自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

2022年6月を振り返る

2022年06月30日 | その他 others
今月を振り返ります。

6日に姉が永眠。こたえた。
12日 観察会
13日 東大でシカ標本整理
18日 乙女高原で訪花昆虫調査
21日 東大でシカ標本整理
25日 日の出町でオオムラサキ放蝶会
29, 30日 アファンの森で調査

6/2 アサココ「玉川上水の野草たち」5
6/3 「記載的な論文と査読のあり方について」(哺乳類科学)ゲラ校正
6/9 「和歌山県におけるタヌキの体重の季節変化」高槻成紀・鈴木和男(哺乳類科学)ゲラ校正
6/9 「タヌキの体重の季節変化– 冷温帯と暖温帯の比較」高槻成紀・立脇隆文(哺乳類科学)ゲラ校正
6/16 アサココ「玉川上水の野草たち」6
6/17 「都市樹木4種の結実と鳥類による果実利用のタイミング − 東京都小平市での事例 −」修正投稿
6/27 "Impact of ungulates on birch forests in Hustai National Park, Mongolia" by Seiki Takatsuki and Ayano Ohtsu. 修正投稿

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オオムラサキ放蝶会 5 何もしないで

2022年06月29日 | イベント
処分場跡地の自然についてアドバイスを求められた私は
「何もしないでください」
と発言しました。行政からすれば何かをすることが仕事ですから、何もしないでくれと言われると困るのはわかっていました。納得してもらうために説明が必要です。そこでなぜ「何もなしい」ことが必要であるかを説明しました。

 日ノ出町もそうですが、この辺りを含め東京西部は農林業の地帯で、高度成長期の前までは山林で林業、平地で耕作が行われていました。つまり里山が広がっていた訳です。「里山」という一つの景観があるわけではなく、基本には田んぼがあり、畑もあり、雑木林や人工林も、池もある、複合的な植生があるのが里山の景観です。雑木林は、当時は燃料が薪や炭でしたから、繰り返し伐採をして維持してきました。それから忘れてはならないのは茅場です。「茅」というのはススキのことです。当時は農家は茅葺きでしたし、家畜を飼っており、その飼料としてのススキも必要でしたから、入会地として茅場を持っていました。そういう場所にはノウサギがいて、文部省唱歌の「故郷」に歌われるように「ウサギ追いし」場所だったわけです。
 当時と現在の東京の植生調査を比較したデータによると、様々なタイプの森林が減少しています。しかしそういう森林群落以上に減少したのがススキ群落なのです。それはそうです。農家は茅葺きから瓦屋根に変わり、燃料は炭からガスに変わり、農作業は家畜からトラクターに変わったのだから、茅場は無用のものとなりました。こうした農業体系全体の変化の結果、ススキ群落がなくなりました。ススキはありふれた植物なので誰も絶滅危惧とは言いませんが、減少の程度からいえば十分に絶滅危惧種的です。これを復活させることは優れて意味のあることであり、誇るべきこととも言えるでしょう。その価値あることを実現するためには何をすべきか、それが「何もしないこと」というわけです。

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オオムラサキ放蝶会 4 跡地は花畑

2022年06月28日 | イベント
委員会で日の出処分場の現地を訪れることになりました。埋立地は周りを丘陵の雑木林で囲まれており、その下にある平地が埋め立てた跡という説明でした。驚いたことに、そこにはダリアやコスモスが植えられているではありませんか。説明によると日ノ出町で「自然」を回復するために植えたということでした。
 これは時々あることで、自然を好きだということは植物が好きだということで、そこまではいいのですが、問題はその植物が園芸種だということです。桜の花見も同類です。桜の木下で酒盛りをするのを「自然好き」というでしょうか。実際問題、行政で緑地管理というと造園的な管理のことをいうので、公園の管理といえば雑草を刈り取り、ジャノヒゲ やマサキなどを植えることになります。日ノ出町で処分場の後に「自然を戻す」という議論になった時、「専門家」に相談したら、綺麗な花を植えたらということになったのだと思います。
 委員には都市計画の専門家や環境汚染の専門家はいましたが、生物関係は私と昆虫に詳しい先生だけでした。そこで私にアドバイスを求められたので、
「園芸植物は刈り取って、何もしないでください」
とお願いしました。

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オオムラサキ放蝶会 3 仙台での体験と見直したこと

2022年06月27日 | イベント
東京のゴミ処分場の委員を引き受けることになりました。そのときに思い出したことがあります。
 私が仙台に住んでいたときに、東京の業者が不法に廃棄しに宮城県までゴミを運んできたということがあり、問題になりました。当然「自分のところで出たゴミは自分のところで片付けるのが当然だろう」と腹を立てました。その話をすると、アセス会社の人は
「ここでは三多摩のゴミを処理して、上に土をかぶせて、一部はスポーツグランドにし、一部は自然保護のために使うことにしたんです」ということで、その時点で27年間、生き物の変遷をモニタリングしてきたと言って資料を見せてくれました。
 私は仙台での不愉快な印象があったので、この事実を知って見直しました。ゴミ処分場の跡地ですから、文字通り「臭いものにふた」をして舗装して駐車場にでもしても不思議ではないのに、それを有効に使おうとしているというのです。
 それで委員会でいちど現場を見に行こうということになりました。

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オオムラサキ放蝶会 2 委員を引き受ける

2022年06月26日 | イベント
話は20年ほど遡ります。私が東大にいたときに、ある先生を通じて民間のアセス会社を運営する人を紹介されました。話を聞くと東京西部の日ノ出町というところにゴミ処分場があり、そこで生き物の調査も行っているので、その委員になってもらえないかということでした。私はそういう話があるときはいつも前もってお断りをします。
「私は直言型の人間で、言いたいことは言います。そうされて困るのであればやめておいた方がいいです。それでもいいというのであればお引き受けします」
というのはアセス関係の委員会に誘われるときは結論は決まっていて、「委員会」というのは名ばかりで、いわば開発のお墨付きを出す機関であることが多いからです。それでは意味がないばかりか、専門家として社会に迷惑をかけることになりますから断ることにしています。実際にそういう場面があって、「そういうことなら断る」と言ったら担当者がえらく怒ったことがありました。
日ノ出町の場合は「それでいいです。むしろそういう発言をしてもらった方がいいんです」
ということだったので引き受けました。

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オオムラサキ放蝶会 1 放蝶会に参加

2022年06月25日 | イベント
日の出町にや戸沢処分場があります。青梅のすぐ南になります。ここでオオムラサキの放蝶会というイベントがあるというので出かけました。参加者はケースに入ったオオムラサキを手にして、野外に放つという得難い体験をすることができました。


ケースに入ったオオムラサキ

このことにはいろいろと説明が必要です。

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乙女高原のスミレ 3

2022年06月24日 | 植物 plants
乙女高原で自然観察や保全活動を推進している植原彰さんの協力で、調べる内容を考えて記録用紙を作り、6月16日までに171の情報が得られました。このうち14は「なし」という記録なので、実質157ということになります。これを標高と生育地について整理しました。

標高は900 m台から100 m刻みで集計しました。生育地は湿地、草地、林縁、落葉樹林(落葉広葉樹とカラマツ)、常緑樹林(常緑針葉樹林)に分けました。これを種ごとに集計し、記録が5以上であったスミレを取り上げました。

標高
 多くの種は標高1500 mから1700 mレベルで多く、低地でもみられたのはニョイスミレとタチツボスミレでした(図1)。アカネスミレは1700 m台だけとなっていますが、実際にはこれより低いところにも生育すルシ、ニョイスミレとタチツボスミレは1100-1400 mの間で記録がないですが、これも実際には生育することはわかっています。その意味で、この結果は調査した場所の標高に偏りがあることを反映しており、来シーズンは標高による調査頻度をそろえるようにしたいと思います。


図1. 乙女高原一帯でのスミレの標高100 m刻みでの分布。マンジュリカとは狭義の「スミレ」Viola mandshuricaのこと

 生育地については次のような傾向がありました。サクラスミレは草地で多い、アカネスミレ、マンジュリカ(狭義の「スミレ」Viola mandshurica)は草地だけ、エイザンスミレとミヤマスミレ、ヒナスミレは落葉広葉樹りんが多い、タチツボスミレは湿地以外は多くの生育地にある、ニョイスミレは湿地と草地で多い(図2)。


図2. 乙女高原一帯でのスミレの生育地ごとの出現頻度。マンジュリカとは狭義の「スミレ」Viola mandshuricaのこと

結論
こうした結果から次のようなまとめをしました
・記録用紙はやや複雑で記録がしにくかった。
・データの取り方として、乙女高原周辺に集中したため、低標高での実態を捉えることができなかった。
・生育地については種ごとの傾向がある程度把握できた。
・まとまった調査でなくても、野外でスミレを見かけたら報告するようなシステムを工夫し、情報の充実を図るようにしたい。

・今後はこれらの点を反省し、今後の調査を改善したい。

感想
 反省点はいろいろありますが、それでもこの方法でスミレ各種の生育ちに違いがあることが示せそうだという感触は得られました。これは一人ではとてもできないことで、多人数で成果を出すという意味で市民科学の好例だと思っています。

初めに戻る こちら
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乙女高原のスミレ 2

2022年06月23日 | 植物 plants
続いてこれです。


描いてみて改めて思いますが、花の色、葉の形、どれ一つ同じものはありません。特に花の色は限られた色鉛筆で表現するのに苦労しました。もともと紫系ですから赤と青が微妙に混じっています。タチツボなどは水色に近いですが、ヒナはピンク、アケボノはより暖色系のピンクです。これを表現するため画用紙の上で違う色を塗った上で水を含んだ絵筆で混ぜるのですが、それにもコツがあってなかなか大変です。ヒナスミレなどはうまくいったと思います。
 この微妙な違いは色や形だけでなく、暮らしぶりにもあるはずで、そうした微妙な違いが多種の共存を可能にしていると思われます。

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乙女高原のスミレ 1

2022年06月22日 | 植物 plants
乙女高原はスミレが豊富です。今回の調査でもサクラスミレがまだあり、エゾノタチツボスミレも見ることができました。私はぴったりのスミレ・シーズンに行けてないのですが、まめな植原さんが情報発信してくれるのでよくわかります。スミレもあり、関心を持つ人もいるので、スミレの調査をしてはと提案しました。そうしたら熱心な植原さんが早速実行してくれました。それを私の方で整理したので報告しますが、それに関連してスミレのスケッチをしたので紹介します。



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ヒミズの標本

2022年06月21日 | 標本
乙女高原で拾ったヒミズの骨格標本を作りました。こちら

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