文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

いけない!ルナ先生

2017-02-19 10:51:13 | 書評:その他
いけない!ルナ先生(1) (週刊少年マガジンコミックス)
クリエーター情報なし
講談社

・上村純子

 私らの世代でエッチな漫画といったら、まず思い浮かべるのは、永井豪の「ハレンチ学園」だろう。もちろんエロ漫画雑誌は別にして、普通の少年がアクセスできる作品としてはなんとも斬新だった。スカートめくりの流行の元凶としてお堅いPTAや教育委員会からやり玉に挙げられ、社会問題になっていたことを記憶している。

 しかし、この作品を読んでぶっ飛んだ(笑)。これはもっと上を行くかもしれない。1986年から1988年にかけて「月刊少年マガジン」に連載されていた作品だという。主人公は神谷わたるという父と二人暮らしをしている中学二年生。父親が海外赴任することになったので、わたるの世話をしてもらうために、下宿人を入れることにした。やってきたのは葉月ルナという女子大二年生。美人でナイスバディ、わたるの通う塾の先生もしている。

 わたるの母親が亡くなっていることを聞いて、しっかり面倒をみると父親と約束するルナ先生だが、その面倒のみ方が、ちょっと世間一般とはずれている。

 わたるが風呂嫌いで、周りからクサいと言われているのを見たルナ先生、いじめられて自殺でもしたら大変とばかりいっしょに風呂に入ろうと誘って、あんなところやこんなところと、いろいろなところを洗いっこ。

 分数を教えるのだって、着用中のブラとショーツの升目を塗らせて教え、答えはおっぱいの下に書いてあるからと持ち上げて確かめさせる。

 わたるが新年会の劇で女装することになったと聞けば、下着の付け方を教えるからと、自分をモデルに着せかたを手ほどき。ブラをつけるさいには、しっかりつかんでカップの中にと、わたるに自分の胸を掴ませて、やらせてみるのである。

 だから、乳揉みや、股間に顔をうずめたりするのは当たり前。いや、なんともうらやましい(笑)。わたるも小学生ではなく中二である。こんなことをしていれば、勢いで大人の階段を一気に駆け上がっても不思議はないのだが、そこはこれでも一応少年漫画だからそんなことはない。わたる君、いろいろ喜んでいるが、ずっと階段の下で足踏み状態。

 絵がギャグ漫画よりなので、内容の割にはエロさを感じられないのだが、もしこれを今時の美少女を描くのが得意な漫画家が描いたらドエロ漫画になるだろう。

☆☆☆☆☆

※初出は「風竜胆の書評」です。

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魔法騎士レイアース

2017-02-19 10:47:10 | 書評:その他
魔法騎士レイアース 新装版全3巻 完結セット
クリエーター情報なし
講談社

・CLAMP

 この作品は、講談社の月間漫画雑誌「なかよし」に、1993年から1996年にかけて連載されていたものだ。あの伝説の「セーラームーン」と連載が重なっていたこともあって少しかすんでしまった観もあるかもしれないが、私はこちらの方が好きだった。

 最初の舞台は、1993年の東京。まだスカイツリーなど影も形もなく、東京タワーが東京のランドマークとしての存在感があったころだ。同じ時に、東京タワーに集った獅堂光、龍崎海、鳳凰寺風の3人の少女。学校も違い、それまで面識もなかった彼女たちは、突然異世界「セフィーロ」に召喚される。

 彼女たちを召還したのは、「柱」として、祈りの力でセフィーロを支えてきたエメロード姫。ところが、姫が神官ザガードに幽閉されたために、セフィーロは今滅亡の危機に瀕しているというのだ。彼女たちが元の世界に戻るためには、ザガードを倒して、姫を救い出すしかない。

 セフィーロでは、「意思の強さ」がすべてを決める。エメロード姫の願いに応えて、セフィーロを救うためには、強い意志の力が必要だ。セフィーロで、様々な試練を乗り越えて、成長していく3人は、ザガードと戦うために3体の「魔神」を復活させた。しかし、それはセフィーロにとっては希望であると共に、悲しみの幕開けでもあったのだ。最後に待っていたのは驚きの結末。

 なぜ、エメロード姫は異世界から伝説の魔法騎士たちを召還しなければならなかったのか。姫の本当の願いは何だったのか。それらは、読者の予想を遥かに超えるものだった。彼女たちが姫の願いに応えて、セフィーロを救おうとすることにより、その「意思の力」も成長していった。しかしそれこそが、彼女たちに、大きな悲しみをもたらすことにもなったのである。そのようなアイロニーに満ちた物語は、とても小中学生向けの漫画とは思えない。

 ヒロインたちの設定は高校生くらいにしてもよかったと思うが、中学2年生にしたというのは、連載誌の購読層が小中学生の女子ということを意識してのものだったのだろうか。それとも中学生くらいの方が、成長というこのテーマの一つに対して、よりふさわしかったからだろうか。アニメにもなり、結構男子層のマニア心をくすぐっただろうこの作品だが、さすがに男子にとっては、「なかよし」を買うのはハードルが高かったろう。今だったら「戦闘派美少女」ものとして少年誌に連載されてもおかしくない作品だと思う。(そういえば昔は少女が主人公のものって、あまり少年誌にはなかったような・・・)

☆☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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地理 2017年2月号

2017-02-19 10:43:48 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
地理 2017年 02 月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
古今書院


 今月号の特集は、「都市は暑くなっている?」というものだ。今地球全体が温まっている「地球温暖化」が世界的な問題となっているが、都市の場合には、これに加えて「ヒートアイランド現象」というもうひとつの問題がある。皆さんは、田舎と都会では、都会の方が熱いという実感はないだろうか。これはヒートアイランド現象のためである。

 都市と田舎との違いは、全体がコンクリートで覆われているかどうかということと、そこに住む人口の違いにより、活動によって生み出される熱に大きな差があるということだろう。コンクリートは、自然物に比べて熱を多く貯め込み、水分の蒸発も少ないので、水の潜熱(水が気化するために必要なエネルギー)という形で消費されるエネルギーも少なくなる。人口も多いので、電気、ガス、自動車などから生み出される熱エネルギーも田舎とは段違いだ。

 また、さすがにここまでは書かれていないが、人間は100W電球と同じだけの熱を発生していると言われる。つまり100万都市の場合には、1kWの電熱器が10万台も置いてあることになるのである。

 この特集は、ヒートアイランド現象を、都市の空間スケールごとの特徴、都市の気温データの信頼性・均質性に影響する因子、気圧の日変化、気候を活かしたまちづくりといった様々な観点から解説したものである。その内容は、とても高校までに学ばされてきた地理と同じレンジ内にあるものとは思えない。 

 それもそのはず。今回の特集の著者で出自が明記してある人は、すべて理工系である。つまり、地理というのは、文系の学問に収まりきるものではないのだ。私は、現在のように、地理を社会の一科目として教えていることが、地理嫌いを増やしている一因ではないかと思っている。地理は、社会と理科などにまたがった学際的な科目として再編成している必要があるのではないだろうか。

☆☆☆☆

※初出は「本が好き!」です。

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お金持ちのための最強の相続

2017-02-11 10:48:18 | 書評:その他
お金持ちのための最強の相続
クリエーター情報なし
実務教育出版

・田中誠

 皆さんは、相続税の基礎控除額が2015年1月1日から縮小されているのをご存じだろうか。それまでは、5000万円+法定相続人の数×1000万円までは相続税はかからなかった。ところが新制度ではこれが3000万円+法定相続人の数×600万円となっている。つまりそれまでは税金を払わなくても良かった人が沢山納税対象になってくるのである。

 本書の主張は、相続とは相続する人とされる人とのチームワークであり、スムーズな相続を行うためには、戦略的に動いていかなければならないということだろう。つまり相続とは、駅伝においてタスキを次の走者に渡すようなものだというのだ。

 しかし、税制というのは複雑なものだ。おまけにしょっちゅう変更されている。相続というのは、普通の人はそう何回も経験するものではないということもあり、なかなか敷居が高いものだろう。おまけに本書によれば、肝心の税理士にも、相続関係についてはそれほど詳しくはないものも結構いるらしいから困ってしまう。

 ただ、制度の内容を知っているかどうかで、収めるべき相続税がかなり変わってくるようだ。私のような一般庶民から見ると、税金に詳しくないものからむしり取るような感じで、今の制度って本当に合理的なのかどうかという疑問が湧いてくるのだが。

 我が家は、決してタイトルにあるような「お金持ち」ではないため、それほど考える必要はないのかもしれないが、本書の内容程度は、いざというときのために知っておいても損はないかもしれない。

☆☆☆☆

※初出は「本が好き!」です。

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絶対正義

2017-02-08 11:11:12 | 小説(ミステリー・ホラー)
絶対正義
クリエーター情報なし
幻冬舎

・秋吉理香子

 これは相当嫌な気分になる作品だ。主な登場人物は、山梨の公立高校での同級生だった、高槻範子と和樹、由美子、理穂、麗香の5人。和樹たち4人は、5年前に皆で範子を殺していた。ところが今になって、4人の元に、死んだはずの範子からパーティの招待状が届いたのである。確かにあの時、範子は死んでいたはず。ならば、誰が招待状を出したのか。

 作品を読み進むにつれて、4人が範子を殺したいくらい嫌っていた理由が明らかになってくる。とにかく、この範子というのがとんでもない女だ。10m以内周りには絶対に近づいて欲しくないような嫌なキャラなのである。

 範子は、自分が正義と思い込んでいるもののために、周りの人間のあら探しを徹底的に行い糾弾する。彼女の基準は、規則と機械的に比べてみてどうかということだけ。そこから1mmでもはみ出していると許せないのである。その背景や実情、規則の合理性などは、いっさい考えない。そして、ちょっとしたことを、さも重大な事のように騒ぎ立て、大問題に発展させるのだ。

 その執拗さはほとんどビョーキといっていいほど。4人はそれに助けられたこともあったが、それ以上に深刻な被害を受けていた。しかし、形式上は正論のため、なかなか反論できない。

そもそも規則というものは、さまざまな人間の利害関係を調整するのが目的ではないのか。当然そこには人間の感情というものが入ってくる。しかし範子はそういったことを全く理解しようとはしない。自分勝手な正義に酔いしれているのだ。

 実際の裁判の場でも、情状酌量というものがあるし、刑法の刑罰もそれを考慮してある程度の幅を持たせている。範子には、きっと大岡越前の名裁きなんて、絶対に理解できないことだろう。

 作品の終わり方も、ただ嫌な気持ちだけが残るようなものだ。しかし、ここまでではなくとも、似たような人間は案外といるような気がする。ご用心、ご用心!

☆☆☆☆

※初出は「本が好き!」です。

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