文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

電力自由化にどう思うかって?

2016-03-31 19:03:50 | オピニオン
 そりゃ、今はブームでどんどん参入しているけど、それほどいい商売じゃないよ。まあ、隣の家の芝生は青く見えるんだろうが。おそらく、10年もすれば、かなり撤退しているんじゃないかな。それが自由市場というもの。こんなことは、電力の黎明期にもあったことだろうに、歴史に学ぶということはないのだろうか。現在高い金で太陽光などを買っているFITなんかもどうなっているかわからないし。結局喜ぶのは、いつも通りお役人だけなんだろうなあ。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ソルコムの株主総会に出席(広島市を歩く143)

2016-03-31 17:06:11 | 旅行:広島県

ソルコム本社ビル


 昨日は、南千田東町というところにある、ソルコムという会社の株主総会に出席してみた。ただし株主といっても、1単元株分しか保有していないので、権利は1口しかない。この会社は東証2部の通信工事会社で、中国地方では大手らしい。広島に本社がある会社というのはあまりないので、話のタネと暇つぶしに出席してみたというわけだ。もうひとつ、よく株主総会に出席するとお土産をくれることがあるという話も聞いたことがあるので、こちらも少し期待していたが、何もなかった。残念(笑)。

 総会は10時に始まり、終わったのが10時40分頃。「えっ!? 株主総会って、こんなに早く終わるの?」という感じだ。始まる前に、他の出席者の話が聞こえてきたが、どうも業務などでつながりがあったりこの会社のOBだったりといった人が多かったようである。私は、もともとこの会社とは何の縁もなかった一般株主なので、ちょっと浮いていたかもしれないが、こういった場で人間観察をするのも、なかなか面白い。

 総会が終わってビルの外に出ると、敷地内に、下の写真のような祠が祀ってあったのには驚いた。さすがに日本の会社である。

ソルコム本社敷地内の祠



 今日郵便受けを見ると、昨日総会があったばかりなのに、もう配当金の証書が届いていた。このマイナス金利時代に、銀行の利子と比べれば、びっくりするくらいの配当だ。願わくは、株価の方ももっと上がってくれればうれしいのだが。


○関連過去記事
白神社(広島市を歩く142)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:女流淫法帖

2016-03-30 20:12:01 | 書評:小説(その他)
女流淫法帖
クリエーター情報なし
二見書房

・睦月 影郎


 「柳生忍法帖」ではありません。「女流淫法帖」です。剣豪小説ではありません。官能小説です。もちろん作者は、山田風太郎ではありません。官能小説界の巨匠、睦月影郎です。

 主人公は、一色恭吾という、高校時代から官能小説家を目指している大学1年生。官能作家たちのオフ会にも参加するという熱心さです。でも官能小説家を目指そうというのに、女性経験はなし。「妄想だけで官能小説を書こうってどうなの」と思わないこともないのですが、恭吾君の年頃は、男子の一生のうちでも、最も妄想力の盛んな時代。案外とうまくいくものなのかもしれません。

 恭吾は、大学で空手部の上級生から難癖をつけられているところを、五色茜という美少女に助けられます。茜は、空手部の猛者を難なくあしらってしまうほどの、忍びの技の達人。ちょっと男子としては情けない出会いなのですが、これがきっかけで、恭吾と茜は付き合うことになるのです。こんなうまい話があるわけはないと思うのですが、そこは官能小説。だから茜の初めてをもらうことになるのは当然の流れなのでしょう。

 ところで、その頃官能小説業界には激震が走っていました。御床番と名乗る謎の官能作家が、ネット上にあらゆるジャンルの官能小説を、それも出来の良いものを無料で公開していたのです。官能小説業界を襲ったフリー革命のインパクトに、業界の重鎮たちは大ピンチ。

 御床番の正体を突き止めるには、彼が指定した5人の性の手練れを相手にして勝たなくてはならないのです。そこで、官能作家とはいえ既に実技の方には自信のなくなった大御所たちが目を付けたのが、若くて元気な恭吾というわけです。

 初戦はあっさり返り討ちにあって後がない恭吾君は、茜から忍びの秘術を伝授してもらうことになるのですが、ここに一つ疑問がわきます。茜は恭吾が初めての相手だったということですが、知識だけでそのような秘術を会得できるものなのでしょうか。やはり実技も相当こなしてないとできないと思うのですが。

 恭吾が授けられた技は、ネバネバ鳥もちの術とリサイクルの術。出したものが鳥もちのようになって、相手の喉を塞ぐというものと、出したものをまた吸い込んでリサイクルして何度も使うというものです。使い道は、想像に任せますが、2つ目は衛生面でも少し問題がありそうですね。一応、使用上の注意として、非正規の場所(後ろの方)では、この技を使ってはいけないことになってはいるのですが。

 茜にさずけられた秘術のおかげで、順調に御床番からの刺客を下していく恭吾ですが、事態は思わぬ方に進んでいきます。この展開ぶりにはびっくりするのではないでしょうか。茜とも驚くような出来事があったのですが、結局はハッピーエンドで収まりました。官能小説の形をとっていますが、かなり変わったボーイミーツガールものとして読むこともできるでしょうか。誰ですか、恭吾になりたいと言っている人は(笑)。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドラマレビュー:浅見光彦シリーズ35 風のなかの櫻香

2016-03-29 11:46:56 | 映画・ドラマ

 TBS系「月曜ゴールデン」の最終回を飾る「浅見光彦シリーズ35 風のなかの櫻香」。速水もこみち版の光彦は、これが4作目となる。なお、「月曜ゴールデン」は、4月から「月曜名作劇場」にリニューアルされるということだ。

 このドラマは、奈良の尼寺「尊宮寺」で育った孤児櫻香(さくらこ)の出生に関係した、親子3代にわたる悲しみの物語を描いたものである。

 「尊宮寺」のモデルは、原作では法隆寺の隣にある「中宮寺」だったが、ドラマの方で使われたのは、東京青梅市の「安楽寺」という寺のようだ。ただ、猿沢の池や興福寺五重塔、平城宮祉なども出ていたので、奈良でも撮影は行われている。

 尊宮寺で、厳しくも大切に育てられた櫻香だが、寺に、「櫻香を出家させるな」という謎の手紙が届く。それまでは平穏に暮らしていた櫻香だが、そのころから彼女の運命は大きな転機を迎えることになる。光彦は取材で尊宮寺を訪れたのだが、母の雪江が寺の慶尊御前と古い知り合いだったことから、櫻香の出生の秘密を調べることになるのだ。

 原作では櫻香は中学生だったが、これではさすがに若すぎる。ヒロインと光彦との絡みも、このシリーズの魅力の一つなのだが、相手が中学生ではただのロリコンになってしまうだろう。そのせいか、ドラマでの櫻香は、年齢が大きく引き上げられ、おそらく女子大生だと思われる設定となっている。ちょと面白い性格の女性のようだが、役を演じる志田未来の好演が光る。

 しかし、櫻香が何度も秋波を送っているのに、にぶちんの光彦は気が付かない。結局櫻香は、得度して尼さんになることになったようだが、光彦はまたしても嫁とりの大きなチャンスを逃したようだ(笑)。

 刑事が光彦をさんざん容疑者扱いして横柄な態度をとっていたのに、刑事局長の弟だと分かると、急に掌を返したようになるシーンはいつもの通り。今回は、光彦が所轄で容疑者扱いされているときに、洋一郎が、そこの署長が同期だということで現れるのだが、陽一郎は刑事局長で階級は警視官、所轄の署長だと階級は警視正か警視であり、これが同期ということがあるのだろうかと疑問に思った。

○原作:内田康夫「風のなかの櫻香」
風のなかの櫻香 (徳間文庫)
クリエーター情報なし
徳間書店



○出演
・速水もこみち(浅見光彦)
・佐久間良子(浅見雪江)
・風間杜夫(浅見陽一郎)
・志田未来(櫻香)
・石野真子(七原聖子)
・前田吟(荒井元博)ほか

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。





コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:探偵の鑑定Ⅰ

2016-03-28 08:11:08 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

探偵の鑑定I (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

・松岡圭祐

 「万能鑑定士Q」シリーズのヒロイン凜田莉子と「探偵」シリーズのヒロイン沙崎玲奈がまさかの競演。帯によれば、この作品が両シリーズの完結編になるらしい。

 玲奈は、妹の敵である「死神」を倒し、古巣のスマ・リサーチに戻っていた。顔に傷を見かけることもなくなり、相変わらず対探偵課としての活動は行っていたものの、それなりに落ち着いているようだ。峰森琴葉との関係も、以前のように相互依存の関係ではなく、友達としての信頼関係を築いている。

 ところがなんと莉子が探偵業界から目を付けられてしまう。鑑定業を隠れ蓑にして、許可もなく不当に探偵業を営んでいるのではないかと。週刊角川の記者で莉子の彼氏の小笠原悠斗もそれに手を貸しているというのだ。そこで調査をすることになったのが玲奈という訳だ。

 ところが莉子が偽警官に襲われたところを玲奈が助けたことから二人の世界が交わってくる。そのころ世間では穴のあいたパーキンのバッグを使って大金をだまし取る詐欺が頻発していた。莉子が、そのパーキンの鑑定を依頼されたことに関係がありそうだ。裏には暴力団獅靭会の影がちらつく。「トランプ」という言葉に何か秘密があるらしい。

 莉子と玲奈、二人の住む世界はあまりにも違いすぎている。時に犯罪者を相手にすることはあっても、どこまでも優しく、人を信じようとする莉子。これに対して、玲奈が生きるのは、バイオレンスの世界。信じれば足元をすくわれかねないのである。松岡作品のヒロインの光と影を代表するこの二人のヒロインのコラボはいったどうなっていくのか。

 玲奈はけっして莉子の世界の住人にはなれない。二人がコラボするとなれば、いやおうなく莉子が玲奈の世界に足を踏み入れざるを得ない。作品もその方向で進んでいき、驚くような展開となっていく。それは莉子だけでなく小笠原の運命も大きく変えることになるのだ。

 「水鏡推理」のヒロイン水鏡瑞希が、学生時代アルバイトをしていた探偵社の話も少しだけだが出ているので、松岡ファンならいろいろと楽しめるだろう。しかし、莉子の強い味方である雨森華蓮や「特等添乗員α」シリーズの浅倉絢奈は出てこなかったが、果たして2巻ではどうなっているのだろうか。

☆☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:ゆりてつ 3

2016-03-26 09:59:02 | 書評:その他
ゆりてつ(3) (サンデーGXコミックス)
クリエーター情報なし
小学館

・松山せいじ

 とってもかわいらしいテツの女子高生たちが繰り広げる鉄道漫画の3巻目。百合ケ咲女子高校鉄道部の部長日野はつねと部員の能登まみこ(撮りテツ)、石塚まろん(食べテツ)、鶴見はくつる(乗りテツ+オタク)、そして顧問の滝沢このみ(模型テツ)といった面々が、鉄道の魅力を紹介するというものだ。

 この巻では、アルバイトを終えたはつねが、ゆりてつの仲間たちに、なんと夜行寝台「サンライズ出雲」でいきなり出雲方面に連れていかれてしまう。遅まきながらも、はつねの誕生祝いのサプライズだったようだが、サプライズすぎる(笑)。女子の場合、着替えは大丈夫かと思ったが、どうも現地調達したようだ。

 ところで、今回は、豪華なゲストがたくさん登場している。まずは、まみこをテツの道に引きずりこんだ張本人、前作「鉄娘な三姉妹」の主人公、美章、美唄、ビンゴの3人と備後落合駅での再会だ。美唄はあまり変わっていないが、美章は、ロングヘアとスリット入りロングスカートという格好から、ショートヘアにホットパンツと色々短くなっている。ビンゴに至っては、すっかり成長しており、背丈もまみこより高そうだ。

 3姉妹がヘンな人たちというのは相変わらずのようだが、思い出の余部で、前作に出てきた人たちが集合して同窓会。前作を知っている人には懐かしいキャラが勢揃いである。でも、はつねは、まみこが他の人たちと楽しそうにしているのを見てちょっと胸が痛かったようだ。

 相変わらず、ゆりてつ部員の3人(+顧問の先生)が、はつねをとりあってわいわいやっているのだが、それがなんとも微笑ましい。もちろん部員たちは仲が悪い訳ではない。お互いにかけがえのない友達と思っているのだが、はつねのことになると見境がないのである。はつねは、「女の子どうしでも恥ずかしいです」と顔をあからめるのだが、それがとっても可愛らしい。

☆☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:幕が上がる

2016-03-24 07:57:55 | 書評:小説(その他)
幕が上がる (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

・平田オリザ

 劇作家、演出家として有名な平田オリザ氏だが、小説としてはこの作品が処女作だ。昨年、本広克之監督、ももクロ主演で映画化もされているので、そちらの方でご存知の方も多いだろう。一言でいえば、高校演劇にかける生徒たちの青春の記録とでもいうのだろうか。

 語り手は、地区大会も突破できない弱小演劇部の部長になった、高橋さおりという女子高生。高校演劇は、まず地区大会があり、次に県大会、ブロック大会と続き最後に全国大会が行われる。だから当初の演劇部の目標は「地区大会突破、県大会出場!」。

 ところが新たに演劇部の副顧問となった元大学演劇の女王・吉岡先生に<「何だ、小っちゃいな、目標」「行こうよ、全国大会」>(p35)と言われたことがきっかけで、演劇部の面々は大きな目標に向かって歩み始める。

 最初は弱小演劇部だったが、演劇部の皆が少しづつ成長しながら、自分たちの演劇を作り上げ、ステップを一段一段登っていく姿が生き生きと描かれている。そしてそれがそのまま、どのようにして演劇を作り上げていくのかという過程がわかるようにもなっているのだ。青春小説ながら、演劇のテキストとしても読めるのである。この辺りはいかにもこの道に精通している作者らしいといえよう。

 また、本作を読むと、高校の演劇部というものがどのような活動をしているか、演劇大会の仕組みがどうなっているのかが分かって興味深い。

☆☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか

2016-03-22 10:01:32 | 書評:ビジネス
10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか
クリエーター情報なし
ダイヤモンド社

・ジョン・スヴィオクラ/ミッチ・コーエン  (訳) 高橋 璃子

 本書に書かれているのは、自力かつ公正な手段で10億ドル稼いだ世界のビリオネア600人のうち120人を調査して見つけ出した成功の法則だ。まず述べられているのは、一般の人がビリオネアに対して持っていると思われる次のようなイメージは、すべて誤解であるということである。
・若くして成功した
・IT長者である
・ブルー・オーシャンの開拓者
・一発当てた人
・モラルが低い
・一夜にして成功をおさめた
・天賦の才能に恵まれている

 それでは、いったいどのような人が成功を収めているのか。著者は、ビリオネアになった人たちの共通点は、その人の「マインド」にあるという。そしてそのビリオネアマインドを次のような5つの視点から探っていく。
・共感力と想像力で未来を描く
・最速で動き、ゆっくり待つ
・創造的にルーチンワークをこなす
・現在の金銭的損失よりも将来の機会損失を恐れる
・自分とは正反対の人を仲間にする

 本書は、これらについて、それぞれ1章を割き、豊富な実例を挙げて解説している。これらのマインドは、特別な人でなくても、習慣と継続で身に着けることができるものだというのだから、誰でもビリオネアになれるチャンスがあるのだ。

 書かれていることは、新しいビジネスで成功したいと考えている人には、大いに役立つものと思う。しかし、これらの事例をそのまま真似しても、所詮は2匹目のドジョウだ。真似をしてもいいのは、その心の部分だけであることは、言うまでも無いだろう。

 世界のビリオネアたちが、どのようにアイデアを思い付きビジネスに繋げていったかを知ることは、とても面白く有益でもある。ビジネスの立ち上げを考えている人は一読してみるといいだろう。きっと何かヒントが見つかるに違いない。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:耳袋秘帖 木場豪商殺人事件

2016-03-20 10:40:12 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
木場豪商殺人事件―耳袋秘帖 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋

・風野真知雄

 還暦を過ぎても元気いっぱい、元祖入墨奉行の根岸肥前守が大活躍するお江戸ミステリーシリーズの中の一冊。このシリーズにはいろいろと奇妙なものが登場するが、今回まず登場するのが、日本橋の金物屋の隠居が住んでいた深川の屋敷。ここでは、1年前に隠居が首の骨を折って死んでいたのであるが、今回調べてみると、なんとも奇妙キテレツなからくり屋敷だったのだ。

 その屋敷を建てたのは、最近のしあがってきた材木問屋の日野屋。ところが、主人の尚之助が殺され、双子の弟喬之助が現れる。タイトルからも分かるように、これが今回の背骨となる話だ。根岸が辿り着いたのは驚きの真相。双子の兄弟の憎しみと絆のアンビバレントな感情。悪人ではあったが、哀しい人生を送ってきた男の物語だった。

 このシリーズは、本筋の話の周りに小ネタ的な面白い話をちりばめているのが特徴だが、今回は怪力女の話、火事に効く薬、火太郎丸の話、仏像を盗もうとして死んだふりをした男の話、橋が一晩で丸木橋に変わった話などが織り込まれてなかなか面白い物語に仕上がっている。

 そしてもう一つ。根岸の家来の坂巻が女手妻師河馬ノ介(名前は先代のものを襲名しているためヘンだが、美人という設定)に好かれたようなのに、好きな女がいることを女の勘で気付かれて、この件はあっさり終了。坂巻、逃がした魚は大きかったかも(笑)。

 ところで、この巻ではついに同心栗田の妻・雪乃が、双子の女の子を出産。これは、双子に関係する事件があったので、ここに持ってきたんだろうなあ。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ、「風竜胆の書評」に掲載したものです。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

H28年度1学期の放送大学教材到着

2016-03-19 18:41:27 | 放送大学関係


 しばらく所用で家を空けていたが、帰ってみると、放送大学からH28年度1学期の教材が届いていた。といっても今回新たに履修した放送授業は、「上田秋成の文学」1科目だ。これと、先学期の積み残しの「量子と統計の物理(’15)」の2科目+面接授業の「いろイロな色の話」が1学期に勉強する科目だ。

 上田秋成は、「雨月物語」などで有名な江戸時代の文人である。「雨月物語」は依然読んだことがあるので、私が書いたレビューを下にリンクしておこう。

「雨月物語」(「風竜胆の書評」に掲載)
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする