駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇雪組『CITY HUNTER/Fire Fever!』

2021年10月30日 | 観劇記/タイトルさ行
 宝塚大劇場、2021年8月8日11時、15時半、31日13時、18時(新公)。
 東京宝塚劇場、10月21日18時半、29日13時半。

 新宿駅東口の伝言板に書かれた「XYZ」は、裏社会のスイーパー「CITY HUNTER」こと冴羽リョウ(字が出ない…)(彩風咲奈)への依頼のメッセージ。真っ当な方法では解決できない困難な状況に陥った弱き者たちが、最期の望みを懸けて依頼してくるのだ。リョウが依頼を引き受けるのは、美女絡みか、「心が震えたとき」のみ…
 原作/北条司、脚本・演出/齋藤吉正、作曲・編曲/青木朝子、宮崎朝子(SHISHAMO)。85年に「週刊少年ジャンプ」で連載が開始された累計発行部数五千万部を超える人気コミックの舞台化。新生雪組トップコンビのお披露目公演。

 マイ初日雑感はこちら、東京公演初日に寄せた記事はこちら
 だいたいはこちらに書いたとおりで、マイ楽を終えても特に脚本・演出に関しての感想は変わりませんでした。東京では、舞台の設定年代には生まれてもいなかった後輩や、宝塚歌劇初観劇の後輩、そしてフランス実写映画版まで見ている原作大ファンの後輩も同伴しましたが、毎回「こんなんでごめんね、もっとよく出来ている素敵な作品もたくさんあるからね、また誘うから嫌いにならないでね…」と祈るような思いで、あまりの稚拙さに恥ずかしくて震えるような台詞や展開、演出に奥歯を噛みしめて耐えながら観ました。みんな優しくて、喜んでくれてはいましたけどね。寝てなかったし。でも仕事も忙しい中に来ているワケで、時計を見たりと退屈している様子も感じられました。わかるよ、感情移入してドラマに没入する作劇スタイルになっていないもんね、傍観者としてただ眺めるしかない作品だもんね、しかも途中ストーリーがワケわからなくなることもあるだろうし、でもどうせ大団円ハッピーエンドなんでしょってのはわかっているワケだし、だから早く終わらないかなーとは思っちゃうよね。とりあえず原作漫画、というかそのアニメ効果というかは絶大で、みんなちゃんと読んではいなくてもだいたいのキャラと設定は知っていて、みんな「海坊主、完コピでしたね!」とは喜んでくれることだけが私の救いだったかもしれません。そして「え? 海坊主だった人、ショーにもいました??」までがセット(笑)。ありがとうセンアガタ! というか生徒は本当に大奮闘だったと思います。お疲れ様でした、新生雪組お披露目、おめでとうございました。次作に期待しています。

 以下、大劇場新公の感想を。人数が少ないのでモブ芝居がうるさくなりすぎなかったということと、みんなけっこうニンが合っていて非常に上手く扮していて、とてもレベルの高い作品になったと思えたことが印象的でした。
 あがちん、上手い! そしてメイクの感じが好みでした。咲ちゃんはちょっとやりすぎているように私には思えたので。あとはもうちょっと歌にニュアンスが出てくるといいよね…いかにも真ん中向きのパワフルなタイプで、雪組にはちょっと珍しい気もするだけにこのままここでのびのび育っていってほしいと思うのだけれど、それだけにただそのまんまではなくちゃんと上手くなっていってほしいとも思うので。
 初ヒロインのはばまいちゃん、「メロディちゃん」って愛称もあるんだそうですね素敵! 主席で露出していた頃はいかにもバタ臭い容貌でさてどうだろうと思っていたのですが、このところ本公演でもメイクが上手くなって馴染みが良くなりましたよね。そして香という役は普通の娘役芸でこなすにはなかなか難しいかと思うのですが、別に素でやっていたとかいうことではなくてちゃんと演技として成立させていて、とても良かったです。小柄でスタイルが良く、どの男役さんとも映りが良さそうなのも強みですよね。今後にさらに期待できそうです。
 そしてあみちゃんのミックがよかったのよ! ちょっと前はなんかパワーが落ちてるかな?とか心配していたのですが、本公演の豊もなんせ芝居が良かったけれど、新公のチャラさと華、芝居っ気と座持ちが素晴らしすぎました。あと歌ね、ホント素晴らしかったですね! これまた小柄だけれどそれこそ雪組らしいスターさんでもあると思うので、あがあみ時代が今から楽しみです。
 そしてそしてはいちゃん槇村がこれまた上手くて美形で、惚れたよね! ホント新公主演ワンチャンさせたかったけれど、これからも大事にしてくださいお願いします…
 ハッチさんのところをやった一禾くんがまた良くて、海原像として私は本公演より好きでした。解釈の問題かな? あとかりあんジェネラルもすごく良くて、こちらはいつしか主演ワンチャンも願わなくなりましたが意外にいい味のスターさんになってきていて私は嬉しい…! そして同じく豊作の100期、ともかちゃんの冴子がまた良くて! みちるより知的でシャープで、持ち味の差なんだろうけれどやはり役作りとしてとても達者でした。りなくるの麗華も可愛かったよ! あと本公演はいちゃんのクール美形っぷりも戦慄ものだった北尾役の蒼波くんも、美形で震えましたよね…!
 ぶーけちゃんのサリナもクールでカッコよくて痺れました。そして『ほんまほ』で私がガン見していた華澄沙那ちゃんがアルマに大抜擢されていて、これがまたよかったです! 華があって、歌が上手くて。そして私は有栖ちゃんをあまり買っていないので、美樹は台詞が弱くてやはり残念でした。はおりんはさすがしっとり上手かったです。そしてひまりの怪演をどーする夢白ちゃん!?と思っていた陽子が、違う方向性で弾けていて上手かった! さすがでした。そしてこれまたすわっちの怪演が素晴らしすぎた政のところに入った聖海くんが、またものっそい上手くて唸らされました。ここのカップルがMVPか!?
 あみちゃんのところをやった話題の華世京くんは、私にはちょっと台詞が弱く感じられたかな…
 新公の担当は指田先生。セクハラ描写は大きくは変えられていませんでしたが、なんとはなしの配慮は感じられなくもなかったです。劇団には少しも早く人権教育とアップデートを要請したいです。


 ショー オルケスタは作・演出/稲葉太地。
 組ファンか、贔屓がいるかによっても印象は変わるかと思いますが、総じて「まあ悪くはないけど…」みたいな評判だったのではないでしょうか。稲葉作品ってそういうとこ、けっこうある気がします。短調の主題歌とか太鼓ドコドン!とか、ちょっと癖になる感じで好きでしたけどね。でもドン・ジョヴァンニ場面は、せっかくの新2番手スターのセンター場面としてなんかよくある感じで、あーさの見せ方としても目新しさがない気がしてちょっと残念でしたし、何場面も帽子が多用されすぎでスターの顔が見えづらいのも残念でした。ひらめちゃんがあまり素敵なドレスを着ている感じじゃなかったのも…プロローグの鳳凰感もよかったけど、ふたりで銀橋に残る場面からは脱いでくれると信じていましたよ…がっかり。あとデュエダンのお衣装も袖が邪魔でした。娘役の腕は出してナンボだと思うのです。71人ロケットとニューファイヤー場面はよかったかな、そのあとのフィナーレ群舞も素敵でした。
 次の別箱はまた観てみないとなんとも…という感じだし、その次の本公演もこれまたいい方に転べばいいんだけど…とやや不安ではありますが、とりあえず咲ちゃんは真ん中に置いて安心タイプだし、なんでもできるひらめちゃんがきちんと隣に添って、あーさあやなあがちんがいて、ここら我らがソラカズキが加わるというのですから楽しみしかありません。新生雪組、改めてお披露目おめでとうございました。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする