自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

5月を振り返る

2018年05月31日 | ごあいさつ Greetings
5月は主に糞の分析をしました。丹沢英彦山(福岡)若桜(鳥取)のシカ、裏高尾津田塾大のタヌキ、三宅島のイタチが対象です。だから、毎日のように顕微鏡をのぞいていました。
 それから、玉川上水の野草の分布を記録する「花マップ」が去年は馴染みの数人でやっていたのですが、シンポジウムをしてから「私もやりたい」という人が参加されたので一気に30人くらいになりました。その資料が私のところに送られてくるのですが、その整理がなかなか大変です。
 東大の総合研究博物館に残しているシカの標本の整理を始めました。こちら
 もう一つは博物館の展示準備です。麻布大学に越智勇一という偉大な先生がおられたので、この先生の特集を展示することになり、資料集めと越智先生を知る先生にインタビューしました。
 「人間の偏見 動物の言い分」(イースト・プレス)が出版されました。
 そんな5月でした。

5/6 玉川上水観察会
5/8 麻布大学で獣医学科の1年生に講義
5/10 山と渓谷社と「シカ問題」について打ち合わせ
5/11 赤堀麻布大学名誉教授に越智先生のインタビュー
5/12 相模原のユニコムプラザで麻布大学いのちの市民向けの博物館の話をする
5/17 「人間の偏見 動物の言い分」出版
5/20 玉川上水観察会
5/25 小方麻布大学名誉教授に越智先生のインタビュー

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三宅島のイタチ

2018年05月30日 | 研究など research


これは三宅島のイタチの糞から検出されたものの一部です。説明が必要ですね。
もともと三宅島にはイタチはいませんでした。農業被害を出すネズミを退治しようとイタチが導入されました。正確にいうと、専門家は導入してはいけないといったのですが、だれかが密かに導入してしまったのです。他の競争相手がいないので、イタチはどんどん増えて、オカダトカゲというトカゲはいなくなってしまいました。また鳥の卵も食べるのでアカコッコという鳥も激減しました。そういうわけでイタチが生態系に大迷惑を与えてしまいました。その後、2000年に噴火があって、三宅島は別の大被害を受けました。私の研究室にいた学生が2005年から2006年にかけてそのイタチの糞を集めていたのですが、事情があって分析しないまま社会人になりました。退職した私が時間が取れるので、その分析を引き受けたというわけです。
 イタチは基本的に肉食獣ですから、いろいろな動物が出てきます。島の場所によっても違うのですが、写真に示したのはその一部で、植物もそこそこ出ています。初夏にはクワなどの果実も出てきます。昆虫が多いのは予想されるところですが、ムカデが非常に多いのには驚きました。貝殻も出てきました。山で拾ったものなのでカタツムリかなと思います。その他鳥類の羽毛や哺乳類の毛や骨も出てきました。
 タヌキやテンと比べると動物質への依存度が大きいようです。
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ノビル

2018年05月29日 | 植物 plants


ノビルはかわっていて、茎の先に花をつけますが、それが変わっていて、個体にもよりますが、この場合、花はほとんどなくむかごがたくさんついています。果実みたいに見えますが、そうではありません。そのむかごの間から花が出て咲きますが、この写真の場合、蕾が一つあるだけです。茎をちぎるとネギの匂いがします。
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標本整理

2018年05月28日 | 研究など research
大学を定年退職してから3年が経ちました。あっという間でした。割合充実していたと思います。ふと思ったのですが、若い頃の3年に比べて歳をとってからの3年は短く感じます。だからこのままうかうかしていると為すべきことができないまま、体力も知力も衰えて後悔することになるのではないか、と。それで優先順位を考えて重要なものはできるうちにしないといけないと考えました。
 その一つが若い頃から集めてきたシカの標本の整理です。1984年に金華山島で大量死が起きて300近くの標本を作りました。その後、ずっと回収し続けているし、岩手県の標本も数百あります。これらは暫定的な番号をつけたまま、段ボールなどに入れてあります。関係者にはわかりますが、第三者にはわからないので、例えば私が突然死でもしたら、有効利用ができなくなります。
 そう考えて、今年はこの標本が後世に使えるように整理をしようと決意しました。それで大量の標本を残してきた前の職場の東大の総合研究博物館に行って、まず全貌の把握をしてきました。こんなにあります。これをどのくらい時間がかかるかわかりませんが、週1回くらいのペースで整理することにしました。






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ナツグミ

2018年05月27日 | 博物館
津田塾大学のタヌキの糞を見ていますが、4月は果実が全くなく、哺乳類の毛が多く、食糧事情が悪いようでしたが、今月になるとだいぶ様子が変わったようでした。ヤマザクラの種子とナツグミ、クサボケの種子が出てきました。ナツグミの種子はとても特徴的です。


タヌキの糞から出てきたナツグミの種子

実は我が家の猫の額にナツグミがあり、今ちょうど赤い実がなっています。中の種子を見たらぴったりでした。


ナツグミの果実と種子
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読者の感想

2018年05月26日 | ごあいさつ Greetings
2006年に岩波ジュニア新書で「野生動物と共存できるか」を書きました。それに感想が寄せられましたので、いくつか紹介します。



◆ 以前読んだ、同じ著者の「動物を守りたい君へ」がとても良かったのでこちらも子供に読み聞かせしました。同じように良書でした。こちらの方が焦点が絞れているとも言えます。
 とても良いのは総合的だということです。基本的には生き物の話であるわけですが生態学ということで、社会科的な視点が必要になっています。たとえば、スリランカやモンゴルの暮らし、そこの人々の考え方や、ほんの少しだけれど歴史も。この本を読むと、多面的なものの見方をしなければいけないとか、人は社会全体で間違った通念を持ってしまうことがあるといった、とても大切なことが生き物という親しみやすい具体例を通して学べます。「かわいい!」とか「かわいそう!」とか表面的な衝動で終わってはいけなくて、詳しく検討して意見・行動すべきである、ということは知性に本質的なことだと思うんです。
 難易度が、親が適度に解説を加えながら小学生に読んでやるのにちょうどよいです。中学生なら自分で読むのにいいでしょう。
 「ラクダはラクダだが、ホルゴルはラクダではない。」

◆ 生物多様性については、いまだに個人や企業として何をすれば良いのかよく分からないし、十分な理解がないままに「何をすればいいのか?」という答えを出すことに急いだり、アクションリストに先走ってしまう雰囲気になんとなく抵抗感がありました。
そんなモヤモヤしたなか、本書は、「そもそも何が問題なのだろう?」と自問自答させられるような、本質的な問いを投げかけてくれます。
動物は好きだけど、ペットと野生動物は全く違う。何故そもそも野生動物は絶滅しているのか。保全にとって大切なのはどういうバランスなのか。
そもそも人間優越、自然支配、自分たちの当たり前を見直す必要はないだろうか。本当の豊かさとは。

◆ ジュニア向けの本なので非常に分かりやすく、また著者のとても熱い思いが伝わってくる良書です。子供のころこんな本を早く読んでおけば良かった、としみじみ思いました。

◆ ジュニア向けなので平易な文章ですが、野生生物保全に対する本質的な考え方が説かれています。感情的にならない、現実的な対応と人間の愚かな行為に対する厳しい姿勢は好感が持てます。このような考え方が浸透していけば、決して生物多様性の崩壊にブレーキがかかるのですが。また、文化的な背景に触れて野生生物保全の考え方などに説明をしている点も分析的でよいです。日本人の生き物好きは世界でも例がないほどなのですが、近年はどこかに慈悲の心を忘れてしまったのではないでしょうか?急激な人口減少社会となっていくこれから、野生生物との付き合い方も変化していくでしょうから本書を読んで一人一人がこの問題を考えていただきたいですね。

◆ わかったようでわからなかった保全生態学について中高生向けにわかりやすく解説された本。この本を手にした「動物が好き」っていう子の考える「動物」ってなんだろう。フラッグシップ種、バンビちゃん症候群、考えるヒントに出会う若者たちが一人でも多く育ってくれますように。保全研究活動の現場の話が素晴らしくて、紹介される本を全部読みたくなります。ミソサザイのアイヌ神話は多くの示唆に富んでいます。けど、ヒグマやツキノワグマがいなくても別に困らない(いわんやアユモドキをや)って人が日本の大多数だろうなぁ。

◆ たまには難しそうで専門的なものを読みたい、と思い図書館で手に取りました。 保全生態学・・・初めて聞いた。(゜o゜) 全然わからなかったら困るなぁ、と思いながら読み始めましたが、とても分かりやすく書かれており、面白かったです。 アホウドリについては、NHKのテレビでも観ました。テレビでは分からなかった大変なことがたくさんあったんですね。 これを読んで、自然界のバランスはとても微妙で、しかもいろいろなつながりを持っていて複雑なんだということが分かりました。



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玉川上水

2018年05月25日 | 玉川上水
玉川上水30kmを分担して目立つ花を記録する「花マップ」活動をしています。24日に拝島のあたりを歩きました。夏の日差しで日向と日陰で光のコントラストが違い、水が輝いていました。







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裏高尾のタヌキ

2018年05月24日 | 研究など research
裏高尾のタヌキの糞を送ってもらえることになり、分析を始めました。シティータヌキとはかなり様子が違うみたいです。こちら


図 調査地の位置(赤線で囲んだ範囲)


図 裏高尾の小下(こげ)沢のタヌキの糞から検出された種子の占有率(2018年)



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イネ科 4

2018年05月23日 | 植物 plants



左:ヤマカモジグサ、右:オニウシノケグサ
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イネ科 3

2018年05月22日 | 植物 plants

左:トボシガラ、右:ムギクサ
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