駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『VAMP』

2014年08月31日 | 観劇記/タイトルあ行
 EX THEATER ROPPONGI、2014年8月29日ソワレ。

 5人の男たちがある女性の葬式に参列している。彼女の名はローラ・モンテス(黒木メイサ)、19世紀でもっともスキャンダラスな禍々しいほどの美貌を持った魔性のダンサーである…
 演出/岸谷五朗、原作/桐生操、脚本/浅井さやか、音楽/ongaq。全1幕。

 これまた人に誘っていただいて観てきたのですが、意外な拾い物(失礼!)でした。すごくよかった!!
 私は「地球ゴージャス」の舞台はエンターテインメントというよりはちょっと大味に思えて、それで今回の演出も心配していたのですが、今回の舞台はとてもスタイリッシュでした。こだまっちが好きそう、私は大好き(笑)。
 ローラの初めての男、ローラが最も愛した男、ローラに滅ぼされた男…と次々エピソードが語られ、そのとき他の四人はアンサンブルだったりコロスだったりしていい仕事をするのもいい。五人の男がローラに捧げた五種類の花、五着のドレス…というのもわかりやすい象徴性がいい。
 五人の男はみんなミュージカル俳優でいい歌声を聞かせてくれます。ヒロインはその美貌と肢体を見せ付け、素晴らしい踊りを披露してくれます。そのバランスもいい。
 始めのうちは生身の女優がやると生々しすぎて気持ち悪いかな、それこそバウでねねちゃんで観られたらおもしろかったんじゃないの?とか思ったりもしたのですが、なかなかどうして、がんばっていました。思えば『あずみ』もよかったしなあ。
 でもピアノ周りはちょっとプレイチックだったかな(^^;)。上手くイメージとしての表現になりきれていなかった気はしました。
 「闇」役の早乙女太一は歌どころか台詞も発さず、ただヒロインに寄り添い、ヒロインと激しく戦い、美しい殺陣を見せる。素晴らしい!
 原作小説は、これを元にこの舞台が作られたというよりは舞台のノベライズみたいなものだったのかもしれませんが、脚本をそのままノベライズすればよかったのにただの安い伝記みたくなっちゃってて残念でした。舞台の方が100倍おもしろかったです。

 ただ個人的には、ローラと美しい母親との確執がどの程度史実だったのかわからないのですが、男性の作り手が注目しそうな題材だな、と思いました。母娘ものがぴんと来ないんですよねー、幻想なんじゃないのかなーと思ってしまったのでした。

 初めていく劇場で、舞台の天井が低いのは気になりましたが、ミラーボールもあってよかったです。青年館の代わりにどうかしら…





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ガラスの仮面』 | トップ | 最相葉月『セラピスト』(新... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

観劇記/タイトルあ行」カテゴリの最新記事