今回のコロナ禍でわかったことは、感染症の専門家と称する人たちは、目の前で起きている問題には対処するが、長期的視点はまったく持っていないということ。
そもそも、コロナを収束させるための戦略は次の2つしか無く、この相反するどちらかを決断しなければならない。
戦略1)行動制限を緩める、もしくは行わずに、集団免疫を獲得する。
戦略2)行動制限を徹底して感染を抑えつつ、ワクチンや特効薬ができるのを待つ。
今回の新型コロナで、中国が封じ込めに成功したと言っているのは嘘である。成功というのは行動制限を全て解除することであり、現在の中国は未だに行動制限を続けているのだから、未だ対策中である。そして、解除の目処は立っていない。つまり、中国は「戦略2」を選択して、鋭意実行中である。
結局、問題を難しくしているのは、「いつ、ワクチンや特効薬ができるかわからない」ということである。
もし、半年後にワクチンやクスリが出来た場合、「戦略2」をとった指導者は先見性があると称賛され、「戦略1」をとった指導者は無駄な被害を出したと非難され、政治生命は絶たれるかもしれない。
しかし、10年経っても出来ない場合、「戦略2」をとった国は滅びてしまい、「戦略1」をとった指導者が正しかったということに成る。
現在、殆どの国が、一年以内には、ワクチンや特効薬が出来るという前提で、都市封鎖や行動制限をしているが、希望的観測に頼るよりは、結果的に被害を出すことになっても、最悪の事態を考慮した「戦略1」を選択すべきだと個人的には思う。
現在、「戦略1」を明確に打ち出しているのは、スゥエーデンとドイツ、ブラジルだが、それに加えて、「戦略2」をやろうとしたが失敗して感染が蔓延し、結果的に「戦略1」とったことになる、アメリカ、イタリア、スペイン、フランスや途上国が結果的に早く収束するだろう。
そして、「戦略2」を打ち出して、かつ、医療制度が整っているが故に「戦略2」に成功した、台湾、韓国、日本、中国が、結果的には、いつまでも収束できずにズルズルと行動制限をし続けることになるのではないか。
つまり、トランプは無能故に成功するという皮肉な結果となり、今年の大統領選挙では、トランプ政権が勝利するかもしれない。
そして、問題は今度の冬である。今年は、武漢という一地域からの発生だったから、世界的に被害は小さかったが、今度は世界中で一気に蔓延する。
ワクチンや特効薬が今年の冬までにできれば、中国の感染症対策は大成功となり、無様なアメリカを一気に突き放して覇権国家への道を突っ走るだろう。ワクチンも外交上強力な武器となる。逆に、ワクチンや特効薬が出来なければ、未曾有の被害が出て共産党政権が支持を失い、一気に崩壊する可能性もある。