自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

金華山 5

2021年07月31日 | 標本
スギ林は人工的なものですが、同じ針葉樹でもモミは自然の樹木です。金華山には立派なモミがあり、島野低い方の場所にはまとまったモミ林があります。



ここでも下に生える植物は少なく、キッコウハグマとかセンボンヤリなどの小型の草本が少しだけあるだけです。



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金華山 4

2021年07月30日 | 標本
面積は多くないのですが、金華山にもスギの人工林があります。シカの影響がありながらもなんとかスギを育てようとした時代があったようです。当時は苗木を柵で囲むなどしてある大きさになるまでは守ったものと思われ、今では立派なスギリンになっています。ただスギ林は暗いので下に生える植物は少なく、シカの生息地としてはあまり価値がなく、シカの糞などもあまりありません。






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金華山 3

2021年07月29日 | 標本

 私は1980年に金華山のシカの食性論文を書きましたが、それを調べたのは1975年ですからおよそ半世紀前ということになります。そして去年、同じ方法でシカの食性を調べたら、山のシカの糞の中でススキが大幅に増えていました。そのことを説明するためにススキ群落の記述をする必要がありました。

ススキ群落

 それはうまく行きましたが、金華山は地形が険しいので、山道は急峻です。若い頃はバリバリ登りましたが、今回は結構バテました。というのも東北地方なのに32度もあり、汗が吹き出ました。歳なのだからと自分に言い聞かせ、頻繁に木の下で休んでは給水するように心がけました。
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金華山 2

2021年07月28日 | 標本
私は随分前に金華山のブナ林について論文を書いたことがあります(こちら)。そのポイントはブナは種子を落とし、芽生えは育っているがシカに食べられてしまうために後継ぎがない(天然更新が起きない)ということです。そうするとどうなるかというと、古木が枯れると後継の木がないために、林に穴が空くことになります。これを森林ギャップと言います。森林ギャップができると直射日光が当たるようになるので、ススキなどが入り込んでシカにとって食物が増えます。そのために林は減ってススキが増えることになります。

森林ギャップ、倒木の場合

森林ギャPPU、立木の場合

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金華山 1

2021年07月27日 | 研究など research
宮城県の金華山はよくニュースの天気情報番組などで「金華山沖の・・・」と紹介されるので耳慣れた地名です。私は学生の頃からこの島でシカと植物の関係を研究してきました。大学を辞めてからはあまり行かなくなりましたが、去年の8月にいき、今回1年ぶりに行きました。
ここにはシカがたくさん住んでいるので、島中の植生は影響を受けています。

キンカアザミ

このアザミは元々のダキバヒメアザミというアザミの変種とされ、ゴゲが非常に鋭いタイプです。触るとトゲが刺さるので、気をつけないといけません。そのような種が形態的な変化をするという影響もありますが、種は変わらないで群落の量的な素性が違うという方が一般的です。下の写真はワラビ群落で、ワラビが多いですが、その他にもキンカアザミ、ハンゴンソウ、ダンドボロギクなどシカが食べない植物が多くなった特異な群落になっています。

ワラビ群落

この群落の記述が一つの目的でしたが、やや湿ったところにあるために、飛んだことになりました。調査を終わって一休みして足元を見たら、白い靴下が真っ赤に染まっていました。藪の中をワサワサと歩いていたので気づかなかったのですが、ヤマビルがついて靴下の上から血を吸っていました。ヒルは硬い口で皮膚を切って吸血するので、まあ数だけならいいのですが、その時にヒルジンという血液凝固をさせない酵素を出すらしいのです。そのために出血が止まりません。ティッシュで拭いても拭いても止まらず、しばらく放っておいて血が固まってから拭き取りました。なんとも不愉快な歓迎をされたものです。



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タヌキのフンといのちのつながり 9

2021年07月26日 | 標本
制作が終わったので作品を持って記念撮影をしました。私も自分の描いたものを持っていたら司会の棚橋さんが「これが高槻先生の作品でーす」と言って、皆さんがこちらを見たので照れてしまいました。








最後に「ミニ博士号」を渡して解散としました。








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タヌキのフンといのちのつながり 8 制作

2021年07月25日 | イベント
 今朝回収した糞虫をシャーレに入れて持ってきたので、それを眺める子もいました。

 
いきた糞虫(左)と糞虫を眺める子(右)

顕微鏡を覗く

この後、5つのテーブルに分かれて糞虫とタヌキの糞からの検出物を観察してもらいました。分析を終えたサンプルの検出物を保管しているので、そこからムクノキなどの種子、昆虫の脚など、カエルの足の骨、鳥の足、ポリ袋、輪ゴムなどをみてもらいました。ライト付きのルーペが気に入っていろいろなものを覗いている子がいました。



それから絵を描く制作の時間になりました。私もタヌキの頭骨とオオセンチコガネを描きましたが、夢中になって皆さんの作品はあまり見ないでしまいました。







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タヌキのフンといのちのつながり 7 展示

2021年07月24日 | イベント
これから観察と創作をしてもらいます。観察はタヌキの糞から出てきたものをルーペで見てください。それから糞虫も見てください。
 昆虫標本箱を持ってきました。この中にはダイコクコガネ、オオセンチコガネ、コブマルエンマコガネなどが並んでいます。その他ゾウのフンにくる大きなタイの糞虫なども並んでいます。それから私が作ったコブマルエンマコガネの紙粘土模型もあるので見てください。

糞中の標本

糞虫を見る子

 タヌキの頭の骨(頭骨)と、比較のためにハクビシンとアナグマの頭骨、それとニホンザルの頭骨も持ってきました。

食肉目の頭骨


 この前、普通の鳥はめが顔の横についているが、フクロウは前についている、これはフクトウがネズミの距離を知るために、目をアンテナにして左右の耳で聞くために目が前についているという話をしました。その時、人の目が前についているのはヒトが猿だからと答えた子がいましたが、サルの目が顔の前についているのは枝にジャンプする時、正確な距離がわからないといけないからだと説明しました。そのサルの頭骨を、タヌキの頭骨と見比べてみてください。

頭骨の説明をする

サルの頭骨を説明する
 タヌキの頭骨は意外と細長いですね。タヌキは丸顔ですが、それは長い毛が生えているからで、私は頭骨の周りに粘土をつけてタヌキの顔を作ってみました。これらの標本も見てください。

頭骨に粘土をつけて彩色したタヌキ標本(左)

展示物を見る

こんな感想がありました。


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タヌキのフンといのちのつながり 6 糞虫のワナ

2021年07月23日 | イベント
 実は私はゆうべ近所の林にワナを仕掛けました。そして今朝行ってみたらたくさんのコブマルエンマコガネが来ていました。ワナは小さなバケツのような容器上に割り箸をおいて、お茶パックにイヌのフンを入れてぶら下げたものです。

フン虫のワナ

そうすると匂いを頼りに飛んできて、「ここだ」と思って降りると、容器の底に落ちます。そこに水を入れておるので、飛び立てないで泳いでいるのを捕まえてきましたので、後でみてください。コブマル君のほかにオサムシという虫も3匹きていました。
 タヌキがいてフンをすれば、それを食べ、そして子供を育てる糞虫がいます。つまりタヌキが別の命が生きることを可能にしているということです。こうしてもう一つの命のつながりが生まれています。そして、糞虫がフンを分解してくれるおかげで分が分解されて土に戻っていきます。つまりフン中は自然界でとても重要な役ありを果たしているということです。

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タヌキのフンといのちのつながり 5 糞虫

2021年07月22日 | イベント
 タヌキが生きていれば果実などを食べて必ずウンチをします。動物が生きるということはそういうことです。そのことが種子を運ぶことになるという話をしましたが、同時にそのフンには糞虫が集まります。そしてフンを分解します。

と言って動画を見てもらいました。ピンポン玉ほどの馬糞に5匹のコブマルエンマコガネという糞虫を放ちました。そうしたら1時間ほどしてからフンがパカッと割れ、それからは一気にフンがバラバラになりました。もしこの小さな糞虫が私達くらいの大きさだとすればこのフンはこの部屋くらいの大きさがあるはずです。それを分解するのですからすごいパワーです。

馬糞の球を分解するコブマルエンマコガネの動画のスタート画面
残念ながら動画はアップできません

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