スケッチブック 〜写真で綴るスローライフな日々2

写真を撮りながら、日々の暮らしや旅先で感じたことを書いています。
2016年からは撮った写真をイラスト化しています。

スローミュージック SELECTION Vo.15

2006年05月19日 | スローミュージック
SATIE 3gymnopedies/PASCAL ROGE

エリック・サティのピアノ作品集を僕は随分聴き続けています。何を隠そう初めて買ったCDがこのLONDONの「3つのジムノペディ/サティ:ピアノ作品集」です。演奏はパスカル・ロジェ。当時はそれほどサティのCDは販売されていなくて、選ぶほどありませんでした。その時は同じフランス人の方がいいだろうぐらいの選択でした。結局僕はサティの演奏の基本はパスカル・ロジェになってしまい、他の演奏を聴く度にロジェより優しいタッチだな。とかロジェより繊細な響きだなとか比べてしまうことになりました。サティの標準になってしまっています。サティの曲はどこか廃退的で、本当はあるはずの音符がところどころ欠けていているような中途半端さや不確実性を感じます。ところが旋律は説得力があって、不思議と耳に入り易いものばかりでここが人気の秘密ではないでしょうか。ジムノペディ1番~3番は有名過ぎる曲ではありますが何度聴いても脳波が安定します。アバンギャルドと評されるサティの作品群ですが、曲のタイトルもぶっ飛んでいます。組曲「4つのしまりのない前奏曲(犬のための)」「蛮族サンブリ人の敗北(悪夢)」「ひからびた胎児」ナマコの胎児、甲殻類の胎児、柄眼類の胎児「官僚的なソナチネ」などなど。しまりのない・・はぶよぶよしたと訳されることもあります。どうです変てこりんでしょ?ナマコの胎児は更に(歯痛のうぐいすのように)という演奏指示までついています。中で一番のお気に入りは「お前が欲しい(je te veux あなたが欲しいの)」です。もしもピアノが弾けたら真っ先に奏でてみたい曲です。シャンソン編曲で女性歌手、男性歌手ともに歌バージョンも他にありますしオーケストラバージョンもあるのですが、どうしても僕はピアノソロが好きです。甘い歌詞に合わせたかのごとく揺れるようなリズムと情熱を表し駆け上がるメロディの組み合わせがサティらしくないところがあって愛嬌さえ溢れ出しています。もしも車の助手席に女の子を乗せてそっとこの曲をかけてみたら彼女はその意味に気付くでしょうか?

3つのジムノペディ/サティピアノ作品集

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6 コメント

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感じ方 (猫ママ)
2006-05-19 00:30:13
ある人から、このCDをプレゼントされました。クラシック、嫌いではないですが車のなかで聞いているとついウトウト。一度聞いただけで、しまい込んでいます。題名がなんとも、不気味。なぜ、こんなものをプレゼントされるのか?癒してほしいとの気遣いがあったようですが。耳にしたことのあるCMに使われている曲が収録されていましたね。無になって耳を傾ければいいのでしょうか?
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サティの聴き方 (signofthetimes)
2006-05-19 00:53:20
サティを聴くと眠くなるのは僕もよくわかります。サティはちょっと変わった人です。家具の音楽の提唱者ですが、これは現代のBGMの始まりと言われています。耳を傾けて聴いて欲しくない。知らん顔して聴いて欲しかったようですが、そんな風に受け止めてもらえなかったようです。彼の音楽はクラシックじゃないかも知れません。また「パラード」は脚本がコクトー、舞台美術をピカソが担当したバレエ曲ですが、ピストルの音、宝くじ回転抽選器、サイレン、タイプライター音などが挿入されていいて当時の観衆の度肝を抜き過ぎて悪評だったようです。サティブームが80年代にあってCM以外にもドラマにも頻繁に使われていました。お前が欲しい(je te veux)はいい曲ですよ。
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アドバイスありがとうございます (猫ママ)
2006-05-20 22:21:36
ひっぱりだして、聞いてみました。「おまえが欲しい」は、お天気のいい日に明るい光のテラスで、セレブなランチなんかをするときに、さりげなく流れていたりしたら~と思いました。題名とは、かけ離れてますけど…聞いているうちに、17曲目でやはり寝てしまいました。
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ブロガーとして感謝します (signofthetimes)
2006-05-21 21:10:10
猫ママさんありがとうございます。このblogのスローミュージックは僕が勝手に決めたCDをレビューするスタイルをとっていますが、中身は決して評論にならないように書いています。作り手がこんな風に制作しました。専門家がこんなところが評価できる。そういった内容を書いた媒体は数知れませんが、リスナーが「こう感じた。」「こんな風に聴こえた。」という媒体があってもいいのではないかと思って僕は書いています。癒されますとか、ヒーリング効果があるので皆さんもどうですかという指南をするつもりもありません。猫ママさんが感じたイメージを今度は僕が読むことができて、ブロガーとして大変嬉しく思っています。誰かが僕のblogを読んで、それがトリガーとなって行動を起こしてくれることの方がblogの面白さではないかと思うからです。これからもよろしくお願いします。

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私も始めて買ったCDがこのアルバムでした! (うめp)
2013-06-06 00:07:43
記事を拝見して思わずマジ!って叫んでしまいました。当時、って、27、8年前、CDプレイヤーも無いのにこのアルバム買ってしまったんです。バイト代貯めてプレイヤー買うまで、ただ眺めてましたw
そして、私のサティの基準もロジェです。
一番癖が無いと言われているチッコリーニを聞いてもなんか違うって思っちゃうんです。こういうところにコメントするのは始めてですが、あまりの奇遇さに書かずにいられませんでした。
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うめpさんへ (signofthetimes)
2013-06-06 20:55:52
コメントありがとございます。
CDプレイヤーもないのに購入されたなんて素敵なエピソードですね。

サティは著作権が切れた後に多くのアーティストがレコードを出しました。このアルバムは先駆的はリリースだったような気がします。

今でもCMで流れたりするのでみんな大好きな音楽なんでしょうね。

通りすがり(ネットで)の顔も知らないお方からコメントをいただくのも嬉しく感じます。

しかも今日は出張先の東京のホテルでこれを書いています。
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