忍者ものの古典的名作のようだが、いかんせん、当時は面白かったのだろうが、面白くない。
信長の京入りから天正伊賀の乱までを、色々な忍者が活躍する群像劇として描いているのだが、芯になる物語がなく、話があっちこっちに飛んで、ただ時系列的にそって歴史上の出来事を並べているだけで、肝心の忍者がほとんど活躍しない。
忍者という存在が今ほど知られていない時代であったら、忍者の暮らしをリアルに描くというスタイルそのものが斬新だったのかもしれない。
 | 忍びの者〈1〉序の巻 (岩波現代文庫) 村山 知義 岩波書店 |
「ミセス・ハリス、パリへ行く」の原作小説。やはり、ギャリコはうまい。
昨今のリアリティが～、という風潮がいかに小説をつまらなくしていることか。
当然、こんなうまい話はないのだが、だからこそ読書の楽しみがあるしハリスおばさんのような人間性に心がほっとする。これが、リアリティ重視でひたすら不幸になる話だったら、気が滅入るばかりだろう。
映画とは結末が違うが、どちらもとてもよい物語の締めくくりだった。
 | ミセス・ハリス、パリへ行く (角川文庫) ポール・ギャリコ KADOKAWA |
誰もが知ってるが、ほとんどの人が原作を読んだことのない著名な作品の代表作。
遅ればせながら原作を読んでみて、三蔵法師がダメダメな人間だったり、悟空と他の弟子との圧倒的な能力差（八戒は食べてばっかり、沙悟浄が全く活躍しない）、三蔵一行を苦しめる妖怪たちの多くが元は天界の住人やペットだったりと新たな発見があった。
ドラマやアニメとは相当違うテイストで、逆にドラマは本当によくできていたなと思う。
 | 西遊記 1 (岩波文庫) 中野 美代子 岩波書店 |
