休業・時短等の対策がありますし、節税対策も企業(や高所得者)の方が長けているでしょうし(個人事業主の収入の把握の問題はあって、現状一律しかないのかもしれません)、給与所得はゼロになるリスクも高く(会社も倒産が有り得ますが、数的な問題で失業の方が大きな問題なのは、倒産と失業は必ず連動しますが、失業は単独で成り立つことでも分かるはずです)、休業に伴う収入減は補足が容易です(一方企業は売り上げ高ではなく利益を見るべきと言う問題があって、調整のしようがあって、把握が難しい気がします)から、対策も実効的になりそうです。第一、新型コロナウイルスに関して労働者に対する補償はモラルハザードがほとんどないと思われますが、企業を何処までも補償すると新陳代謝を妨げる問題があります。その違いは一般に労働者の方が技術の蓄積型というところにありそうです。会社は畳んで違う業態での成功もありそうですが、労働者は畳んだ時点でゼロからスタートが基本ではないでしょうか?(人手不足業態でゼロからスタートという視点もありますが、若い内だけでしょう。いずれにせよ程度問題です)ジョブ型だと違う面もあるでしょうが、日本はジョブ型ではありません(いずれにせよ年功序列型はIT人材やエンゲイジメントを求める層の獲得に失敗しており、持続的な競争力がなさそうです。丁稚奉公型(優位性が無いとも思いませんが)と新型の優位性の比較ですが、丁稚奉公型はデフレ型・少子化型でもあって、現代において優位性があるようにも思われません)。丁稚奉公型が労働者の補償の発想に薄そうなことも容易に想像できます。大都市の消費は全体を支える面もあります(防疫との絡みはさておき)。

⑤大企業が効率がいいというのは、感染症で人を休ませられるか、リモートワーク/テレワークの導入のしやすさにも関わりますが、中小企業ほどマルチになるのは避けられず、専門が弱くなるとも考えられます(日本ではゼネラリストを育てている現状があって、この面ではそうではないかもしれません)。何にせよ小規模企業と大企業の待遇を比べる人もいないはずで、待遇の良さ悪さはデフレ社会の脱却にも密接に絡むと思われます。中小企業とひとくくりにするのもどうかで中堅企業と小企業を分けるべきだと主張するアナリストもいらっしゃるようですが、何も小企業を全否定している訳でもなく、業態によるところもあるでしょう。大企業で出来ることは大企業でやった方が効率が良いとも考えられ、アメリカやドイツが大企業型と言います。倒産の嵐を防ぐことは否定しませんし、町工場の技術はあるかもしれませんが、全体的には大企業の効率性を無視できるか疑問なしではありません。倒産しにくいなら、強いということではないですか。経済とは強いものが生き残るのが基本のような気もします(すべてがレッセフェールと主張している訳ではありません)。

景気対策としての減税考

2020-03-11 01:04:00 | 経済財政
 景気対策としての減税に麻生財相が触れましたけど、給与税減税に触れたアメリカ流のことであれば、日本としてはよく分からないというのが正直なところです。というのも日本の税で景気に明らかに直結しているのは消費税だということが分かっているからです。要は消費税減税が行われるのかどうかが気になっています。
 日本は少子高齢化対応で税収不足を理由に消費税を上げてきました(安倍政権において消費税が増税されたのは、野田政権(民主党政権)が増税を法的に決めたからであって、延期して先日の増税になりました。念のため)。消費税減税は税収減になるはずで、一時的な景気対策としてであれ消費税減税を言うのであれば、財源の問題は考えておくべきだろうと思います。何故なら一時的と言ってまた増税したらまた不景気に向かう力が働くので、デフレに打ち勝つためには恒久的減税としたいからです。結論としてはデフレ脱却と矛盾しない増税とは法人税増税で内部留保課税になるんじゃないかという気がします。企業に明らかに金余り現象があるように見え、投資や賃上げに向かって欲しいところですが、今のところデフレ脱却に打ち勝つパワーは生じていません(賃上げは重要であり、可能性はあると思いますが、ここでは触れません)。一方消費税は増税すると毎度不況になりますし、消費税税率が高いヨーロッパもアメリカに比べて勢いはありません。内部留保課税はアメリカでも行われていると言います。お金をただ眠らせるのは経済として問題があるのであって、これはアンチビジネスでもありません。
 政治では共産党の志位委員長が麻生財相の発言に賛成しました。これは恐らく代替財源まで読み切っているからではないかと思います(政府与党は消費税増税に絡んで少子高齢化と代替財源に必ず触れてきました)。日本においては共産党が企業の内部留保を声高に主張してきたはずです。しかし政策は野党が叫んだから、やるべき政策をやらないということではありません(与党が政府の主であって、反対であれ野党の言うことに反応して動くものではありません)。共産党が内部留保課税を発明したという訳でもないんでしょうから、パクリにもならないはずです。消費税減税を言う人は昔からいたのであり、れ新のような政党の発明でもありません。野党は何を言い出すか分からないところはありますが、話半分適当に受け流して、政府与党はやるべきことをやればいいだろうと思います。
 ただ麻生政権で重要閣僚だった増税派の故与謝野馨氏が「2009年3月に成立した税制改正法の付則104条に「消費税を含めた法制上の措置を2011年度までに講じる」としたという指摘はあるかもしれません。しかし2011年までにこれらの措置は講じられてはいないと思われ、民主党は(麻生政権が決めたからという理由付けは行わず)独自に消費税を上げる決定をしたものと理解しています。麻生財相の景気対策にかつて減税は無かったと思いますが、考え方が変わることもあるだろうと思います。筆者も少子高齢化で社会保障費が伸びるから税収確保が重要という考え方や減税は税収減で増税が税収増というこれまで述べてきた基本的スキームは些かも変わっていませんが、その内容は柔軟に検討してもいいのだろうと思います。またデフレ脱却は筆者も強く主張してきており、矛盾してないというだけではなく、積極的に主張する資格もあるだろうと思います。
 もう一つ消費税を地方税にするという考え方に関して言えば、そうはなっておらず結果的に良かったと考えています。政府がデフレ脱却を主導しても地方が従わないでは困りますから。消費税を地方税にしては代替財源を他に求めることが出来ません。また政治的にも二大政党制ではなく、現役首長が強すぎる日本政治では地方に大きな権限があれば上手くコントロールできる気もしません(野党的な政治家は現状で反対のための反対を断行する癖があるように思われ、大きな権限を持たせるとマイナスでしかないのは憲法改正が象徴していると思いますし、地方に野党系知事の弊害の例も散見されます)。