自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

12月を振り返る

2019年12月31日 | ごあいさつ Greetings
12月5日 裏高尾に行く
12月6日 タヌキ についてBBCの取材
12月7日 タヒ(モンゴルの野生馬)論文ほぼ完成
12月8日 運転免許証更新
12月11日 東大でシカ標本整理
12月15日 子供観察会
12月18日 東大でシカ標本整理
12月22日 シカの角論文査読結果が戻る
12月23日 津田塾大学で調査
12月24日 高知県のタヌキの胃内容物論文完成
12月25日 神奈川県環境審議会
12月25日 モンゴル家畜食性論文pdf届く
12月26日 東大でシカ標本整理

今年書いた論文など

高槻成紀・山崎 勇・白井 聰一 東京西部の裏高尾のタヌキの食性 – 人為的影響の少ない場所での事例 –. 哺乳類科学, 印刷中

高槻成紀・吉田将崇・武田精一郎・遠藤秀紀. 2019.オスジカ頭骨標本を収蔵するラックの提案. 麻布大学雑誌, 印刷中

高槻成紀・梶谷敏夫. 2019. 丹沢山地のシカの食性 − 長期的に強い採食圧を受けた生息地の事例. 保全生態学研究, 24: 209-220.

高槻成紀. 2019. シカと向き合う. みどりの風, 60(2019冬): 3-5.

Takatsuki, S. and Y. Morinaga. 2020. Food habits of horses, cattle, and sheep-goats and food supply in the forest–steppe zone of Mongolia: A case study in Mogod sum (county) in Bulgan aimag (province) Journal of Arid Environment, 174: 104039.

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12月5日の裏高尾 6

2019年12月31日 | 自然 nature
落ち葉が山道に落ちていました。落ち葉にも新旧があり、その程度の違いがリズム感を生んでいました。





調査を終えて、また車が入れなくなった道を戻りました。高尾の森づくりの会の人が同じ道を歩いておられました。
「帰りの道は元気がいいいねえ」
「そりゃそうさ、飲むのが楽しみだもの」
どうやら、皆さん、山での作業もさることながら、そのあとの「いっぱい」がそれ以上に楽しみのようです。

中央高速に近づいたところでススキの枯れ穂に低くなり始めた太陽が当たってハッとするような輝きを見せていました。



楽しい山行でした。

今年のブログもこれで最後です。この一年、問わず語りにお付き合いいただきまして、ありがとうございました。また明日からも、続けます。よろしくお付き合いください。

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12月5日の裏高尾 5

2019年12月30日 | 自然 nature
さて、この時の目的はシカによるで植物への影響はどの程度だろうということを調べるためでした。春に来た時は、注意深く見ましたが、これという痕跡を見つけることはできませんでした。
「シカの撮影数は増えているけど、植物への影響はまだ出ていない」
というのが結論でした。
 ところが、今回は山道を歩き始めてすぐにアオキの食痕が目につき、明らかな違いがあることがわかりました。場所によってはほとんどのアオキが食べられているという感じでした。







ただ、全体からいえば、半分かそれよりやや少ないくらいだと思えました。

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12月5日の裏高尾 4

2019年12月29日 | 自然 nature


斜面を登って尾根にたどり着き、少し下ると林道に出て、そこからは東京が見渡せました。広がりのあるなかなかいい景色でした。ただ、私にはここに集中する人の生活が思いやられました。高いビルを見ても「ニューヨーク並みの都市になった」とは思えず、土地が狭いから階を重ねるしかない「貧困さ」が思われました。それに、あまりに広い人工林。戦後、落葉樹林を伐採してスギを植えたわけですが、それがどれだけ生物多様性を失わせたことか。
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12月5日の裏高尾 3

2019年12月28日 | 自然 nature
ちょっと珍しいものに気づきました。カンアオイです。



葉がなかなか個性的で、綺麗なハート形をし、模様もあって観葉植物にもなりそうです。その葉の付け根に花をつけるので、のぞいてみたらこの季節なのに花が咲いていました。「花が咲く」と言っても土色で地面にくっつくように咲いているので、普通の人は気づきません。



この花はアリによって受粉するのだと読んだことがあります。

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12月5日の裏高尾 2

2019年12月27日 | 自然 nature
すぐに山道を登り始めました。スギを主体とした針葉樹林でしたが、割合明るく下生えは豊富でした。ヤブコウジやフユイチゴの果実がありました。




ヤブコウジ


フユイチゴ
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12月5日の裏高尾 1

2019年12月26日 | 自然 nature
12月5日に裏高尾に行きました。ここは高尾の森づくりの会の皆さんがよい林を作ろうと活動をしておられます。そのうちの山崎さんが長年、センサーカメラで動物の写真を撮っておられ、私が高尾山のビジターセンターでシカの講演をした時に、そのデータを見せてもらいました。驚いたことに、東京都で調べてきたシカ分布拡大の地図情報と、山崎さんが撮影してこられたシカの撮影枚数が見事に一致していました。そういうこともあって、春に現地を見せてもらいましたが、今回はその続きという意味と、最近急にシカの影響が目立つようになったということで、それも見ることにしました。



立派な小屋というより家があり、ここが活動の基地になっています。

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クリスマスプレゼント

2019年12月25日 | 研究など research
私が高校生くらいになった時、父が話してくれました。
「お前が幼稚園だった頃、うちの煙突は細いからサンタさんが入って来れんと心配顔で言った」と。
 父親になったら、娘が色々質問しました。クリスマスイブの夜
「今、どの辺まできた?」
「うちの住所知ってるの?」
 こういうときは、下手に答えないで、真剣な顔で
「どの辺まで来たかなあ。だいぶ近づいたんじゃないかなあ」
「知っているのかなあ。でもきっと知ってるよ」
と一緒に考えれば、答えになっていなくても子供は納得するものです。
 そして祖父になりました。6歳の孫はサンタさんに読めるようにと手紙を大きな字で書いて、窓に外向けに貼った後、
「サンタさんもたいへんだけど、トナカイもたいへんだから、ニンジンを置いとこう」
と母親にたのんで、そのあとで
「あ、そうだ、トナカイは4匹いるから4本にして」
と言ったそうです。
「クリスマスは真剣勝負」は我が家の伝統になっています。

今年のクリスマスには私にもプレゼントがありました。今年の嬉しいニュースの一つは、モンゴルの論文が受理されたことです。ウマ、ウシ、ヤギヒツジの食べ物を比較した論文をJournal of Arid Environment(乾燥環境学雑誌)に投稿しました。そうしたら「食べ物はわかったが、食物供給がわからないから、動物の選択性は論じられない」として却下されました。ガックリして、諦めかけましたが、動物の資源量を評価するのはそう簡単なことではなく、そういう論文はほとんどありません。特に肉食獣の食物供給量を出すとなると、どれだけ難しいかは想像がつきます。それがわかっていたので書かなかったのですが、逆に言えば、この査読者は事情をよく知らないと思いました。肉食獣に比べれば草食獣の食物、つまり植物量は比較的表現しやすいはずです。私はモンゴルの群落データはたくさん持っています。そして日本と比べて植生が地形とよく対応していることも知っていました。そこで、調査地の地形面積(といっても単純に斜面と平地と湿地の3区分だけ)をだし、その面積と群落ごとの植物量を掛け算して土地全体の植物量を推定しました。存在している量がそのまま食物量ではないのですが、大まかな指標として出したわけです。それで新たにそのデータを入れて再投稿しました。
 どんな厳しいコメントが来るかなと覚悟をしていたのですが、なかなか返事がありません。遅すぎると思って打診をしたら返事がきました。あっさり受理でした。私はあっけにとられました。
 そういうわけで難産だっただけにこの論文が世に出たのは嬉しいことでした。この論文ではモンゴル草原の写真、地形の類型図、グラフに家畜のイラストを描いて入れるなど、自然の描写を楽しむことができたという意味でも嬉しいことでした。


論文の第1ページ


調査地の景観写真


地形類型図


家畜のイラスト


 その論文がクリスマスに届いたのです。ただの偶然かもしれませんが、私には編集者の粋な計らいだと思えました。トナカイにニンジン?お安いものです。でも孫はウマとトナカイと思い違いしたみたいです。いや、いや、大事なのは感謝の気持ち、サンタさん、ありがとう。

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果実をつぶす

2019年12月24日 | 玉川上水
12月15日に子供向けの観察会を行いました。名付けて「木の実、草の実、たねしらべ」、去年も行いました。去年と同じチラシで、日付などだけ変えればいいかなと思っていましたが、担当の棚橋さんは、せっかくだから、できたら違うものにして欲しいと言うことでした。それで、イメージとしては去年の子が少し成長した感じにしようと描きました。できてみると2、3年くらい成長した感じになりました。微妙なものです。





 さて、その日の記録はこちらをいただくこととし、参加者の感想も読んでいただけばだいたいの雰囲気はわかってもらえると思います。ひとつだけ付け加えておきます。

 ヒヨドリジョウゴとマンリョウの果実をつぶして中に入っている種子を見てもらいました。全く違うグループの植物が、全く違う花を咲かせるのですが、そっくりの赤く、直径5−10ミリの球状の実をつけます。これには意味があって、その色と形と大きさであることが、その果実にとって利点があるということです。実際には鳥に食べてもらい、種子散布される確率が高くなるということです。そのために、本来違うものがそっくりになっているわけです。生物学では「収斂」と言います。
 そのことの理解は小学生には難しかったと思いますが、私が期待したのは、実際に自分で果実を潰すという体験をしてもらうことです。ヒヨドリジョウゴの方はジューシーで、つぶすとブチュッとつぶれます。そして中に小さなタネがたくさん入っています。
「53個あった」
と報告した子もいました。一方、マンリョウのほうは果肉部分はあまりなく、大きめの種子が1個だけ入っています。その次にはジャノヒゲで同じことをしてもらいましたが、こちらは果肉が全くありません。
 子供達は「中にどんなタネが入っているかな」と好奇心を持ち、つぶした時の指に残る感触や、匂いなども感じることでしょう。ヒヨドリジョウゴをつぶした子が
「トマトみたい」
と言いました。実際どちらもナス科で、よくみると確かにミニミニのトマトのように見えます。


ヒヨドリジョウゴ


そういう五感で感じる体験をしてもらうことが一番大切だと思っています。



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汚染水

2019年12月23日 | がんこおやじ
問題が複雑になり、説明が込み入ってくると、元々の問題が見えにくくなることがある。

福島電発の処理水を放出するしないが議論されているという。このことはそれほど複雑な話ではない。
2011年に福島でチェルノブイリ・クラスの原発事故が起きた。処理水を公海に流すわけにはいかないから貯めることにした。それは地球倫理からして当然のことである。どのような社会体制の国であろうと、どのような宗教の国であろうと、地球に迷惑になることはしてはいけない。それだけのことであり、処理水放出はすべきではない。

チェルノブイリ事故の時、日本人は「地球に迷惑なことをしてくれた、困ったもんだ」と考えた。今、世界は日本に対してそう考えている。フクシマのことを知って原発をやめた国もある。

2年後に満杯になるからというが、だから垂れ流していい理由になろうはずがない。そんなことは初めから分かっていたことで、そうであれば、貯蔵の方法を考えなければならないことで、放出という選択肢はない。

これから「放出派」は、人体に悪影響のないレベルだとか、あれこれもっともらしい説明をするに違いない。マスコミも議論をそのレベルに持っていこうとするかもしれない。そういう時は、単純に「人としてやっていいことかどうか」を考えれば良い。頑固おやじはそう考える。
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