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どうすれば戦争をしないで済むか。

2015-08-03 04:55:32 | Peace Cafe

 

日本には日本国憲法の考え方を示す、前文がある。日本が70年前に戦争を行い、敗戦をして、戦争を深く反省し、平和国家として生まれ変わることを世界に宣言し、誓った文章である。この憲法の理念を基盤に、戦後70年の平和国家としての歩みは評価されていいと思う。この70年の歩みは、日本国を挙げて戦争に進み、そして敗北した大きな反省に基づくものである。この憲法はアメリカの良質な平和主義と、日本自身の戦争に至った軍国的要素への反省の、合作なのだろう。世界にまれにみる平和主義という、人類の永続を願う理想主義憲法である。この憲法の存在のおかげで、日本は70年直接的な戦闘に巻き込まれなくて済んだ。これだけはゆるぎない事実だ。未来志向の政治を行うなら、この憲法を高く掲げて、前文にある理想主義的な方角を示すほかない。世界情勢が70年の間に変わったとするならば、その変化を考え、どうすれば新しい時代の戦争をしないで済むか深く考えなければならない。

自民党は憲法を変えたいという明確な方向を一貫して持つ政党である。そのためにあらゆる政策を進めてきたし、また進めようとしている。それほどにこの憲法を嫌う政党なのだ。その第一の理由は憲法の内容以上に、戦争に負けた屈辱の感情を持ち続けているからだ。しかもその屈辱的に、敗れたアメリカににすがる以外に、日本の外交はなかったという現実ではなかろうか。原爆を持たない。あるいは持てない国としては、独立的な外交の道はなかったという悲哀のようなものにさいなまれている。武力意外に信じられないものには、その最大の軍事力である原爆保有に希望がない以上、常に矛盾の中にいるほかなかった。アメリカに従い、軍事同盟を強化する以外に、安全保障など考えられなかったということだろう。敗戦からの70年を考えてみれば、アメリカとともに作った憲法を盾にして、アメリカのいいなりにならなかったということではなかろうか。そうでなければ、ベトナム戦争でも、イラク戦争でも、本格参戦していたことだろう。

そうした70年を屈辱と感じる人たちにとっては、原爆を作り、アメリカから独立したい。このもやもやが考えが、発想の根に存在する。田母神氏のような人以外は、言いたくてもそのことは口にしないでいるにすぎない。それができない現実がある以上、より強くアメリカとの軍事同盟を結ぶ以外に安心が出来ないという心理に落ち込んでゆく。この自己矛盾が戦後70年の歴史である。安倍氏のいう未来志向が、積極的平和主義とやらに変貌し、結局のところアメリカのいいなりに、徐々に軍事強化をしてきた外、道を見出せないという70年の歴史である。それでも、アメリカの押し付けた憲法があったおかげで、あんたが言ったのだろうということで、直接的な戦争に駆り出されずに済んだという幸運な結果だ。しかし、アメリカの対抗する国は、ソビエトから、イスラム過激派に変わった。国家というよりテロ集団がアメリカの脅威になった。世界情勢が変わった一番は中国ではなく、イスラム過激集団のテロリズムである。

中国は確かに覇権主義であるが、直接的な軍事展開を日本国民に向けて、行うことはすでに大国同士の戦争が、破滅に向かう以上考えにくい。しかし、政府は中国を仮想敵国として、何かと刺激して、できれば離島の一つも取ってもらって、日本人を変えることができないかとまで考えている。そうすれば日本人の甘い国際感覚が変わるという想定である。しかし、その可能性は極めて低い。そんなバカなことを考える前に、どうすれば中国との友好関係を高めることが出来るかを、真剣に模索することが、日本の平和の方角である。憲法改定のために中国を悪者に仕立て上げようという目的は、冷戦時代の仮想敵国ソビエトの事例と同じである。現実の今ある世界の危機はテロリズムの危機である。今は、自爆テロのような方法が採られているが、次に起こるテロは、生物化学兵器によるものではないかと想像している。同時にサイバー攻撃と言われるもので、現代社会の弱点が突かれるということのほうが、現実の危機ではなかろうか。

ドローンのようなもので、炭素菌や、サリンが撒き散らされるようなことが起こるかもしれない。つまり、テロ攻撃を防ぐことは、兵器の変化で、年々難しくなっている。中国が日本に侵攻するというような直接的戦争は、極めて起こりにくくなっている。それは原爆の抑止力としての存在が大きい。70年の世界情勢変化である。一方で、局地戦や、テロ的な攻撃は、きりなく続いている。そしてこれからの戦争の主たるものと考えなければならない。イスラム過激派に日本人が捕らえられ、日本という国自体が脅されるというような危機は、今も続いているし、アメリカとの軍事同盟が強化されるほどに、日本はテロ対象として浮かび上がり、いつか新幹線が自爆テロに遭うとか、妙なウイルスがまき散らされるかもしれないと。あるいはサイバー攻撃で企業や政府が大打撃を受ける可能性。そうした対策に乗り出すほうが、憲法の解釈の変更前の、現実である。日本がそうした攻撃対象にならないためには、日本国憲法に立ち返るということ以外にない。

 

憲法前文

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。日本国憲法前文

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9 コメント

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中国・・・ (大塚光一)
2015-08-04 22:08:42
>この憲法のおかげで、日本は70年間直接的な戦闘に巻き込まれなくて済んだ。

そうかもしれませんが、日本の平和が保たれたのは日米安保、と強力な自衛隊のおかげだと思います。
憲法やそれに基づく自衛隊法の欠陥により、横田めぐみさんをはじめ多のく拉致被害者の人たちが北朝鮮により、竹島周辺で漁業をする人たちも韓国により、生命を奪われ人権が守られなかったことも事実です。
自衛隊に今のような足かせがなかったら、これらの犠牲者はもっと少なかっただろうと言われます。

>憲法を盾にして、アメリカのいいなりにならなかったということではないだろうか。そうでなければ、ベトナム戦争でも、イラク戦争でも本格参戦していたことだろう。

今般の安保法制でいえば、この二つに本格参戦することにはならないでしょう。あくまでも日本の存立危機事態とは言えないからです。しかし、ブッシュの終結宣言の後にイラクに派遣をしました。
また、湾岸戦争では、日本は135億ドルの支援をしましたが、クウェートには、感謝されませんでした。諸外国も、金だけで汗を流さない日本を批判しました。このことは笹村さんが推進しようと主張される平和活動の限界の一端を示しています。


>中国は確かに覇権主義であるが、直接的な軍事展開を日本国民に向けて、行うことはすでに大国同士の戦争が、破滅に向かう以上考えにくい。
>中国が日本に侵攻するというような直接的戦争は、極めて起こりにくくなっている。それは原爆の抑止力としての存在が大きい。

本当にこのようにお考えなのですか?それでしたら、防衛力を増強することや、安保法制により自衛隊の頸枷をはずし、自衛権を十分行使できるようにする方が、戦争抑止になるということではないのでしょうか。
核保有国が日本のために核兵器を使用してくれるとは限りません。中国の核による報復を恐れて、自国以外のためには核兵器だけは使用しないだろうと言うのが一般的な見方です。
中国の武力行使を想定外にすべきではありません。

>憲法改定のために中国を悪者に仕立てようという・・・。

今、まともな日本人で、中国を悪者と思わない人はいません。世界の人々もです。
笹村さんは、中国の南シナ海、東シナ海での蛮行を見て見ぬふりをされるのでしょうか?チベットやウイグルでの人権弾圧、政治弾圧、宗教弾圧はご存じないのでしょうか?
そもそも、チベットやウイグルは中国に侵略されたのです。


>日本国憲法に立ち返る以外ない。

非武装、中立、無抵抗ですか?それではチベットやウイグルの二の舞です。
南シナ海は、アメリカ軍がフィリピンから撤退した直後から中国が侵略し始めました。日本もいくら平和活動をしても、そんなこと無視して、中国の国益第一で侵略されるでしょう。
中国の行使をされていた方よると中国の特徴としては次の5つだと言っています。
1 世界は自分を中心に回っている。
2 家族・部族以外の他人は信用しない。
3 誇りが高くメンツがつぶれることを何よりも恐れる。
4 外国からの援助は感謝すべきものではなく、させてやるものだと考える。
5 都合が悪くなると自分はさておき、他人に責任転嫁する。
このような国に対して、平和活動することにどれだけの意味があるでしょうか?

中国やテロ組織を批判しないで中立を維持するということは、中国やテロ組織を支持するということになり、
中国と仲良くするということは、中国と対立する多くの国を敵に回すことを意味します。
中国にもテロ組織にも軍事的に備えることが大切です。
五時、脱磁 (改憲論者)
2015-08-04 22:30:49
この憲法前文は、米憲法、リンカーンの演説、マッカーサーノート、1943年の米英ソの首脳によるテヘラン宣言、大西洋憲章、米独立宣言を切り貼りし、GHQが1週間で作ったものと言われています。
英和辞典を片手に作ったへたくそな英文和訳という感じを否めません。

文章的におかしいところがいくつかあります。

まず、中段の「日本国民は・・・」で始まる文章ですが、主語の「日本国民は」に対する述語はどれでしょうか。

「恒久平和を念願し」はこの述語になるでしょうか。
私は述語にならないと思います。
これはそのあとの「崇高な理想」の内容を説明していると思います。
ですから、これでは文章として拙く、読む人が誤解してしまいます。


「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して・・・」については、石原慎太郎氏が「に」ではない「を」の間違いだと盛んに主張されています。

次の「われらは」の述語はどれですか?
「平和を維持し」はこの述語でしょうか。
違うと思います。
この言葉の主語は、意味的に「国際社会」が平和を維持しようとしているということです。一読ではそれはわかりません。

「政治道徳の法則」という言葉がありますが、これだけで多くの国民はこの法則の内容がわかるのでしょうか。
私はこの言葉の前に「この」という単語を入れるべきだと思います。それならわかります。
つまり脱字です。

そのほか、「協和」の使い方、「全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保」の直訳的な表現、日本語として不自然な代名詞の多用、あまりに長くつなげすぎた文章など、憲法の前文としてどうかと思います。
私は日本国民として恥ずかしいです。誤字、脱字だけでも修正してほしいと思います。

それとも私の読解力の問題でしょうか?それならいいのですが。
少しの反論 (笹村 出)
2015-08-05 05:13:02
国家の危機管理ということでは、
世界情勢は変化しています。

生物化学兵器テロ。
自爆テロ。
サイバー攻撃。
こうしたものにどのように対応してゆくかが、
これからの国防の現実だろうと思います。

日本国憲法が、日本を攻撃的でない国にしていたために、
日本はテロ攻撃を受けにくい国にしていた。
しかし、日本もテロ攻撃を受けるようになってきている。

中国の直接的軍事的攻撃より、テロ攻撃という形の攻撃にのほうが、リスクが高い。

テロ攻撃のリスクをいかに削減するかが、
これからの日本の安全保障の中心にすべきだ。

アメリカとの積極的な軍事同盟強化の方向に、一辺倒な姿勢は、日本をテロ対象にして危機を高めている。

日本国憲法に立ち戻り、平和国家になるということのほうが、テロを遠ざける政策だと考えます。

誤字脱字をあげつらう人はよくいます。
どうでもいいとは言いませんが、くだらない議論の立て方です。

この憲法の精神を読み取れないとしたら、
書かれているとおり、日本国民としての、国語力が低いのでしょう。
たぶんそういう人に限って、明治憲法は読めるのでしょう。
Unknown (木下大秀)
2015-08-06 00:17:36
そろそろ日本で、在日韓国・朝鮮人に全面的に参政権を認める時期に来ていると思います。
在日同胞は優秀な人が多いので、日本の政治は、今よりも上手く行くはずです。

そして、在日韓国人の総理大臣を誕生させ、在日政権を作る。その時に、やっと韓国と親密な同盟国となり得ると思います。

日本の安全保障のためには、韓国大統領に日本の統帥権を与え、自衛隊を韓国軍に組み入れれば、韓国軍は強く優秀なので、強固な東アジアの安定を実現するはずです。完璧な集団安全保障体制ができます。その時、やっと我が同胞は日帝36年間の屈辱を忘れることができます。在日政権を樹立することこそ、我が同胞の真の栄光をもたらします。

そして、日本人の多くが、在日韓国・朝鮮人から、優れた韓国朝鮮の文化や精神を学び、身に付け、日本文化の劣った点を捨て去れば、日本社会はずっと発展したものになるはずです。

民族というもの (笹村 出)
2015-08-06 05:15:53
日本人は縄文時代よりこの列島に暮らして、
日本文化というものを作り出したものです。
確かに朝鮮の影響や、中国の影響は大きなものがありました。
明治以降の西欧の影響も甚大なものがあります。
そして戦後のアメリカの影響。

それでも日本人が日本人でいるのは、
日本の水土に生きている人がまだいるからだと思っています。
ここが危うくなってきている。

暮らす場所に根差して生きる。
その中から、日本の進むべき方角を見つけることです。
外に依存してもダメです。それはアメリカでも、朝鮮でも同じことです。
Unknown (改憲論者)
2015-08-06 20:47:27
木下さん(朴さん?)への回答レスは完璧だと思います。立派です。

しかし、憲法前文の誤字脱字については、違憲合憲を議論するなら、日本語としてのきちんとした読解ができるような整理が必要だと思います。
日本語として読めるか。 (笹村 出)
2015-08-07 04:19:55
私には日本国憲法の意味は十分に理解ができる。
特に、その方角や、希望は、強く伝わってきます。
一種の詩のようなものです。
そこが大切なところです。

人に言葉で何かを伝えるということは、極めて難しいことです。
国内でもテロ行為は頻繁に発生 (みかん農家)
2015-08-14 20:09:16
>日本はテロ攻撃を受けにくい国にしていた。

笹村出様は、なぜ嘘をおっしゃるのですか?
日本国内でのテロは、繰り返し行われています。最近もありました。

2000年7月3日、横田基地への飛翔弾発射事件(革命的労働者協会(解放派))

2001年8月7日 新しい歴史教科書をつくる会事務所放火事件(革命的労働者協会(解放派))

2004年11月7日、朝霞駐屯地への飛翔弾発射事件(革命的労働者協会(解放派))

2007年2月12日、キャンプ座間への飛翔弾発射事件(革命的労働者協会(解放派))

2008年11月2日、横須賀基地への飛翔弾発射事件(革命的労働者協会(解放派))

2010年8月7日、大宮駐屯地への飛翔弾発射事件(革命的労働者協会(解放派))

2013年11月28日、横田基地への迫撃弾発射事件

2015年4月28日、キャンプ座間への飛翔弾発射事件
(革命軍)

2002年10月 - 2003年11月、建国義勇軍関連事件

2002年10月25日、衆議院議員石井紘基刺殺事件

2006年7月21日、日本経済新聞東京本社に対する火炎瓶投擲事件(昭和天皇に関するいわゆる「富田メモ」記事に憤激した元右翼団体構成員平岡元秀による)

2006年8月15日、加藤紘一宅放火事件(大日本同胞社を名乗る単独犯)

2007年7月25日、防衛省火炎瓶投擲事件(統一戦線義勇軍当時構成員山口祐二郎による。)

2008年10月13日、徳島市内連続爆破事件(「民族義勇軍 山雄」を自称する単独犯)
嘘とは心外です。 (笹村 出)
2015-08-15 05:52:20
嘘とは、失礼なことです。
コメントから、一部を抜き出して、こういう陰険なことを書くひとがいます。
消してもいい事例かと思いますが、
あえてこういうたちの悪人の事例として、残して意見を書きます。

どうしてこういう人間が後を絶たないのだろう。情けないことです。
まさかミカン農家にこんな人がいるはずもない。ミカン農家さんに失礼なことだ。

嘘というのは、テロが過去なかったと書いたという場合です。

日本国憲法と、戦後70年の日本の政治の方角が、テロを受けにくい国にしていた。
それでも、さまざまなテロは起こりました。
左翼テロも、右翼テロも、宗教テロも、北朝鮮の拉致もテロ攻撃でしょう。

安保法案が通れば、アメリカと同類とみなされ、イスラムからのテロ攻撃が起こる可能性が高まるに違いありません。

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