お任せ! 数学屋さん (ポプラ文庫 日本文学) | |
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ポプラ社 |
数学をモチーフにした、学園青春小説、「お任せ!数学屋さん」(向井湘吾:ポプラ社)
主人公の天野遥は、数学が大の苦手な中2の少女。どれだけ苦手かと言えば、成績が五段階評価での「2」からあがったことがないというくらいなのだ。ある日、彼女の通う中学校に、神之内宙という、風変わりな少年が転校してきた。彼の夢は、数学で世界を救うことだという。
黙々と数学の本を読んでいるばかりで、一向にクラスにとけ込む様子のない宙だが、ある日、彼の机の横に「数学屋」と書かれた幟が立っていた。「数学屋」とは、数学の力で悩みを解決してくれる、お悩み相談所のようなものらしい。遥は、巻き込まれて宙の手伝いをするようになったのだが、次第に数学に興味がわいてくるとともに、変わり者だけど、不器用で、まっすぐな彼のことが気になってくる。
数学を仲立ちにした、ボーイ・ミーツ・ガール(ガール・ミーツ・ボーイか?)的な小説だが、この手の小説に良くあるように、最後は、切ない別れで終わる。宙が父親の仕事の都合でアメリカに行ってしまうのだ。宙が残した手紙に対して、空港で遥が返した返事。甘酸っぱさの漂う物語ではあるが、二人の物語は、きっとこれだけでは終わらないだろう。そんな余韻が残る話だと思って調べてみると、既に、3巻まで発売されているようである。2巻は、なんと遥が数学屋を引き継ぐ話だそうだ。大丈夫か遥?
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※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。