廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

大好きな地味盤たち

2014年02月23日 | Jazz LP (Savoy)

The Curtis Fuller Sextett / ( Savoy MG-12144 )


The Jazztett結成前夜の時期の録音という興味深いアルバムです。 サド・ジョーンズ、マッコイ・タイナー、ジミー・ギャリソンという珍しい顔ぶれが
揃っています。 サド・ジョーンズはいつも通り端正なソロをとり、マッコイは抑制の効いた上手いピアノを弾き、ギャリソンは高速テンポの曲でも全く
ブレることのないテンポをキープする凄腕を見せますが、まあこの人たちにしてみれば当たり前のことなんでしょう。

A面は少し出来が悪い感じがします。 ゴルソン・ハーモニーが聴かれず、各人のソロだけにスポットが当てられたマイナー・ブルースばかりで、
ちょっと暗い感じです。 バラードもカーティス・フラーの悪いところが出てしまい、かなり退屈な出来です。 ところが、B面になると分厚い
ゴルソン・ハーモニーが魅力的な楽曲が並び、演奏の纏まりもよく、素晴らしいです。 特にベニー・ゴルソンはいつもの趣味の悪いくすんだ音色の
ウネウネフレーズを抑えていて、とてもいいソロをとります。

レコード番号的には以前取り上げた Bill Hardman のレコードに隣接するし、ジャケットの意匠も同じようなダリもどきの訳の分からない絵なので、
あのレコードを知っている人なら同様の素晴らしさを期待してしまいますが、こちらはちょっと地味かもしれません。 

DU的に言えば中級廃盤ということなんだろうし、演奏も地味なので特に褒められることがない盤なんでしょうが、それでも私は結構好きです。
ドラムがデイヴ・ベイリーなので、久し振りにこちらも聴いてみました。



The Dave Bailey Quintet / Two Feet In The Gutter ( Epic LA 16021 )


みんなが褒めるEpic3部作の一角を占める名盤ですが、この Two Feet は他の2枚と比べるとスタジオライヴ形式ではないせいもあって音の鮮度が低いし、
演奏にも勢いがなくて正直少し退屈です。 せっかく Comin' Home Baby や Shiny Stockings なんて名曲をやっているのにもったいないです。

一方、上記のSavoy盤はRVGなので鮮度の高いくっきりとした立体感があるサウンドが素晴らしいし、各人の腕が高くてやはり格が1枚上手。
でもEpic盤ほどのステイタスを持てないのは、やっぱりいただけないジャケットのせいなんでしょうね。 残念なレーベルです。

尤も、私もこのEpic3部作は大好きです。 3枚とも初版を持っているし、iPod用にCDもちゃんと揃えている。 
この3枚には演奏家やレーベルのネームバリューなどの外形的なものからは解き放たれ、音楽が独りで自由に泳いでいるのを感じます。
演奏がいいとか音がいいとかだけでは説明できない不思議な解放感と陶酔感があって、他のレコードに同様の事例を探すのは難しい。

地味盤同士、あくまでも聴き比べてみたらたまたまこういう違いがあった、というだけの話ですので、念のため。



コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« セントラルパークでスケートを | トップ | お薦めされるがまま »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (森彦)
2019-05-17 11:15:07
私は『Two Feet』の写真をどうやって撮影したか、このジャケットを見るたびに気になってしまいます。(笑)
カメラマンが排水溝か何かに身を潜め(!?)、D.Bailey が硝子板の上に足を乗せたのかなぁ…などと要らぬ心配をしてしまいます。
スミマセン。
Unknown (ルネ)
2019-05-17 23:37:48
なるほど~。 アングルの件は、云われてみればそうですね。 考えたことがなかったです、そんなの。
私は、あの写真で彼が履いている革靴がすごく高級そうだなあ、というのがいつも気になってました。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Jazz LP (Savoy)」カテゴリの最新記事