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ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

救国の経済学65~丹羽春喜氏

2011-10-05 10:13:22 | 経済
 最終回。

●TPPへの参加は、潜在的生産力を失う亡国の道

 平成23年(2011)10月現在、政界・財界の圧倒的多数が、TPP参加を進めようとしている。野田首相は早期にTPPへの参加を決定し、APECに臨むつもりだ。アメリカの唱えるTPPに、「バスに乗り遅れるな」と参加を呼びかけている識者がいるが、「バスに乗り遅れるな」という言葉は、日独伊三国同盟の推進派が唱えた言葉だ。知ってか知らずか、同じ言葉を唱え、またわが国の指導層は自滅的な条約を結ぼうとしている。TPPの日本への破壊力は、かつてのプラザ合意、金融ビッグバン、郵政民営化等の比ではない。敗戦後、日本が独立を回復してから、アメリカが仕掛けてきた日本の再従属化の集大成といえるものである。農業、金融、投資、労働、医療、健保、通信、法務等、あらゆる分野で徹底的な日本改造がされ、日本の富の収奪、文化・伝統の改変、対米完全従属化が行われることになる。日本人が日本は日本であり続けたいと思うなら、TPPへの参加を阻止しなければならない。
 わが国は、いま「真の財源」を生かして救国の秘策を打てば、世界最高の飛躍的発展ができる。逆にいまTPPに参加すれば、日本は潜在的な生産力を生かすことがなにもできずに、アメリカに食い物にされるのみ。日本の行き先は、地上天国か、はたまたこの世の地獄かというくらいの大きな分かれ目にある。

●国民の精神が日本を復活させる

 国民の能力とは、国民の意思の働きである。言い換えれば、国民の精神の作用である。
 丹羽氏は、「救国の秘策」を実行するケインズ革命によって、「わが国民のモラール(士気、意気)」が高まり、わが国は、「明治維新の大憲章『五箇の御誓文』にかかげられた『上下心を一にして盛んに経綸を行なう』ような国」になる。そうなれば、「わが国民のモラル(道徳、倫理)も向上」し、「わが国は全世界の模範」となりえようと、道徳的なビジョンを示す。
 「五箇条の御誓文」の「上下(しょうか)心を一にして盛んに経綸を行なうべし」は、太政官札と「五箇条の御誓文」の項目に書いたように、由利公正が国家大方針の草案に「士民心を一つにし盛んに経綸を行ふを要す」と書いた一条がもとになっている。
 由利は、丹羽氏の政府貨幣の先例となる太政官札を創案し、新政府の財源を確保した。この太政官札を発行するに当たり、国家の大方針を示して政府の信用を得る必要があるとして起草したものが、「五箇条の御誓文」へと発展した。由利は、富国強兵を実現し、大義を世界に広めることを新しい日本の方針に掲げた横井小楠の弟子だった。「経綸」は小楠が著書『国是三論』で使った言葉で、小楠・由利においては、主に財政経済の意味で用いられたが、「五箇条の御誓文」においては、より広く「国家を治めととのえること」「治国済民の方策」の意味に発展している。
 ここで大事なのは、「上下心を一にして」という一句である。経綸は、国民が心を一つにして、力を合わせてこそ、盛んに行われる。国家の隆盛は、国民が一致協力してこそ、実現される。これを経済的な面から見れば、国民の労働力の発揮であり、道徳的な面から見れば、国民の精神力の発揮である。労働は人間の精神の営みであり、精神の働きが生産的な労働を生み出す。国民の精神の一致協力、元気発揚が、国家の隆盛をもたらす。経済活動は、その物質面における現われである。
 日本人が精神的に復興すれば、国民の能力は活発に発揮され、創造的かつ建設的な活動を展開できる。経済の問題は、突き詰めれば精神の問題である。日本人の精神の復興が日本経済の復興、ひいては日本文明の発展となるのである。
 日本人は明治維新の初めを振り返り、自らのアイデンティティを確認する必要がある。そして日本人は日本精神を取り戻し、国民が結束して、今直面している存亡の岐路を発展と繁栄の方向に進まねばならない。(了)

関連掲示
・拙稿「『救国の秘策』がある!~丹羽春喜氏」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13j.htm
・日本精神については「基調」をご参照ください。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/keynote.htm

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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ご苦労様でした (いすけ屋)
2011-10-05 16:56:25
 ご苦労様でした。
本年5月からの、このシリーズは毎回楽しみにさせて頂きました。経済素人ですが、お陰さまで、政府の増税対応にも批判の目で見られるようになりました。
 有難うございました。
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>いすけ屋さん (ほそかわ)
2011-10-06 11:16:03
 ご愛読ありがとうございました。私も素人ですが、引き続き研鑽を積んでいきたいと思います。今後もよろしくお願いします。
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