自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

今年もお世話になりました

2017年12月31日 | ごあいさつ Greetings
ことしも暮れようとしています。ふりかえれば私もカミさんも68歳になり、70歳まであと少し、歳をとったものです。体にあちこち小さなトラブルがあるようになりました。やがて大きなトラブルもあるでしょう。それを受け入れる心の準備をしなければいけないと思いながら、なんとなく先送りしています。
 世界中がおだやかならぬものになり、自分中心という主張が大手を振って通るようないやな感じになって、がんこおやじは心が晴れません。独裁者に憤りを覚えながらも、実際にたどり着いた船の粗末さをみると、むしろ民衆の悲惨さが思われます。テレビで北朝鮮の市場が紹介されました。その映像は貧困な少年が食べ物をくすねる映像を紹介していたのですが、その市場に日本にものと同じオオバコが生えていました。隣国です。当然ながら自然はとてもよくにています。人もほぼ同じDNAをもっているはずです。それなのに政治の違いでまったく違う生活をしている。そして、それは「向こう岸」のことでなく80年前のこの国にもあったことです。「この世の片隅で」を観てその思いを強くしました。
 退職して3年目になりました。麻布大学いのちの博物館のお手伝いをしていますが、とても充実しており、大学の外部評価でも高く評価されました。もともと絵が好きなので、展示のパネルの絵を描いたり、展示物を作ったりして楽しんでいます。(たとえばこちら
 地元で玉川上水の自然観察をしたり、調査をしたりしています。その成果が「都会の自然の話を聴く」(彩流社)となって出版されました。よい本になったと思っています。
 日々、コツコツと分析をし、論文を書いています。現役時代もがんばってきたつもりですが、忙しくて時間がとれず、よい研究をしてくれた学生の卒論や修論が未発表のままになているので、それをいま論文にしています。シカだけでなく、タヌキ、テンなどの食性も調べたので、それらを総合した新たな論文も生まれています。以下は今年公表した論文です。

箕輪篤志・下岡ゆき子・高槻成紀,2017.山梨県東部のテンの食性の季節変化と占有率−順位曲線による表現の試み. 哺乳類科学, 57: 1-8. これは帝京科学大学の非常勤講師をしていたときに指導した箕輪君の卒論です。

Endo, Y., H. Takada and S. Takatsuki. 2017. Dietary comparison of three sympatric ungulates on Mt. Asama, central Japan: sika deer, Japanese serow and wild boar. Mammal Study, 42: 131-140. これは麻布大学の遠藤君の卒論です。こちら

高槻成紀. 2017. テンが利用する果実の特徴 -- 総説. 哺乳類科学, 57: 337-347.

高槻成紀, 高橋和弘, 高田隼人,遠藤嘉甫,安本 唯,菅谷圭太,箕輪篤志,宮岡利佐子. 2017. 草食獣と食肉目の糞組成の多様性--集団多様性と個別多様性の比較. 哺乳類科学, 57: 315-321. たくさんの学生の卒論でできました。

高槻成紀. 2017. 「Mammal Study」が産声をあげた頃
哺乳類科学, 57: 135-138

日本哺乳類学会はMammal Studyという英文誌を刊行していますが、これは20年前にスタートしました。この雑誌は今や国際誌となり、質も向上し、たくさんの論文が世界中から寄せられ、きびしい査読を受けるようになりましたが、かつてはそうではありませんでした。最初のときに私が編集委員長をしたのですが、今年20周年を迎えるので、現在の編集委員長が当時の思い出などを書いてほしいということで依頼がありました。思い出しながら当時のようすを書くとともに、古い文献などもひもといて、学会の先人の志なども紹介しました。

講演は以下のとおり

2/5 日本の森林とシカ問題 かながわ森林インストラクター
2/20 A long-term ecological study on ski deer on Kinkazan Island, northern Japan. Bogor Agricultural University, Indonesia.
3/13 昨年の調査結果 アファンの森
5/27 麻布大学いのち博物館のの楽しみかた ユニコムプラザさがみはら
6/30 シカとシバ かわさき市民アカデミー
6/30 シカとササ かわさき市民アカデミー
10/01 フクロウが運んできたもの 麻布大学いのちの博物館セミナー
10/12 シカが奥多摩の森林生態系に及ぼす影響 全国カモシカ会議
11/11 高尾山とシカ、シカが増えたら山はどうなる 高尾山ビジターセンター
11/14 麻布大学いのちの博物館ができるまでとこれから かわさき市民アカデミー
11/19 日本のシカ問題の現状について 丹沢ブナ党
12/21 玉川上水生きもの調べ 自然の話が聞けた 地球永住計画連続講座

この1年間、問わず語りにおつきあいいただきましてありがとうございました。
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ツルボ

2017年12月30日 | 植物 plants
このところ「自然」日誌だかなんだかわからないようなことを書いてきました。これは9月7日のツルボです。暑いときに涼やかな花をつけてくれます。少しまとまった量があり、きれいでした。


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クリスマス会プラス2

2017年12月29日 | 家族
それからごちそうを食べました。とてもおいしいピザがあったので「だれが作ったの?」と娘たちに聞いたつもりが「わたし」と答えたのはあかねちゃんでした。2年生なのに、レシピをみながら作ったというのでびっくり。おかし作りが得意みたいです。
 そしていよいよケーキ。これは長女の作品で、甘み抑えめのとてもおいしいものでした。しゅうくんとじいさんは誕生日のお祝いということにしました。



食べたあとで、恒例のプレゼントの時間になり、各自がもらったあと、私のかつての教え子の人が毎年心のこもったプレゼントを送ってくれるので、その箱を開くことになりました。ひとつひとつが彼女のセンスのよさと、暖かい心がこもっています。箱から出したものをまるいクッションに並べて小さい人から選びました。



 たっくんとだいちゃんにはカプラという積み木のプレゼントだったので、しゅうくんが積み上げて、自分の背丈を越えました。



 このあと、ちょっと目を離したところにこうちゃんが来て触れたので、大崩れ。その音もありましたが、みんなが「あーっ!」と声をあげたものだから、たいへんなことが起きたと感じたこうちゃんが大泣きをしました。お母さんにだっこされてやっと泣き止みました。
 
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クリスマス会プラス

2017年12月28日 | 家族
12月25日にクリスマス会をしました。それと5年生の柊(しゅう)君と私の誕生日が12月なので、そのお祝いも兼ねて集まりました。
 今年は1歳になったこうたくんがデビューしました。この前歩きはじめたかと思っていたら、もう速歩きをするようになりました。それに何もわからないと思っていたら、今は乗り物とボールが大好きなようです。


航大ちゃん

 2歳のだいちゃんはこれまでいつも「一番小さい子」だったので、自分より小さいこうちゃんがいて、ランクアップ気分のようでした。こうちゃんがいるところに行ったのでようすを見ていました。「ぼくのほうが大きい」という気持ちと「小さくてかわいいね」という気持ちがあったようで、そーっとハグしました。こうちゃんはマイペースです。それからだいちゃんはこうちゃんのほっぺにチュをしました。そのとき体全体で愛情を表現して、右足をやさしくおりまげました。


大地ちゃん


だいちゃんがこうちゃんにチュ

 2年生になった紅一点のあかねちゃんはおてんばで友達も男の子が多いらしく、アウトドア派です。


茜ちゃん

 しゅう君は5年生になり、なんだか少年という感じになってきました。友達にも兄弟にもやさしく人気者です。


しゅう君

 りょうた君は中学生、合唱でのピアノの伴奏がすばらしかったのですが、この日もおばさんの家には本物のピアノがあるので(自宅には電子ピアノとかいうのしかない)とても上手に弾いていました。驚いたことに楽譜が読めないのだそうです。「どうしてあんなに複雑で長い曲が弾けるの」と聞いたら、「覚えてる」というのですが、どうにも信じられないことです。そんなことができるもんでしょうか。単純なギターのコードさえ覚えられないじいさんからすれば驚異的なことです。
 声変わりして雰囲気が変わりました。成長はうれしくもありますが、お母さんと声質が似ていてハーモニーがとてもよかったのに、惜しいなあとというような気持ちもあります。


遼大君


 (つづく)
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富士山

2017年12月27日 | 自然 nature
12月19日の夕方、小平市から富士山が見えました。空気が澄んでいて山の端がくっきりと見えました。

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講演

2017年12月26日 | 研究など research
来年の3月17日に動物園に関心のある人が主催する講演することになりました。吉祥寺ですので、興味のある方はご参加ください。こちら



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2017年12月25日 | うた
最近、テレビをみていると紅茶のCMでスピッツの「楓」が流れています。歌がうまい娘ではないのですが、妙に心に伝わってきます。
 ただ、この歌が好きな人にぜひオススメのパフォーマンスがあります。Uruという人が、いつもはソロなのに、この歌のときだけ男声と合わせていて、このハーモニーが絶妙です。こちら


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この世界の片隅に

2017年12月24日 | その他 others
映画を観にいくことはめったになくなりましたが、今日は「この世界の片隅に」を観てきました。
私は鳥取の出身なので、広島のことばはなじみがあり、とてもなつかしく感じました。たとえば「小さい」を「こまい」、「冷たい」を「ひやい」などというのは共通で、ちょっと忘れていたことばです。「たびたび」を「さいさい」というのも同じです。「食べない」を関西では「食べへん」といいますが、中国地方や九州では「食べん」といいます。「してる」を「しとる」というのは関西でも同じですが、それと微妙に違うのが「しよる」で、これは関西ではいわないと思います。「しとる」と同じ状況で使うこともありますが、「している」に近いでしょうか。「しとった」と「しよった」は違います。「しよった」は「する状態があった」、英語の「used to do」かもしれません。それから広島弁でよく知られている「・・・だから」を「だけえ」とか「じゃけえ」といういいかたがありますが、鳥取の因幡地方では「だけえ」といいますが、私が育った伯耆地方では「だけん」といいます。そうして単語をとりあげるだけでもいろいろなつかしさがありますが、それ以上に全体の抑揚やフレーズがなつかしさを感じさせました。
 アニメの絵もとてもよくて、人物が魅力的だし、景色はリアルでタッチが違いましたが、それが違和感なく溶け合っていました。主人公の「すず」の声は「のん」さんでしたが、これがぴったりでした。抑揚もほぼ正確でした。
 「この世界の片隅に」は反戦映画なのですが、戦争が悪いというような露骨なメッセージはなく、市井の平凡な女性の思いがなにげない会話にちりばめられ、じんわりとした感動が伝わってきました。


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アヒムサ

2017年12月23日 | 研究など research
私は麻布大学に7年お世話になりましたが、その前に東京大学にいました。農学部の大学院(農学生命科学研究科)で研究・指導をしていましたが、何人かの留学生がいました。そのうちのひとりにスペインからのアヒムサ・カンポスアルセイスがいました。彼はスリランカでアジアゾウの研究をして博士号をとりました。その後、シンガポール大学にいたあと、今のマレーシアにあるノッチンガム大学に職を得ました。イギリス系の大学です。
 アヒムサはスリランカでゾウを調べていたとき、上野動物園で実験をしました。食べ物の通過速度を調べました。そのデータと、別の研究者がおこなったGPSによるゾウの移動距離を組み合わせて、種子散布の可能性を検討しました。それをEcology誌というアメリカ生態学会の雑誌に書きました。この業績がハイレベルの大学への就職を可能にしたと思います。
 アヒムサは人的魅力があり、人を集めて組織を作れる一種の才能をもっています。それでマレーシアでは「ゾウのアヒムサ」として国中で知られる存在になりました。またアジアの熱帯の野生動物について、学会などでリーダーとなり、よい論文を書いています。それでヨーロッパやブラジルなどの国際学会に招待されて講演をしたりもしています。
 私が麻布大学にいたときに山本志織さんが修士論文でマレーシアにいってゾウの糞分析をし、それはよい論文になりました。
 そのアヒムサが京都大学に招待されて来日したので、品川の駅で会いました。メールでやりとりはしていましたが、やはり直接会っての話は楽しいものです。1時間あまり、あれこれ話しました。

 論文は原稿を出して、査読者にコメントをもらい、受理されるとゲラが届きます。彼は飛行機のなかで最近受理された論文のゲラを読んでいたといってみせてくれましたが、そのなかで山本さんの論文が重要な貢献をしているといってそのゲラを見せてくれました。
 私としてもこういうすばらしい人を指導したと思うと誇らしく思います。


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12月21日の講座

2017年12月22日 | 研究など research
武蔵野美術大学の関野先生が推進しておられる地球永住計画では連続講座として専門家が講義を続けています。私もその講師として呼んでもらって「自然の話が聴けた」と題して、玉川上水の話をしました。そのようすは「玉川上水のいきもの調べ」というブログに紹介しました。講義のあとでギターで「ビリーブ」を歌いました。こちら



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