読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『身体のいいなり』

2012年01月14日 | 評論
内澤旬子『身体のいいなり』(朝日新聞出版、2010年)

身体のいいなり
内澤 旬子
朝日新聞出版
アレルギー(アトピー性皮膚炎や喘息)とか低体温症とか腰痛持ちとか、別に自業自得的なことをしたわけでもないのに、子どもの頃からつらい毎日を過ごさねばならない、一種の持病のようなものをもった人は結構いる。みんながみんな健康優良児ばかりではない。

とくにアレルギーは最近の病気だから、私が子どもの頃には認知されていなくて、当然本人もアレルギーなんて知らないから、一人で悶々としていたなんて人も結構いるだろう。たとえば、私なんかも、この人も書いているような、唇の不調を子どもの頃からずっともっていた。私の場合は唇の潤いがなくなって皮がむけて、最後に切れていた。どうしていいのか分からないので、メンソレータムを塗ってみたり、名前は忘れたが、家にあった白いクリームを塗ってみたりしたが、あまり効果がなくて、ついには逆に歯ブラシで擦って余計ひどくしてみたこともあった。これがアトピー性皮膚炎の一種だろうとわかりだしたのは、大人になってからだったような気がする。

中学時代からはフケがひどくなり、家で机に向かって勉強している間に知らず知らずに掻くので、机の上にいっぱいたまり、それを下敷きで集めて、山のようにして遊んでいた。フケは今でもひどい。電車の中で読書用のメガネに付け替えるとき両耳のあたりからはらりーとフケが落ちてくる。周りの人には見えているかも。50歳を過ぎた最近になって、シャンプーが良くないと思いあたり、今はシャンプーをまったく使わないが、それでもフケは治らない。

結婚してから、鼻炎になるようになった。寒くなる11月くらいから鼻汁が出始め、鼻が詰まって、酷い時には、夜中に口で息をするために喉が乾いて呼吸できなくなり、それで目が覚めることもあった。耳鼻科へ行って薬を処方してもらっていたがだんだん効かなくなる。これはジョギングをして、鼻の粘膜を強くすることで治った。

同じ頃に、お尻がお猿のお尻みたいに真っ赤っかだった。ちょっとしたおできみたいなものをかきむしったのがキッカケで炎症を起こし、痒いから掻く、掻くと炎症が広がる、の繰り返しで、掻かなければひどくならないことは分かっているのだが、あまりの痒さに我慢できなくなっていた。パンツの上から掻くので、パンツのお尻の部分がよく破れるようになった。数年は続いただろうか。このままではいかんと思い、我慢に我慢を重ねて、やっと治った。その頃息子もアトピー性皮膚炎で抗アレルギー薬やらステロイドの薬をもらっていたので、それを失敬してつけると良くなっていたから、アレルギー性であることは間違いない。

30代半ばから咳が出ると、止まらなくなった。咳を出す箇所がだんだん下の方に、つまり気管支の方へ降りていくのが自分でも分かる。そのうち、食べ物がある箇所にあたっただけで、気管支が収縮して呼吸できなくなるという恐ろしい症状が起きるようになり、大きな病院の咽喉科で内視鏡で見てもらったが、とくに異常はないと言われた。しかしどう考えてもアレルギー性の喘息の一歩手前のような気がする。母親が喘息持だから、そうに違いないと思っている。以前は、近所の医者でいつも吸入と飲み薬ですぐに治してくれる人がいたのだが、この先生が廃業してしまったので、今は冬になったら喉を冷やさないように昼間も寝ている間もマフラーをしている。ちょっと咳が出そうになったら、のど飴をなめて、喉を潤すことにしている。ジョギングをするようになってから、ほとんど風邪をひかなくなったので、風邪から喉をやられることもほとんどない。

50数年の体験から思う。私程度のアレルギーの場合、アレルギーそのものは治らない。炎症が出る箇所があちこち変わる。唇に出て唇が切れるときもあれば、頭に出てフケが酷いときもあれば、鼻に出て鼻炎になっている時期もあれば、お尻に出てお猿のお尻になっていた時期もある。でも気管支のような、致命的な箇所に炎症が出なければいいのだ。気管支に炎症が出て喘息のようになるよりも、鼻炎になって夜中に息ができなくなるよりも、フケが酷いほうがいい、お猿のお尻のほうがいい。

人間、自分の身体をよく知って、なだめすかしつつ、生きていくしかないということだね。ヨガで体調がよくなったというこの著者の話も興味惹かれるな。私は身体が硬いから、腰痛防止のためにもやってみようかな。



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