映画は技術だということを再確認させる大人向けのアーティスティックな作品。
技術といっても、単に特撮というだけでなく、俳優の演じる技術、不快でありながら印象的な劇伴による巧みな演出など、同じような物を作れと言われてもまず作れないだろう。
スチームパンクとゴシックホラーが融合した、近未来的でありながら一昔前のヨーロッパを、記憶を失ったエマストーン演じる主人公が、彷徨いながら成長するロードムービーだが、観ている人間の頭を揺さぶりまくる。
劇中で主人公に翻弄されるキャラクターは、まさしく固定観念に囚われている観客のメタファーなのだろう。
常識破りの行動で周りを振ります主人公が、成長して学と良識のある人間になっていくのは、人が成長することで得るものと失うものを巧みに描いている。
とにかくすごい作品で、エマストーンという不出の女優がいなければ創れなかっただろう。