読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

自民党の議員連が図書館行政にいちゃもん

2023年08月28日 | 日々の雑感
自民党の議員連が図書館行政にいちゃもん

今日の新聞によると自民党の議員たちが、本屋の売上が落ちるから、図書館で人気本を購入するなと文句を言っているらしい。

ふざけんな、と言いたい。国民の税金でパリ観光をしたり、ただで新幹線乗ったり、何もせんでも何百万いや一千万以上の国民の税金を手にしている特権階級の自民党の議員どもが、底辺層の国民のせめてもの救いの砦である図書館の本の購入に口出しするなど、ふざけんな。

今でさえ図書館の人気本の予約は何十人、何百人という順番待ちをしなくてはいけない。なんでみんな買わないのか、だって?そりゃお金がないからだろうが。

お前たち自民党が国民から消費税じゃ、何やら税じゃというて、収入を搾り取っているから、本を買うのにまわすお金なんかない。だから図書館で借りるしかない。図書館で借りる人は、何十人・何百人という順番待ちを覚悟で借りているや。金があれば、自分で買ってるわ。

「自民党のバカ議員ども」と言うのは、自分らのしていることがどういう結果を招くかなんにもわかってないから、そう言うるんや。こいつらの言い分が通って図書館が人気本を購入しなくなっても、本屋の売上が伸びることはまずない。そのぶん、ネットでの購入が増えるだけ。本屋もいろんな努力をしてはるけど、ネットでポチるだけで無料で配達してくれるのに、なんで本屋まで電車に乗っていかなあかんね。電車代、お前らが出してくれるんか?

ここまで書いて、まるでネトウヨみたいやなと、我ながら、驚いている。いま予約している本に「ネトウヨになった父」とかいうような本があるけど、ほんと、自民党政治が悪事をすればするほど、年寄は腹が立って、この怒りのもっていきように困って、ネトウヨ化するのではないか。関西で自民党を潰して拡大している維新に人気があるのは、たぶんこういう心理がもとにあるんやろうな。


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『音楽小説名作集』

2023年08月27日 | 作家ア行
五木寛之『音楽小説名作集』(東京書籍、2023年)

いろんなジャンルの名作を集めたシリーズもので、音楽小説が集めてあるというので借りてみた。『さらばモスクワ愚連隊』、『海を見ていたジョニー』、『老兵たちの合唱』、『われはうたへど』、『帝国陸軍喇叭集』、『暗いはしけ』が収録されている。

五木寛之といえば、私には映画になった大竹しのぶの「シンシュケしゃん」で有名な『青春の門』の原作者で、ほとんど歯磨きをしないだの、髪の毛を洗わないだのという逸話(嘘か真か知らんけど)の小説家で、さすがに『さらばモスクワ愚連隊」だけはタイトルだけでも知っていたので、一度は読んでみたいなと思っていた。

音楽関係とくにジャズの仕事をしていたというのはまったく知らなかったが、なんか『かもめのジョナサン』という翻訳本の大ヒットといい、『青春の門』の映画化といい、なんかもう流行作家の象徴みたいなものという世間的な見方が邪魔して、あまり作品の世界に入っていけない。

もちろん巻末にある対談でも話していたが、「十年後には忘れられているような小説」を書きたいというのが五木寛之の考えであったという。つまりそれだけ時代に棹さした、時代の刻印を受けた作品を書きたいということなのだろう。

もちろん作品が時代を超えた価値を持つということはある。古典と言われるような作品がそうだが、そういう作品であっても、書かれた時代に作品を置き直して読み返すことが重要ということは、研究の分野であっても、しょっちゅう言われることだ。

ましてや「十年後には忘れられているような小説」というのなら、そういう読み方が必須なはずで、おそらく『さらばモスクワ愚連隊』だって、これが書かれた冷戦時代の米ソや日ソの状況に置き直して読まなければ、この作品の価値は浮かび上がってこないだろう。

私がこれらの作品にあまり感慨を抱かないのもそういうことが原因なのかもしれない。それに短編というはとくにそうした時代の刻印を受けているにもかかわらず、長編と違って、作品にしっかりと書き込まれるということがない、ごくわずかの言葉や言い回しにそれが刻まれているので、読み手にもそうとうの知識が必要とされる。

まぁそういうわけで、名前だけは知っているが、読んだことがないという「名作」を読んでみたという感想である。

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『自称詞<僕>の歴史』

2023年08月24日 | 評論
友田健太郎『自称詞<僕>の歴史』(河出新書、2023年)

こんな興味深いテーマの研究が今までなかったことが驚きだ。日本語で自分を呼ぶ言葉である自称詞のなかでとくに<僕>という言葉に焦点を当ててその歴史を辿った本である。面白い!

すでに『古事記』や『日本書紀』にも<僕>が使われているというのは驚きだ。

そしていったん途切れて、江戸時代の元禄年間になって<僕>が再び使われ始めたという。

そして幕末から武士のなかでも学問をしていた下級武士のあいだで「対等な関係」と示すものとして<僕>が使われるようになり、それが明治時代初期には学者、知識人、学生、文化人のあいだでエリート意識の反映として<僕><君>になったという。

明治時代でも中頃から終わり頃には、学問をしている自分を示すためには<僕>、しかし社会に出たら<私>と年齢や身分によって使い分けていたというから、ほとんど昭和時代の使い方と同じではないかと思った。

現代では、子どもの頃には<僕>か<おれ>、大人になると<僕><おれ><私>を公私の行き来とともに使い分けるという感じだろう。それはそれで割りと理解しやすい。

問題は、二人称だ。日本語では一人称と二人称の境界が曖昧だと、どこかに書いてあったが、そのとおりで、とくに二人称は使いにくい。

<あなた>…妻が夫をよぶのに使う以外に使うことがあるだろうか?
<君>…これを使うとちょっと他人行儀の感じになる。例えば部下が失敗をしたとき、「君な、こんなこともできないのか?」とか、初めてのデートで「君ってさ、映画は何が好き?」とか。
<お前>…いろんなシチュエーションがあるが、やはり上から目線になる?子ども同士ならちょっと乱暴だけど、気のおけない関係で。

ああ、面倒だ!とにかく二人称は使いにくいから、たいてい相手を名前や所属や地位で呼ぶのが一番無難ということになる。「部長って、子どもさんいらっしゃいますか?」

そして関西限定で究極の二人称が「自分」だ。私が学生の頃に流行っていて、初めて「自分はどこの出身?」と言われたときには、少々まごついたが、この「自分」が私(つまり二人称)のことを指していると理解できるから、日本語ってすごいなと思う。さすがに「自分」以外の「自称詞」は通用しない。さすがに「私はどこの出身?」とか「俺はどこの出身?」とは言わないのに、「自分」は「君」の意味で通用するのだから、不思議だ。

学生同士でたぶん初対面か二回目くらいの相手に「君」や「あなた」や「お前」は変だからということで、使われ始めたということだろうが。

この本の第1章では、いい歳をしたスポーツ選手なんかが<僕>を使いだして、<僕>のもつ意味合いが微妙に変化しているということが書いてあるが、私が学生の頃からそうだったが、<僕>なんて使う男は世間知らずという伴示的意味が付くと思っているので、もう私らには使えないな。

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『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』

2023年08月12日 | 評論
宮崎伸治『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』(フォレスト出版、2020年)

『派遣添乗員へとへと日記』だの、『交通誘導員ヨレヨレ日記』だの、そのイラストとともに、たぶん大好評を博していると思われる、シリーズ本の一つだが、交通誘導員とか派遣添乗員とかメーター検針員とかなら想像がつくが、まさか「出版翻訳家」が?というのが世間一般の気持ちではないだろうか。もちろん私もそうだ。図書館の返却コーナーにあったので、すぐに手に取ってすぐに読んだ。

翻訳者といえば、もうエリートというイメージが強い。誰でもなれるものではない。たんに留学したとかいうだけでなく、外国語を日本語に置き換えるのは、外国語の知識だけでなく、日本語能力も優れていないとだめだ。この本でも「こなれた日本語に訳されている」という表現がでてくるが、どうしても直訳っぽい訳になるものだ。だいたい日本語では主語、人称代名詞など、人称に関係する名詞、形容詞、関係代名詞などがないので、それを使わずに、訳さなければならない。

それに場合によっては専門用語も調べなければならないだろう。この専門用語というやつが曲者で、普通の顔をしていても、専門用語として使われるとまったく違う顔つきになるやつもいるからだ。

そしてこの本でも最大の落とし穴が「締切」。いついつに出したいので、いついつまで(あと1ヶ月で、2ヶ月で)訳してほしいという出版者の無茶振り。これが翻訳ではなくて、通常の著作だとどうなのだろうか?よく「あとがき」などで、著者が「編集者の◯◯さんには1月と言っておきながら、まるまる2年も原稿の提出を先延ばししてしまったことをお詫びしなければならない」などと書いているいるのをしばしば目にするが、どうやら「出版翻訳」の場合にはこんなことはありえないようだ。で、問題は、そこにはない。そうやって血眼になって翻訳を完了させて期日までに提出したのに、結局出版は(出版者の都合で)半年も1年も先になってしまうとか、出版しないことになるとか、があるということだ。

この著者の場合は、出版しなかったために、出版社と訴訟になり、勝訴しはしたが、メンタルをやられて、この業界から離れることになったというのだから、驚きだ。

たぶん翻訳書がミリオンセラーになったりすれば一生楽していける印税が入るのだろうが、そんなことはめったにないし、まぁ宝くじにあたるようなものなので、一生に何度もあることでもない。つまり普通の出版翻訳家は、それだけでは生活していけないというのがこの著者の結論だ。

だから翻訳収入は臨時収入と思って、いちおうそれだけでも生活していけるような仕事を持っていなければならないというのだが、そんな職業はまぁないだろう。

日本は世界でも有数の翻訳大国で、とくにヨーロッパの諸言語とちがって、まったく言語体系が違う言語の翻訳が多いので、翻訳者の存在は非常に大きいにもかかわらず、このように虐げられているとは思いもしなかった。

だがよく考えてみると、これと同じ構図が日本のあちこちに見えてくる。その一番いい例は、世界的なアニメ文化も、使い捨てのイラストレーターによる下請けによって支えられている。宮崎駿を夢見て、手塚治虫を夢見て、この産業に参入してきたが、使い捨てにされた漫画家志望の若者がどれだけいたことだろう。

大学(高校・中学、小学校)の使い捨て非常勤講師、理研(大学研究室)の使い捨て研究員、マイナンバーカードの使い捨て作業員、自動車産業の使い捨ての自動車組み立て工員などなど、これまで栄光の◯◯と言われていた日本の産業や文化を支えていたこうした使い捨てにされていた人々が、こんな虐げには耐えられないと反逆して、どんどん離れてしまえば、もう日本の産業や文化は終わりだ。戦後復興期の集団就職の中卒者たちと同じで、いつまでも「金の卵」があると思うなよ。

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韓国での世界ジャンボリーが残念なことに

2023年08月10日 | 日々の雑感
韓国での世界ジャンボリーが残念なことに

いま韓国でボーイスカウトやガールスカウトによる世界ジャンボリーが行なわれている。8月1日から12日まで。会場は全羅北道の海岸の干潟を埋め立てた土地だという。ニュースなどで報道されているのは、灼熱の気温、溢れかえるゴミ箱、汚れたトイレ、虫だらけの会場など。おまけに台風6号が来るので、全員避難ということになって、いくつかの箇所に分散して、最終日まで活動を行うという。

この記事を読みながら、私も高校一年生(1971年)のときに富士山の麓の朝霧高原で開催された世界ジャンボリーに参加したのを思い出した。実質的には中学で終わっていたのだが、世界ジャンボリーに参加するなんてことはめったにないことだから行かないかと誘われて、参加したのだ。たぶん当時はまだあった夜行の「出雲」にのって行った。

いったい何をしに行ったのかはっきりしないが、テントをはって、そこで生活しながら、いろんな行事に参加した。食が変わるとよく下痢をするのだが、やはり下痢をしたのを思い出す。トイレはもちろん仮設だが、うーん?とくに不潔だったという印象はない。外国人のボーイスカウトとの交流で、アメリカのスカウトと服を交換してずっとアメリカの服を来ていたのははっきりと覚えている。

おそらく時期的には韓国の場合と同じで8月の初めから中旬にかけてだったと思う。高原だったので、それほど暑くはなかったが、台風に襲われたのは同じで、私たちの年も途中でそれぞれの施設に避難した。

記憶に残っているのは、帰りに同じく富士駅から「出雲」に乗って帰る前に、駅前の食堂でお茶漬けを食べたこと、なぜかしらはっきりと覚えている。

日本での開催だったから、それほど大した印象に残っていないが、これが外国開催に参加したというのなら話は別だろうな。しかし外国開催だったら、日本からいったい何人参加できるのかね?

それだけではなく、127億円相当のウォンを使ってこんな状態になったことでも韓国ジャーナリストは非難の声を高めているらしい。それに日本のオリンピックのときのような、事業の中抜きとか観光旅行のような視察旅行とかで湯水のごとくに金を使って利益を得たやつがいるらしい。そもそもいったいどこがこれだけの資金を提供しているのだろう?え?教育省?


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『香月泰男』

2023年08月08日 | 評論
安井雄一郎『香月泰男』(東京美術、2017年)

「何でも鑑定団」で紹介されていて初めて知った画家の一人がこの香月泰男という人。シベリア送りになって1年半を過ごしたあと、帰国して、シベリアで死んだ人々の怨念のようなものを描く画家として強い印象を私のなかに残した。

この本は副題に「シベリア・シリーズを読み解く」とあるので、香月泰男の画業はシリーズ・シリーズだけではないようだが、シベリア・シリーズがあまりに強烈だったので、この本を手に取った。

ところが残念なことに、「何でも鑑定団」を観た時のような強烈な印象が今回は感じられないのはなぜなのだろうか?鑑定団のときの紹介映像や解説があまりに上手だったせいだろうか?香月泰男の画業はシベリア・シリーズだけではないのに、こればかり見たせいだろうか?それともA4版の本の片面だけの写真では、そのリアルさが伝わってこないのだろうか?

いくら解説によって習作との関係や香月泰男の精神状態をしることができても、絵そのものが発する強烈な印象はもう感じられない。

しかし私はもともとあまり絵に感動するたちではないのだが、「鑑定団」を見ているうちに、絵の良さが感じられるようになってきて、最近では各地の美術館を温泉とセットで回るのもいいなと思い始めている。

このシベリア・シリーズはすべて山口県立美術館が所蔵しているらしいが、全部を常設展示しているわけではないとのことだ。企画展でもなければ、全部を一気に見ることはできない。その他、香月泰男の個人美術館が山口県長門市三隅町にあるという。まぁ香月泰男を見るならこの二つが必須のようだ。

10年くらい前に山口に行ったのにな。県立美術館の向こうにある瑠璃光寺にも行ったから、もっと早くに知っていたら、中原中也記念館の他にも見るべきところがあったのにな。今度は山口市と長門市の両方に行けばいいんだ。温泉はどこがいいのかな。楽しみが増えた。

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『未完の天才 南方熊楠』

2023年08月06日 | 評論
志村真幸『未完の天才 南方熊楠』(講談社現代新書、2023年)

南方熊楠という凄い人が日本人にいたということを知ったのはいつ頃だろうか?この本を見ると1971年から75年にかけて『南方熊楠全集』全12巻が平凡社から出版されているから、かなり前から知られていたのだろうが、私が南方熊楠を知ったのはわりと最近のことだ。

生まれは1767年で、68年の夏目漱石とほぼ同い年だし、共立学校とか東京大学予備門とかにいたのもほぼ同じ時期(そのことも簡単に書かれている)だし、アメリカ滞在ののちに、ロンドンに8年間滞在した時期も、夏目漱石が政府の給費留学生としてロンドンにいた1901年から2年と重なっている。

だが、漱石が南方熊楠という人のことに触れたという話は聴いたことがないし、その逆もまたしかりだ。漱石も人付き合いが苦手で、もっぱらシェイクスピア研究者のスコットランド人に家庭教師をしてもらっていた以外は大学には通っていないかったというが、大英図書館にはあまり行かなかったのだろうか?

まぁそういうことはどうでもいいが、この本の一番の主張は、膨大なインプットに比べてアウトプットが少なすぎるという話である。一冊も完成した著書がないという。しかし天才的な人にそういう事例がたまにあるのも事実だ。例えば、構造言語学の祖とされるフェルディナン・ド・ソシュールもそういう人だ。構造主義の祖と言われながらも、著書は一冊もない。彼の講義ノート(生徒が書いたもの)がまとめられて、弟子が勝手に作ったものが流布したために、構造主義そのものの理解に誤解がつきまとったという曰く付きのものである。

インプットの膨大さということでいえば、南方熊楠の場合には抜粋や写しが大量に残されていることからそれが言えるのだが、少し前に亡くなった立花隆だってインプットに比べたらそのアウトプットはわずかなものだろう。こういう私だって相当のインプットはあるが、記憶力が悪いので、、同じ本を二度もインプットしようとして、あれこれ読んだことあるぞと気がつくなんて場合もあるのだ。

問題はそこからどのようなアウトプットをするかで、ソシュールの場合には、ものの見方を変えるような視点を提示するような話を学生たちにしたからこそ、後世にまで残ることになったのが、そういう意味で言ったら、南方熊楠にはそういうものはあるのだろうか?夏目漱石は苦しみながらあれだけのアウトプットをしたからこそ、国民的作家として現代でも生きている。やはり人間、アウトプットしてなんぼのもんだろうと思う。

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