ニホンザル
ニホンザル
サルも果実食です。サルは各地で食性がよく調べられており、場所によっても、季節によっても、さらには年によっても大きな変化を示します。
ニホンリス
草食というのは草を食べるだけでなく、木の葉はもちろん、植物を食べることを「草」で代表させた言葉です。英語ではherbivoremと言いますが、そのherbは草のことです。ハーブは草のうちでも良い匂いがする特殊なものの呼称になっていますが、元々は草ということです。だから広い意味での植物食を草食と言いますが、実際には葉を食べるものと果実を食べるものはかなり違う生態を持っています。それで「葉食」、「果実食」と区別することもあります。
リスは代表的な果実食でしかもナッツ類を食べます。展示ではクルミ食のことを解説しました。
トラ
草食獣とは対照的に肉食獣は「確保できさえすれば栄養価が高いが、なかなかおらす、しかも逃げるので確保がたいへん」な世界に生きています。
タヌキ
タヌキ
タヌキは食肉目というグループに属し、歯の作りなどはオオカミなどとさほど違いませんが、実際には雑食、というよりほとんど果実食です。それは日本列島が植物に恵まれているということと関係していそうです。
麻布大学いのちの博物館の次の展示は「動物の食べ物」展で、私の研究してきたことを紹介することにしました。それでパネルよ0うにいくつかの動物のスケッチをしました。
和田氏の一つは草食獣です。草食獣を一言で言えば「食べ物はどこにでもあるという点では気楽だが、その消化がタイヘン」という世界に生きている動物です。
ニホンジカ
ニホンジカは北日本ではササを食べることがユニークなことです。シカややウシ、ヤギなどは反芻をするために4つに別れた胃を持っています。
ヤギの消化管
最後はキリンです。キリンは形が極めて特異で他に似たものがないので、形がしっかりできれば「これなに?」という心配はありません。まずまずのものができました。高さは30cmくらいあります。
彩色は薄いオレンジ色をごく薄くして塗りました。そのあとで褐色の模様を描きました。描きながら分かったのですが、私たちは薄い色と濃い色があると、薄い色が下地で、濃い色がその上に乗っていると思いますが、それは怪しい。キリンの模様をよく観察すると、黄色の線が貫いているように見えるのです。つまり茶色が島で黄色が流れだとすると、水の上に独立した島が浮かんでいるというより、凸凹な土地に流れを持つ水が貫いているように見えるのです。その関係は裏表だから、なんともいえませんが、焦げ茶色の下地に黄色い線が乗っているとみる方が自然だと思われます。
よくみると足では模様が小さくなり、顔にも小さい模様があるのがわかりました。キリンの目はかなり下につくのが特徴です。これもプラスチックを入れました。
オヒキコウモリというコウモリの頭骨の模型も展示されるということでしたが、粘土でコウモリはできないと思っていました。というのはあの薄い翼を粘土で作るのは無理だろうと思ったからです。それで、布などを使って作るか、模型なしかと考えていました。それでも、「なし」は避けたいと思い、できるかどうかわからないが挑戦をしてみることにしました。アイデアとしては針金で翼の輪郭を作り、そこに粘土を薄く貼り付けるというものです。これがうまくいかなかったら、布を探すつもりでした。その場合も胴体は粘土にするつもりでした。
やや太めの針金で翼と、指を作り、輪郭の下を細い針金にしました。翼は中央で折れ曲がりますから、まず外側の部分を作ることにし、クリアーファイルを敷いて、粘土をできるだけ薄く広げました。
1日乾かしてから、付け根の方の半分を作りました。折れ曲がったや翼のフチの部分は通常の粘土で加工するのは硬くて壊れてしまいそうだったので、粘土を水で溶いて薄めました。それを垂らすようにして滑らかにつなぎました。これで一応形はできました。
それから胴体に色を塗りました。
それから翼の軸になる腕、指の部分には筋肉があるので肌色に塗り、それから皮膚の黒を塗りました。最終的にはその肌色の部分の上から黒を塗ったので無駄といえば無駄なのですが、実際にも肌色の上に黒い皮膚が覆っており、角度や場合によっては肌色が見えるので、「よくみると肌色が下にある」という効果を狙ったのです。
コウモリが粘土でできるとは思っていなかったので、できたときは嬉しく思いました。
次回の企画展示の3D模型はなんとクジラもあります。写真撮影データをもとにレプリカができるのだそうです。粘土模型は複雑なもの、細長いものは難しいですが、では単純なものが優しいかといえば必ずしもそうではありません。クジラの場合、文字通りずんどうで、短いヒレと尾があるだけで、目もあるやなしやです。その上、色もただ黒いだけです。シャチは見事な白黒模様があるし、シロナガスクジラなどはお腹の部分が薄い色ですが、マッコウクジラは全体が黒です。そうなると、いわば腕の見せ所がありません。今思えば少し体をくねらせたような姿勢にすれば良かったのかもしれませんが、作るときはそういうアイデアはありませんでした。
最後にニスを塗ってツヤをつけました。
ラッコも作りました。模型をどう立たせるか、そのために脚をどう作るかがいつでも問題なのですが、ラッコは仰向けの姿勢が普通なのでその心配はありませんでした。胴体に手足をつけ、頭と尻尾をつけました。つけるというより、全体の円柱を頭と胴のところで細くしたのが頭、胴の先を細くしたのが尻尾です。
形を作って少し線描きをしたところ
形が整ったら絵の具を塗り、その上に色鉛筆で毛を描きました。顔は薄めです。
顔は鼻の両側は薄く、ここには長い毛が生えているのですが、毛穴を描くだけにしました。貝は本物をのせました。
シロサイはシマウマのように模様はありませんから、形そのもので勝負です。脚が太いので安定しており、作りやすさがありました。シマウマの脚には実は割り箸が入っているのです。シロサイでは肩をぐっと盛り上げ、顔を長くしてツノを伸ばします。それで大体オーケーです。最初は大きくバランスを考えます。そこで納得できないと後で修正が効かないからです。体型がバランスよくできていれば、あとは細かいところを丁寧に詰めていけばいいのです。
色をつけましたが、大した違いはないみたいです。目にはプラスチックを入れました。手芸店に行くとぬいぐるみ用の目が色々売っています。
麻布大学いのちの博物館の展示では展示は手作りのものが多くあります。というのは標本は基本的に本物ですが、その解説としてのパネルの文章、そこへの挿絵はできるだけ手描きのイラストにしているからです。現在は写真がいくらでも手に入る時代ですが、それでは味気ないものになりますし、もちろん著作権をクリアするという問題もあります。それに、予算が限られているということもあります。そういうこともありますが、フクロウの展示の時に、石粉粘土でフクロウの模型を作ったら割合好評だったので、その後は楽しみながら、少しずつ粘土模型を作るようにしています。
連休明けに新しい企画展示を始めるので、今回も石粉粘土の動物模型を作っています。
シマウマは形だけではウマと区別がつかないほどです。ただ少し胴体が長いのと、尻尾の付け根の長い毛がない部分が長いようです。
でも色を塗る、というか、シマウマの縞を描きこむとそれらしくなりました。顔から尾までの長さは25cmくらいです。目にはプラスチックを入れたら、輝いて見えて、本物っぽくなりました。