自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

モモンガ・マット 4

2019年12月05日 | 博物館
それから実際のモモンガの軟骨を見てもらいました。


モモンガの骨格標本で針状軟骨を説明する


モモンガの骨格標本


 最後に簡単に作れるモモンガ・マントの作り方を説明しました。ゴミ袋用のポリ袋を広げて、首の部分に紐をつけ、両端に割り箸をつけます。女子生徒に身につけてもらいましたが、用意したポリ袋が少し小さかったみたいで、窮屈そうでした。


ポリ袋で作ったモモンガマントを身につけた女子生徒


 学校現場では、理科は知識を暗記することになりがちですが、理科のおもしろさ、特に生物学のおもしろさは本物の生き物を見ないと伝わりません。そして楽しみながら学ぶことが大切です。その意味で博物館で本物の標本を見て、こういう工夫で遊びながら学ぶことのきっかけになればよいと思いました。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モモンガ・マット 3

2019年12月04日 | 博物館
「そういうふうに、動物は生活の必要に応じて、さまざまな形を持っているんだけど、今日は特別にモモンガの話をします。モモンガというのは木に登るのが得意な、リスやネズミの仲間です。テンのような動物に食べられることがあるので、急いで木を登って逃げて、高いところまで行ったらそこから飛び降りるんだけど、紙飛行機みたいにふわりと遠くまで飛べるんだ。そういう飛び方を<滑空>と言います。そのために<皮膜>という膜を持っています。前の腕と後ろ足のあいだに毛布のようなものです。


アメリカモモンガの飛翔を写真から描く。手の外側に皮膜を拡大するものがあり、滑空する時反り返る


今日は先生がその皮膜を作ってきたので、ちょっと待っていてください」

と言って一度生徒の前から消えて、麻布(あさぬの)で作った「皮膜」を着用して現れました。


麻布(あさぬの)で作ったモモンガの「皮膜」を示す


 ポイントは手先に割り箸があって、ただでさえ広い皮膜をさらに広くしている点です。実際のモモンガの手そのものはリスなどと違いはありませんが、手の外側に長い軟骨があります。針のように長いので「針状軟骨」と呼ばれます。


モモンガの針状軟骨。下の黄色い部分は写真に描いたもの。


これをわかりやすく描くと下の図のようになります。


針状軟骨の説明


つづく

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モモンガ・マット 2

2019年12月03日 | 博物館
 次に「形」の説明に移りました。壁面にいくつかの動物の前肢が展示してあります。イルカ、コウモリ、モグラなどを取り上げて、同じ前肢が生活の目的によっていかに大きな違いが生じたかを話しました。
「もし先生がコウモリだったら、手の長さはあの壁くらいあるんだよ」
と展示の食べの端を指さしたら歓声が上がりました。サルの親指が他の4本の指と向かい合っているわけ、サルの目が顔の正面についているわけなどを考えてもらいました。
「ヒトはサルだから他のサルと同じように目が左右でなく正面についてるね。なんでだと思う?」
「枝にジャンプするから」
と正解が出ました。
「両方の目で見るから正確にわかるんだよ。片目をつぶって両手の人差し指を伸ばして、だんだん近づけてごらん。結構ぴったり合わないでしょう。でも、両目で見ればだいたいうまくいくね」


立体視の解説をする


つづく
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モモンガ・マット 1

2019年12月02日 | 博物館
 11月1日、麻布大学いのちの博物館に淵野辺小学校の4年生が来ました。小学4年生ではヒトの体の作りを勉強しますが、その関連で動物の体も勉強することになったようです。そこで本館に展示している骨格標本から動物の大きさと形について解説することにしました。骨格標本はそれだけでも興味深いものですが、本当に学ぶべきは、動物の骨にある、生きるための工夫を読み取ることです。大きいことにはどういうプラスとマイナスがあるか。そういう問いかけをして見ることが大切です。
 はじめにゾウとハムスターを比較するコーナーでゾウが3トンほど、ハムスターは30グラムほど、4年生だからだいたい30kgとして、ハムスターに比べてヒトは何倍か、ヒトに比べてゾウは何倍か、そうするとハムスターとゾウは何倍違うかを考えてもらいました。すぐに答えを出す生徒もいました。


ゾウの解説をする


つづく

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あたらしい企画展示

2019年09月26日 | 博物館
申し遅れました。麻布大学いのちの博物館で新しい企画展示をはじめました。こちら



こんなポスターにしました。ぐっと抑制気味の色合いで、色鉛筆というのもアナログで現代風でないところ狙いです。
時間がありましたら、足をお運びください。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

展示準備 ハンズオン

2019年08月20日 | 博物館
今回はケース展示に連動させて、3D模型を触るコーナーを作りました。金属枠にぶら下げることにしました。





あとでうちの孫が来館した時、おもしろがっていました。





コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

展示準備 

2019年08月19日 | 博物館
5月11日にアニマウェルフェアの展示から3Dの展示の入れ替えをしました。
まず、古いものを片付けてからケースに次のパネルを並べます。



それから、展示物を並べます。



粘土模型なども、こうして台に乗せるとなかなかいい感じになりました。



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

展示準備 クルミ

2019年08月15日 | 博物館
リスとクルミのことも展示内容なので、クルミの模型を作りました。実物と比べてみてください。




コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

展示準備 ポスター

2019年08月14日 | 博物館
イラストはパネル解説のために描いたのですが、ポスターを作る段階で、ポスターにも使おうと思い4種を組み合わせてみました。並べてみると、似たような茶色です。背景の色は、これに馴染むものとして、茶色、水色、薄緑などが考えられましたが、動物を描いたのが色鉛筆ということもあり、負けてしまいそうに思われたので、控えめな灰色にしました。ただ、そうすると全体が地味すぎるので、一枚だけ色の楽しみがあるものを入れてアクセントをつけることにしました。それで選んだのは学術的な説明をするための図で、大学博物館の展示なので、こういう説明の図があるのもいいのかなと思いました。その図はオレンジと緑の2つの色3組の組み合わせで9色あります。もっとも3組と言っても同じ色を透明度で3段階に分けたものなので同色の濃さの違いです。だから互いに馴染みがあります。オレンジと緑は黄色で共通しているのでその意味でも馴染みが良いです。
 というわけで、灰色のバックに茶色の動物がいるところに、この図が色を添えた感じになりました。




コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

展示準備 スペシャリスト

2019年08月13日 | 博物館
動物の食べ物の紹介は装飾と肉食の対比が主軸になるが、もう一つの軸がある。それは雑食と関係するが、栄養価の問題というより、植生の幅ということである。コアラがユーカリの葉しか食べないとか、アリクイはアリ(またはシロアリ)しか食べないというように食性が特殊化して他のものを食べない動物がいる。アリクイなどは歯がなく、長い舌をアリの巣の中に突っ込んでベトベトした表面にアリをつけて食べる。アリのトンネルを暴くためにツルハシのような丈夫な爪を持ち、すごい力で地面を掘る。そういう特殊な食べ方をする動物は他にいないから、そこではいわば敵なしの独壇場になれ、食物の取り合いで困るということはない。その点、キツネとタヌキ、あるいはサルでも共通の食べ物が多いから、動物の数が多いとか、食物が限られると取り合いになる。アリクイのような動物をスペシャリスト、タヌキのような動物をジェネラリストという。特殊化した者と、なんでもござれの者ということだ。
 敵なしの方がいいように思える。事実、アリクイの住むところでは我が物顔で暮らしていることがある。だが、もしなんらかの理由でありが置いなくなったら、「では別のものに」ということができないので、丈夫な爪も特殊化した舌も無用の長物となり、アリクイは死んでしまう。その点、タヌキは果実がなければ、昆虫、昆虫がいなければ残飯と、状況に応じて餌を変えることができる。どちらが良いかは簡単には言えないが、環境の変化の激しい20世紀からこちら、スペシャリストには厳しい時代となった。


ミナミコアリクイ

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする