文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

人間愚痴大全

2021-10-30 08:40:02 | 書評:学術・教養(人文・社会他)

 

 本書の構成は、見開きの右側ページに、偉人たちの言葉を紹介し、左側ページに偉人やその言葉に関する説明が書かれているというものだ。特徴としては、年代ごとにまとめられているということか。収められているのは、内外の作家からアメリカの大統領までなかなか幅広い。

 それにしても、世界の偉人と称賛されるような人たちもいろいろため込んでいるようでなかなか興味深い。例えばケネディの言葉としてこのようなものが載っている。

大統領なんかならなきゃよかった(p176)


時は、キューバ危機の真っ最中。一歩間違えれば、核戦争に突入し、世界は滅びたかもしれない。彼は仲間内では弱音を吐く半面、外交上の脅威には一歩も譲らなかったらしい。ぼやきながらも世界を救ったのだ。

 そんな偉人たちのぼやきが150人分。よくぞこれだけ集めたものだと感心してしまう。

 まあ、人間生きていれば色々あるということか。これはどんなに偉い人でも、人間である以上、ぼやきたくなる時があるのは、我々の様な庶民と同じということかな。しかし、ぼやきながらも、偉大なことを成し遂げたということは、我々庶民とは違うのだろうな。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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ブランド

2021-10-28 08:18:04 | 書評:その他

 

 

 本書は、著者がこれまで色々な媒体に発表してきた短編小説や紀行文、エッセイを一冊の本にまとめたものだ。どんなものに発表したのかは、巻末に「初出一覧」があるのでそちらを参照して欲しいが、雑誌や新聞、企業の広報誌など本当に幅広い。企業からの依頼で、雑誌に掲載したものも目立つが、企業PRのためのページなのだろうか。

 本の紹介(帯)には以下のように書かれている。

数多の賞を受賞し、世界的にも注目を集める著者が、芥川賞受賞から20年にわたり広告で描いてきた、単行本未収録の贅沢な作品集。
エプソン、エルメス、大塚製薬、サントリー、JCB、ティファニー、日産、パナソニック……
錚々たる企業の依頼で描いてきた小説、紀行、エッセイを収録。(以上本の紹介文)



 この文からは、、普通、話の中に、依頼したブランドに関する物語が入っているように思うだろう。しかし、例えば冒頭の「写真/新年/絆」と言う話は、初出一覧によれば、セイコーエプソンの依頼によりAERAと言う雑誌に掲載されたものだ。作品中にセイコーエプソンのブランドに関することが入っているかと思って読んでいた。しかし、セイコーエプソンのことは書かれておらず、書かれているのは、著者の思い出に関するエッセーの様なものだ。まあ、セイコーエプソンといえば、プリンタ複合機も作っている会社なので、文中に、年賀状や写真、パソコンなどが出てきており、全くの無関係とはいえないだろうが。

 続く「世田谷迷路」と「東京湾景202X」は日産自動車の依頼によって書かれたものだ。それぞれ「週刊新潮」と「別冊週間新潮」に発表されている。「世田谷迷路」には車名の「日産ティーダ」が入っていたものの、続く「東京湾景202X」には車を運転している場面しか出てこない。ただこちらは、「充電用パーキング」と言う言葉が出てくるので、「ティーダ」ではなく電気自動車だと推測される。

 「東京の森」と言う話は、大塚製薬の依頼で新潮社の「yomyom」に発表されたものだ。東京の神宮外苑を走るランナーに関するエッセイだ。ここでは、スポーツドリンクという単語は見えるが、具体的なブランド名はない。大塚製薬のスポーツドリンクと言えばポカリスエットなのだが、この文章を読む限りそのことは分からない。ただ、巻末の初出一覧で依頼主の名前を見れば推測できるだろう。

 「山崎という町の気配」は、著者がサントリーの山崎工場を訪れたときの紀行文だ。サントリーの依頼によりサントリ―クオータリー(サントリーのPR誌:現在は休刊)。しかしサントリーの文字はない。ウィスキー好きなら「山崎」ということだけで「サントリーの山崎」だと分かるのだろうが、そうでない人にはどうだろう。

 だいたいがこんな調子なのだが、思うに、これらは、なんらかの広告と組み合わされてこそ本来の目的を達するのではないか。その一部である文章だけを切り出しても効果は薄いように思う。どの企業の依頼で何の広告の一部として書いたのかを本文ではっきりさせた方がいい。

 

 

 

 

 

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夢を叶える イメージマップの創り方

2021-10-26 09:55:47 | 書評:その他

 

 最初に著者の名前について、何と読むのか頭を悩ませた人も多いと思うが、「かくたに けんいち」さんである。ブルーベリーサプリのわかさ生活の社長であり、日本女子野球の創立者、女子野球漫画である「花鈴のマウンド」の原作を書くなど、なかなか多才な人だ。

 さて今回の舞台も星桜高校。著者の作品は大体この学校が舞台だと思って良い。主人公は、この学校のカレー研究会(部でなく研究会なのは部員が3人しかいないから)のリーダーである香坂玖実という女子高生。「喫茶こよみ」の孫娘でもある。本書は、小説仕立てで、玖実が、フィンランドからやってきたという設定のブルーベリーの妖精・ブルブル君の協力を得て、「洛央商店街”食”フェスタカレー大会」に参加するための美味しいカレーを作るというものだ。なお、このブルブル君は、星桜高校を舞台にした他の作品にも出てくる。

 こういったものは、敵役が出てくると良いスパイスになる。この話では高級フランス料理店「グランメゾン」錦野の一人娘で料理部のエースと言う設定の錦野蘭がその役を務める。彼女が最初出てきたときは、悪役令嬢タイプかと思っていたが、実はツンデレタイプで面倒見もいい人。そして最後には玖実と友達になる。

 なお、イメージマップというのは、マインドマップやメモリーツリーとも言われ、中心から放射状に、関連するものを記入していくというものだ。記憶法や各種の企画などに使われている。

 タイトルからはもっと色々なマップが沢山掲載され、細かくその作り方を解説しているもののような印象を受けるが、実際には小説がメインで、マップは各章末に少しずつ出来上がっていくのを見せるような構成になっている。色々なマップを例として見せるやり方もあるだろうが、このように、テーマを一つに絞って出来上がる過程を見せるという方法もあるのだろう。

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

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生物の進化と多様化の科学

2021-10-24 08:51:39 | 書評:学術教養(科学・工学)

 

 本書も放送大学のテキストのひとつである。本来は自然と環境コース開設科目だが、今在籍している生活と福祉コースの共用科目となっている。生活と福祉コースは、別にそれほど興味があるわけではないが、全科生として在籍できる最後のコース(他のコースは全て卒業してこのコースが最後に残った)ということで便宜的に所属している。でも本来のこのコースの科目にはあまり食指が動かないので、共用科目を中心に履修するつもりだ。

 それはさておき、本書によれば、進化とは、生物種の遺伝的な性質が時間の経過とともに変化することである。だから、俗に退化と呼ばれるものも、生物学上は進化のひとつなのである。大事なことは、その変化が個体だけに適用されるのではなく、生物種全体に適用されるということだ。生物は進化をすることにより、多様性を確保してきた。

 本書には基本的なことから、応用的なことまで、進化に関する様々なテーマが掲載されている。例えば、ゲノムなどのミクロレベルから、動植物の進化に関するマクロなレベルまで。寄生や共生と言ったテーマでも1章を割いている。本書を読めば、この方面を希望する人には、基礎的な知識が得られるものと思う。そうでない人が読んでも、章によっては結構面白いのではないかと思う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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雨の日も神様と相撲を(1)

2021-10-22 08:55:50 | 書評:その他

 

 「虚構推理」でおなじみの城平京さんの原作小説をコミカライズしたものの第1巻。主人公は逢沢文季と言う中学生の少年。体は小さいが、両親の影響で相撲道場に10年ほど通っている。ちなみに、父親は大学まで相撲をやっていたマッチョ、母親は小柄だが大の相撲好き。

 ところが、両親が突然の事故で亡くなり、刑事をやっている叔父に引き取られて久々留木村で暮らすことになる。その村は、なんとカエルが神様(種類問わず、外来種でもいいらしい)で、相撲を取っている。相撲が強い方が村では尊敬されるのだ。なお、村の名前もカエルの鳴き声から来ているらしい。文季は体は小さいものの、相撲の知識は抜群。直ぐに村で頼りされる存在になる。

 そして文季の相手役として出てくるのは、村の有力者遠泉家の次期当主だという真夏という女の子。その女の子、可愛いのだが、大柄で、不愛想で怪力。そしてお尻が大きい。文季が久々留木村に向かう列車の窓から、偶然真夏を目撃するのだが、彼女は片手でひょいという感じで、スクーターを持ち上げていた。しかし、中学生の真夏がなぜ何もないような場所でスクーターを持っていたのは謎だ。さすがに乗っている場面はなかったが。ちなみに、遠泉家は神であるカエルの言葉を伝えるかんなぎの家系である。真夏も文季にカエルの言葉を通訳している。

 なお、文季が真夏に「お尻が大きい」と思ったのはは絶対彼女のことを女の子じゃなくって、相撲取りとしてどうかと言う目でみてるんと思う。

 遠泉家の当主は、60歳になるとカエルの花嫁になるため、大ガエルになってしまうらしい。しかし、村ではそれがあたり前なのである。そして文季に期待されているのは、外来種のイチゴヤドクガエルに、村の在来種のカエルたちが相撲で勝つこと。

 城平京さんといえば、片瀬茶柴さんと組んだ「虚構推理」に一遍に嵌ってしまったが、こちらの作品もとても面白い。この後の展開が気にならないわけがない。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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ラーメン大好き小泉さん 4

2021-10-20 09:52:37 | 書評:その他

 

 この漫画は、ラーメンが大好きな美少女女子高生小泉さんと、そんな小泉さんが大好きな同級生・大澤悠(女子です)の物語。

 面白かったのは、委員長の母親が、編集部の皆と行くつもりで予約していた中華料理店の話。委員長、小泉さん、悠、美沙の4人で行ったのだが、出てきたのは、なんと餃子100個分のジャンボ餃子。一人当たり25個分になるのだが、小泉さんはこれに加えて、ジャンボラーメンや担々麺を注文してペロリ。悠がジャンボラーメンやジャンボ餃子が大食いチャレンジメニューにあるのに気が付き、「小泉さん挑戦すれば良かったのに!!」と言ったのに対して

「私はそれほど大食漢ではないので 自信がありません」


とおっしゃる。これには、他の3人は唖然。

 この巻で他に紹介されているのは、「トマトラーメン」、「テキーララーメン」、全国ご当地袋ラーメン、上りサービスエリアで食べらる「夜間限定ラーメン」立ち食いの「コロッケ玉子ラーメン」、「肉そば」など。

 しかし東京には色々な店があるものだと感心。最後はつけ麺はラーメンかという問いで次巻に続いている。つまりはラーメンと言うのはどこまでを言うのかと言う哲学的な問題にもなってくるのだ(笑)

 小泉さんの悠への塩対応ぶりには笑える。いや他の人にも愛想はよくないんだが、特に悠には厳しい。でも悠は、そんな小泉さんが大好き。君はドMかと問い詰めたい(笑)。

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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レジリエンスの諸相

2021-10-18 21:31:11 | 書評:学術・教養(人文・社会他)

 

 本書は放送大学で同名の科目において使われるテキストである。

 本書で言うレジリエンス(resilience)とは、ヒトが、災害などの危機的な状況から回復したり適応したりできる能力のことである。例えば、大地震から復興したり、感染症の流行から立ち直ったりできることだ。ただ、全く元の状態にもどすというのではない。場合によっては、災害を契機として、違う次元に移行するような場合もある。

 例えば、フィリピンにおいては、西ルソン・ピナトゥポ火山の大噴火により、先住民族であるアエタは生活基盤を根こそぎやられるような被災をしたが、これによって先住民であるとともにフィリピン国民でもあるという自己意識を持つようになり、正当な居場所の確保と、政治・経済的な地位向上を成し遂げたのである。

 この他にも、感染症に対するレジリエンスや心の問題となるレジリエンスなど様々な視点からレジリエンスというものを紹介している。

 本書を読めばレジリアンスという概念を身に着けることができるとともに、レジリアンスにもいろいろな種類があることが分かり、頭を柔らかくするために貢献するのではないかと思う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

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可愛いだけじゃない式守さん1,2

2021-10-16 08:41:18 | 書評:その他

 

 

 本書は、式守さん(名前の方は不明だが、彼女の友人たちは、彼女をみっちょんと呼んでいる)と不幸体質の男子・和泉くんの日常を描いたラブコメである。ただ普通のラブコメと違うのは、タイトルの通り、ヒロインの式守さん、とっても可愛らしいのだが、時折、えらく男前でかっこいい顔を見せるところ。だから可愛いだけじゃないのだ。

 そして、式守さんは、和泉君を守ると宣言している。球技大会で活躍したことから、後輩女子のファンも多い(2巻)。友人たちから「漢の中の漢」(2巻)と言われて地味にショックを受けている。コミュニケーション能力は非常に高く、和泉くんの両親ともすぐに仲良くなり、「みーちゃん」と呼ばれている。ただし、料理の方は大の苦手。

 彼氏である和泉君が式守さんに勝てるのは勉強だけ。と言っても別に式守さんがアホな子という訳ではない。一応上位なのだろう。彼氏も別にぶっちぎりの秀才という訳ではない。要するに二人の成績は僅差なのだが、一応彼氏の方が少し成績がいいという訳だ。(ちなみに、それぞれ学年5位と12位)

 この式守さんのような彼女がいれば、高校生活、とっても楽しいだろうなと思う。といっても、自分が高校に通っていたのははるか昔。それも田舎の高校だったので、1学年3クラスしかなかった。式守さんの様な女子がいなかったのは残念。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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銭形平次捕物控 071 平次屠蘇機嫌

2021-10-14 10:40:51 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

この話は、平次の新年を描いた作品です。年始廻りを終えた、平次と子分の八五郎。その帰り、平次は、「さざなみ」という新しくできた料理屋の前でこう言います。

「旦那方の前ぢや、呑んだ酒も身につかねえ。ちょうど腹具合も北山だらう、一杯身につけようぢやないか」



 これを聞いて八五郎は喜びながらも不思議がります。

ツヒぞ 斯んな事を言ったことのない親分の平次が、與力笹野新三郎の役宅で、屠蘇を祝ったばかりの帰りに、飲み直そうという量見が解りません。



 平次、与力の笹野のところで振舞われた屠蘇が効いたのか、完全な酔っ払いです。例えばこんな具合です。

散々呑んだ足許が狂って、見事膳を蹴上げると、障子を一枚背負ったまゝ、縁側へ転げ出したのです。

そして帰りに、店が落とし玉として配っている手ぬぐいを、白地のやつではなく浅黄のやつをよこせと言い張ります。

 ところが、神田が近くなると、急に平次がしゃんとします。

「俺は三猪口とは呑んぢやいねえ」



 実は平次は、「さざなみ」の変な所に気が付き、一芝居うったのでした。もちろん八五郎は気づいていません。ちょっとした異変に気付く、これが名探偵の条件なのでしょう。これが、大捕物に繋がります。でも平次に欲はなく、この事件を自分の手柄にはしませんでした。

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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アサギマダラ

2021-10-13 12:26:39 | 旅行:山口県

 今年も渡り蝶として有名なアサギマダラを目にすることができた。それも3羽も。ちなみに、昆虫一般の数え方は「匹」だが、蝶はなんと「頭」で数えるという説が根強いようだ。しかし、あの可憐な姿には、「頭」は似合わない。「羽」で数えることもあるようで、ここはやはりその数え方をしたい。

 相続した実家の管理のために、帰省しているときのこと、昨年は見ることができずに心配していたのだが、今年は目にすることができた。写真に1羽が写っているが、分かるだろうか。左下の部分だ。なぜか、秋になってこの花の周りを飛び交う時しか目にしたことがない。特定の花にしか集まらないという性質があるのだろうか?

 しかし、子供のころは、この蝶を見かけることはなかった。見かける生物の種類は毎年のように減っているが、新しい蝶を見られるようになったのは、やはり環境変化のせいだろうか?

 

 

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