午後になって雨が降ってきました。
最近図書館で借りて読んでいた本のうち、一番良かった本を紹介します。
『はやぶさの大冒険』著:山根一眞 発行:マガジンハウス
昨年日本へ帰ってきて話題になった、
小惑星探査機『はやぶさ』。
その打ち上げから回収までを追った取材の記録です。
専門用語や仕組みを分かりやすく解説しながら、
実際の運用に関わった人々へ行った取材対話をはさみ、
時系列に沿ってはやぶさの旅を描いています。
しっかりと解説しながら事実を書いているにも関わらず、ちっとも単調ではなくて、
題名通りびっくりするほどハラハラドキドキの大冒険です。
登場するのは最先端の技術者や研究者たちとその成果なのですが、
ネーミングセンスや人々の行動に溢れる情熱やちょっとした遊び心が垣間見えます。
技術や理論を持ってそれを社会的に意味のあることに運用しながら、
ロマンや夢、遊び心を忘れないって素敵だなぁと思いました。
そういえば宇宙での接触をランデブーというのも大概ロマンチックな言い方ですよね。
この『大冒険』の後半は何度も困難に見舞われながらもギリギリの対応で乗り越えていく技術者たちとそれに応えるかのように蘇るはやぶさの姿に、
思わず胸が熱くなります。
まるで小説みたいな感動でしたが、
これが事実なのですから素晴らしい。
我々が生きるこの世界も、人類も、
まだまだ捨てたものではないなと思います。
節電で明かりの少ないこの夏、
早めに消灯して星を眺めながら、
はやぶさと技術者たちの長い旅や、
遙かに続いてきた宇宙や人類の営みに思いを馳せるのも一興ではないでしょうか。
(子)