青山劇場、2014年8月28日マチネ。
北島マヤ(貫地谷しほり)は姫川亜弓(マイコ)を抑えて『奇跡の人』ヘレン役でアカデミー芸術祭助演女優賞を獲得し、大河ドラマに出演することになる。しかし華やかなテレビ業界でマヤを待っていたのは嫉妬渦巻く残酷な世界だった…
原作/美内すずえ、脚本・演出/G2、美術/松井るみ。1975年に連載が開始された原作漫画のうち『華やかな迷路』編、『冬の星座』編を中心に、大劇場では26年ぶりの舞台化。全2幕。
私は原作漫画の熱烈なファンというほどではありませんが、それでも熱心な読者ですし、世紀の傑作だと思っています。無事の完結を祈って見守り続けています。読み始めたときには私はマヤより年下でしたが、今や真澄さん(小西遼生)より年上になってしまいましたよ…
何度かあったテレビドラマ版は観ていますが、前回の舞台は観ていません。今回も、イロモノなのではなかろうかとか亜弓さんのキャスティングはこれで大丈夫なのかとかイチロさんの月影先生(一路真輝)は観たいんだけどなとかくどくど迷っていたら、誘ってくれた方がいらしたので出かけてきました。
観てよかった! すっごくおもしろかった!! てか原作ファンなら観なくちゃダメ!!!
幕開き、緞帳が上がると何もない舞台に衣紋掛けと裾周りがネーブルオレンジみたいなグラデーションの内掛けがひとつ、スポットライトを浴びて置かれています。朱鷺色というか、薄紅色です、紅天女の内掛けです。それがひらりと宙に舞い上がり、そして物語は始まります。もう鷲づかみにされました。
真澄さんの秘書の水城さん(東風万智子)の語りでマヤの失踪が語られ始め、マヤがそもそも月影先生に才能を見出されるところからこれまでに至る経緯を、次々セリ上がって現われるキャラクターたちが語り継いでいきます。台詞で語るだけでなくコンパクトかつスピーディーにエピソードが再現され、そのダイジェスト感はちょっと漫画チックなんだけれど、そもそもそういう持ち味の原作漫画を忠実にリアル化しているとも言えるし、とにかくものすごくおもしろい。舞台装置の転換の鮮やかさも素晴らしいし、出てくる役者のキャラクターなりきり度が素晴らしい。ただのアンサンブルではないいい仕事っぷりです。
一幕ラスト、見つけ出されたマヤは大都芸能との契約で最後の舞台に出演します。それが泥饅頭エピソードです。もうその熱さと言ったらたまらん! マヤの熱さと役者の熱さ、演出の熱さがあいまって、ホントに漫画チックだし笑えちゃうギリギリなんだけれど、感動しあまつさえ泣かされてしまうという、まさに「怖ろしい舞台(こ)…!」です。
心配していたマイコは亜弓さんというよりはお蝶夫人みたいなんだけれど、天才、サラブレッド、お嬢さま、バレエでもなんでもできる実力といったものを見せ付けてくれて、これまたとてもよかったです。
真澄さんも本当はもう少しクールビューティーを期待したいんだけれど、背が高くてマヤとの身長差がたまらないし(まさに「おちびちゃん」という台詞が似合う!)、キザでスカした台詞をきちんとキザに言ってくれるのがたまりませんでした。
そして二幕にはまさかの千草さんパートがあり、リアル月影先生のイチロさんがいい仕事をしてくれるのです! たまらん!!
最後の最後に『ふたりの王女』ラストのくだりを劇中劇の形でもっともじっくり尺を取ってやるのですが、これがまた熱い。というかここはどうしてもオリゲルドに分があるように見えてしまう構成ですよね。リアルマヤの貫地谷しほりにはアルディスの華がやはり出なかった。でもそれも含めておもしろかった。
そしてふたりが紅天女の候補として梅の里に向かうところで幕は下りました。もう原作に追いついてしまったようなものです、早く続き描いて美内先生! サイン会とかしてる場合じゃないから!!
カテコでは装置やセットがすべて飛んで、何もない舞台の板だけを見せて終わりました。素晴らしい舞台もの舞台でした。
これまで何度か観たG2演出舞台ですが、実はその個性を感じたことはありませんでした。今回はものすごく才能とセンスとギミックの使い方の上手さ、原作の翻案の仕方の思想を感じました。舞台漫画を舞台化する、その難しさ微妙さを逆転の発想で素晴らしいものにしていたと思います。観てよかったです!!
北島マヤ(貫地谷しほり)は姫川亜弓(マイコ)を抑えて『奇跡の人』ヘレン役でアカデミー芸術祭助演女優賞を獲得し、大河ドラマに出演することになる。しかし華やかなテレビ業界でマヤを待っていたのは嫉妬渦巻く残酷な世界だった…
原作/美内すずえ、脚本・演出/G2、美術/松井るみ。1975年に連載が開始された原作漫画のうち『華やかな迷路』編、『冬の星座』編を中心に、大劇場では26年ぶりの舞台化。全2幕。
私は原作漫画の熱烈なファンというほどではありませんが、それでも熱心な読者ですし、世紀の傑作だと思っています。無事の完結を祈って見守り続けています。読み始めたときには私はマヤより年下でしたが、今や真澄さん(小西遼生)より年上になってしまいましたよ…
何度かあったテレビドラマ版は観ていますが、前回の舞台は観ていません。今回も、イロモノなのではなかろうかとか亜弓さんのキャスティングはこれで大丈夫なのかとかイチロさんの月影先生(一路真輝)は観たいんだけどなとかくどくど迷っていたら、誘ってくれた方がいらしたので出かけてきました。
観てよかった! すっごくおもしろかった!! てか原作ファンなら観なくちゃダメ!!!
幕開き、緞帳が上がると何もない舞台に衣紋掛けと裾周りがネーブルオレンジみたいなグラデーションの内掛けがひとつ、スポットライトを浴びて置かれています。朱鷺色というか、薄紅色です、紅天女の内掛けです。それがひらりと宙に舞い上がり、そして物語は始まります。もう鷲づかみにされました。
真澄さんの秘書の水城さん(東風万智子)の語りでマヤの失踪が語られ始め、マヤがそもそも月影先生に才能を見出されるところからこれまでに至る経緯を、次々セリ上がって現われるキャラクターたちが語り継いでいきます。台詞で語るだけでなくコンパクトかつスピーディーにエピソードが再現され、そのダイジェスト感はちょっと漫画チックなんだけれど、そもそもそういう持ち味の原作漫画を忠実にリアル化しているとも言えるし、とにかくものすごくおもしろい。舞台装置の転換の鮮やかさも素晴らしいし、出てくる役者のキャラクターなりきり度が素晴らしい。ただのアンサンブルではないいい仕事っぷりです。
一幕ラスト、見つけ出されたマヤは大都芸能との契約で最後の舞台に出演します。それが泥饅頭エピソードです。もうその熱さと言ったらたまらん! マヤの熱さと役者の熱さ、演出の熱さがあいまって、ホントに漫画チックだし笑えちゃうギリギリなんだけれど、感動しあまつさえ泣かされてしまうという、まさに「怖ろしい舞台(こ)…!」です。
心配していたマイコは亜弓さんというよりはお蝶夫人みたいなんだけれど、天才、サラブレッド、お嬢さま、バレエでもなんでもできる実力といったものを見せ付けてくれて、これまたとてもよかったです。
真澄さんも本当はもう少しクールビューティーを期待したいんだけれど、背が高くてマヤとの身長差がたまらないし(まさに「おちびちゃん」という台詞が似合う!)、キザでスカした台詞をきちんとキザに言ってくれるのがたまりませんでした。
そして二幕にはまさかの千草さんパートがあり、リアル月影先生のイチロさんがいい仕事をしてくれるのです! たまらん!!
最後の最後に『ふたりの王女』ラストのくだりを劇中劇の形でもっともじっくり尺を取ってやるのですが、これがまた熱い。というかここはどうしてもオリゲルドに分があるように見えてしまう構成ですよね。リアルマヤの貫地谷しほりにはアルディスの華がやはり出なかった。でもそれも含めておもしろかった。
そしてふたりが紅天女の候補として梅の里に向かうところで幕は下りました。もう原作に追いついてしまったようなものです、早く続き描いて美内先生! サイン会とかしてる場合じゃないから!!
カテコでは装置やセットがすべて飛んで、何もない舞台の板だけを見せて終わりました。素晴らしい舞台もの舞台でした。
これまで何度か観たG2演出舞台ですが、実はその個性を感じたことはありませんでした。今回はものすごく才能とセンスとギミックの使い方の上手さ、原作の翻案の仕方の思想を感じました。舞台漫画を舞台化する、その難しさ微妙さを逆転の発想で素晴らしいものにしていたと思います。観てよかったです!!
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