日本ファンタジーノベル大賞2019受賞作。
中国っぽい国の偽史書に書かれた、過去にあったかもしれない物語という、封神演義っぽいファンタジー。
時を超える感動の愛の物語という売り文句がついているが、これは読者をミスリードするマーケティングであり、本作は間違いなく、山田風太郎や荒山徹系のとんでも伝奇小説系統の作品である。
これらの作品を読んだことがなく、純粋ファンタジーファンが本作を読むと、中盤からの展開に度肝を抜かれること間違いないのだが、はたして本作をファンタジーというジャンルで売り出すのは、どうなのだろうか。
上記のような点で、本作がファンタジー大賞の受賞作として相応しいのかとか、本作のマーケティング手法にはケチをつけたくなるが、内容に関しては、間違いなくここ数年出版された小説の中でトップクラスの面白さであり、練りに練られた伏線と、巧みな言葉選び、中盤からの怒涛のストーリー展開には脱帽するしかない。
どれも同じようなラノベ作品や、深夜アニメに飽き飽きとしている人は、ぜひ本作を読んでもらいたい。
本作が作者の持っている作風で、これからも同様の系統の作品を書かれるのか、それともまっとうなファンタジーに回帰するのか、はたしてどちらか?