読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

米子旅行

2010年08月25日 | 日々の雑感
米子旅行

24日25日と一泊で米子に旅行した。というか帰省したと言うべきか。今年は上さんの体の調子もいまひとつなので、一泊だけで戻ってきた。とりあえずは一人で暮らしている母親の顔を見てくるのが第一の目的であるから、とくに何をするということもない。だからたいていは大山に行ったり、去年のように松江に旅行したりすることが多いのだが、今年は一泊だけで時間もないので、早めに米子に着いて、高校時代を過ごした米子の町を歩いてみた。

といってもこの灼熱のなかあちこち歩くわけにはいかないので、元町サンロートと本町商店街を歩いて、今井書店に行って、水木しげる関係の本でも郷土のコーナーで探してみようというつもりであった。この商店街は高校生の頃に、自宅から米子東高に行くにも、また帰りに高校から艇庫のあった錦公園に行くのにも通った商店街で、今井書店やその他の古本屋などは時間があると立ち寄ったところだ。数年前にも今井書店で水木しげるのマンガを買ったことがあったので、ちょっと楽しみだった。

駅から日陰を選びながら駅前の大通りを少し歩くと本町サンロードに入る。入ってすぐのところに「小田ふとん店」がシャッターの下りたままにあった。ここは若かりし頃の親父がかつて働いていたところで、結婚してから、正職として働いているのは親父だけだったので、5人の家族を養うために、脱サラをしてここを辞め、自分で畳屋を開業した。自分は畳職人ではないから、職人を雇い、営業に回り、お袋が事務をするという風にしてだんだん規模を大きくしていった。「小田ふとん店」はまだはっきりと看板が残っているところを見ると割と最近まで営業していたのもしれない。

本町通り商店街にはいってもごらんのとおりのシャッター街で、人影もまばら。有線放送から流される、元気な音楽だけが、うら寂しさを盛り上げている。まぁこういうことはどこでもあることだし、私の目的は今井書店だからと思いつつ、歩いていくと、なんと今井書店もなくなっているではないか。なにやら若者向けのブティックというのかインテリア物を売っている店のようになっている。帰ってきてインターネットで調べてみると、たしかに店舗はあちこちあるが、どうも商店街の店舗はないようだ。人通りが少なくて、売り上げも伸びないとの判断なのだろう。第一、駐車場がないのだから、人が来ないのも仕方がない。

仕方なく、歩いてすぐのところにある高島屋に行ってみる。このあたりでは珍しい高島屋の支店がある。一人気を吐いているのかと思いきや、ここも人がまばら。そのうち閉店になってしまうのではないだろうか。とにかくもうかつての中心地は完全に空洞化している。高島屋前のバス停からバスに乗ってお袋の住む家まで行く。

翌日は、いつものとおり5時半くらいに目が覚めたので、バスの時間を確認がてら、散歩に出かける。少し歩いているうちに、昨日来るときから気になっていた粟島神社まで行ってみようという気になり、敢行。中海の一番底の部分は錦公園になっていてそこにボート部の艇庫があった。そこから毎日のようにボートを繰り出し、この粟島さんあたりまで来てスパート練習やらスタートダッシュ練習やらをしたものだ。だがこの粟島さんには上陸したことがなく、陸から来たのも今日が初めて。

かつては島だったと思われるようなおわんを伏せた形の山の上に粟島神社がある。けっこうな階段があるのだが、朝早くにもかかわらず、地元の老人や子どもが参拝に訪れている。神社の裏には「出雲大社遥拝所」という立て杭がありしめ縄のようなものが渡してあるので、出雲大社の系列なのかなと思って感心していたが、正面に戻り、階段近くまできたら、今度は「伊勢神宮遥拝所」というのもあったので、そういうことでもないようだ。(地元の写進化ヲアニーさんのブログで見ていただいたほうが、粟島神社の雰囲気がよく分かるかも→こちら

お袋の家まで帰ってきた頃にはもう日も高くなっていて、大変な汗だくで、もう一度フロに入りなおした。バスが夕方のラッシュに巻き込まれるのが嫌なので、早めに大阪に帰ってきた。

お袋はけっこうな情報通なので、私の同級生の近況だとか、かつて住んでいた町の様子などをあれこれと話したりして、それなりに有意義な一泊だった。

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『サルコジ』

2010年08月13日 | 評論
国末憲人『サルコジ』(新潮社、2009年)

副題に「マーケティングで政治を変えた大統領」とあるので、サルコジがフランスの経済地図を書き換えるような経済政策を推し進めているというようなことでも書いてあるのかなと思ったが、そうではなくて、市場原理を政治の世界に持ち込んだということのようだ。

この本でも触れられているが、フランス人たちはサルコジを大統領に選出することで伝統的なフランスの政治に対する拒否を表明していたと考えていいのだろう。伝統的に、フランスの政治はエリートによる政治といわれている。ミッテランやシラクのようなパリ政治学院とか国立行政学院などを卒業したエリートたちが大統領は首相になるのが当たり前のようになっており、しかも自分たちエリートがフランスの政治は上手にカジ取りしてあげるから庶民は黙って私たちについてきなさい式に突然新しい法案を出しては、労働者を中心とした大規模でもやストライキによって頓挫するという図式が繰り返されてきた。ただ彼らの国政はそれはそれで良心的でもあるし労働者保護とか人権・民主主義の防衛を大きな目玉にしてきたことも確かである。いずれにしても、こうした伝統的なフランス政治を代表していたものに対する拒否、嫌悪がサルコジ大統領の選出という形を取ったことは確かなようだ。

私も普通にサルコジの表面的なイメージにだまされていたようで、この本でも繰り返しかかれているが、たんに子どもがそのまま大人になったようなやんちゃ坊主的人物のように思っていたが、彼はじつにしたたかに準備をして世論の動向も読み取って発言をし、行動をしているということがこの本で分かった。

彼がフランスに持ち込もうとしているのは、いわゆる新自由主義というやつであるらしい。「もっと働き、もっと稼ごう」をモットーとしているというが、たしかに週労働時間が35時間に規定する法律があったり、年間の有給休暇が5週間あり、さらに「労働時間短縮法」によって残業した労働時間が有給休暇に振りかえることができてどんどん休みが増えるような仕組みになった社会でなら、そのようなモットーもそれなりに有効に聞こえるのかもしれない。

日本でもそうだが、起業ということが盛んに推奨される。だがこれは株と同じでまさに自己責任、儲かれば一挙に年収数千万円以上なんてことは当たり前になるかもしれないが、もしダメだった借金まみれになること間違いなし。そういう博打みたいなことが好きな人もいるだろうが、多くの国民が求めていることは、普通に給与労働者として働いて、普通に暮らし、子どもを大学にやって、老後は年金だけで十分に暮らしていける、そういう社会にしてほしいということであって、一旗あげたいとかそういうことを望んでいるわけではない。

サルコジが掲げているモットーも一見すると私たち普通の国民が求めていることを実現しようよと主張しているように見えて、金持ちが優遇される社会にしようとしているに過ぎない。それは彼の交友関係が示している。彼の交友関係は成り上がりの企業家ばかり。

その彼がこれまでの伝統的な政治家とちがって、分をわきまえずに、大統領になったら、社会党の幹部を取り込んだり、労働組合の組織率の低さを逆手にとって幹部とコミュニケーションを密にすることで取り込みを図ったりしてフランスの政治世界を無茶苦茶にしてしまったという。それがまたフランス人には小気味よいのかもしれないが、知らないあいだに伝統的なフランスのいい部分が崩壊してしまうのではないかと、外国人ながら心配している。余計なお世話かもしれないけど。

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『天地明察』

2010年08月09日 | 作家ア行
冲方 丁『天地明察』(角川書店、2009年)

吉川栄治賞だとか本屋大賞だとかを受賞しただけのことはある。まるでつくりが映画化、ドラマ化を想定したようなつくりになっている。つくりと言ったらおかしければ、人物の造形とでも言おうか。目の前で人物が映像として見えるような、そんな小説、ってことは、相当の文章家ってことではないだろうか。毎週土曜日に7時半からNHKでやっている土曜時代劇なんかにすぐにでも採用されるのではないだろうか。

科学史の専門家などが事実関係が違うだとかいうようなことを書いているブログを読んだことがあるが、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』でもそうだが、そういうことを言い出したら、時代小説がなりたたなくなるだろう。池上正太郎の時代劇なんかどうなるのだろう?

以前、中村士『江戸の天文学者星空を翔ける』(技術評論社、2008年)というのを読んで(たぶんこの小説が人気になっているという話を聞いたからだろう)ここにも感想を書いているが、どうも渋川春海という人物は書いてあったのかもしれないが、まったく触れていないところをみると、ありきたりなところにしか関心がいっていなかったようだ。
この小説の出だしはまだ四代将軍家綱の頃で、春海は七十数歳まで長生きをしているから、7代将軍あたりにまで仕えたようだ。

私は、なんだか江戸時代が面白いなと思う。

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灼熱の東京

2010年08月05日 | 日々の雑感
灼熱の東京

上さんと東京旅行に行った。昨年は下呂温泉・新穂高温泉などの温泉めぐりだったので、えらい違いである。というのは上さんの体の調子が悪く、リウマチみたいのだが、検査でリウマチを示す数値が出ず、効きもしない痛み止めの薬ばかり処方されて、体よくたらい回しされてきたので、東京のリウマチ専門医をインターネットで見つけて、そこの診察を受けに行くための旅行だった。まぁついでというわけで、浅草を観光してきたのだが、この前の京都と同じで、暑くて暑くて、観光どころではないけど、すごい観光客だった。

例のJR東海ツアーズで、のぞみ往復にシティホテルつき。ほぼのぞみ往復の代金でホテルが泊まれる。今回は、食事がしやすいということと、二日目のリウマチ専門医のところに行きやすいということも考えて、池袋のサンシャインシティにあるプリンスホテルにした。これが正解で、すぐ隣にサンシャインシティがあって、レストランやショップもたくさんあって、涼しいところでショッピングをしたり夕食を食べたりした。

右の写真は浅草寺境内から見えた工事中の東京スカイツリー。

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