遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

天路の旅人

2024年02月21日 16時54分16秒 | 読書

              天路の旅人      沢木耕太郎(著)2022年10月発行 

   最後の頁をめくり、本を閉じた時、自分も、長〜く果てしない旅を、ようやく

   終えたような感覚になりました。

   中学生の頃から(自分でもよくわからないのですが)、何故か、チベットの

   ラサに憧れのようなものを抱いていて、いつかラサに行ってみよう!と一人

   密かに目論んでいたこともあり、、、。

   中国との国交回復後、確か、中国から列車でラサに行くツアーが発売された時期が

   あり、チャンス到来と思い確認していると、間も無くその道も閉ざされてしまいました。

   そんな経緯もあり、戦争中に、日本人が単独で、中国奥地から徒歩でウイグルを抜け

   ヒマラヤ山脈を越えチベットのラサに辿りついた旅人の本が出たと知り、

   興味津々で手に取った次第。

   第二次大戦中、「西川一三」は満鉄に勤務、が、蒙古語などの勉強をすべく退職し

   興亜義塾に進学、終戦間際には外務省の密偵となり中国の奥地へ単独で潜入を図る。

   潜入後、西川氏は日本人であることを偽り、ラマ僧「ロブサン・サンボー」として

   旅を続け、終戦後までその名で人生を送っている。

   過酷な道中、自然の猛威や盗賊など困難辛苦の旅の中でも、触れ合う人の優しさや

   施しに助けられながら、強い体と心で乗り越えていく逞しい姿に感動。

   そして、どんな最下層の生活環境下でも勉強をあきらめない意志の強さ、尊敬です。

   国も人種も貧富にも関わりなく、どんな環境でも一人で生きていくことが可能な

   体力、知恵、心と生命力を備えていれば、地球上のどんな場所にも行け生きられる。

   こういう人がほんとの旅人なんだな〜、、、と感心してしまう。

   インドから日本に強制送還されなければ、あの後どこまで旅を続け、どんな人生を送って

   いたのだろう?

   中国〜ウイグル〜チベット〜インド〜ブータン〜ネパール、そこからビルマに向かおう

   としていた西川氏の想いは叶わなかった。

   日本に戻ってからの後半生は、縁のなかった岩手の地でひたすら働き続け、

   家族と静かに平凡に暮らした姿が描かれている。

   生き生きと旅に生きた「旅の達人」の全く違った姿を知ると、なんとも切なく、、、。

   とにかく、読み応え満点のノンフィクション。

     わがまま母

  — 新潮社 案内文 —

 第二次大戦末期、敵国の中国大陸の奥深くまで「密偵」として潜入した若者・西川一三。敗戦後もラマ僧に扮したまま、幾度も死線をさまよいながらも、未知なる世界への歩みを止められなかった。その果てしない旅と人生を、彼の著作と一年間の徹底的なインタビューをもとに描き出す。著者史上最長にして、新たな「旅文学」の金字塔。

 

— 以下  東京経済 オンライン より  —

第2次大戦末期、中国大陸の奥深くまで潜入した「密偵」

第二次大戦末期、当時の敵国・中国大陸の奥深くまで日本陸軍の「密偵」として潜入した、西川一三という日本人がいた。混乱の時代、中国大陸内奥の情勢を探るべしとの諜報活動を密やかに命ぜられて蒙古人のラマ僧になりすまし、駱駝を連れ、日本の勢力圏だった内蒙古からチベットへほとんど徒歩でたどりついた頃、日本は敗戦。西川はその後もインド、ブータン、ネパールと、8年に及ぶ果てしない旅を続けた日本の敗戦に深い喪失感を抱きながらも、「国家という後ろ盾がなくとも、ひとりの人間として存在していけるという確信が生まれ」たその矢先、西川はヒマラヤ山麓の町で逮捕され、GHQ占領下の日本へ送還される。帰国後は、敗戦によって情報価値がほぼ灰に帰した中、GHQに対して自らの旅を形式程度に報告し、自身の旅の記録として『秘境西域八年の潜行』を著す以外は縁もゆかりもない盛岡で商店主として勤勉に働き、2008年に没した。

作家・沢木耕太郎は「密偵や巡礼としての旅そのものより、日本に帰ってきてからの日々をも含めたその人生」に激しく共鳴し、すでに80代となっていた西川本人へ25年前に接触。1年にわたりインタビューを重ねるが、本人の確固たる著作があるという前提のうえに「どのように書けばいいかわからない」「西川を描く、その書き方が発見できな」い、との逡巡から、インタビューを中断したまま10年余が過ぎてしまったところで、西川の訃報を知って「約束を反故にしてしまった申し訳なさ」に打ちひしがれるのである。

  以下略

 

 

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