社民党 京都府連合 野崎靖仁 副主席語録
社会民主党 中央規律委員 野崎靖仁、55歳。
日々の思いを綴ります。
 



黒田基樹『今川氏親と伊勢宗瑞』(平凡社)を読む。



『北条氏康の妻 瑞渓院』(平凡社)の姉妹編的なものです。



駿河一国の太守から駿河・遠江・東三河を支配するに至った今川氏親。
一代で伊豆・相模・南武蔵を支配するに至った伊勢宗瑞。

この二人の生涯を綴っています。

室町幕府の官僚だった伊勢盛時。

姉の北川殿が嫁いだ今川家の当主・義忠が戦死すると、
伊豆の堀越公方・足利政知と扇谷上杉家の家宰・太田道灌の介入により、
今川一門の今川(小鹿)範満が家督を継ぎ、北川殿と嫡子竜王丸は京都に隠棲する。

北川殿は将軍義政に龍王丸を駿河守護と認めさせ、駿河に弟盛時を派遣。

足利政知は太田道灌の謀殺後、扇谷上杉家と対立。
扇谷上杉家の味方である範満を排除しようと考える。

盛時は足利政知の支援の下、反範満派を糾合して範満を倒し、
竜王丸を守護の座に就ける。

盛時は堀越公方の奉公衆として伊豆に領地を与えられていたらしく、
幕府の奉公衆と堀越公方の奉公衆を兼ねることで、
庇護者である足利将軍家や堀越公方とのパイプ役を果たしていたようです。

政知は次男清晃を将軍の座に就け、
清晃の同母弟潤童子を堀越公方しようと画策するも、病死。

政知の長男茶々丸は潤童子とその母を殺害して堀越公方となり、
政知派と目される今川家や盛時と対立を深めていく。

京都から駿河に下向した盛時は竜王丸の名代として伊豆へ侵攻。
茶々丸を滅ぼして伊豆を領国化します。

盛時は出家して宗瑞と号し、伊豆、相模へと領国を拡大しつつ、
今川家の一門衆として遠江、三河への侵攻に参加します。

織田信長と徳川家康のように、それぞれが東西へ勢力を広げます。

今川家は東海道を西へ勢力を伸ばし、伊勢家は関東の名門北条氏を名乗り、
東へ勢力を伸ばして関東管領上杉家との抗争に突入します。

北川殿は息子と弟が戦国大名となるのを見届け、
宗瑞や氏親よりも長く生きてこの世を去りました。

司馬遼太郎の『箱根の坂』では宗瑞よりも先に死んでいるのですが、
史実通りに北川殿目線で見ると、
今川家と北条家の興隆を描く別のドラマになるでしょう。

氏親の娘が宗瑞の孫・北条氏康の妻となる瑞渓院。
瑞渓院は北条氏の滅亡を前に亡くなります。

北川殿と瑞渓院という二人の女性の生涯で、
後北条氏の興亡を描くことができるので、
そういう歴史小説の登場を期待します。

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