廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

国内盤の底ヂカラ(その9)

2020年05月04日 | Jazz LP (国内盤)

Charles Mingus / Blues & Roots  ( 日本ビクター ATL 5045 )


Charles Mingus / Blues & Roots  ( 日本ビクター SAL 5004 )


"直立猿人" の国内ステレオ盤の音場感がとても良かったので、当然ステレオ盤だけ拾って帰ればよかったのだが、モノラル盤とどういう違いが
あるのかにも興味があったので、モノラル盤も拾ってみた。こうやって、安レコと戯れる日々が続く。

裏ジャケのライナーノートによると、モノラル盤は1,700円、ステレオ盤は2,000円、野口久光氏の文章は同じものが掲載されているので、
正確な年代はわからないけれど、近い時期の発売だったのではないだろうか。盤も共に厚手で重量がある。

このステレオ盤は猿人ほどステレオ感が効いておらず、モノラル盤との差があまり大きくない。そのため、音場の拡がりによる音楽の雄大さが
出るような感じはない。多管編成なので音の分離がいい方が愉しめるはずだが、分離の度合いが際立っているわけではないので、どちらかと
言えばモノラル盤のほうが音楽の纏まりはいいように聴こえる。

録音時期を考えれば猿人よりもこちらの方が音質はいいはずなんだけれど、そうはいかないというのがレコードの難しいところだ。
理屈では割り切れず、1枚ずつ是々非々で判断するしかない。そこが楽しいと言えば楽しいんだけれど、時間と金がかかる遊びだから、
ボチボチいくしかない。

このアルバムは "The Crown" の冒頭に収録された "Haitian Fight Sing" を気に入った制作監督が同様のブルース的、教会音楽的なものをテーマに
したらどうか、という提案から生まれている。作曲と構成を重視するミンガスだが、ここではそれらの要素がかなりごった煮となっていて、
敢えて整理整頓されておらず、少し焦点が定まり切れていないように思う。迫力という点では十分凄い演奏なので、その部分での満足感は
あるのだが、音楽的な満足感については私にはいささか物足りない。

そういうアルバムでも聴きたくなる時はあるので、こういう安レコは重宝する。何でもかんでも金をかければいい、というものではない。


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