文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

イナカ川柳 農作業 しなくてよいは ウソだった

2017-07-24 12:37:23 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
イナカ川柳 農作業 しなくてよいは ウソだった
クリエーター情報なし
文藝春秋

・TV Bros.編集部

 本書は、TV Bros.というテレビ情報誌の投稿企画に10年に渡り連載されたものから約400句を精選して取りまとめたものだ。田舎育ちの私としては、「あるある」とつい頷いてしまうような愉快な句が多い。その中から特に気に入ったものを紹介してみよう。

「農作業 しなくてよいは ウソだった」(表紙)

 これは、表紙に掲載されているものだが、ダンナが田舎出身だとこのようなことがあるんだよね。田舎は嫁不足だから、結婚するときには「農作業なんてしなくてよい」なんてうまいことを言われるが、結婚してしまうと「釣った魚にはエサはやらない」とばかりに、180度手のひら返し。農業というのは労働集約的な仕事なので、結局は手伝う羽目になってしまう。

 もっとも日本の女性の方だって、そんな甘言に釣られたりしない。だから、

「気が付けば隣の嫁は外国人」(p53)

などということになってしまうのさ。

 しかし、田舎の人は逞しい。次の句のようなことも珍しくはないだろう。

「ヘビが出た。近所のじじいが酒にした」(p48)

ただヘビといっても青大将とかシマヘビを酒に漬けたという話はあまり聞かない。漬けるなら、なんといっても毒ヘビに限るということで、やはり沖縄ならハブ、それ以外ならマムシといったところだろうか。そういえば、昔仕事で、交通機関もろくにないような場所にタクシーで行った際に、ドライバーさんが(まだ若かったように記憶しているが)、盛んにマムシの焼酎付けの自慢をしていたのを思い出した。なんでも、水虫にはよく効くとか・・・。

 収められている川柳はどれも、田舎の不便さを開き直り、それをユーモアに変えている。田舎育ちの人はもちろん共感できるようなことばかりだろうし、都会育ちの人も田舎というワンダーランドの様子を楽しんで欲しい。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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「認知神経科学」の単位認定試験

2017-07-23 19:21:40 | 放送大学関係
認知神経科学 (放送大学教材)
クリエーター情報なし
放送大学教育振興会


 今日は、放送大学で「認知神経科学」の単位認定試験を受験してきた。本来は先学期に受験すべきものだが、いろいろとあたふたしていたので、受験することができず、今学期回しになってしまった。

 この科目の試験は、放送大学にしては珍しく記述式(ただしテキスト等の持ち込み可)だ。だから、面倒くさいというのが先に立ってどうしようかとも思ったのだが、流しては学費がもったいないので、重い腰を上げて受けに行ってきた。800字以内という制限があり、一応回答用紙には、上と下に文字数が書いてはあるのだが、頁の真ん中辺りになると、これが何文字目かさっぱりわからず、もう適当に書き散らかしたという感じである。

 心理学系の科目という事もあって、女性比率がものすごく高めの教室だった。女性比率が高いとちょっと困ったことがある。部屋が暑いのだ。男と女では筋肉量が違うので、一般的に女性の方が寒がりだ。だから部屋の温度は少し高めになる。これが発熱量の多い男にとっては、ちょっと辛い。さっさと回答を仕上げて、試験開始から35分くらいで解答を提出して、部屋から出てきた。

 さて、次は「認知行動療法」の試験だが、何かと忙しく、ほとんど勉強してないし、どうしようかなあ。ところで、昔高校を卒業して、大学に入った時には、今とは比較にならないくらい沢山の科目を履修していたのだが、今考えるとよくそれだけやれたなあと、不思議である。
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現代魔女の就職事情(1)

2017-07-22 08:47:37 | 書評:その他
現代魔女の就職事情 (1) (電撃コミックスNEXT)
クリエーター情報なし
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

・(絵)はま、(原作)相沢沙呼

 最近、相沢沙呼さんの作品が気になってよく読んでいる。これは小説ではないが、原作が相沢さんということなので、入手してみた。

 ヒロインは玉城禰子という15歳の魔女。魔女は、しきたりとして、15歳になると、1年間見知らぬ街に修行に出なければならない。しかし本人はさっさと修行を終わらせて、高校に進学し、青春を謳歌したいと望んでいるようだ。これはそんな禰子がたどり着いた街で繰り広げる笑いと涙の幕開けの物語である。

 この禰子ちゃん、表紙イラストのように、なかなか可愛らしい容姿なのだが、実は結構ダメダメ魔女だ。街に着いたとたんに財布はなくすし、高所恐怖症で箒に乗って飛んでいても、下を向いたとたんに墜落するし、魔法の腕もいまひとつといったところだ。

 だけど、そんなところが、オジサンの保護本能を刺激するのかもしれない。俗に「出来の悪い子ほど可愛い」というが、まさにその心境(笑)この話は、そんなダメっ娘魔女が、繰り広げる、楽しい物語のようだ。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。
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Newton(ニュートン) 2017年 08 月号

2017-07-20 08:41:08 | 書評:その他
Newton(ニュートン) 2017年 08 月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
ニュートン・プレス


 所用で山口市に行った際に立ち寄った書店で見かけた本書。この号の特集は、書影にもある通り、「素数の神秘」だ。素数とは、2以上の整数の中で、1と自分自身でしか割り切れないような数だ。この素数の性質はまだまだ十分に解明されているとはいえないようだ。この素数は、実は私たちの知らないところで大きく役立っている。ネットの世界では欠かすことのできない暗号化技術。それには素数の性質が大きく役立っているのだ。

 とは言っても、私自身それだけ素数に興味があったわけではない。興味を引かれたのは、同じく表紙に記載されている「誤解だらけのE=mc^2」の方である。E=mc^2とは、もちろんアインシュタインの特殊相対性理論から導かれる、エネルギーと質量の等価則である。私もこの辺りは、ある程度理解しているつもりだったのだが、もしかすると何か誤解をと思い、一応読んでみたが、そう誤解しているところもなさそうなので、ほっとした次第だ(笑)。

 この他短い記事だが、「重力波、史上三度目の検出に成功」とか「テントウムシの後ろばねのくわしい収納法が明らかに」など興味深い内容のものも多い。ただ、この手の雑誌を見ていつも思うのだが、値段が高すぎる。この国の科学リテラシーの現状を見れば、売れないのでどうしても値段が高くなるということなのだろう。資源のない我が国には科学・技術で生き残るしかないのに、なぜか科学・技術が軽視されている。もっと国民全体の科学・技術リテラシーを底上げしないと、我が国に未来はないだろうと思うのだが。このような雑誌が、せめてワンコインで買えるような時代がくることを望みたい。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。


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いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1)

2017-07-18 09:10:52 | 書評:その他
いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1) いちえふ 福島第一原子力発電所労働記 (モーニングコミックス)
クリエーター情報なし
講談社

・竜田一人

 この作品は、今なお事故の収束からは程遠い状態にある福島第一原子力発電所の状況を、実際にそこで働く末端作業員の目から描いたものだ。ただし、描かれているのは事故の翌年の2012年の状況である。

 著者は、福島の出身ではないが、事故当時東京にいて仕事に困っていたために、高給と好奇心、そしてほんの少しの被災地のためという義侠心から、現場作業に応募したという。

 この手のものは、反原発的な立場から描かれたものが多い。私もタイトルを見た時は、これもそんな一冊かと思っていたが、読んでみると、そんなことはなく、実際の現場の状況をイデオロギーに染まることなく淡々と描いている感じを受けた。

 実際、福島の事故にはトンでもといっていいほどの風評やデマが飛び交い、多くの「都市伝説」が生まれた。福島からの避難者が不当な中傷や差別を受けたのも、この日本国民の科学リテラシーのなさが大きく影響しているのではないだろうか。

 事故当時の政治屋、お役人、東電のエライ人、マスゴミの報道姿勢などには、いろいろな点で憤りを感じざるを得ないが、現場で作業している人たちは過酷な環境の中で必死で頑張っているのだ。

 防護服に身を固めての作業はものすごく過酷だ。何しろ終わった時には文字通り滝のような汗が服の下から出てくるのである。しかし、放射線の線量管理はきちんと行われており、作業員に放射線被害が出ないように配慮されている。

 しかし、その一方で問題がないわけではない。放射線管理上の理由や作業の過酷さから、一人の人間が長時間作業することができない。だから全体としての進み方は亀の歩みのごとくなってくる。

 また、原子力の現場の特徴というわけではなく、建設業全体の問題となってくる多重下請けの問題がある。本書の著者が最初入ったのがなんと8次下請けの会社だ。大きな建設現場には、原子力発電所に限らず、このような問題が出てくる。現実問題として、発注者が、8次下請けまで管理できるわけはない。この多重下請けの問題は、建設業一般の問題であって、原子力とは切り離して考えなければならないのではないだろうか。

 ともあれ、この問題は、イデオロギーのみで発言してる人が多いと思うが、一度福島の現場で働いてみたらどうだろう。もちろん、現在の現場にも問題点は数多くあるだろう。この作品にしても、作者の目というフィルターを通っていることは否めない。しかしそれでも、実際のところはどうなのかということについて、いろいろな視点から見たデータが多く発信されれば、それぞれが自分の頭で考えていくための材料ができるのである。

 戦時中ではないので、大本営発表をそのまま信じる必要などない。しかし、資源のない日本がどう進んでいけばいいのかは、他人任せにすることなく、国民一人一人がきちんと考えなくてはならないことだろうと思う。そのためには、特定のイデオロギーに取り込まれることなく、フラットな目で考え続けていかなければならないのだろうと思う。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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