2022年に読んだ本のベスト・ファイブ
今年は31冊を読んだ。最初はどうなることかと心配したが、一定の生活リズムというか読書リズムができたので、どんどん読めるというわけにはいかないが、たったこんだけしか読まなかったのかと嘆くこともなくすんだ。その理由は毎週日曜日は読書の日と決めたことにある。日曜日は、パソコンでのデスクワークはしないで、もっぱら音楽を聴いたり、読書で一日を過ごすことにしたのだ。
もう一つは、今年から音読を始めたことにある。仕事も辞めたので、教室で大きな声を出すこともなくなった。一日まったくしゃべらないことも普通にある。そこで、心肺機能を維持するために(って大げさだけど)、音読を始めたのだ。毎日30分程度小説を音読する。これだけでもずいぶんと喉のためにも肺のためにもよさそうだ。
もちろん30分の音読では読書が進まないので、時間があれば、黙読もするが、音読をしていると、音読に適した表現とか言い回しがあることに気づいて面白い。伊集院静『ミチクサ先生』、逢坂冬馬『同士少女よ、敵を撃て』、ねじめ正一『泣き虫先生』、高見沢俊彦『音叉』、原田マハ『風神雷神』、松本薫さんの小説、フランス語では『星の王子さま』の仏和対訳を音読した。来年もこれは続けていこうと思っている。
1.鷲見洋一『編集者ディドロ』(平凡社、2022年)
18世紀の知の集大成である『百科全書』の全体像を余すところなく描き出した日本語で初めての著作として特筆にあたいする。後続の学徒のためにも、参考資料についても一冊の本を書いてほしいものだ。
2.伊集院静『ミチクサ先生』(講談社、2021年)
気難しい人という夏目漱石のイメージを一新する、よい小説だと思う。音読したら、これがまた心に残る場面がたくさんあることに気づいた。とくに妻の筆子との関係はどの程度裏付けがあるのか分からないが、斬新だ。
3.山崎雅弘『未完の敗戦』(集英社新書、2022年)
コロナ禍の対応に象徴的に現れた、日本という国の姿-国民の生命をないがしろにして、あらゆる政策を一部の権力者たちが甘い汁を吸う道具にしてしまう-が、戦中の日本軍のやり方となんら変わっていないことを明らかにした評論。ブログでも鋭い政府批判を書いている人なので、参考になることが多い。
4.高見沢俊彦『音叉』(文藝春秋、2018年)
東京と鳥取県のど田舎+大阪といういう違いはあるにせよ、同じ時代の空気を吸っていたものとして共感できるところがたくさんあって、懐かしみさえ覚える。文章も読みやすい。
5.石井妙子『女帝 小池百合子』(文藝春秋、2020年)
小池百合子という、権力志向の新しいタイプの「政治屋」のことを綿密な資料を駆使して明らかにした評伝。この人、都知事のあとは首相を狙っているのだろうか、こんな女を行政のトップにしてはいけない。
今年は31冊を読んだ。最初はどうなることかと心配したが、一定の生活リズムというか読書リズムができたので、どんどん読めるというわけにはいかないが、たったこんだけしか読まなかったのかと嘆くこともなくすんだ。その理由は毎週日曜日は読書の日と決めたことにある。日曜日は、パソコンでのデスクワークはしないで、もっぱら音楽を聴いたり、読書で一日を過ごすことにしたのだ。
もう一つは、今年から音読を始めたことにある。仕事も辞めたので、教室で大きな声を出すこともなくなった。一日まったくしゃべらないことも普通にある。そこで、心肺機能を維持するために(って大げさだけど)、音読を始めたのだ。毎日30分程度小説を音読する。これだけでもずいぶんと喉のためにも肺のためにもよさそうだ。
もちろん30分の音読では読書が進まないので、時間があれば、黙読もするが、音読をしていると、音読に適した表現とか言い回しがあることに気づいて面白い。伊集院静『ミチクサ先生』、逢坂冬馬『同士少女よ、敵を撃て』、ねじめ正一『泣き虫先生』、高見沢俊彦『音叉』、原田マハ『風神雷神』、松本薫さんの小説、フランス語では『星の王子さま』の仏和対訳を音読した。来年もこれは続けていこうと思っている。
1.鷲見洋一『編集者ディドロ』(平凡社、2022年)
18世紀の知の集大成である『百科全書』の全体像を余すところなく描き出した日本語で初めての著作として特筆にあたいする。後続の学徒のためにも、参考資料についても一冊の本を書いてほしいものだ。
2.伊集院静『ミチクサ先生』(講談社、2021年)
気難しい人という夏目漱石のイメージを一新する、よい小説だと思う。音読したら、これがまた心に残る場面がたくさんあることに気づいた。とくに妻の筆子との関係はどの程度裏付けがあるのか分からないが、斬新だ。
3.山崎雅弘『未完の敗戦』(集英社新書、2022年)
コロナ禍の対応に象徴的に現れた、日本という国の姿-国民の生命をないがしろにして、あらゆる政策を一部の権力者たちが甘い汁を吸う道具にしてしまう-が、戦中の日本軍のやり方となんら変わっていないことを明らかにした評論。ブログでも鋭い政府批判を書いている人なので、参考になることが多い。
4.高見沢俊彦『音叉』(文藝春秋、2018年)
東京と鳥取県のど田舎+大阪といういう違いはあるにせよ、同じ時代の空気を吸っていたものとして共感できるところがたくさんあって、懐かしみさえ覚える。文章も読みやすい。
5.石井妙子『女帝 小池百合子』(文藝春秋、2020年)
小池百合子という、権力志向の新しいタイプの「政治屋」のことを綿密な資料を駆使して明らかにした評伝。この人、都知事のあとは首相を狙っているのだろうか、こんな女を行政のトップにしてはいけない。