日本の財政は過去最悪になっている。財政健全化の展望は繰返し先延ばしされ、健全化の展望が無くなっている。いつ日本国の財政が破綻しても仕方が無い状況である。信じがたいほどの借金をしている。2020年度末で過去最大の1216兆4634億円に達し、その対GDP(国内総生産)比は230%を超えている。 こんな国は他には無い。
国の財政破綻に対して国民がどうすると言うことも出来ないわけだから、起きたときにどうするかの方を考えておかなければならない。台風や大地震が来たときどうするかと同じで、いざというときに備えて、準備して、備えておかなければいけない。いわば災害対策のようなものだ。何を持ち出し袋に入れておくかのようなものだ。
国債の金利が下がり始めるときが日本の破綻の始まりになると思っている。その時に行動開始である。日本銀行が「異次元金融緩和」を8年以上も継続して財務省が紙幣を刷りまくり、大量発行する国債。そして、その国債を日銀が民間金融機関から買い取って自ら貯め込み、“禁じ手”とされている中央銀行が通貨を発行して国債を直接引き受けることを続けている。 まともなやり方とはとうてい思えない。
いつか国債の金利が下がり始めて当然だろう。それが崩壊の予兆になる。日本の国債はほとんどが日本人が購入しているから、外国資本の引き上げが始まると言うことでも無いのだろう。お金の使い道が無いから、結局の所借りる人が居ない。せいぜい株式投資などに使うばかりだ。これでは前向きな生産性のある設備投資では無いから、国が借金生活を続けているだけになる。
世界全体の傾向として、富裕層がより肥大化してゆくことと、貧困層の存在が増え続けて、階層の二極化が年々極端化してきている。その原因は税制が富裕層有利になっていることにある。解決のためには資産税を作る必要があるのだろう。しかし、税制は貧困層を追い詰めるものになっている。
これ以上格差が進めば、安定した社会は考えられなくなる。国の経済の上昇が大きいときには、比較してみれば貧困層であるとしても生活の向上の恩恵を受けることが出来る。しかし、経済が日本のように停滞気味になれば、貧困層の困窮は目に余るところまで進んでしまう。
そうした貧困層の増大と深刻化が進む中で、一部の富裕層に富が偏在させられている。その原因は国際競争力という考え方にあると思われる。国際競争力のある人には、能力を生かすために有利な税制を作り、大いに世界での競争に勝利してもらおうという考え方なのだろう。
こうした能力主義的な考え方が、原発事故で日本が困難に立ち至って以来顕著になり、貧困層自体が発言力を持てない事になった。労働組合自体が労働者の権利というより、自らの権利に手いっぱいになり、非正規労働者の権利は無視されている。特に小さな自営農業者など完全に無視されているようなものだ。
こうした2極化した社会は不安定化してゆく。オウムが登場したときのように、反社会的な思想が広く共感を生む可能性が出てきている。極右勢力の登場や社会混乱のためのフェークニュースの蔓延。人種差別の深刻化などが起こりうる。
自給農業をやるべきだと主張してきた。「国際競争力という農業政策を変えて、まず国の安全保障は食糧自給だ」長年の主張が、ますます空しい気分になっている。食糧不足が迫る中、社会不安が増してくるだろう。
政府に期待するのではなく、それぞれの方法で自給生活に入るほかないのではないかと、思えてきている。これが私の考える緊急対策である。政府の国際競争力のある農業というのは主食作物はもう止めて、17品目の推奨作物に切り替えるという事である。まさに、経済の考え方が、綱渡り的で日本国を危うくすることとしか思えない。
農業分野の中であまりにかけ離れた考え方になってしまったため、政府に政策に期待することはなくなっている。実際の農業従事者が非正規の雇用労働者になり、海外からの移民労働者になれば良いというのが、政府の考え方なのだ。それの方が国際競争力が生まれ、経済合理性があるという考えに基づいている。
プランテーション農業の労働者の移動方式の出現である。農業を担う企業は潤うかもしれないが、そこに暮らす住民は食糧危機に陥るような農業である。食糧危機が雇用が、その機会を利用して利益を上げればより有利であるというのが政府と、農業企業の考え方である。
経済が下降気味で、競争から後れを取り始めている日本としては、能力を資本のある企業に集中して競争に負けまいと焦っている状態である。しかし、そのことがプランテーション農業化がますます進んでいるだけで、そう遠くないうちに日本に海外からの労働者は来なくなるだろう。
農業企業は労働者の存在する国に生産場所を変えてゆくことになる。企業が第一にしているのは利益の追求である。ベトナムでお米を作り、日本に輸出する方が有利だという事になるのだろう。こうしてさらに日本の衰退化が進む事になる。
現状ではお米の輸入は出来ない。しかし、加工されたコンビニのパックご飯の製造がベトナム製造になる日は来るのかもしれない。日本の食糧の安全保障が、崩される方向に進んでいるのが日本の農業の現状ではないだろうか。
日本の危うい方角を変更できるとすれば、税金の集め方を変えることだろう。日本の農地を守るための税制を考える。農地を国有地にして行くのはどうだろうか。農地を相続税の物納の対象にする。それは耕作放棄地対策にも成る。国有の内を希望者に無料で使って貰う。
優良農地の中に存在する耕作放棄地をしらべると、非農業者が持っているという場合がよくある。相続でそうなったばあいや、仮登記の形で実際の所有権が移っている場合などがある。仮登記での所有権の移動は、一般に一〇年すれば時効で、権利が消滅している。地上げで買われた農地が仮登記されそのまま整理されていない場合である。
国が財政破綻したときには自給的農業をしていることが一番の対策になる。主食生産手段を自分で持っていれば、何とかしのげるはずだ。それには先ずは稲作技術を身につけることだ。自給的稲作兼業農家である。兼業農家であれば緊急時に一番強い。
まずイネ作りの技術を身につけることだ。しかも、その農業は手作業だけでも可能な農業である。化石燃料など使わない、自給農業技術を身につけることだ。これが日本の財政崩壊したときの対策である。
一日一時間食糧自給のために働く。これで自分が食べるものは確保できる。それは70歳を超えた私でも可能な労働である。このままでは日本は危ういと感じる人は是非自給農業に挑戦して貰いたい。それは避難のように見えるが、実は本当に生きるという場所に進んで行くことでもある。