隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0295.イントゥルーダー

2002年11月19日 | サスペンス
イントゥルーダー
読 了 日 2002/11/08
著  者 高嶋哲夫
出 版 社 講談社
形  態 単行本
ページ数 314
発 行 日 1981/09/10
書籍ID 0093-307943-2253

 

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イトルのイントゥルーダーとは、コンピュータに入り込んできたもの(クラッカーやハッカーも含めて)をそう呼ぶらしい。
第16回サントリーミステリー大賞受賞作だ。
著者の略歴を見て、いろいろな経歴を持った人が作家になるのだなと、ちょっと驚いた。慶應義塾大学大学院の博士課程を修了し、日本原子力研究所研究員を経た後、カリフォルニア大学に留学、原子力学会の技術賞を受賞していると言う。こういう人には、天は二物も三物も与えているのだ。凡人とは才能と努力の差か?

さて、ストーリーはA大学医学部付属病院の5階、Dゾーン集中治療室の場面から始まる。羽嶋浩司・東洋電子工業副社長、彼が物語の主人公で語り手でもある。
彼のところへ、25年前に一緒に暮らしたことのある女性・松永奈津子から午前1時にかかってきた電話は「あなたの息子が重体です」というものだった。駆けつけた病院では、交通事故による脳挫傷の手術が行われていた。4時間にわたる手術の後、手術は成功したが、予断を許さない状況だと、医師は言った。朝になって訪れた刑事の話ではひき逃げだと言う。
コンピュータソフト開発に絡む話で、羽嶋の知らないところで、彼の息子・松永慎司はコンピュータ会社に勤務するプログラマーとなっていた。そして、息子は父親を慕うメッセージを送り続けていたと言う、切ないエピソードもあり、羽嶋は息子と自分自身のために隠された陰謀と戦う。

大賞と読者賞をダブル受賞した本作は、こうしたストーリーを好きな僕にとって、非常に興味深く、程よくサスペンスも盛り込まれて、楽しく読んだ。

 

 

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