山脇立嗣『空蝉が鳴いている』(劇団大阪、第89回本公演)
「今日は京都五山の送り火。銀行ATMの機械の前に高齢の老婆がヨタヨタとやってきた。操作に逡巡しつつ画面に触れてしまい「ATMで還付金は受け取れません」の機械音に驚く。
そしてやってきた銀行員にあれこれ尋問され、家族はいないのに、孫の子のためにお金を送りたいとウソを繰り返し、家族構成のことなどをよく知った支店長からあれこれ問いただされる。
結局、刑事がやってきて、舞台は警察署に移り、そこでも最初のうちはウソを繰り返していたが、ついに本当のことを吐露する。
このお婆さんが若き頃、空襲に遭って息子を亡くした。それが思い出され、母親からのネグレクトのために給食費を学校に持っていくことができない小学生が見ず知らずの家(お婆さん)に電話してきた、それを自分の子のように思ったお婆さんが教えられた銀行口座に1万2千円ほどのお金を振り込もうとしていたのだった。
この芝居は、最初はコメディー風の作りにして笑いを誘って作品世界に引き込み、だんだんとシリアスな世界に導くという王道を行っている。
前半のコメディー風の世界を名取由美子が、すっとぼけ婆さんの雰囲気をうまく出して作り上げた。後半のシリアスな世界はあゆみという人が一人芝居で奮闘していた。この二人に拍手を送りたい。
劇団大阪のホームページはこちらをクリック
「今日は京都五山の送り火。銀行ATMの機械の前に高齢の老婆がヨタヨタとやってきた。操作に逡巡しつつ画面に触れてしまい「ATMで還付金は受け取れません」の機械音に驚く。
そしてやってきた銀行員にあれこれ尋問され、家族はいないのに、孫の子のためにお金を送りたいとウソを繰り返し、家族構成のことなどをよく知った支店長からあれこれ問いただされる。
結局、刑事がやってきて、舞台は警察署に移り、そこでも最初のうちはウソを繰り返していたが、ついに本当のことを吐露する。
このお婆さんが若き頃、空襲に遭って息子を亡くした。それが思い出され、母親からのネグレクトのために給食費を学校に持っていくことができない小学生が見ず知らずの家(お婆さん)に電話してきた、それを自分の子のように思ったお婆さんが教えられた銀行口座に1万2千円ほどのお金を振り込もうとしていたのだった。
この芝居は、最初はコメディー風の作りにして笑いを誘って作品世界に引き込み、だんだんとシリアスな世界に導くという王道を行っている。
前半のコメディー風の世界を名取由美子が、すっとぼけ婆さんの雰囲気をうまく出して作り上げた。後半のシリアスな世界はあゆみという人が一人芝居で奮闘していた。この二人に拍手を送りたい。
劇団大阪のホームページはこちらをクリック