隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0864.鬼に捧げる夜想曲

2008年02月18日 | 本格
鬼に捧げる夜想曲
読 了 日 2003/09/19
著  者 神津慶次朗
出 版 社 東京創元社
形  態 単行本
ページ数 297
発 行 日 2004/10/25
I S B N 4-488-02380-0

 

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14回鮎川哲也書受賞作。この年は2作同時受賞ということになって、もう1作は前に読んだ岸田るり子氏による「密室の鎮魂歌(レクイエム)」(859.参照)だ。
昭和21年という年代や、孤島という舞台が、まるで横溝正史氏の「獄門島」(73.参照)を思わせるようだが、さらにそこに名探偵が出現するとなると、正にこれは古い探偵小説そのものだ。

昭和21年3月、乙文(おとふみ)明は九州大分の沖合いに浮かぶ満月島・別名鬼角(おにつの)島と呼ばれる孤島に向かった。島の二大網元の一つ・神坂家の長男・神坂将吾の祝言に列席するためだった。乙文明と、神坂将吾は戦友で、乙文は戦地で、神坂が故郷に思う人がいることを打ち明けられ、結婚式には必ず行くと約束していたのだ。
結婚式は滞りなく終わり、その夜は満月寺で執り行われる浄めの儀式のために新婚の二人は山頂の寺に向かう。ところがその真夜中に、寺の祈祷所で二人は刃物で腹部をめった刺しされて死亡するという残虐な事件が発生したのである。

神坂家と並ぶもう一方の網元・門谷家の存在や、排他的な村民、寺の住職、本土から捜査に来た警部補等々、個性的な人物を配し、物語は展開するのだが、僕の天邪鬼な面が顔を出して、もう一つ楽しめるところまでいかなかったのは何故だろう。
この著者が受賞時19歳だったとの先入観が逆に作用したのか?

 

 

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