読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『水道、再び公営化!』

2021年01月31日 | 評論
岸本聡子『水道、再び公営化!』(集英社新書、2020年)

人間が生きていく上で絶対に必要なものの一つである水を民営化から再び公営化することによって、すべての市民に水を安価に確実に提供するという自治体としての責任を問う本がこれである。

話の多くは民営化から再公営化に舵取りをしたヨーロッパの事例が書いてあるのだが、本の冒頭には2017年安倍内閣時代に行われた民営化法の成立に麻生副総理が大きく関わっていることが書かれている。

麻生副総理は世界では民営化の流れにあるなどと嘘を言って、多くの国では民営化されていると言っているが、実は多くの国で民営化かから再公営化の流れになっているという。当然のことながら、民営化してもいいことがなかったからだ。

そしてこの再公営化への潮目が変わったのが2010年で、麻生副総理が上の発言をして水メジャー会社を日本に誘致しようとしたのは、まさに2010年にフランスのパリの水道が再公営化されて水メジャーが大きな痛手を受けたので、その穴埋めを日本にさせようとしたのだということを、著者は示唆している。

パリ市の事例はこうだ。パリ市は1985年にシラクが市長の時に水道事業全体をヴェオリア社とスエズ社のニ社と25年間のコンセッション契約を結んで民営化した。この25年間で水道料金は265%も値上がりした(物価上昇率は70%)。財務報告書もずさんで、平均利益率は7%と報告されてきたが、それを確かめる方法はなかった。なぜなら水メジャー会社が示すデータを鵜呑みにするしかなかったからだ。

取水と送水はSAGEP社、配水と給水は右岸がヴェオリア社、左岸がスエズ社、料金徴収は両者が出資するGEI社が行った。しかしどの会社も水メジャー二社の子会社のようなもので、株の持ち合いが複雑に絡んで、財務は不透明になっていた。パリ市は、「企業の経営を監督できる」という条項があるからと安心していたが、まったく機能していなかったという。(p.41)

2001年に社会党のドラノエが市長になって、水道事業の問題を取り上げ10年の歳月をかけて、「オー・ド・パリ」という公営会社と作って、2010年に再公営化に成功した。その結果、自治体が公営事業として行うほうが、ずっと効率的であることが分かったという。しかも実際には利益率は15%もあったことがわかり、水メジャー二社が嘘を報告していたこともわかった。

公営会社「オー・ド・パリ」はメーターや水道料金徴収のITシステム構築などに多額の初期費用がかかったにもかかわらず、初年度から42億円もの経費節約を実現し、翌年には水道料金を8%も下げることができた。公営化によって、組織の簡略化や最適化が可能になる、株主配当や役員報酬の支払いが不要になる、収益を親会社に還元する必要がない、納税も不要などが大きな理由だという。(p.47-48)

水メジャー二社は契約終了によって大きな収入源をなくしたことは言うまでもない。それを埋めるためにその触手を今度は日本の水事業に伸ばしてきたのだ。その先導役となったのが麻生なのだ。なんという売国奴か!

なんでも、女壻が水メジャーの役員をしているという話だ。これが事実なら本当に許せない。

麻生って、今のコロナ問題でも再度の給付金をしないとあたかも自分の金でもあるかのようにうそぶくような政治家だ。

水道民営化のウラに…麻生財務相“身内に利益誘導”の怪情報

この本は最後に日本の現状を報告して、改正水道法が民営化へ地方自治体を動かすための様々なアメとムチを盛り込んでいることを危険な仕掛けとして注意を呼びかけている。民営化してもまた公営化すればいいではないかというような安易な民営化は、人材的にも財政的にも不可能になることを明記しておこう。こんな危険なものを、水という社会資本について、作り上げた安倍内閣は本当に売国奴だ。

とくに怖いのは、契約書である。ベルリンの例が書いてあるが、契約書は経営の秘密を理由に公開されなかったために、住民投票で過半数の賛成を取る必要があり、公開されて分かったことは、非常に複雑な所有形態が取られており、再公営化に必要な株の買取りをするために1560億円もの代金が必要になったという。(p.173)

水メジャーの代理人は巨大コンサルタント会社で、国際会計基準のプロで、企業の交渉アドバイザー業務もこなす百戦錬磨の相手に、企業法務のプロはいない日本の地方自治体が太刀打ちできるわけがない。再公営化をしようにも、その壁は目もくらむほど高い。

つまり水道民営化は絶対にしてはならないものであり、水道料金値下げなどという口当たりのいい言葉を選挙公約に使って当選しようとする候補者にはとくに要注意だ。

『水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』 (集英社新書)へはこちらをクリック

<2月21日追加分>
ついに日本で初めての水道民営化が行なわれた。やっちゃいけないのに、宮城県人はこの本を知らなかったのかね。
こちら



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スカスカ首相が選手村のコロナ使用を拒否していた

2021年01月30日 | 日々の雑感
スカスカ首相が選手村のコロナ使用を拒否していた

私はこのブログで何度もオリンピックの選手村をコロナ感染者の特設病院として使用すべきだと書いてきたが、専門家のなかにも当然そういう考えの人たちがいて、政府に直言したが、首相が拒否していたということがわかった。

こちら



オリンピック選手村は国民の財産だろう。それを国民の命を救うために使わないで、何に使う。しかもオリンピックなんかできるかどうかもわからないのに。

こういうところにもコロナ収束のために万全を尽くすなどというスカスカ首相の発言が空虚に響く理由がある。だれもスカスカ首相の言うことなんか信用していない。

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「最終的には生活保護がある」

2021年01月28日 | 日々の雑感
「最終的には生活保護がある」

スカスカ首相がコロナ問題での個人への給付金を拒否して、いままで以上に自助をすればいい、そして「最終的には生活保護がある」と言い放って、あちこちから鋭い批判を浴びせられている。

こちら
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アメリカではバイデン大統領が、年収4000万円以上の人(人口の1.8%)税率を37%から39.6%に上げて、それを使って、トランプ前大統領が決めていた600ドルに1400ドル上乗せして2000ドル(やく20万円)を年収1500万円以下の人々に給付することを決めたというのに、何という違いか。

スカスカ首相、麻生副総理、二階幹事長たちは、国民の健康も生活も何も考えていない、ただただ利権のためだけに動いている政治家ということが分かったでしょう。

昨年の9月に自民党の総裁選挙があったときに、官房長官だったスカスカ首相はなんと4820万円もの官房機密費を使っていた。自分の選挙のために使ったんじゃないのか?違うというのなら、使途を説明してもらおう。

こちらも

自分の利益のためには公金まで使うくせに、国民には自助を要求する。いつまでこんな奴に政治を任せているつもりですか?本当に政治に殺されるよ。

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『いま・ここのポリフォニー』

2021年01月26日 | 人文科学系
鷲見洋一『いま・ここのポリフォニー』(ぷねうま舎、2019年)

『百科全書』研究の、日本における指導的研究者である鷲見洋一さんの論文集である。この人の研究者としての経歴は申し分ないのだが、ではそれに匹敵するような著作があるのかといえば、なんとも物足りないと言わねばならない。

40歳代という油の乗った頃に書かれた『翻訳仏文法』は別として、『百科全書』やディドロの研究者としての著作に、これはと言えるものが果たしてあるのだろうか?

もちろん多数の翻訳書があり、フランス人よりも優れたフランス語を書くと言われる著者が書いたフランス語論文も多数あるのだろうが、なぜこれほどに日本語の著作がないのかと言えば、まさにこの本で著者が主張する研究姿勢にあると思われる。

著者は、「序論にかえて」で、人文系の研究のあり方を「通時性」研究と「共時性」研究に分けて、通時性絶対主義のような今の研究姿勢では真実が見えてこないとして、「共時性」研究を主張する。

「共時性」研究とは、1789年とか1778年といった特定の年に存在したあらゆる事象(人文系なので全書籍のこと)を研究して、そこから必然的に浮かび上がる姿を描き出すことを目指すものである。だがそんなことは不可能に近い。結果的に、著者自身が本書31頁で書いているように「特定の時代や社会が生産した全書籍を一覧しないうちは、恐ろしくて論文が書けないという」ことになってしまう。

著者の著作が少ないのは、まさにこれが原因なのだろう。しかし研究者としてなにか残したい、とくに大学教員としての仕事もすっかり終わってしまい、名誉教授と呼ばれるような歳になってしまったからには、なにか残さねばならないという思いが、この著作として結実したのではないかと推察する。

結局、私にとって一番おもしろかったのは、果たしてこれが「共時的」研究の見本?と首をかしげざるを得ない論文であった。第三章「1778年 二つの死」がそれである。1778年というのは5月30日にヴォルテールが、そして7月2日にルソーが死去した年である。だから「二つの死」というのはヴォルテールとルソーのことだと思われるが、その配分は圧倒的にヴォルテールについての記述が占めている。

25年もパリから離れていたヴォルテールが死を覚悟してパリに戻ってきてから死ぬまでの数ヶ月を活写しているのは実に興味深い。とくに死を目の前にしてスイス人医師トロンシャンがキリスト教徒として、キリスト教会を否定したヴォルテールの医療に「冷血な態度で」接していたこと、それをヴォルテールが気づかなかったこと、教会と決裂していたヴォルテールがフランスに埋葬されるためにしたギリギリの闘いなど、面白かった。

最後に、これだけの研究者であっても、173頁に肝心のルソーの死去した日付が「六月三日」(正しくは七月二日)になっているミスを見落としたのかと思うと残念である。

『いま・ここのポリフォニー』へはこちらをクリック

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コロナ死者数日本一の大阪

2021年01月25日 | 日々の雑感
コロナ死者数日本一の大阪

ついに大阪はコロナ死者数で東京を抜いて日本一になった。人口800万人程度の大阪府が1200万人の東京よりも多くなったのか?その裏を示しているのがこちらのイラスト

コロナ無策の維新が作った大阪の真実を見事に示した町山智浩さんのツイッター

それだけではない。東京よりも多い死者数はもっとあるのではないかという疑惑。明らかにコロナでの死去なのに、「コロナとは無関係」と強弁する大阪府。こちら


おまけにコロナ宿泊療養者に政府から支給される食事代まで「中ぬき」しているのではないかという疑惑まで登場。
食事代「中ぬき」疑惑はこちら
この写真、昼ごはんなんか「焼そば」ですよ。こんなもの200円くらいですやんか。

おまけに、ご丁寧なことに、コロナ陽性者に勧告書と自宅療養に関する書類が、葬儀会社の広告が印刷された封筒に入れられていたという記事。先を見越しているって?

そして大阪維新の双頭(吉村と松井)はコロナ対策を何もしないで「オリンピックは24年に延期すべき」と他人事のようと言っている。

具体的な資料や数字を挙げて大阪府政・市政を批判している方のツイッターがこちら
吉村がいかにいいかんげんなことをやっているか、そして在阪のテレビ局が彼らの無策を批判するどころか、持ち上げていることを教えてくれる貴重なツイッターです。

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15000人の待機者を押しのけて即日入院の石原伸晃

2021年01月24日 | 日々の雑感
15000人の待機者を押しのけて即日入院の石原伸晃

自民・石原伸晃元幹事長が新型コロナ感染

「事務所によると石原氏は21日夕、東京都内の病院でPCR検査を受け、22日午後に陽性と判明。医師から不整脈があることを理由に入院するよう言われ、即日入院した。」

こうやって、自民党幹部なら、PCR検査の結果も早いし、東京都では15000人くらいが自宅待機や入院待ちをさせられているのに、自民党幹部というだけで、即日入院できるし、手厚い医療も受けられる。

それを一覧にしてくれたのがこちら、これで自民党だけが優遇されていることが一目瞭然

自分たちは「上級国民」で優遇されるから、スカスカ首相も二階幹事長も、国民の不安が理解できない。自分たちの利権しか考えずにGoToを強行する。そして感染を全国にばらまくのだ。国民のみなさん、いい加減に気づきなさいよ。こんな連中にコロナ対策をさせていたら、殺されるよ。
こちらのツイッターに同感!!

こちら、東スポwebの記事

岡田晴恵氏 相次ぐ自宅療養中の死亡に「大規模施設で医療者がチェックを」
本当にそのとおりと思う。これだけ感染者が増えてくると、保健所や一般病院で対応するのは不可能だ。

それぞれの地方自治体が大規模な収容施設を作って、そこに無症状の人から重傷者まで収容して段階的に治療や対応ができるようにしなければ、もうどうにもならない段階に来ている。このままの状態だと、自宅療養中に死亡するひとが続出して、たいへんなことになる。

東京都などはオリンピックの選手村を利用すればいい。大阪はそういうものがあるのかどうか知らないが、ないのなら適切な場所に作るべきだ。

そして輸送のための車両やスタッフ、そしてそこで働く医療関係者も用意しなければならないだろう。そういうところにこそお金を使ってほしい。GoToなんかやっている場合ではない。

二階幹事長は政府にケチをつけるなと恫喝するし、
二階氏「ケチつけるな」に見え隠れする「権力集中の弊害」

スカスカ首相は、本会議で「症状ない方を含めた大規模集中的検査を国の負担で実施できるようにしてきた」と嘘を平気で言っているし、

麻生副総理にいたっては、自分たちの無策を棚に上げて、「悪いのはコロナだから」だって。じゃぁ「コロナ」さんに責任とってもらいましょう。コロナに罰則規定でも作ったら。
麻生副総理は自らが率いる派閥の会合で新型コロナウイルスの影響で国民生活に不便をお掛けしているとしたうえで、「悪いのはコロナだから」と述べました。



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『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか』

2021年01月23日 | 人文科学系
湯澤規子『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか』(ちくま新書、2020年)

この本は、ウンコが、かつてのような「お金を出して買う」ものから「お金を出して捨ててもらう」もの、「汚い」ものにどうして変わっていったのかを人文地理学として研究した本だ。

普通に考えればわかるように、農業における人糞使用が都市化や化学肥料の導入によって不可能になったことが原因である。それが人間の意識さえも変えて、「貴重」なものから「汚い」ものと思うようになった。

1955年生まれの私の場合も、鳥取県の山奥では祖母が畑に人糞を肥料に使用するのを見ている。それも私が中学生くらいまでだから、1970年までだろう。もちろん周辺の専業農家ではすでに化学肥料が導入されていたので、人糞を使うところなどなくなっていた。

大阪での学生時代の知り合い(1950年生まれ)は枚方に住んでいたが、彼が子供の頃には近所の農家がウンコを取りに来ていたと言っていたので、大阪近郊でも1960年くらいまではそうだったのだろう。やはり60年代、つまり高度経済成長の時期が一つの転機だった。このあたりのことがこの本には詳しく書いてある。

話は変わるが、テレビで排便を良くするサプリメントの広告がたくさんあるのは、排便のことで悩んでいる中高年が多いってことなのだろうが、私も中年から老年に差し掛かる頃からずっとウンコの悩みが尽きない。

私が排便に関心をもったのは、27才頃に結婚して、大学(大学院生だった)から遠い場所に住むようになり、通学に1時間半くらいかかるようになり、急行電車に乗っているあいだに、トイレに行きたくなることが生じるようになってからだ。

どうしたらいいのかと考え、とにかく毎朝食事の後にトイレに入っているうちにだんだんと、それまで時間的に不規則だった排便が毎日朝食後に出るようになった。それからといういものは絵に描いたような快便そのものになった。快便は50才くらいまで続いた。

その後、だんだんと排便が再び不規則になり、朝食後にトイレに入っても出たり出なかったりとなり、出ない日は出たいのに出ないような腹具合で調子が悪くなった。それで大腸の調子を整えると言われる食べ物(ヨーグルトとかプルーンだとか)を食べてみたりしたが、変化なし。

そのうち痔瘻が見つかった。それほど重症ではなかったので、経過観察をしながら、排便を良くする(というか便を残さない)ための指導を受けたりして、現在に至っている。

現在は、毎朝の食事のときに海苔をおにぎりに巻いて食べるようにしてから、排便がよくなったこともあり、ほぼ毎日朝食後に排便している。排便できなくて調子が悪い時には、酸化マグネシウムを飲んでいる。すると次の日には普通に排便できる。

(これも肛門科の医師から教えてもらったのだが、酸化マグネシウムは、センナ、大黄、アロエと違って、続けて飲んでも大腸メラノーシスを引き起こすことがないそうだ。ただ長期間飲み続けるのは、高マグネシウム血症になる危険があるので、注意が必要だが。)

面白い本だったが、自信満々の顔つきで写っている著者の顔写真(裏表紙)を見ると、「ご立派」と思うのは私だけか。

『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ──人糞地理学ことはじめ 』(ちくま新書)へはこちらをクリック

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コロナ感染がコントロール不可能な事態になりつつある

2021年01月20日 | 日々の雑感
コロナ感染がコントロール不可能な事態になりつつある

コロナ感染の日本地図が、地方も含めて薄いピンク色から赤色そして濃い赤色になっており、コロナ感染がコントロール不可能な状態になってきていることがわかる。

広範囲で定期的なPCR検査という本来なら国がやるべきことをいつまでたってもやらないから、日本財団では東京都内の介護スタッフ200万人に無料のPCR検査を週に一回程度実施するそうだ。

都内の介護スタッフ延べ200万人に無料PCR検査へ 日本財団、こちら


那須塩原市では、希望者は全員PCR検査を実施するらしい。こちら
その主旨も「那須塩原市では、感染しているが無症状の陽性者を早期に発見し、地域の感染拡大を防止することと市民の皆様の感染不安の解消のため、PCR検査を実施いたします」というもの。


静岡県のコロナ変異種資料を厚労省が削除させる、こちら
やっぱり都合の悪いことは隠す日本政府の体質は戦前から変わらないね。政府(厚労省)の言うことなんか信用ならない、というような不信感を国民に増長することになるということがわからないのかね。平和時ならまだしも、コロナ禍という非常事態のときに、真実・事実を隠して、国民をコントロールしようとすることが、問題解決にならないどころか、コロナ禍をもっと悪化させることにしかならないということがわからない人たちなんだ。

神奈川県は無責任知事のせいで、自宅療養中の陽性者の死亡が相次いでいるそうだ。こちら
そのうち神奈川県だけでなく、東京、大阪を中心とした大都市圏でこういうことが次々と起きるのではないかと心配になる。だって、東京も大阪も住民の命なんて考えていない知事だからね。東京都知事はオリンピックの選手村を療養施設にすればいいのにしようとしないし、大阪府知事は都構想などに狂奔して何もしてこなかったつけが今頃回ってきてている。

休業あるいは時短要請ばかりで補償がないためにあちこちで廃業・倒産する会社が溢れている。当然そこで働いていた人たちは職を失い、収入を失う。そんなことに目を向けることなく国民への給付金は出すつもりがない、とまるで自分の金でも出しているような物言いで給付を否定する麻生財務大臣(副総理)。

ノーベル賞受賞者数を増やせと号令をかけるくせに、ノーベル賞受賞者の提言はまったく無視。日本の企業がそのノウハウを活かして優秀なPCR検査機を作ってもまったくの宝の持ち腐れ状態。外国ではそれらを使って、日本の企業に感謝してくれているというのに。

ワクチンだって、世界の様子見状態で、厚労省による承認がいつでるのやら。おまけに河野太郎がワクチン担当大臣だって。人からの直言に耳を貸すことなく、自分に都合のいいことしか聞こうとしない人の言うことなんか誰が聞くのかね。


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『われらが<無意識>なる韓国』

2021年01月18日 | 評論
四方田犬彦『われらが<無意識>なる韓国』(作品社、2020年)

1979年と2000年代に韓国に長期滞在し、韓国のことや韓国映画のことに詳しい四方田犬彦による評論集である。

最初の半分くらいに収められた評論はごく最近のもので、後半になると古いものも含まれている。

日本人の韓国(人)への心情と韓国人の日本(人)への心情のすれ違いをはじめとして、四方田犬彦が体験したものを拠り所にしながら書いてあるので、説得力のあるものが多い。そして映画論も参考になる。

私が初めて韓国映画を見たのは1999年のキム・ジオンの『反則王』だった。韓国が通貨危機に陥り、国際通貨基金による大なたによって失業者が大量に生み出され、賃金切り下げによって銀行員など闇金の職員と変わらないような生活のなか、ソン・ガンホ演じる気弱な銀行員がプロレスに参加して、反則レスラーになるというもの。

コメディー受けを狙う映画でもこのようにリアルな社会を描きこんでいることに驚きをもったものだ。

朴正熙政権や全斗煥政権との戦い(光州事件など)を経て、自らの力で民主化を勝ち取ってきた韓国国民であればこそ、韓国映画には、日本と違って、タブーがないと思っているのだが、四方田犬彦のこの本を読むと、それでもナショナリズムには搦め捕られているようだ。

例えば「韓国映画の安易なナショナリズム」という記事で、『尹東柱の生涯』(2015年)とか『金子文子と朴烈』に見られるように、朝鮮統治時代の人間を描く場合に、朝鮮人は善玉で日本人は悪玉に描くというパターンから抜け出せていないという指摘をしている。具体的には、尹東柱が同時代の日本詩歌に深く影響を受けていたことなどは完全に無視されていることが挙げられている。

韓国の時代劇ドラマを見ていると、秀吉の朝鮮出兵を描く日本人武士の姿がとてもじゃないけど変という場合が多い。これだけ日韓の行き来があって、日本人で韓国ドラマに出ている人もいる(『朝鮮ガンマン』にでていた大谷亮平さん)くらいなのだから、考証を頼めばいいのにと思うのだけど、決まったパターンから抜け出ていない。

かと思うと、現代もののドラマでは、権力者が会食をするのはきまって高級な日本料理店だ。彼らが口にするのは刺し身や寿司などだ。フレンチやイタリアンというのは、財閥の御曹司が彼女と食事する場合で、権力者は日本料理だ。これなどは、意図的にしているのだろうか?それとも無意識にやっているのだろうか?

『われらが〈無意識〉なる韓国』へはこちらをクリック

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いつでもどこでも誰でもPCR検査を

2021年01月16日 | 日々の雑感
いつでもどこでも誰でもPCR検査を

コロナ感染が止まらない。大都市部は言うに及ばず、これまでそれほど感染がひどくなかった地方でも感染爆発状態になりつつある。GoToでばらまかせのが原因であるのは明らかだ。

PCR検査は偽陽性率が高いだの、偽陰性率が高いだのと言って、PCR検査の拡充を否定する輩がいまだにいる。

そもそもこの人たちはどうやって偽陰性だとか偽陽性だと分かったのだろうか。

偽陽性というのは、PCR検査で陽性となったが、コロナが発症しなかったということだろう。コロナは陽性でもまったく無症状のままの人がたくさんいる。こういう人たちは偽陽性と判断されるのだろうが、そういう人たちは症状がないというだけで、周りの人に感染させることになる。放っておいてはいけない。

偽陰性というのは、実は感染しているのに、PCR検査では陰性結果になったというものだ。この陰性結果が偽物だとどうして言えるのだろうか?PCR検査を受けた人に結果が通知されるのは数日後というタイムラグがある。実際に陰性であったが、このタイムラグのあいだに感染してしまい、コロナ症状が数日後に出てきたという場合がある。この場合、偽陰性とみなされてしまう。

つまりPCR検査は偽陰性率や偽陽性率が高いと言って否定している人たちの主張には何も論拠がない。

PCR検査が駄目だという人たちには、他にコロナ感染を調べる方法があるのなら言ってもらいたい。現時点ではそんなものはありはしない。だから世界中でPCR検査を大規模に実施して、コロナ感染者の実態を調べているのだ。PCR検査を否定する人たちの言っていることは、コロナ感染を放置しろというのと同じことだ。

コロナの怖いところは感染力がべらぼうに強いこと、高齢者の重症化率や致死率が非常に高いこと、そして恐ろしい後遺症が残る場合があることだ。そして現時点では治療法が何もないことだ。

だからコロナに感染しないほうがいい。そのためには感染者をいち早く割り出して、隔離すること。これに尽きる。感染者を割り出すにはPCR検査しかない。だからいつでもどこでも誰でもPCR検査が受けれるようにする以外に、感染を抑制する方法はない。

ただこのような移動式のPCR検査を実行するのにネックとなっているのが、国内の臨床検査センターの施設基準だという話がある。つまり移動式での分析・測定は法的に認められてないという。法改正しなければならない。数日前の首相記者会見でフリーのジャーナリストが国会で法改正をするつもりがあるかと質問したのは、まさにこのような点を改正するつもりがあるかとということであった。

こんな素人でもわかるようなことがどうして政治にできないのか。こういうこともできないのなら、福岡県を静岡県と言い間違えるほど疲れやストレスを感じているということだし、スカスカ内閣には、早く辞めてもらって、こうした政策を実行できる内閣を作ろう。

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1月17日に追加

田村憲久 厚生労働相:
「検査はやればやるほどいいと私も思います。ただ税金で行う以上費用対効果の問題がある。国家体制が違うから、中国のように強制して一斉に行うことはできない。すると費用対効果はあまりよくない。アメリカは2億回ほど検査を行っているはずだが、あのような状況。そのため今は、可能性の高いエリアに関してはどんどん行う。それから介護施設や医療施設。これを予算でサポートする。」出典はこちら

「税金で行う以上は費用対効果の問題がある」とか言っている場合じゃないだろう。費用対効果に問題あろうとなかろうと感染症はすべての国民が等しく影響を受ける問題だ。だから貧しい人は感染してもいい、金を出す人だけに医療をするなどと言っているのが、アメリカの(国民皆保険を持たない)医療制度の結果であって、PCR検査を大規模にやっても「あのような状況」なのではない。そんなこともわからないのか。

それに「中国のように強制して一斉に行」えと言っているではない。いつでもどこでも誰でもPCR検査を受けれるようにしろ、と言っているのだ。馬鹿じゃないか!

費用対効果といえば、何でも話が通ると思ったら、それは間違いだ。第一、GoToにどれだけの費用対効果があったのか総括しているのか?GoToに膨大な金を使って、日本国中にコロナを撒き散らし、医療崩壊を地方にも起こしている、その費用対効果はどうなっているか、明らかにしてほしい。

本庶佑さんが提案しているような大規模なPCR検査を行えば、それこそGoToに金なんか使わなくても、コロナ抑制と経済の両立をはかることが可能なのだ、それこそ最高の費用対効果ではないか。そんなこともわからないのなら、今すぐ辞めてもらって、まともなコロナ対策を実行できる人にやってもらいたい。


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