怠慢主婦 ドイツで同居 

日本食を食べなくなり義両親のしもべと化し、すでに何年になるだろう。遠い目しながら今日も行き抜いてやるぞっ

演奏会のお手伝い

2013年04月22日 | 近隣の人たち
ウィーン留学中の台湾人男性のピアノコンサートを手伝うことになった私。
荷物運びや食事の用意(おにぎりをスタッフの人数分作れ、という指令だった!)などの下働きで、報酬はコンサート無料・交通費負担というほとんど奉仕活動。
家の中に閉じこもりがちになる私にはいい経験かな。

  
この台湾人男性は台湾先住民族で、一般の台湾人とは違った文化背景を持っているのだそう。
また台湾の先住民族は音楽や舞踏などの芸能方面に優れているのだとか。
台湾人歌手、張 恵妹(チャン・ホェイメイ)も先住民族出身だ。抜群の歌唱力の彼女を日本のどのくらいの人がご存知かしら?

 この歌、大好き

ミュンヘンのきちんとしたコンサートホールでの演奏の翌日は、ウチの街の公民館が会場だった。

  
↑左、怖ろしく古いアップライトピアノで連打が続く曲をほぼきちんと弾きこなしていた。
↑右、コンサート終了後に行ったレストランでも彼は「弾かされて」いた・・・
同行した台湾人女性たちは彼の母親くらいの年齢ばかりだったせいなのだろうか、歌謡曲の伴奏をさせ、自分たちが歌って踊って騒いでいた~日本人の感覚だと若くてもいくらなんでもお客様、タダでカラオケ代用演奏させるなんて~、と仰天しまくりの私。
  
私はこのピアニストがどんな性格なのか不安だった。ここのところ「のだめカンタービレ」を熟読している私だ。音楽家の多くがこの漫画の登場人物のようにそれぞれ超個性的だと怯えていた。松田幸久(のだめカンタービレ14巻三分の一くらいのところで登場)みたいな男だったら扱いにくいだろうなぁって、余計な心配をしたものだ。
1990年生まれの23歳。接してみて安心。まるでオーボエの黒木くんじゃあないか!かなり古い作品で例えると「オルフェウスの窓」のイザークかな。
チケットを売る机を整えている私に向かって話しかけて来た。
「りすさん、この歌知っていますか?」(名前を呼ばれたのがえらくドキッとした)彼が弾き語りしたのは日本のテレビドラマの主題歌だった。
「私は日本のテレビ番組が大好きでした。日本が支配している時代には親族が日本人と結婚していました」
と、他の多くの台湾人同様、日本に対する親近感や憧れをとうとうと語ってくれた。
  
ウィーンで学んでいるのはクラシック音楽だろうが、彼のコンサートの多くは民族音楽をテーマにした台湾人作曲家の作品を演奏している。
この「原住民」という表現が日本語母語の私には違和感があるのだが、台湾、あるいは中国語では普通の様子。


去年11月ウィーンでのコンサートの録画。衣装はおじいさんが使っていたという民族衣装。

「ブログ記事にしていいですか?」と恐る恐る尋ねると、「ああ、どうぞ、盛大に宣伝してください」と快諾してくれた。
名前は日本語で表現すると「フアン カン」というのが近いだろうか。もっともこれは中国語風の名前らしく、彼の母語の名前では「テームー」と言うらしく、台湾人おばさんたちは何やら納得していた。(この部分、中国語会話だったので聞き取り不能、雰囲気で私は理解)

「学生を終えたらどうするのですか」という私の質問に彼は「まだわかりません」との答え。
音楽で身を立てるのが難しいことを周囲の人たちが彼に口にすることはあまりないだろう。とてもいい性格の彼、今後の人生を苦労することなくやっていって欲しいと、願うばかりだ。
別れ際に「日本人に手伝ってもらってとても嬉しいです」と感動の一言が。性格がよければ人生上手く行くわけじゃあないけど、少なくとも「上手くいってほしいな」と周囲に思わせる才能がどうにか働いてくれると思う私。

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セデック・バレを観てみたい私。台湾事情に日に日に詳しくなる私??