読書な日々

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2023年読書のベスト5

2023年12月30日 | 日々の雑感
2023年読書のベスト5

今年の読書は28作品。悲惨な数字にならずにすんだが、実質が伴わない。だんだん読書への興味が薄れている。何を読んでも面白くない。こんな状態は初めてのことだ。若い頃は、本屋へ行くのが楽しかった。なんか宝物でも見つかるのではないかというドキドキ感があったのに、もう本屋へ行くこともない。なんでもアマゾンで買えるから?なんでも図書館で借りれるから?私自身の内面の問題であることははっきりしているのだが…。

1.佐伯一麦『還れぬ家』(2013年、新潮社)
たぶん実際の作者の経験を小説にしたものだと思いながら読んだ。老いて認知症になり周囲に攻撃的になる父親の姿を描いたこの小説を読むのは、私自身の老いた親の姿を見るようで、辛いものがあるが、それでも読みきらなければならないと言い聞かせて、最後まで読んだ。

2.ワイルド『サロメ』平野啓一郎訳(光文社古典新訳文庫、2012年)
『サロメ』そのものも興味深いなと思うが、それ以上に訳・解説の平野啓一郎の文章が興味深い。彼の解釈がよくわかるだけに、世間一般の解釈はいったい何なのと首を傾げざるをえない。それほど斬新だった。

3.竹倉史人『土偶を読む』(晶文社、2021年)
ついに第43回サントリー学芸賞までもらってしまうとは。『土偶を読むを読む』まで出て、専門家たちからあれこれ書かれているけど、それでこそ研究は社会的になるのだから、いいことだ。くだらない権威主義に風穴を開けることになったのではないか。

4.ラモー『和声論』(翻訳・伊藤友計、音楽之友社、2018年)
この訳者は今年はボエティウスの『音楽教程』も翻訳出版して、勢いづいている。この調子で、次々とバロック期のフランス音楽関係の翻訳を出すんじゃないだろうか、とみんなが期待している。

5.水林章『日本語に生まれること、フランス語を生きること』(春秋社、2023年)
水林章『壊れた魂』(みすず書房、2021年)
この二作品はセットになっているから、どちらを先にということではないが、両方を読むとより理解が深まる。現在の日本の「良識」を代表する著作。
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