文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:探偵の鑑定II

2016-04-29 08:26:39 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
探偵の鑑定II (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

・松岡圭祐

 本作を一言で表せば、前巻で暴力団・獅靱会に拉致された凜田莉子の奪回戦である。獅靱会が莉子を誘拐したのは、密輸品の鑑定をさせるため。彼女にいうことを聞かせるために、海水淡水化プラントを建設するという名目で波照間島に獅靱会の息のかかった連中を送り込み、島の人々は事実上の人質状態に。

 莉子を救い出そうとするのが、須磨社長や桐嶋そして紗崎玲奈や峰森琴葉といった須磨リサーチの面々。これに加えて、直接の戦闘に加わる訳ではないが、「水鏡推理」の水鏡瑞希、「特等添乗員α」の浅倉絢奈もそれぞれの持味を活かして参戦している。

 否応なしに、バイオレンスの支配する世界へ引きずりこまれた莉子だが、松岡作品には、こういった世界にぴったりのヒロインがいる。千里眼の岬美由紀だ。なにしろ、友人救出のために本物の戦場にも乗り込むような人物だ。なぜ彼女を登場させなかったのか?また、雨森華蓮が参戦していなかったのも残念。

 ところで、会社を首になってしまった小笠原君。色男だったのに、この巻ではどんどんやさぐれていっている。最後に莉子との関係は意外な展開に。

 一度は、玲奈の住むバイオレンスの世界に引きずりこまれた莉子だが、結局は玲奈を日の当たる世界に連れて戻ってきた。そして莉子の優しさは、獅靱会会長の孫娘で敵である亜芽里の心までも救ったのだ。最後はみんなそれぞれの道に。

 これで、「万能鑑定士Q」シリーズも「探偵の探偵」シリーズは終了のようで、少し寂しい。二人が新たな場所で活躍することは、もうないのだろうか。ただ、凜田莉子は、これから最後の事件に挑むようだ。もしかすると泣きの一回があるかと期待してしまうのだが。

☆☆☆☆☆

※本記事は書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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書評:ゆりてつ4

2016-04-27 09:16:52 | 書評:その他
ゆりてつ(4) (サンデーGXコミックス)
クリエーター情報なし
小学館

・松山せいじ

 とっても可愛らしい百合ケ咲女子高校鉄道部員の少女たちが、鉄道の魅力を紹介するこの漫画も、これが最終巻。前作の「鉄娘な三姉妹」から数えると、足掛け5年となる鉄道漫画が終わってしまうのは少し寂しい気がする。

 この作品に登場する「ゆりてつ」メンバーは、部長の日野はつね、部員の能登まみこ(撮りテツ)、石塚まろん(食べテツ)、鶴見はくつる(乗りテツ+オタク)、そして付録として顧問の滝沢このみ(模型テツ)といった面々だ。このみ先生も含めて、みんなはつねが大好きで、ことあるごとに彼女を取り合って大騒ぎ。でも本当は、みんなとっても仲良しで、いつまでも5人でつながっていたいのである。

 そんなゆりてつ部が存続の危機に? メンバーがみんな3年生になるので、新しい部員を入れないと、彼女たちが卒業すると、部が消滅してしまう。のんきなゆりてつ部員たちは、某人気漫画のように、ずっと時間が無限ループをしていると思っていたらしいが、そうは問屋が卸さない(笑)。新入部員のスカウトにと、東北新幹線で青森に・・って、結局鉄道に乗りたかっただけ? 果たして、無事にゆりてつ部を次の世代に繋げることができるのか。

 相変わらず、可愛らしい少女たちがわいわいと鉄道旅を続ける様子はとっても楽しい。このみ先生はほとんど飲んだくれている感じだが、しんみりさせるようなシーンもあったりしてなかなかいいキャラを出している。

 なお、この巻では、読者サービス?として、唯一の巨乳キャラであるこのみ先生の入浴シーンがあったり、後ろ側のカバーには、同じくこのみ先生のビキニ姿が描かれているのでこちらも必見。

☆☆☆☆☆

※本記事は書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。


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書評:地理増刊 地理×女子=新しいまちあるき

2016-04-25 09:59:18 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
地理増刊 地理×女子=新しいまちあるき 2016年 03月号
クリエーター情報なし
古今書院

・お茶の水女子大学ガイドブック編集委員会編

 昔からものごとを記憶するというのが苦手で、学校でも暗記科目といわれるものは大嫌いだった。地理など、私にとっては、天敵のようなもので、高一が終了したとき(私たちの時代は、高校一年で全員が地理を履修させられていた)は、これでもう2度と地理なんかを勉強しなくてもよいとほっとしたものだ。もちろん、大学受験の際の選択科目にも選んではいない。

 ところが世の中は不思議なもので、嫌いな人間がいれば好きな人間もいるという風に、うまくバランスがとれているようだ。なにしろ、月刊「地理」という専門雑誌まで存在している位だから。本書はその3月増刊号である。

 この本が生まれたきっかけは、お茶の水女子大学の「環境地理学演習1」の授業だという。学生たちが、原宿・表参道界隈のフィールドワークを行った成果に、専門家のコラムなども入れて、一般向けのガイドブックとして纏めたものだ。学生たちが、エリアを分担して作り上げたガイドマップが最初の方に掲載されているが、どれも作成者の個性が発揮されていて、眺めていてなかなか楽しい。こういった「地理」なら、そう悪くはない。

 私にとって、原宿・表参道というと今時の若者専用といったような街で、あまり自分には縁がない場所だと思っていた。しかし、これらのマップを見ると、興味深い見処も数多くあることが分かる。

 もし近くに住んでいれば、さっそく本書片手にこれらの場所をめぐってみるのだが、少し遠すぎるのが残念だ。ぜひ、各地の女子大と連携して、いろいろなご当地版も企画して欲しい。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。



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書評:水鏡推理Ⅱ インパクトファクター

2016-04-23 08:41:57 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
水鏡推理2 インパクトファクター (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

・松岡圭祐

 文科省の不正研究調査チームに所属する一般職の公務員・水鏡瑞希が、総合職の官僚たちを巻き込み不正を明らかにしているというシリーズの第二弾。今回の話は、あのSTAP細胞騒動をモチーフにしたものだ。

 この作品で扱われているのは、自然治癒するという人工血管。生命科学人工臓器研究所で開発され、その論文が学術雑誌「ナノテクノロジー」に掲載された。研究班リーダーは、瑞希の幼馴染の如月智美。ところが誰も追試に成功しないうちに、論文捏造疑惑が持ち上がり、その責任がすべて智美に押し付けられてしまう。

 他の松岡作品と同様、ヒロインはどこまでもひたむきだ。幼馴染を救おうと一生懸命な瑞希の姿は読者の胸を打つだろう。

 副題の「インパクトファクター」とは、学術雑誌における平均論文引用数のことである。このインパクトファクターの大きい雑誌の掲載されることは、論文の権威を高め、研究者の評価にも繋がるということらしい(ただし、このようなインパクトファクターに使い方には批判もある)。

 今回も、「人の死なないミステリー」というところはしっかり押さえていて(大ケガを負った者はいたが)、瑞希がどのように論文のトリックを暴いていくかという過程はなかなか面白かったが、使われていたトリックが、宴会芸で使われる手品のようで、少しチープに感じられたのは残念。

 ただ著者は、学問の世界には、あまり詳しくなかったようで、最初のほうで少し変な部分がある。いくつか挙げてみよう。まずは瑞希と智美の会話。

 「智美、ああいう研究論文って、ふつう博士が発表するものでしょ。大学院生にできることなの?」

 「発表論文は副所長の滝本さん名義になってるの。わたしの発明と明記されてるけどね。・・(以下略)」
(以上p38)

 そして、同じ画像が使いまわされていると指摘された際の、研究所副所長滝本のセリフ。

 「(前略)・・・。FOV人工血管いまのところ、学会発表されたわけではなく、査読審査付き論文というわけでもありません。雑誌に載ったというだけです」(p110)

 まず、学術論文の発表は大学院生でも行うし、院生のうちに行うくらいでないと、研究の道では生き残れないだろう。また、学会発表は単なるお祭りという場合が多く、重要なのは査読付き雑誌に論文をいくつ発表したかということである。また、ここでは、雑誌は査読付きではないと言っているが、本書の後のほうでは査読があったような記述になっていた。この部分は、著者が学問の世界について十分な知識を仕入れる前に書かれたものなのだろうか。全体としては面白い作品なので、この部分は機会があれば直して欲しいところだ。

○関連過去記事
水鏡推理

☆☆☆☆

※本記事は書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。



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書評:僕は君たちほどうまく時刻表をめくれない

2016-04-21 07:48:56 | 書評:小説(その他)
僕は君たちほどうまく時刻表をめくれない (ガガガ文庫)
クリエーター情報なし
小学館

・豊田巧 (著), 松山せいじ (イラスト)

 主人公は、栗原駿という高2の男子。旅をしてその地方の美味いものを食べ歩くのが趣味で、鉄道にはさほど興味がない。これはそんな少年が、鉄分100%の美少女鉄子と出会うボーイミーツガールの青春鉄道小説だ。

 出会いは(旧)軽井沢駅舎記念館。アプト式のラックレールをこれはなんだろうと眺めていた駿に、美少女がいきなり話しかけてきて解説を始める。それがガチガチの筋金入りの鉄子、北見美憂だった。そして駿の美憂に振り回される旅が始まる。

 このとき美憂の連れだったスリムで大人びた美人が宮田くれあ。一見そうは見えないのだが、こちらも鉄分100%の鉄子。特技は時刻表の該当ページを一発で開くこと。食事は、普通のものが食べられず、山のようなサプリメントをポリポリ齧る。普段はほとんどしゃべらないのだが、たまに話すととても説得力があるという、やっぱりちょっとヘンな人。

 マイペースで、鉄道の蘊蓄を披露し始めたら止まらない美憂だが、自分が得意でない分野はオタク扱い。そんな彼女に、すっかり旅行の予定を狂わされた俊は、心の中で突っ込みを入れたり、「うがぁ~」と叫びたくなるような目にあったりの連続だったのだが、次第に美憂のことが気になってきたようだ。

 鉄道に関するトリビア的知識がそこかしこで披露され、読んでいるうちにどんどん鉄分が補給されてくる。そればかりではない。三人が、碓氷第三橋梁(通称めがね橋)で知り合った爆乳美術部娘の白糠由佳の話。彼女が思いを寄せる先輩に、思いを伝えさせようとする後半はまさにトラベルミステリーの観があり、色々な意味で、徹底的に鉄道を楽しむことができる作品だろう。

 イラストは、「鉄娘な三姉妹」や「ゆりてつ」を描いた松山せいじ。可愛い美優とくれあの二人が、あなたに鉄分を注入しまくる、とっても楽しい作品である。

☆☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。


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熊本の震災を反原子力のイデオロギーのために利用するな

2016-04-20 12:00:00 | オピニオン
 まず熊本の深刻な震災被害にお見舞い申し上げたい。いつまで続くか分からない余震に、不安な日々を過ごされていると思いますが、早くこの事態が収束に向かうよう願っています。

 さて、この地震で感じるのは、マスコミの節操のなさだ。この地震を、反原発イデオロギーに利用しようという意図が丸見えで、紙面には、「なぜ川内原発を止めないのか」という文字が、社説や読者投稿欄などに踊る。これに対して原子力規制庁は、現状では止める必要がないという見解だが、当然のことだ。

 今の原子力発電所は、超法規的な措置で、3.11以降、過剰なまでの安全対策を強いられている。これでもし大した理由なしに原子力を止めるような事態になれば、日本は本当に法治国家かと、世界の笑いものになるだろう。

 地震は大きくは内陸性の地震と海洋性の地震の2つに区分できる。福島があのようになったのは津波の影響が大きい。そして津波が起こるのは主に海洋性の地震だ。そして今動いている発電所は、従来の地震対策のみならず、津波対策も行われている。

 原子力の不安をあおるテレビニュースでも、同じニュースの中で、活断層が動いたことによる地割れから少し離れた場所では建物に被害が少ない様子を放映していた。原子力発電所は、固い岩盤の上に作られている。地震の揺れが危機的な状況をもたらすということは考えにくい。これは、東北大震災時の女川を見ればわかるだろうに、なぜかマスコミは福島のことしか報道しない。

 原子力のことは何度も報道するのに、危険な状況の中で、復旧に努力している電力会社やその協力会社のことをどうしてもっと報道しないのだろう。マスコミは、自分の主張に沿ったものだけを報道しているだけではないのか。

 そういえば、今日の地元紙の投書欄にあきれた記事が載っていた。地震のあと九州電力に「川内を止めろ」と電話したというのだ。何を考えているのか。熊本の地震では、身内の消息を知りたい人がたくさんいる。しかし、回線の容量はこのような緊急事態には対応しておらず、身内と連絡が取れないケースも多いだろう。不要な電話はなるべく控えて、電話回線を空けておくというのが当たり前ではないのか。

 福島についてもまだまだの現状で、あまりこの件については書きたくなかったが、最近の状況があまりにもひどいのであえて記事を書いた次第である。 
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書評:小さなスペースで楽しむはじめての多肉植物ガーデン

2016-04-19 08:59:28 | 書評:学術教養(科学・工学)
小さなスペースで楽しむ はじめての多肉植物ガーデン
クリエーター情報なし
成美堂出版

・羽兼直行


 皆さんは多肉植物をご存知だろうか。もし知らないという方がいたら、ちょっとググってみて欲しい。実に多くの種類があり、とても面白いものだということが分かるだろう。

 この多肉植物には様々の魅力がある。元々は、乾燥地域に生育していたため、体に水分を蓄えており、乾燥に強い。だから、水やりをすぐ忘れてしまうという方にはぴったりである。小さなものが多いので、少しのスペースがあれば育てられるし、丈夫で土が少なくても育つので、広い庭なんか無くても大丈夫だ。形も面白いので、見ていて飽きない。

 多くは、株分けや挿し木で簡単に増やせるのでお得感が大きい。面白いのは、葉挿しという方法で増やせるものがあるということだ。私も何度かやったことがあるのだが、葉を茎から外して、土に挿しておけば、付け根のところから芽がでて新しい個体に育つのである。だからやろうと思えば、葉っぱの数だけ増やすことも可能なのだ(その代わり、元の植物は真っ裸になるので、やる人はいないだろうが)。

 本書は、こんな多肉植物に関する基礎知識や育て方、楽しみ方などが、豊富な写真と共に紹介されている。多肉植物をうまく使えば、ちょっとしたスペースも、見違えるほど素敵にディスプレイされることが、これらの写真を見るとよく分かり、眺めているだけでも楽しくなってくる。

 多肉植物の魅力は、実際に育ててみないと分からない。本書を参考に、まずは手に入りやすいものから始めて見てはどうだろうか。いつの間にか、多肉植物の魅力にすっかり嵌まってしまうことだろう。

☆☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の摂ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。
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書評:痕跡本の世界: 古本に残された不思議な何か

2016-04-17 08:07:33 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
痕跡本の世界: 古本に残された不思議な何か (ちくま文庫)
クリエーター情報なし
筑摩書房

・古沢和宏

 古本屋で買った本に、たまに線が引いてあったり、書き込みがされているとイラッとする。線や書き込みは、それを行った本人には役に立つのだろうが、人がやったものは、単に汚らしいだけだ。ネット書店で買った場合は、まずそんなことはなかったが、実店舗では、気が付かないまま買ってしまうことがたまにある。

 ところが書き込み、それも半端ではない書き込みをした本を、堂々と古書店に売ったり、そんな本を集めて喜んでいる人がいるというのだから世の中は広い。そういった本を「痕跡本」というらしいが、私の読んだ本などは、マーカーで線は引くわ、書き込みはするわで、立派な痕跡本になってしまう。さすがに、こんな本を古書店に売ろうなんてずうずしさも度胸もない。

 本書に紹介されている「痕跡本」は、そんな私の想像を遥かに上回るものばかりだ。意味不明な書き込みがしてあるようなものは、まだ序の口。手書きで幾何学模様を書き込んで本をデザインしなおしたようなもの、なんだか良く分からない絵日記のようなものが書き込まれたもの、悪口が延々と書き込まれたもの、一部がホッチキスで封印されたもの等々。「痕跡本」の世界は実に多彩だ。

 しかし、本書の面白さは別のところにある。本当の魅力は、そんな「痕跡」が残された裏にはどんなドラマがあったのだろうと、本書の著者が妄想遊びをしているところなのだ。やはり本を読むには、このくらいの想像力が必要なのだろうかと、つい思ってしまう。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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地震

2016-04-16 11:53:23 | その他
 今日の1時30分頃、家の中で急に変な音が鳴りだした。なんだろうと思ってみてみると、常時マナーモードにしている携帯が、変な音を出している。見てみると「緊急地震速報」だった。

 最初の地震の時には、こちらでは地震があったことすらほとんど感じず、テレビを見ていると急に地震発生のニュースが入ってきてびっくりしたのだが、今度はかなり揺れた。ゆっくりとした長周期での揺れだったが、かなり長い間続いたのでこれはこれまで以上の地震だと思った。

 少し科学的な話になるが、地震振動にはP波とS波がある。P波は縦波で振幅が小さくスピードが速い。S波は、横波で振幅が大きいが、スピードは遅い。おそらくP波の段階で地震速報を出して、それから少し遅れてS波が来たということだろう。それにしても驚いた。

 深夜だったが、もっと震源に近い山口県で一人暮らしをしている父親に連絡をとった。驚いたということだったが、物が棚から落ちてくるようなこともなかったそうで安心した。

 11時半ごろ、また携帯が同じように「緊急地震速報」を伝えてきた。前回のことがあるので、揺れでドアが変形して、開かなくならないよう少し開けて固定する。それから自分は物が倒れてこないところに移動した。しかし、しばらくたっても揺れはまったくない。どうもこちらの方は誤報だったようである。今の状況では、仕方がないことだが、やはり心臓にはよくない。

 熊本の方は、この地震がいつまで続くのか、この数日ずっと不安な日々を過ごされているだろう。早く地震活動が収まることを願いたい。
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書評:めくりめくる5

2016-04-15 09:28:18 | 書評:その他
めくりめくる 5巻 (ガムコミックスプラス)
クリエーター情報なし
ワニブックス

・拓

 本書は、倉敷に暮らす女子高生たちの何気ない日常を描いたシリーズの5巻目だ。作品に登場する少女たちは、まったく普通の女の子である。描かれているのは、友達同士の微笑ましいやりとり。気になる男の子のことなど。特に盛り上がりといったようなものはないが、読んでいて心が少し暖かくなってくる。

 面白かったのは、奈津、愛華、由美の仲良し3人組の話。奈津から愛華に昼をいっしょに食べようと電話がかかってくる。そして連れていかれたのは、瀬戸大橋を渡ったうどん県こと香川県坂出。瀬戸大橋ができて、岡山県と香川県はとても近くなった。ただし女子高生のおこずかいでは、JRの運賃は財布に響くかもしれない。愛華も今月は服を買う予定だったのにとぼやいていたのだが、それでもとっても楽しそうだ。

 1巻から読んでいると、以前の話の続きになっているものが多いので、あの話の後はこうなるのかと思いながら読むと一層楽しめる。前の話を忘れてしまっても、遡ってどんな話だったか確認するという楽しみもある。私も何度も読み返しているが、その度にほっこりとした気持になってくるのだ。

 その一番の理由は、この作品には悪い人間がまったく出てこないというところだろう。いじめがテーマだったり、不良が幅をきかせているような作品は履いて捨てるほどある。でもそんな作品はもう読みたくない。本当に読みたいのは、この作品のように心を軽くしてくれるようなものである。

☆☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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