観測にまつわる問題

「資源エネルギー」「国防軍(20日まで)」「警察(16日まで)」「中国」「消費(年明け)」及び「その他過去のテーマ」

尖閣体当たり事件の教訓と今後(再び)

2010-11-20 12:21:36 | 政策関連メモ
名称

この度の尖閣近海における事件の名称を外務省は尖閣諸島周辺領海内における我が国巡視船と中国漁船との接触事案としている。この接触事案という言葉は議会のホームページを見ても使用されているので、公的に使われている言葉としていいだろう。何かの記事でも指摘されていたが、この名称は問題だと思う。あたかも偶然接触したかのような印象を与えるからだ。流出したビデオを見たところ、体当たりでも生ぬるいほとんど突撃というべき当て方があった。専門家の解説によると非常に危険な当て方だそうだ。海戦において、衝角をあてるという戦術がある。あれほほとんど戦争行為といっても過言ではないだろう。接触事案などと言って、誤魔化すことは適当ではあるまい。勿論的確な名称をつけたからといって、適切に行動できないとは思わない。

逮捕拘留

日本政府の一番最初の判断が間違っており、小泉政権で尖閣諸島に上陸した中国人を即時強制送還したように対処すべきだったという意見がある。私はそうは思わない。何が起こったか事件の映像を見てその思いは深くなった。ああいうことが起きていながら、何の処罰もせずに(しなかったが)中国となあなあやっていたら、尖閣は本当に盗られてしまうだろう。中国では沖縄が中国の領土とかいう論文が学者により中国の新聞(中国の言論統制は有名)に掲載されている。威嚇して「平和裏に」領土を奪えるなら、中国は迷い無くそうするだろう。中国には南シナ海においてミスチーフ礁西沙諸島を軍事占領した実績(後者は戦争を仕掛けて追い出した)すらあるのだ。のうのうと平和を言って何も起こらないなど平和主義者の妄想に過ぎない。中国に対し日本はやるべきことはやる姿勢は見せるべきであり、いざとなれば本当にやる腹も無くてはいけないのであって、そうでなくては国は守れない。今回のケースで早期送還することは、あそこまでやって何とも無いと思われることに直結するだろう。また、海保の士気の問題がある。あそこまでやられて(警察車両に横から突っ込むことに等しい)、はい無罪放免で仕事がやってられるだろうか?既に不法操業が絶えないようであるが、海保がきっちり仕事をしないことには、日本の国益は守れない。

釈放

今回の菅政権の対応は間違いだらけで酷いものだ。まず那覇地検の判断というのが大間違い。まず、こういう中国との争いに関係する大きな問題を一地方検事が判断すべきでない(法的判断だけでよく、外交安全保障の観点からの政府の指示はあって然るべき)。実は政府の判断という説もあるが、そうであるなら嘘を吐くべきではない。簡単に釈放した結果も大間違い。中国のありのままの姿を公開していたら、国際的な理解は得られただろう。アメリカの支持もあった。脅迫(以外の何ものでもない)に一々屈して外交は成り立たない。あの行為で釈放は有り得ないだろう。最終的に「寛大な処置」をとるとしても、まずは罪を明らかにしてからだ。客観的に罪を明らかにして日本が損するとは思えない。

情報非公開

実に馬鹿げている。明らかな被害の証拠があるのに、隠すとか。非公開は歴史の検証を封じるものでもある。

情報流出

罪は罪だろう。ただ、それ以上に日本にメリットをもたらしたことも間違いないと思う。日本政府の失敗をあからさまにしたのは民主的な国の一種の勝利だ。独裁国家ではこうはいくまい。隠されれば政府の行為を適切に評価できない。軍事機密じゃあるまいし、公判に出すような情報は大した機密でないから、公開のデメリットも組織論的にはともかく、外交的には大きくないだろう。船長釈放とのつりあいで逮捕されなかったということらしいし、公判で公開されるはずだった映像を機密扱いでなかった(隠すつもりだったなら機密にするしかない/そうすべきともそう出来るとも思わないが)ため他所(神戸)で見られて取得したということだから、大した罪にはならないと思える。納得しない連中は正義の問題も少しは考えてみるといい。あの船長が事実上無罪で、その実態を国民に伝えた海保職員が厳罰だろうか?実に馬鹿げているではないか。教訓は明らかにむこうが悪くて証拠があるならさっさと明らかにする(当たり前だ)、情報のコントロールをそれはそれでやる(他所の部署で見られないようにする/今回は怪我の功名だったが)。※この辺の経緯は読売に詳しい

石垣市

石垣市の上陸調査の議決は重要。前原外相はこれに否定的だが、この対応は問題。今回平和を破ったのは明らかに中国。実効支配する日本側の配慮は踏みにじられたと考えて良い。配慮する意味が無いということが明らかになってしまったということである。ならば、普通の領土として扱うしかあるまい。とりあえずは上陸調査をして(ヤギの駆除も必要)、日本の意志を行動で示すのがいいと思う。そして、駐兵に関してはカードとしてとっておくのがいいのではないか。ベストのタイミングはAPEC前の中国が騒いでいる時、ビデオ公開と同時に「日本側の配慮が踏みにじられた」と宣言してやることだっただろう。今からでも遅くはないとは思っている。

警備強化

漁船の取り締まりはやるべきだ。中国法でも大陸に漁業権はないだろうから、遠慮することはない。台湾に関しては領土に関して真摯に考えるなら(どう見ても中国台湾領の根拠は無い)、交渉してもいいとは思う。あくまでつっぱるなら、取り締まって良いというのが個人的な考えだ。

自衛隊

与那国に陸自を置くのはいい。後は尖閣が属する石垣市に海自、下地島に空自も置くべきだろう。丸腰では駄目だ。韓国のやり方がいいとは思わない(竹島は日本の領土)が、きちんと実効支配すれば、相手も迂闊なことをしづらいというのも事実。
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歴史と検証(ケーススタディ)

2010-11-20 12:02:32 | 日記
政府の選択によりその後の歴史は大きく変る。しかし当然やり直しはきかない。Aを選べばBを選んだ歴史は分からないのだ。見方がいろいろあっても、起こった事実はひとつしかない。世界は複雑で誰も確かなことは本当のところ分からない。結局のところ、特異な事件・重要だと思われる事件の検証は重要だ。ここをシッカリ検証して教訓を得、対策をたて為すべきことを為しておくことが欠かせない。尖閣諸島における民主党の対応を見ていると、政権維持に汲々としており、こうした視点が欠けているように思う。
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船長を逮捕した時の国交大臣は前原

2010-11-15 20:05:19 | 政局・政治情勢
馬渕大臣が何故か追及されているのは知っていたが、面倒臭い(少し書いたような気もするが彼を助けたいなんて思う強い動機が無い)ので放置していた。だがふと馬渕追及が如何に責任論として全く成り立たないか、書いてみようと思った次第。

まず船長を逮捕した時の国交大臣は前原(衝突は9月7日、9月17日まで国交大臣)。9月17日以降、国交大臣の馬渕大臣は肝心のところで責任をとるポジションにない。

ビデオ流出で責任論が云々されているが、大臣になったばかりで何もやっていない(彼に何が出来たと言うのか)上、流出させたとされている海保職員(証言が曖昧)は逮捕もされていない。

八ツ場も中止撤回とか言われているが、そんなことは一言も言ってない。その方が面白いから野党が事実上のとか言っているだけの話。仮に再検討して中止を撤回したとして、それが辞任の理由になるはずもない。そんなことを言うなら公約を修正した大臣は全部辞任ということになる。世論が納得すれば公約に拘らなくていいというのが、大方の日本の世論だ。いずれにせよ、まだろくに再検討すらしていないのに、何の責任があるというのか。

何故辞めろという話になっているのか、素直に考えれば全く意味不明ということである。要するに野党で何となく追及で一致できる(一致できなければ数的にねじれ国会を戦えない)スケープゴートが馬渕大臣である。情報流出とか船長逮捕(前任者だが)とかで海保(国交省)は野党が一致して叩きやすいのだ。野党の中には船長逮捕で拘留したことを疑問とし、即時強制送還した小泉のパターンを理想としているものが結構多いのである。情報流出は自分が与党なら歓迎できないに決まっているので、これも一致しやすい。

こういうくだらん政略ばかりだから、政治の信頼性が無くなるのである。
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TPP推進に基本、賛成

2010-11-14 14:43:06 | 政策関連メモ
自由貿易のメリット

輸出で稼ぐ日本にとっていい話。為替介入と違い、持続的かつ互いにメリットがある。TPPなど自由貿易を進めていかなければ、進めている例えば韓国に負ける可能性も出てくる。今の日本を維持発展させるためにはTPPは避けて通れない。

相互依存が進む

アメリカとは国防で既に依存している部分が大きい。改善はするべきだが、核を考えれば、当面抜本的な改革は不可能。日本経済にとってアメリカへの輸出は今でも大事だ。相互依存を進めるということは、アメリカにとっても日本がより重要になるという意味であり、悪くない話だ。オーストラリアの参加もいい。日本と補完しあえる国であるからだ。

農業の反対

既に平均関税は12%なのだそうだ。ゼロにすることに対応できないということはないだろう。今現在日本の農業輸出はとても少なく、イタリアやイギリスの農業輸出は案外盛んだ。だだっ広い土地が無くとも、日本の農業がやれないはずはない。

農業対策

所得保障は欧州もやっているとか。自由貿易と両立する。専業農家は守ればいい。他に食べるあてのある兼業農家の保護は難しい。



減反もあるように今現在生産過剰で、何らかの形で調整が避けられないことは誰の目にも明らか。ただ、稲作は日本有史以前からの日本文化中の日本文化であり(例えば宮中祭祀の新嘗祭、今は勤労感謝の日として祝日になっている)、田園風景を消すわけにはいかないという気持ちはある。日本人は温かいところ原産の米を北海道で栽培するに至るまで拘りぬいたのだ。TPPで稲作が必ずしも壊滅するとは思っていない。

食料自給率

食料自給率の数字にはいろいろ問題がある。いつか食糧の輸入が途絶えるような事態が来るのか知らないが、その時には当然農地を増やす。今から何時来るかも分からない食糧危機のため、膨大なコストをかけて数字を維持してどうする。食糧危機より現実的なのは資源エネルギー危機だが、その時には農機具が使えないため、いずれにせよ危機になる。腹を括って、その時はその時で農地を耕すより他は無い。今現在の食糧自給率の数字にさしたる意味はないのだ。本気で将来の心配をするなら、いくらでももっとマシな策がある。
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新たな、独創的で、型にはまらないアプローチ

2010-11-14 11:01:46 | 政策関連メモ
最近のロシアの北方領土に関する強硬な言動を見るにつけ、新たな、独創的で、型にはまらないアプローチとは何だったのか?という疑問が頭をよぎるわけだが、麻生政権の時に何かポシャってから、ずっとロシアは強硬だったので、今更意外性は感じない。多分これからもプーチン氏やメドベージェフ氏はずっとこんな感じなのだろう。

そこで、「新たな、独創的で、型にはまらないアプローチ」で北方領土返還を目指す策を考えてみた。それは千島列島(得撫島以北)との経済協力だ。ロシアは経済優先を言っているので、経済を優先しながら(ロシアの主張を受け入れながら)北方領土は日本の領土との日本の主張を明確に出来るという(ロシアがどんな反応をするか見え透いている気もするが)。

日本はサンフランシスコ講和条約で「千島列島・南樺太の権利、権原及び請求権の放棄」を公に宣言し(ロシアは結んでいない)、千島列島・南樺太は帰属未定としていることが引っかかるが、ユジノサハリンスク(南樺太)に総領事館を建ててしまっているので、もうこれに関してはつっぱる意味が無い。

ついでに北方領土が「南千島」(ロシアの言うクリール諸島)ではないのかという問題について、ここが核心なので再度フォローしておく。

①色丹・歯舞は地勢的に千島列島というより、北海道の属島であることは明白。日ソ共同宣言でロシアも認めたし、現政権(プーチン・メドベージェフ政権)でも有効としている。これまでの領土問題に関する両国の見解の摺り合わせをロシアが否定するのであれば、日本もこれまでの見解を破棄しても構わないと思う。ロシアは日ソ中立条約を破って攻めてきたが(ロシアは関東軍特別演習で日ソ中立条約が破られたとするが、演習では中立条約は破られないことは明白。そもそもソ連自身が演習で中立条約が破られたと当時主張していないのだから、要するに後付の言い訳に過ぎない)、当然応戦しても中立を破ることにはならないのと同じだ。

②国後・択捉は日露間で最初に日本と決めた日本固有の領土。南千島というが、サンフランシスコ講和条約にある千島列島には当たらない(千島列島ではあるが、ロシアは結んでいないから関係ないという論は間違い。ロシア以外の多くの国と請求権の放棄まで含めた条約を結んでいて現在でも有効だから、日本国として絶対に言えるはずがない)。これは分かりにくいところではあるが、利尻・奥尻・礼文が北海道の属島であるのと似たようなものだろう。距離的に近いのだ。固より日本の領土(日露和親条約)なのはロシアにも分かるだろうが、その後全千島が日本の領土となったので、話が分かりにくくなった。千島列島という括りを日本自身が必要としたのだ。さすがに全千島を北海道にするわけにもいかず、千島列島という括りが必要なら、南千島というカテゴリーが出来てしまう。樺太千島交換条約が無いと仮定すれば、幾分分かりやすくなるだろう。利尻や礼文が一々占領されなかったように、北海道の属島である北方領土は占領されなかったと考えていい。かつてロシアだったこともある千島列島(得撫島以北)と南樺太はソ連として「取り戻す」気だったのかもしれない。だが、北方領土はついでに占領されたというのが実態と言えるだろう。

日露は互いに補い合える部分も多く、日本としても協力できるなら協力するにこしたことは無い。ロシアだって中国の勢いに警戒するものはあるだろう。だが領土問題であまり強硬なことを言っていては駄目だ。ロシアは日本人漁師銃撃殺害事件もおこしている。サハリン2の認可取り消しもあった。こちらとしても警戒せざるを得ない事情がある。経済協力を全面的に進めるには、ロシアサイドのソフトで真摯なアプローチが必要だと思っている。強面で敬遠される国になるか、もっと柔軟に日本とつきあう意志を(再び)見せるかはロシア次第だろう。
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みんなの党を評価する

2010-11-07 22:29:07 | みんなでやろうぜ
当ブログの読者は筆者がみんなの党をあまり好きではないことは承知していると思うが、最近いいことを言っているので、そこは素直に評価しておきたい。

1)劉暁波氏釈放決議を目指す

そもそも他所の国のことではあるのだが、尖閣に関連して中国世論の滅茶苦茶さ加減を見るにつけ、言論の自由がない国は危ないなと素直に思う。また、ノーベル平和賞のタイミングも恐らく偶然ではないだろう。だとすれば、日本としても「援護射撃」を有難く受け取っておくべきであり、何らかの意思表示はしておいた方がいいように思う。

2)ビデオ流出

既に前の記事に書いた。ビデオ流出に過敏に反応すべきでない。そもそも公開すべきだったのだ。民主党は反省すべきであるし、野党は失策を追及するつもりだったのだろうが、民主党と同じ立場にたっていることに気づいた方がいい。
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尖閣諸島の問題で民主主義を見直す

2010-11-07 21:54:37 | 日記
個人的に何でも世論調査が正しいと思っていないが、国民の意志を汲み取るのが民主主義であることは疑いない(そしてそれを実行するのが国民に選ばれた政治家である)。簡単なことのようであるが、ビデオ公開を渋ったり、ビデオ流出に過剰反応したりする様子をみるにつけ、政治が国民と乖離しすぎているとつくづく思うのである。重大な理由があればともかく、そういう風には見えないのであり、少なくとも説得に失敗していることは間違いない。警備に及び腰なのも同じである(そうとしか見えない)。一々領有権問題は存在しないと訂正しつつ、ろくに対策していないのも同じであろう。問題が存在していないなら、何故事件がおきた。何故上陸できない。国民を馬鹿にしすぎである。どちらかというと、政府の方が馬鹿じゃないのか。
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尖閣体当たり事件の教訓と今後

2010-11-07 21:12:37 | 政策関連メモ
1)実効支配はきちんとしておかなければならない。領土問題は存在しないなどと言って、事勿れを貫くのではなく、中国が領有権を主張し行動している(南シナ海でも明らかだ)現実を直視し、有効な対策をたてておくということである。日本が竹島・北方領土の領有権を主張しても中々返ってこないのは何故だろう。実効支配の有無に違いない。

2)中国との対立を恐れてはならない。対立を恐れて譲れば領土を盗まれるだろうということが今回明白になった。中国世論には沖縄を自国領とするなど、領土に関する荒唐無稽な主張が無視できない勢力を保っている。日中友好は構わないが、領土に関して国際ルールを中国に守らせることは犠牲に出来ない。国際ルールを守らない危険な隣国の伸張は、日本の不利益に直結する。

3)石垣市との連携は重要だ。日本は先の大戦で沖縄を犠牲にしてしまった(沖縄上陸の前に降伏せず、本土上陸の前に降伏した)。元々沖縄は日本の中で独自性のある地域であり、沖縄が日本に対して不満を抱く構図が出来たのは無理が無い。(普天間のように一度容認した負担軽減策を引っくり返されるのは困るが)沖縄を見捨てないというメッセージを送ること自体、極めて需要と考える。

4)上陸調査・環境対策は重要。ヤギの食害は馬鹿にならない。固有の生態系が不可逆的に損なわれてしまう。ノンビリする時間はないと考えて良い。
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尖閣ビデオを公開すべき理由と情報流出

2010-11-07 15:38:55 | 政策関連メモ
尖閣ビデオを公開すべき理由

A多くの国民が望むから。

B中国の非を明らかにし、国際社会で有利な世論を形成するため。


Aに対する代表的な反論

→刑事訴訟法47条:公判の開廷前に書類は公にしてはいけない。

※船長は釈放され、中国に帰国した。当然不起訴となる見込みであり、公判は開廷されないので、情報は公開されない。

再反論

→同47条:公益の事由があればその限りではない。

要するに情報公開に公益の事由があるかないかが肝であるが、今回の事件は那覇地検が船長釈放の際「日中関係を考慮」としたように、外交安全保障に大きく関わる事件(中国は強硬に「報復」を示唆していた)であり、主権者たる国民が事件のビデオを見ることはそれ自体公益であると考えられる(9月30日衆院予算委員会にて菅首相はビデオ映像を見ていないと答弁しており、政権がビデオの重要性に気付いていないと考えれば、その後の展開はスムーズに理解できる)。一般には、重大な事件があれば通常その映像は公開されるのであって、寧ろ公開しないことに理由が必要だということを注意しなければならない。

※そもそも映像を撮ったのは海保である。刑事事件云々に関係なく、情報公開請求で開示は要求できるのではないかと思い調べてみた。海上保安庁における情報公開窓口等の案内を見てみよう。

7 開示・不開示の決定
 各省庁は、請求された文書を開示するかどうかの判断を原則30日以内に行い、請求者に文書で通知します。法により不開示とされているものは次のとおりです。
1)特定の個人を識別できるような個人情報
2)事業を営む個人、法人、団体に関する情報で公にすると財産権などを侵害するおそれのあるもの
3)公にすると外交や国防に不利益を生じさせるおそれのあるもの
4)公にすると公共の安全や秩序の維持に支障を及ぼすおそれのあるもの
5)国の機関や地方公共団体の情報で、公にすると意思決定などの中立性を損なうおそれのあるもの
6)国の機関や地方公共団体の情報で、公にすると事務や事業の遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの

以上案内よりコピペ(番号が記事にそのままコピーできないためその部分は改変)。以下、番号ごとにチェック。

1→少なくとも流出した映像では個人は判別できない
2→侵害されたのはこちら側なので、侵害するおそれはない
3→被害を明らかにして、外交や国防に不利益が出るとは考えられない
4→中国の言っているのは報復。こちらから手を出していないのだから、攻撃は無いだろう。勘違いに違いない。大丈夫だ。実際にビデオの公開はでは「事実の真相を変えられない」と言っているではないか。公開しようがしまいが、中国自身がどちらでも同じと表明しているのである。
6→流出したものを見る限り支障は無いだろう。ある部分を公開しなければいい。

4は勿論冗談である。やはり政治の判断で公開は決めなければいけないようだ。菅政権は釈放を地検の判断としたが、政治の判断でなければならないことを末端に押し付ける癖があるようなので、冗談のような理由でも通るかもしれないが。5は菅政権が公開しないとしている以上、海保の判断で公開は出来ないということになるだろう。どうやら情報公開請求の線でビデオ公開を要求するのは難しいようである。


Bに関しては、体当たりビデオ公開が日本に有利は明らかであると考える。

代表的反論「カードとして使う」

→再反論甲:使えていない。日本はずっと領有権に争いはないとしつつ、国民に上陸を認めていない。菅政権の一連の事勿れ主義から見て、カードとして使う気は無いと見ていいだろう。また、使う気があるとしても、中国自身がビデオの公開で「事実の真相を変えられない」としている。実効支配の強化を目的と考えれば(実効支配が弱いと見られたことで、中国の増長があったことは否めない。ならば、採るべき対策は実行支配の強化しかない)、ビデオの公開非公開が取引材料になるとは考えにくい。国際世論を日本に有利に導くことが、実効支配の強化に繋がるのであり、ビデオは速やかに公開すべきであった。

→再反論乙:カードとして使うと言っても、それは政府の言う日中友好と矛盾する。「カードとして使う」というのは枝野氏の発言に過ぎず、政府としてそういう行動をとるとは考えにくい。表で日中友好と言いいつつ、裏では「ビデオ公開するぞ」と脅すということになるが、幾らなんでもそんな友好は有り得まい。


以上ビデオを公開すべき理由をふまえてビデオ流出について考えてみると・・・。

某所にも書いたが、情報流出は良くないが、菅政権の方がもっと良くないということに尽きる。ビデオは元々速やかに公開すべきであった。犯人を捜して罰して見せたところで、情報公開すべきであったという意見が否定されることにはならない。寧ろ、犯人を罰することで菅政権が何か誤魔化すつもりであるならば、逆効果を覚悟しておいた方がいいだろう。元々世論は情報公開すべしであった。情報を隠した政権が情報を流したものを罰する姿が国民にどう映るか。鈍感内閣は気付かないのかもしれないが、どちらに共感するかは明白である。
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固有の領土と北方領土

2010-11-04 22:32:23 | 政策関連メモ
固有の領土という言葉がある。別に自分のところの領土なら、普通に領土と言えばいいはずだが、一体全体「固有の」とは何なのか。

この言葉は領有権に関して隣国と見解に相違がある領土で使われる言葉(北方領土・竹島・尖閣以外では使われない)なのは、領土問題に関心がある人間の間では常識レベルと思う。それではいわゆる「固有の領土」以外は固有ではないのかという疑問も当然湧いてくるのだが、そうではあるまい。ならば、固有の領土しかないにも関わらず、あえて「固有の」と言うことが奇異とされないのは、それが領土で争っている時にしか出ない言葉であるからに違いない。実態として領土紛争の時に持ち出す呪文のようなものなのだ。

そういうわけで、「竹島は韓国に不法占拠された日本の領土」「尖閣諸島は日本の領土」の方がよほどスッキリしていいと思うわけだが、北方領土は少し違う。何故か。

サンフランシスコ講和条約で日本は千島列島を請求権まで含めて放棄してしまっているのだ。当然北方領土が千島列島なら日本の言い分は何ら根拠が無いということになる。歯舞・色丹は根室半島の延長線上にあって、(日ソ共同宣言で)ソ連も千島列島ではないと事実上認めたのだが、不味いのは国後・択捉である。どう見ても千島列島の一部ではないのか。

ここで意味を持ってくるのが「固有の領土」論である。要するに国後・択捉は千島列島ではなく、北海道の属島なのだと言いたいわけだ。元々、日本とロシアが最初に条約を結んで決めた境が択捉と得撫の間なのである。南樺太も千島列島(国後・択捉は含まない)もロシアの領土だった時期があり、確かに放棄した。だが、国後・択捉はソ連が日ソ中立条約を破って(事実としてソ連は日独に挟撃されることはなかったにも関わらず、戦争末期大勢が決していた時期に参戦を決めた)侵攻してくるまで、ロシア/ソ連が支配したことはなく、固より日本の領土なのだということである。特に根室湾に浮かぶ国後島はどう見ても北海道の属島ではないのか。
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