ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

友愛を捨てて、日本に返れ27

2009-12-30 08:07:03 | 時事
●最も力を入れたい政策は「地域主権の実現」だと言う

 鳩山氏は本年(平成21年、2009)5月、民主党の代表選挙で党代表となった。その際、記者の質問に対し、「最も力を入れたい政策」は、「中央集権国家である現在の国のかたちを『地域主権の国』に変革」することだと答えた。いわゆる「地域主権の実現」である。
 極端に中央集権、東京への一極集中が進んだわが国は、そのための弊害が大きくなり、地方分権を必要としている。地方分権とは、端的に言えば権限と財源の委譲である。しかし、鳩山氏の言う「地域主権の実現」は、中央政府がそれぞれの地方自治体に対して、「地域主権」と呼べるところまで、権力の移譲を徹底して進め、日本の国の形を根本から変えようという政策である。鳩山氏はこの政策も友愛の実現として打ち出している。私は、この政策に強く反対する。
 近代国家の主権とは、一国の政府が他の国に対して持つ自立的な統治権である。また、主権は、国内において領土・国民に対する最高の権限である。もし「地域主権」を実現し、個々の地方自治体の持つ権限こそが主権だとすれば、政府はその自治体に対して主権を持たず、政府の権限は、その地域については、自治体の権限より下になる。そのような政府は、独立主権国家の政府ではない。それゆえ、「地域主権の実現」は、独立主権国家を否定することになる。
 しかも鳩山氏は、永住外国人に地方参政権を与えることが、友愛の実行だという。もしこの政策が行われれば、現在より遥かに大きな権限と財源を持つ地方自治体において、外国人が参政権を持つことになる。外国籍の住民は、自分たちの権利を拡大し、自分たちの主張を実現しようと図るだろう。人口30万人ほどの自治体なら、多数の外国人が計画的に移住すれば、選挙や行政に大きな影響を与えることができるだろう。
 「地域主権の実現」は、主権の分散である。外国人参政権付与は主権の分譲である。主権の分散と分譲は、わが国の国家としてのあり方を、劇的に変える。その結果、生まれるのは、「地域主権国家」という新しい形態の国家ではなく、「主権喪失国家」という国家の残骸である。
 国家統治権と地方自治権が、最も強い緊張関係に置かれるのは、他国による侵攻、内乱・騒擾、大規模自然災害等の場合である。わが国では現状、国民に国防の義務がなく、憲法に非常事態条項がない。こうした憲法のまま、地方分権を極端に進めたならば、万が一の危機のときに、国家分裂に陥りかねない。私は地方分権を進める前に、わが国が独立主権国家として体制を確立することが、絶対不可欠だと考える。この手順を誤ると、日本は崩壊するおそれがある。
 鳩山氏の「地域主権の実現」という構想には、こうした問題意識が欠如している。日本の独立と主権についてしっかりした意思を持たずに、「地域主権の実現」を進めると、周辺諸国の軍事力や人口力によって、日本の国家・社会が浸食され、日本人は固有の文化や伝統、精神を失ってしまうだろう。

●「地域主権の実現」も友愛から導き出したもの

 平成22年(2010)1月29日、鳩山氏は首相になって初めての施政方針演説をした。そこで首相は述べた。「本年を地域主権革命元年とすべく、内閣の総力を挙げて改革を断行してまいります」と。「革命」という言葉を一国の首相が使っている。この場合の「革命」は情報革命・ファッション革命のような比喩的表現ではない。文字通り政治権力が移動する「革命」である。鳩山氏は現政権が革命政権であるかのように錯覚し、「地域主権革命」を22年から推進しようとしている。
 日本を解体に導く危険性の高い「地域主権の実現」もまた鳩山氏が「友愛」という理念から導き出した政策である。この点を説明するために、鳩山氏は「Voice」論文において、カレルギーの著書「全体主義国家対人間」の第12章「友愛革命」から、次の一節を引用する。
 「友愛主義の政治的必須条件は連邦組織であって、それは実に、個人から国家をつくり上げる有機的方法なのである。人間から宇宙に至る道は同心円を通じて導かれる。すなわち人間が家族をつくり、家族が自治体(コミューン)をつくり、自治体が郡(カントン)をつくり、郡が州(ステイト)をつくり、州が大陸をつくり、大陸が地球をつくり、地球が太陽系をつくり、太陽系が宇宙をつくり出すのである」。
 私は先にこの一節を引いて、批判を行なった。友愛は兄弟愛であるが、兄弟愛は家族愛の一部に過ぎない。そういう部分的なものを拡大して家族や社会の構成原理とするのは無理がある。仮に兄弟愛を人間界の構成原理にしたとしても、友愛は人間のあいだの愛であって、大陸や地球・太陽系・宇宙には拡大できない。もし愛を人間界以外の自然界にまで拡大するならば、ロマン主義の思想となるだろう、と。
 しかし、鳩山氏は、カレルギーを鵜呑みにし、次のように論を進める。「カレルギーがここで言っているのは、いまの言葉で言えば『補完性の原理』ということだろう。それは『友愛』の論理から導かれる現代的政策表現ということができる」と。カレルギーは友愛を個人から社会組織を構成する原理とし、さらに人間界だけでなく、自然界をも貫く構成原理だとしている。これに対し、補完性の原理とは、意思決定や自治等をできるかぎり小さい単位で行ない、できないことのみをより大きな単位の団体で補完するという考え方である。一方は社会や宇宙のシステムの構成原理であり、一方は人間の活動や行政の方法である。これらは、まったく異なる概念である。
 大陸ができないことを地球が補い、地球ができないことを太陽系が補うなどとは、よほどの夢想家でも口にしない。ところが、鳩山氏は、「『友愛』の論理から導かれる現代的政策表現」が、補完性の原理だと主張する。ここには、大きな論理の飛躍がある。こうした飛躍を意に介さずに、鳩山氏は、次のように述べる。
 「経済のグローバル化は避けられない時代の現実だ。しかし、経済的統合が進むEUでは、一方でローカル化ともいうべき流れも顕著である。(略)グローバル化とローカル化という二つの背反する時代の要請への回答として、EUはマーストリヒト条約やヨーロッパ地方自治憲章において『補完性の原理』を掲げた」「補完性の原理は、今日では、たんに基礎自治体優先の原則というだけでなく、国家と超国家機関との関係にまで援用される原則となっている」と。
 EUが補完性の原理を採用しているのは事実である。しかし、それをグローバル化とローカル化という「時代の要請への回答」だという鳩山氏の所論も、十分な検討を要する。

 次回は新年明けに。
 よいお年をお迎えください。


友愛を捨てて、日本に返れ26

2009-12-28 08:19:58 | 時事
 「天皇陛下を利用する暴君・小沢一郎」を終え、本シリーズを再開する。

●「仏教の心」を言うなら、チベットに手を差し伸べよ

 「日本列島は日本人だけの所有物じゃない。仏教の心を日本人が世界で最も持っているはずなのに、なんで他国の人たちが、地方参政権を持つことが許せないのか」と鳩山氏は言う。
 ヨーロッパ産の友愛と「仏教の心」が鳩山氏の中でどう結びつくのか分からないが、鳩山氏は日本人に対し、日本人が「仏教の心」を「世界で最も持っているはず」だから「仏教の心」を持って、外国人に参政権を与えよと説く。私は、これは失礼な物言いだと思う。日本人が世界で最も「仏教の心」を持っているとはいえない。アジアには仏教国が存在する。チベット、タイ、モンゴル等の国民に対し、失礼ではないか。
 なかでもチベットはラマ教を国教とする敬虔な仏教国として知られる。そのチベットは、共産中国の侵攻を受け、文化を破壊され、僧侶は弾圧され、民衆は虐殺・虐待されてきた。仏教は慈悲を説くとともに、無執着を説く。しかし、それでは国民の生命と財産は守れない。チベットの悲劇は、そのことを明白に示している。
 鳩山氏は友愛を説く。「仏教の心」も説く。そうであれば、チベットへの弾圧・虐殺に関し、中国共産党政府に抗議し、チベットの民衆に愛の手を差し伸べるべきだろう。また、中国共産党指導層に友愛を説いて、チベットでの弾圧・虐殺をやめさせる。また漢民族とチベット民族の「自立と共生」を促すべきだろう。ついでに北朝鮮に対しても、金正日に友愛を教えて、拉致を非難し、日本人を返すように説く。収容所に入れられている国民を解放するように言う。飢餓と貧困に苦しむ国民を愛するように説くべきである。そこまで行けば、友愛も価値が出てくるだろう。
 ところで鳩山氏の友愛は、人間に対するだけものではないらしい。鳩山氏は「地球は生きとし生けるもののものだ。日本列島も同じだ」と言う。一見、自然界に適った表現のようだが、ライオンにはライオンの住む場所、イルカにはイルカの、白鳥には白鳥の住む場所がある。ライオンはイルカの泳ぐ海では生きられず、イルカは白鳥の飛ぶ空には上がれず、白鳥はライオンの草原を走れない。日本列島も、生きと生けるもののものだとは言えない。ホッキョクグマやオランウータンが日本で住めるのは、動物園だけである。
 生物社会では、同じ種であっても、それぞれ生存のための場所を占め、棲み分けをして共存共栄している。生存本能を持ち、自己防衛能力を備え、なわばりを侵すものには警告し、戦って排除する。私は、人間の社会もそれぞれに合った場所で、独自の掟やならわしを守りながら生活することは、生物社会の自然に適っていると思う。グローバリズムから国民経済を守ることが正当であるように、移民に対して国民に参政権を限ることもまた正当である。人々の移動・居住の自由を否定するものではないが、すべてを一律と見る観念的な普遍主義は、無秩序と混乱をもたらすと思う。

●参政権付与ではなく、帰化の促進が妥当

 私は外国人に外国籍のまま、わが国の参政権を与えてはいけないと考える。参政権を得たい外国人は、日本に帰化するとよい。帰化すれば、日本国民の権利として参政権を得ることができる。日本国籍を取得すれば、日本人と同等の権利が与えられる。鳩山氏が「仏教の心」だ、「愛のテーマ」だなどと、個人の思想・信条を持ち出す事柄ではない。
 特別永住者については、帰化がしやすいように、特例的に手続の簡略化・迅速化をするのがよいと思う。帰化を望まない人には、帰国の道もあるから、一定の期間を決めて、どちらかを選択してもらう。その後、入管特例法を改正して「特別永住者」の制度を廃止する。帰化によって日本国籍を取得したコリア系日本人は、基本的に日本国民と同じ権利に限定する。参政権は与えるが、各種の特権、いわゆる在日特権は廃止する。引き続き外国籍のままで日本に在留したい人は、一般永住者の地位で居住を許可する。このようにするのがよいと思う。
 私は、外国人への二重国籍許可には反対する。外国籍を持ったまま、日本国籍も与えるとすれば、その人は、二つの国家に帰属することになる。この場合、わが国がその国と戦争になったら、二重国籍者は相手国を利する行為を行なう可能性があるから、国家安全保障上、二重国籍を認めるべきでない。また、国益に係る重大な問題が生じた場合、二重国籍者はもう一つの祖国の利益のために、行動する可能性があるから、国益上、二重国籍を認めるべきでない。
 とりわけわが国は、現状、憲法に国民に国防の義務がなく、国家忠誠の義務もまた憲法に規定されていない。また刑法は外患援助罪のうち、第83条から89条の通謀利敵に関する条項が、敗戦後GHQにより削除されたままである。このような状態で、外国人に地方参政権を付与し、二重国籍を認めることは、危機管理上、危険である。

 次回に続く。

天皇陛下を利用する暴君・小沢一郎9

2009-12-27 08:55:41 | 時事
 最終回。

●有識者たちは憤る(続き)

 改革クラブ国対委員長・大江康弘氏:「民主党は、中国の離間工作に乗せられている。民主党は終身刑だ。選挙で子ども手当・暫定税率廃止と言ったのは、買収罪。いま子ども手当に所得制限、暫定税率はそのままと言うのは、詐欺罪。そして天皇陛下のご会見については、不敬罪。これらを合わせると、終身刑だ」
 初代内閣安全保障室長・佐々淳行氏:「1895年の下関条約まで、日本は清国の属国だった。日清戦争に勝って、その状態を脱した。鳩山内閣は、日本を1895年に戻そうとしている。小沢氏は韓国に行ったとき、天皇陛下に御訪韓していただくと良いでしょうと言った。一視同仁ゆえ、韓国に行ったら、北朝鮮にも行かなければならなくなる。陛下を北朝鮮には行っていただくわけにいかない。一国会議員、一与党の幹事長に、御訪韓していただくと言う権限はない。糾弾ではなく、打倒すべき政権だ」
 評論家・石平氏:「日本国家は存亡の危機にある。胡主席は軍事委員会主席で、人民解放軍の最高指揮官だ。小沢氏が野戦軍司令官と言ったことは、その部下になったということだ。野戦軍司令官として、日本を解放するという。中国の『解放』とは侵略を意味する。小沢氏は胡主席の手先となって、日本を侵略するのか。チベット・ウイグル等、中国共産党に呑み込まれたら、いかに悲惨な運命になるか。私は中国で経験してきた。日本は絶対、そうなってはならない。民族の存亡をかけた戦いを戦わなければならない」
 日本大学の百地章教授:「中国による政治利用に小沢氏・鳩山首相は加担した。わが国は三つの危機にある。中国への隷属の危機、立憲主義と民主主義の危機、国体の危機だ。小沢氏・鳩山首相は、まんまと中国の策謀に乗せられた。天皇陛下の公的行為を直接お世話するのは、宮内庁長官だ。内閣ではない。小沢氏が政府を動かしている。闇の権力による強権政治が行なわれている。自由民主党と違って民主党には『自由』がないといわれるが、いまや民主党には『民主』もない」

●暴君・小沢の独裁を拒否し、日本を再建しよう

 小沢一郎氏は、民主党の最高実力者として、本年8月衆議院選挙で民主党を大勝せしめ、政権交替を成功させた。天皇陛下特例会見ゴリ押し事件が、明らかにしたように、わが国の最高権力者は、総理大臣ではない。総理大臣を背後で操る小沢氏である。
 小沢氏は、数々の金銭疑惑に包まれた政治家であり、その金脈をもって政界を動かしてきた。古来、独裁者は、ひとりよがりと傲慢を特徴とする。小沢氏はその典型である。それでいて、小沢氏は、自分より大きなものには、媚びへつらう。こうした金権的・独裁的・売国的な政治家が、最高権力者になってしまった日本は、真の危機にある。
 政権を握った小沢氏は、選挙で得た数の強権をもって日本を変造しようとしている。外国人地方参政権付与、人権擁護法案、米国離れ・中国諂いの外交等、小沢氏が推進する政策は、わが国を崩壊に導く危険な政策である。
 小沢氏は、来年の参議議員選挙で民主党の単独過半数を狙っている。仮に民主党が国会両院で絶対安定多数を取ったならば、小沢氏が何をやらかすか、その正体は、既に明らかである。
 鳩山氏は「友愛政治」を掲げているが、「友愛」は小沢独裁体制のカムフラージュに過ぎない。民主党に政権を任せるということは、天皇陛下をも私的に利用する暴君・小沢に日本の権力を預けるということである。中国共産党の指示を受けた「人民解放軍の野戦軍司令官」に、日本の将来と自らの運命を委ねるということである。
 日本の現状、そして迫り来る独裁の危機は、日本人が自ら招いた危機である。その原因は、日本人が日本人本来の精神を失っていることにある。精神的に大きな空隙の生じている日本を、権力欲の権化たる独裁的政治家や日本の「解放」を工作する勢力が牛耳ろうとしているのである。
 日本の国民は、わが国の真の危機を感知し、自らの内なる日本精神を発揮して、日本の建て直しに努めよう。(了)

関連掲示
・真の日本精神については、マイサイトの「基調」をご参照下さい。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/keynote.htm

鳩山氏は法的に辞任すべき

2009-12-26 15:22:19 | 時事
 経済評論家・三橋貴明氏がブログにて、鳩山偽装献金事件についての青山繁晴氏の見解を紹介している。青山氏は、国際関係・安全保障等の専門家である。興味深い見解なので、転載する。

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http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10419779340.html
 (前略) 青山繁晴氏が「青山がズバリ!」で、鳩山が偽装献金事件に関し、「法的に総理は辞任しなければならない」ことを解説していらっしゃいました。(超拡散希望!です)

【09.12.23.青山繁晴がズバリ!4/6】
http://www.youtube.com/watch?v=geqm5XHQ12k&feature=related

 大変興味深い内容なので、青山氏が取り上げた各法律について整理してみたいと思います。

(1) 政治資金規正法 第25条
http://www.houko.com/00/01/S23/194.HTM
『政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、50万円以下の罰金に処する。』

 鳩山は上申書を提出したことにより、鳩山の政治団体友愛政経懇話会が政治資金規正法に違反をしたことを自ら認めました。すなわち、この時点で鳩山の50万円以下の罰金刑が確定するということになります。
 何しろ、友愛政経懇話会の代表者は、鳩山由紀夫です。鳩山は友愛政経懇話会の政治資金報告書に、「代表者」として名前が記載されているわけです。

(2) 政治資金規正法 第28条
http://www.houko.com/00/01/S23/194.HTM
『第23条から第26条の5まで及び前条第2項の罪を犯し罰金の刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から5年間(刑の執行猶予の言渡しを受けた者については、その裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間)、公職選挙法に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。』

 第25条で代表者が罰金刑になった場合、裁判が確定した日から五年間、公職選挙法で規定される選挙権及び被選挙権を失います。
 すなわち、鳩山が第25条で罰金刑になった場合、自動的に被選挙権を失うということになります。

(3) 国会法109条
http://www.houko.com/00/01/S22/079.HTM
『第109条 各議院の議員が、法律に定めた被選の資格を失つたときは、退職者となる。』

 政治資金規正法で罰金刑を受け、「自動的に」被選挙権を失った場合、国会法109条により、またまた「自動的に」退職者となります。すなわち鳩山は「議員を辞職した人」という扱いになるわけです。

(4) 憲法67条
http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM#s5
『第67条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。』

 総理大臣は「国会議員の中から」選出されなければならないと、憲法に定められています。すなわち、「自動的に」議員を退職した扱いになる鳩山は、憲法で定められた総理大臣の資格を有しないことになるわけです。

 日本が法治国家であるならば、鳩山は自動的に総理大臣としての資格はもちろん、議員の資格も失うということになります。確かに青山氏の言う通り、検察もおかしいですし、この種の「正しい報道」をするメディアが関西テレビのみという状況は、まさしく末期的だと思います。(後略)
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 青山氏及び三橋氏によれば、鳩山氏は友愛政経懇話会の代表者であるから、政治資金規正法第25条により、「政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つた」として、50万円以下の罰金刑を科せられるべきである。その結果、同法第28条により、鳩山氏は、裁判が確定した日から5年間、公職選挙法で規定される被選挙権を失う。それに伴い、国会法109条により、国会議員としては退職者となる。同時に、憲法第67条により、内閣総理大臣としての資格を失う。
 この論理構成において、ポイントは、鳩山氏が政治資金規正法第25条による罰金刑に処せられるかどうかにある。田中角栄のロッキード事件と内容は全く違うものの、現職総理の犯罪として重大事件だと思う。検察及び裁判所には、政治家の不当な圧力に屈せず、法の精神を貫いてもらいたい。

トッドの人口学・国際論24

2009-12-26 09:34:08 | 文明
●東アジアにおける日本の進路

 トッドは、日本に対し、アメリカから自立し、欧露と連携すべしと説く。これは東アジアの情勢をよく理解していない見方だが、トッドは東アジアにおける日本の立場に一定の理解を示してはいる。
 「日本の選択」におけるトッドの主張を要約すれば、次のようになる。
 日本の状況は、ヨーロッパのフランスやドイツよりももっと複雑だ。その理由は、第一にアジアにはアジア共同体も統一通貨もない。第二に日本はアジアで孤立している。第三に日本は安保理の常任理事国でもない。従って、日本の切り札は少ないから、アメリカ・システム解体を受け止めることがなかなかできない。
 東アジアの戦略環境はヨーロッパよりもはるかに複雑だ。日本には独仏露枢軸に相当するものがない。日本はドイツに比べて、自立した安定要因になるための条件が整っていない。さらにヨーロッパではフランスとイギリスが核を持ち、いわゆる核の安全保障があるのに対し、日本は核を保有せず、アメリカの核の傘の下にある。
 このようにトッドは見ている。その上で、次のように言う。
 「短期的に見た場合に地政学的な地位から日本がいまのような政策、対米協調を最優先させるような政策をとっているのを、私は理解できます」「しかし中期的な展望に立った場合は違います」「冷戦後、特に1990年代以降大きく世界のジオポリティック(註 地政学的)な情勢が変わって、アメリカはいま世界の安定要因ではなくて、むしろ不安定要因になりつつあります。したがって、事態は変わったのです。中期的に見た場合、アメリカが日本の安定の保護者であるという保証はないと私は見ています」と。
 アメリカは、衰退の過程に入っている。トッドは、2050年前後までにアメリカ帝国は解体する予想する。そして、トッドは、日本がアメリカから自立し、欧露と連携すべしと説く。一部の日本人は、この主張に賛同し、日欧露の連携の道を探っている。しかし、ここは、慎重に検討すべきである。
 わが国は、かつてナチス・ドイツ、イタリアと同盟を結んだことで、アメリカを敵に回して、敗北した。また、ロシアとの間には、旧ソ連時代から北方領土を不法占拠されている問題があり、長年の交渉によっても解決していない。EUやロシアとの協調は、ドル一辺倒の外貨準備をユーロに分散したり、ロシアから石油・天然ガスを輸入し、資源の輸入元を分散できるというメリットはある。しかし、わが国の軍事的な安全保障という点では、独仏露は日米同盟に替わる同盟関係に発展し得る国々ではない。
 何より私の見るところ、21世紀は、西洋文明の衰退とアジア諸文明の興隆が明確に進む時代となる。ヨーロッパやロシアとの協調は必要であるが、日本にとって最重要の政策とはなりえない。日本は、大西洋やユーラシアより、太平洋にしっかり重心を置くべきである。

●核保有という選択肢
 
 トッドが日本に自立を勧める際、最も議論を呼んだのは、彼が核保有も選択肢に入れるべきと発言したことである。「日本の選択」での先の討論で、トッドは次のように言う。
 「核なしで日本が本当に自立できるのか」という問いに対する見解である。「核保有のオプションは無視できません」。フランス人のロジックに立った場合、「核というものは軍国主義の表現ではない」「ヨーロッパの平和のためには、独仏の和解はもちろんだが、核による安全保障が必要不可欠であるとド・ゴールは考えた」とトッドは述べる。そして、「アメリカ・システムの崩壊という危機的状況になった場合、日本がこの核保有というオプションをまったく真剣に考えないで外交的な自立を考えていくことができるとは思えません」「アジアでの安定のため、相互の破壊を避けるためには、日本に小規模の核抑止力を持ってくれと国際世論が要求するかもしれません。そういうオプションもあり得るということを、申し上げたいわけです」とトッドは発言している。
 今日、わが国では、一つの選択肢として核抑止力の保有が国民の間でも、議論されるようになっている。トッドの発言は、平成16年(2004年)の日本に一石を投じたのである。
 私の見るところ、アメリカは衰えつつあるが、5~10年で急激に衰亡するとは考えにくい。大規模な戦争や破局的な環境破壊が起こらなければ、20~40年という長期にわたって、徐々にアメリカは衰退していくと考えられる。それゆえ、日本の自立は、独立主権国家としての本来のあり方を実現しつつ、アメリカと対等な同盟関係を築くように進めることが大切である。自立即反米ではなく、自立即対等という道をめざすべきである。核保有に関しても、保有を図る場合は、核保有即反米ではなく、アメリカとの同盟関係を維持しながら、東アジアの安全保障体制を強めるための核抑止力の保有を検討すべきだと思う。

 次回に続く。

天皇陛下を利用する暴君・小沢一郎8

2009-12-26 08:45:25 | 時事
●有識者たちは憤る

 『週刊文春』『週刊新潮』それぞれの平成21年12月24日号の特集記事、及び全国紙等のメディアから得た情報を加えて、天皇陛下特例会見ゴリ押し事件の概要を述べてきた。『文春』『新潮』とも、この事件に関する有識者の意見を載せている。それを記事から抜粋して掲載する。
 はじめに『文春』は、文芸評論家の福田和也氏の発言を、1ページにわたって別枠で載せている。
 「昭和天皇は『分け隔てのない外交』を一つのスタンスとし、現在もその政への姿勢は踏襲されています。今上天皇は年末や、お誕生日のメッセージのなかで『世界の平和と繁栄』を祈る思いを必ず込められています。羽毛田信吾宮内庁長官が『陛下の国際親善は、政府とは次元を異にするものだ』と語った通りで、天皇陛下は決してある一国との外交に奔走されるというお立場ではない。それを、相手が次期国家主席の有力候補者とはいえ、序列第6位にすぎない政治家と、天皇陛下が会見をするというのはあまりに生々しすぎる」
 「圧力をかけたとされる小沢一郎氏は、中国からの帰国後会見で、『天皇陛下の国事行為は、国民の代表たる内閣の助言と承認で行われる』と主張しました。小沢流に解釈して言えば、『内閣が責任を取るわけだから、天皇は言うことを聞け』というわけです。小沢氏の皇室観はまったくおかしなものです。内閣は、陛下に助言はできても、命令はできるわけがない」
 「今回の騒動の本質的な問題は、千年、二千年の歴史を持つ皇室に対する畏敬の念が決定的に欠けているということです」

 次に『新潮』の記事から、三人の有識者の言葉を掲載する。
 日本大学の百地章教授:「今回のことは天皇の政治利用そのもの。輪をかけるように小沢さんは140人もの議員を連れて訪中している。これはまさに朝貢外交で、自ら中国の支配下に入るようなものです。尋常ではありません」
 京都大学大学院の中西輝政教授:「“日本は主権の半分以上を中国に売り渡した”。今回の天皇会見の経緯を知った世界各国は間違いなくそう考えます。どの国も“日本は中国の属国なんだ”と捉えるようになる」「“主権”とは、自国のルールがあり、相手国にもそれを守らせることで保たれる。それが、小沢一郎という時の支配者によって歪められたとなれば、日本は中国の衛星国でしかなくなってしまいます」
 高崎経済大学の八木秀次教授:「陛下の存在に敬愛の念を少しでも持っていたら、こうしたことが出来るはずがない。民主党政権はあまりに天皇をないがしろにしすぎている。世が世なら刺され、血を見るような話になっていてもおかしくない」

 12月21日、東京・永田町の憲政記念館で「天皇陛下ご会見の政治利用を糾弾する緊急国民集会」(主催 日本会議・日本会議国会議員懇談会)が開催された。各界からの提言より、主な発言者の訴えの大意を掲載する。会場で取ったメモによるものであり、文責はほそかわにある。
 元内閣総理大臣・安倍晋三氏:「多数の外国要人が天皇陛下とのご会見を希望する。私たちは、『1ヶ月ルール』ですべてお断りした。今回、中国はご会見を再三要望した。『1ヶ月ルール』をしっかり話せば、中国は、皇室に関しては、日本は微動だにしない国だと理解しただろう。皇室の権威は日本の権威である。しかし、ご会見が実現したことで、中国は皇室に関してすらも、押せば日本のルールを曲げられると理解したのではないか」
 自由民主党政調会長・石破茂氏:「国事行為は、憲法第7条に限定列挙してある。それ以外の行為は、すべて第1条に定める象徴としてのご活動である。それをお決めになるのは、天皇陛下の御心である。小沢氏・鳩山氏は憲法を読み違っている。『内閣の助言と承認』に対し、天皇陛下には拒否権がない。だから、内閣は誤った助言をしてはならない。細心の注意を払って助言させていただかねばならない」

 次回で終了。

鳩山氏の偽装献金、責任は明白

2009-12-25 09:48:34 | 時事
 鳩山首相は12月24日、偽装献金事件で、元秘書2人が政治資金規正法違反罪で起訴されたことについて、記者会見して謝罪した。あまりに無責任で、過去の言動と矛盾した釈明に、あきれ果てる。鳩山氏は政治家としての資質以前に、人間としての人格的な問題がありすぎる。まだ鳩山氏に期待と信頼を寄せている人々は、早く目を覚ましてほしいと思う。
 以下は報道のクリップ。
 
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●産経新聞 平成21年12月25日

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091224/plc0912242254023-n1.htm
鳩山首相には悪夢のイブ 軽い言動のツケ重く
2009.12.24 22:53

 クリスマスイブの24日、鳩山由紀夫首相の2人の元公設秘書が「政治とカネ」をめぐる問題で起訴された。現職首相の“身内”が刑事罰に問われるという事態の重さに加え、首相本人の言動の軽さが、今後の政権運営への傷口を広げようとしている。
 「あの…。(私は)もらいすぎだと言われてますから…」
 24日朝、首相は首相公邸から出勤する際、記者団に「サンタクロースから何をもらいたいですか」と尋ねられ、戸惑い気味にこう答えた。
 首相が返答に窮するのも無理はない。自らの政治資金管理団体をめぐる偽装献金問題では、87歳になる実母側から62歳の長男である首相側に毎月1500万円もの現金がわたっていたことが判明したからだ。
 問題が事件へと化した同日夕の記者会見。首相は、疑惑の大筋を認めながらも、自らの積極的な関与を否定する線で国民への説明責任を果たそうとした。
 「親から大金を用立ててもらい、知らぬはずはないと思われるかもしれないが、私は本当に全く承知していなかった」
 ただ、就任後の首相は、米軍普天間飛行場の移設問題や衆院選マニフェスト(政権公約)に関する政策判断にも見られるように、過去の発言に手足を縛られ、立ち往生を余儀なくされる傾向が強い。この日の釈明会見もそうだった。
 もともと首相は「政治とカネ」問題に厳しい姿勢を示す政治家として知られ、たとえ秘書が起こした事件でも容赦なく政治家本人に批判の矛先を向けてきた。
 「政治家と秘書は同罪」「秘書が自分のために行動してくれたことによる犯罪で共同正犯だ」…。ライバル政党の議員秘書がカネの問題で逮捕される度、正論をぶつけた。「もし鳩山由紀夫の秘書が同じことを行っていたとすれば、すぐに国会議員のバッジを外す」と公言したこともあった。
 その言葉通りの事態に陥ったように見えるこの日の記者会見。首相は「過去の発言に対して否定するつもりはない。逃げてはいかんと思っている」と言いつつも、「私腹を肥やしたり、不正な利益を得たということは一切ない」と、自らが過去の追及した疑惑との違いを強調した。
 だが、母親からの資金提供を「贈与」と申告せず、「(修正申告による)納税額は概算でも6億円を超える」と自ら認めてしまったことは、またしても「私腹を肥やしたことにあたらないのか」との批判にさらされることになるだろう。
 くしくも24日は歴史的な政権交代を果たし、首相に就任して100日目にあたる。首相は記者団にこう感想を語った。
 「国民の皆さんの辛抱強さと、しかし、じれったいなという思いは感じます」
 新政権の多少の失態に世論が目をつぶってくれる「ハネムーン期間」は終わった。首相にその自覚はあるのだろうか。(船津寛)

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091225/stt0912250254000-n1.htm
【主張】元秘書起訴 首相の政治責任は明白 「脱税」の疑い徹底解明せよ
2009.12.25 02:54

 鳩山由紀夫首相は24日夜、資金管理団体「友愛政経懇話会」の偽装献金事件で、元公設第1秘書と元政策秘書の2人が政治資金規正法違反罪で起訴されたことを踏まえ、記者会見して謝罪した。
 政治資金の透明化や金額の制限などを求める規正法の趣旨を損なう悪質な行為と言わざるを得ない。首相の関与は嫌疑不十分で不起訴とされたものの、その政治責任は明白である。
 最大の問題は、母親からの約12億6千万円に及ぶ資金提供である。首相は6億円を超える贈与税を払う意向を示したが、これは修正申告して済む問題ではない。国政の最高責任者が、国民の義務である納税を怠り、発覚しなかったら知らん顔を通す-という脱法行為が問われているのである。
 「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきだ」と、首相が以前に口にした言葉に従えば、進退が問われる事態だろう。
 首相は会見で、国民の辞めろという声が圧倒的になれば辞任を考慮するとまで表明した。一方で、政権交代を実行することが自らの責任だと語ったが、問題の所在がよく分かっていない。政治的かつ道義的な責任をどう取るかを明確にすべきだ。

◆進退に言及した会見

 首相は7年前、加藤紘一元自民党幹事長の秘書の脱税事件に際し、秘書の責任は国会議員の責任だと主張し、加藤氏に議員辞職など厳しい身の処し方を求めた。
 しかし、会見では「今回の件では私腹を肥やしたとか、不正な利得を受けたことはない」とした。過去の発言は自分には該当しないと釈明したのは、あまりにもご都合主義ではないか。
 資金管理団体の会計実務を担当していた勝場啓二元公設第1秘書は虚偽記載で在宅起訴され、会計責任者を務めていた芳賀大輔元政策秘書は、収支報告書のチェックに重大な過失があったとして略式起訴となった。
 東京地検特捜部は元秘書2人の立件で十分だと判断した。しかし、知らないうちに巨額の資金が母親から届き、一部は偽装献金に回ったが、「すべて秘書任せだった」という首相側の不自然な説明を、検察側はそのまま受け入れたのだろうか。
 資金を提供した母親や首相本人の聴取を見送った点には疑問が残る。現職首相をめぐる犯罪という異例の事態に、捜査が抑制的になったとすれば残念だ。
 また、ずさんな資金処理の背景に、身内からのカネなら悪質でないとの考えがあるのだとすれば、大きな誤りだ。衆参両院が定めた政治倫理綱領でも、政治不信を招く公私混同を断つことが重要課題に挙げられている。
 首相は「払うべきものは払う」と贈与税を支払う意向を示しているが、国税当局は首相側の対応が悪質で相続税法違反(贈与税の脱税)にあたるものでなかったかどうか、厳正に調べる必要がある。鳩山家内部の巨額の資産移動についても、徹底した調査を行うべきだろう。

◆民主は自浄能力発揮を

 首相の偽装献金問題が節目を迎えた一方で、民主党の小沢一郎幹事長をめぐっては、西松建設の違法献金事件で元公設第1秘書に対する公判が開始されていることに加え、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる疑惑が浮上している。
 東京地検特捜部はこの問題で事務担当だった石川知裕衆院議員を規正法違反容疑で立件する方針を固めたとされる。平成16年に東京都内の土地を購入した資金の出所が不透明な点を問われており、小沢氏の元秘書に対する任意の事情聴取も行われている。
 重機土木大手「水谷建設」から計1億円の裏献金が小沢氏側に渡っていた疑いもある。
 政権発足から100日を迎えた首相は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で迷走したのに加え、公約実現に向けた政府内の調整でも指導力不足を露呈した。内閣支持率は最近1カ月で10ポイント以上急落した。
 首相を支える小沢氏の影響力が一層強まっている中で、政権の頂上に位置する2人の責任者がそろって「政治とカネ」で国民の信を失わせている。
 民主党は企業献金廃止のための法改正を掲げるが、2人に対する自浄能力は何ら示していない。きわめて遺憾だ。これでは実効ある改革を実現できるとは思えない。現実に起きている疑惑解明への姿勢を国民は注視している。
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天皇陛下を利用する暴君・小沢一郎7

2009-12-25 08:52:55 | 時事
●小沢氏に同調した鳩山発言

 天皇陛下の特例会見に関し、小沢氏は14日の記者会見で極めて問題の多い発言をした。この時、鳩山首相は、小沢氏の発言に同調して、次のように述べた。
 「(天皇と習氏の特例会見は)日中関係をさらに発展させるために大変大きな意味がある」「判断は間違っていなかったと思う」「(ルールの横紙破りについて)1ヶ月を数日間切れば杓子定規でダメだということで、果たして本当に諸外国との国際的な親善の意味で正しいのか」「本当に大事な方であれば、若干の変更があっても、天皇陛下のお身体が一番だが、その中で許す限りお会いいただく」
 これもまた問題の多い発言である。『新潮』の記事は、鳩山発言について、4点を挙げて批判している。
 第一に、「日中関係をさらに発展」という言葉自体が政治利用を意味している。
 第二に、「判断は問違っていなかった」と述べたのは、苦し紛れの開き直りであるのが自明である。
 第三に、「1ヶ月を数日間切れば杓子定規でダメだということで……」という発言については、中国側からの会見要請は1ヶ月前を10日も過ぎた11月26日であり、会見決定は会見の5日前だった。日本大学の百地章教授は、『新潮』に「"数日間"の誤差などとは言えません。自分たちの思い通りに皇室を動かせると驕っている証拠で、思い上がりもいいところ」と述べている。
 第四に、「許す限りお会いいただく」という鳩山氏の言い方は「命令口調表現」である。石破茂・自民党政調会長は「こちらは天皇陛下で、向こうは副主席ですよ。月や金星から来るわけではなく、日帰りできる距離の国の人なんですから、日程の折り合いがつかないのであれば、先方が調整すればいい話」と語り、安倍晋三元首相は「鳩山総理が中国側に"陛下への拝謁をお望みなら、時期を改めて1ヶ月前にご要請ください"と伝えれば済む話でした。そうしていれば、中国側は陛下の権威と、日本の揺るぎない姿勢をしっかりと理解したでしょう」と『新潮』に述べている。
 鳩山発言について、『文春』は、宮内庁元幹部の発言を掲載している。「ルールは杓子定規だからこそ意味がある。陛下との会見を求める申し出は膨大な数に上りますが、このルールのおかげで、ご体調面でのご負担をコントロールすることができるんです」と。逆に言うと、「1ヶ月ルール」を強引に破るということは、どれほど天皇陛下に大きなご負担を強いることだったかということである。また先の元幹部は次のように言う。「何より中国を特別扱いすることは、相手国の大小や政治的重要性に関係なく、常に『分け隔てなく』接してこられた、昭和天皇以来の皇室外交のありかたを真っ向から否定することになる」と。

●鳩山氏こそ首相ゆえ、責任は重大

 次に、今回の天皇陛下特例会見ゴリ押し事件における鳩山首相の責任について、私の見解を明らかにしたい。鳩山氏は、天皇陛下の親任を受けた内閣総理大臣である。その点において、鳩山氏の責任は、一国会議員にすぎない小沢氏より、遥かに大きい。
 12月9日、小沢氏は鳩山首相に直接電話し、「オレの面子をつぶす気か」「何をやっとるのか」「ゴチャゴチャやっとらんで早くせい」と恫喝した。この電話に震え上がった鳩山首相が、平野官房長官に宮内庁への再度の依頼を指示した。平野氏は、羽毛田氏に天皇会見を強く迫り、直前ゴリ押しの特例会見は実現したと伝えられる。
 こうした異常な展開は、鳩山氏が小沢氏に対し、「1ヶ月ルール」があるから認められないと、毅然と言い返せば、止まった事柄である。鳩山氏は総理大臣であるとともに、民主党の代表でもある。小沢氏は、その下で党務を司る幹事長に過ぎない。鳩山氏は「オレの面子をつぶす気か」「ゴチャゴチャ言わんで早く中国に行け」と小沢氏をたしなめれば、よかったのであるーーもっとも、それができる鳩山氏では毛頭ない。鳩山首相は、天皇陛下をお守りすることより、独裁者の命令に従うことに、心を向けている。鳩山氏は、暴君・小沢の伝書鳩、独裁者が操る鳩人形と言わざるを得ない。
 鳩山首相の誤った判断は、天皇陛下に多大な御負担を強いただけではない。『文春』の記事が伝える宮内庁元幹部の言葉のように、「何より中国を特別扱いすることは、相手国の大小や政治的重要性に関係なく、常に『分け隔てなく』接してこられた、昭和天皇以来の皇室外交のありかたを真っ向から否定することになる」。どこの国とも分け隔てなく接する皇室の外交は、明治天皇が示された四海同胞、一視同仁の実行である。これすなわち、わが国に伝わる日本精神の表れである。
 鳩山首相は、こうした日本の美風を曲げ、わが国を中国の属国のように貶め、しかもその役割を、天皇陛下に押し付けたのである。鳩山氏は、首相の座にあって国を乱す国賊として歴史にその名を残すだろう。
 天皇陛下は、わが国の政治家にゴリ押しさせて会見の機会を作って来訪した非礼の外国要人に対しても、慈愛と英知を示された。まことに御立派であったと思う。日本国民は、天皇陛下を日本国の象徴と仰ぎ独立自尊の道を行くか、中国共産党に媚びへつらう小沢氏・鳩山氏につき従うかーーこの日本の存亡に関わる選択を誤ってはならない。

 次回に続く。
 

天皇陛下を利用する暴君・小沢一郎6

2009-12-24 08:51:50 | 時事
●極めて問題の多い小沢発言

 小沢氏は、特例会見の前日、特例会見を実現させるため、記者会見で発言した。それは、極めて問題の多い発言だった。

 第一に、小沢氏の立場である。小沢氏は、「何とかという宮内庁の役人が、どうだこうだ言うのは、憲法の理念、民主主義を理解していない」「内閣に反対なら辞表を提出した後に言うべきだ」と言うが、小沢氏は、閣僚ではない。与党とはいえ、一政党の党務を取りまとめている人間に過ぎない。天皇陛下の外国要人とのご会見に関わる宮内庁長官を、公の場で非難するのは、筋違いである。譴責なら、長官の上司である閣僚や首相がすべきだろう。小沢氏は、この発言において、自分が首相や官房長官より上であり、政府を動かしている独裁者であることを、自ら暴露したのである。
 羽毛田長官は、小沢氏の恫喝に対し、「辞める気はありません」と公言した。宮内庁には支持・激励の電話が多数寄せられ、民主党には非難・怒りの電話・メールが殺到したという。

 第二に、小沢氏は「国事行為は、内閣の助言と承認で行われるんだよ。」と述べ、天皇陛下と習近平副主席の特例会見を、憲法の定める天皇の「国事行為」だと断言した。その点を質問した記者に、マスコミはちゃんと憲法を読め、と一蹴した。
 日本国憲法は、天皇の国事行為につき第7条に「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ」と定めている。その九号に、「外国の大使及び公使を接受すること。」とある。天皇が接受されるのは、大使・公使のみである。外国の元首等の賓客とのご会見は、国事行為ではない。当然、中国の国家副主席とのご会見は、国事行為ではない。憲法を良く読まねばならないのは、小沢氏のほうである。
 第7条に規定されている国事行為のほかにも、天皇が行われる行為には、公的な性格のものがある。それらを憲法学では「公的行為」と呼ぶ。その中に、外国元首の接受が含まれるとされる。他には、国会の開会式に参列し「おことば」を朗読する行為などがある。ただし、これらの行為については、法的位置付けが定まっていない。「象徴としての地位に基づく公的行為」として容認する意見、第7条十号の「儀式を行ふこと」に該当するとする意見、そのような行為はそもそも認められないとする意見等がある。公的行為は、「内閣の助言と承認」を必要としない。国事行為は天皇に拒否権はないが、公的行為には憲法上の規定がないため、必ずしもその限りではない。
 小沢氏は、こうした憲法を学ぶ学生でも知る程度の知識を欠く。日本国憲法の条文のみを読んでわかったつもりでいるとすれば、一知半解である。そして、誤った理解をもって、宮内庁長官を罵倒し、記者会見の記者を見下し、叱りつけた小沢氏は、自らの知識の程度だけでなく、人格の程度をも満天下にさらけだしたのである。古来、独裁者は、ひとりよがりと傲慢を特徴とする。小沢氏はその典型である。

●小沢氏の不敬・横暴を許すまじ

 第三に、小沢氏は、特例会見が「内閣の助言と承認」によって行なわれたかのように述べた。内閣は合議制ゆえ、意思決定には閣議を要する。閣議決定は、全大臣合意のもとに決定される政府全体の最高意思決定方法である。しかし、習副主席とのご会見は国事行為ではないから、閣議決定は必要ない。国事行為以外の公的行為については、内閣は助言と承認を行なわない。
 岡田克也外相は12月18日の記者会見で、天皇陛下の特例会見について「国事行為ではない。公的行為というのが普通の解釈だ」という認識を示した。この発言は、国事行為として閣議決定をしていないことを裏付けている。ところが、天皇陛下の特例会見は、内閣の一員ではない小沢氏によって、鳩山首相→平野官房長官→羽毛田宮内庁長官のラインで、ゴリ押しされた。憲法も民主主義も無視の独裁者の指示で、強引に実現したのである。

 第四に、小沢氏は「天皇陛下のお体が優れない、体調が優れないというならば、それよりも優位性の低い行事はお休みになればいい」「天皇陛下ご自身に聞いてみたら『手違いで遅れたかもしれないけれども、会いましょう』と、必ずそうおっしゃると思いますよ」と述べた。『文春』は、この点について、次のように書いている。小沢氏は「天皇のご心中を勝手に忖度してみせたのだ。まるで、天皇は内閣の指示に黙って従っていればいい、と言うかのような、傲岸不遜なもの言いだった」と。
 また、小沢氏が自分がゴリ押ししたご会見に関し、「それよりも優位性の低い行事はお休みになればいい」と言ったことは、小沢氏が天皇陛下の様々なご公務の優先順位を判断する立場にあるかのような発言である。自分は、天皇陛下より上だと、思っているのだろうか。ご会見当日の15日は夕方から神事が予定されており、そういう日は天皇陛下はご休憩をされるのだという。結果として、そこに強引に押し込んでご会見をしていただいたのだった、

 訪中時の胡錦濤国家主席との会見における小沢氏は、中国共産党指導部に対して卑屈なほど追従的である。その一方で、天皇陛下に対しては、小沢氏には崇敬の念がまったく見られない。「1カ月ルール」は御高齢の陛下の御健康に配慮して、歴代内閣が守ってきた慣例である。陛下のお体への気遣いがあれば、慣例破りのゴリ押しなどありえない。
 私は小沢氏の行動は、政治権力者が「民主主義」の名の下に、天皇を下に見て、人形のように使おうとする暴挙だと思う。小沢氏の不敬・横暴は、断じて許しがたい。小沢氏は、天皇陛下へのご無礼を認め、公式に謝罪すべきである。

 次回に続く。


天皇陛下を利用する暴君・小沢一郎5

2009-12-23 08:50:03 | 時事
 本年は天皇陛下御在位20年という喜ばしい年であったが、特例会見ゴリ押し事件によって、皇室の権威と日本の誇りが損なわれた。本日、天皇陛下は76歳のお誕生日を迎えられた。御聖寿の万歳を申し上げる天皇誕生日に、この事件について記さねばならないわが国の現状は、誠に遺憾である。

●羽毛田長官は異例の内閣批判

 実は、先回まで本稿に書いたことを、わが国の国民は、12月11日まで何も知らなかった。小沢訪中団の中国詣での異様な光景が、全国にニュースで流れた翌日、天皇陛下特例会見ゴリ押し事件は、共同通信のスクープ記事によって、表沙汰になった。
 この報道を受け、宮内庁の羽毛田信吾長官は、緊急記者会見に臨んだ。羽毛田長官は、「大変、異例ではあるが、曲げて陛下に(習氏との)会見をお願いした」と語った。
 「大きく言えば陛下の政治利用ということ」であり「1ヶ月ルールの肝心なところは、相手国の大小や政治的重要性で取り扱いに差をつけずにやってきた点」だと述べ、「日中関係は重要だから」という平野官房長官の二度にわたるゴリ押しがあったことを明らかにした。さらに、特例は「二度とこのようなことがあってほしくない」と、強い不快感を示した。官僚組織の一員が、厳しい文言を連ねて、異例の内閣批判を行なったのである。
 羽毛田氏の発言は、大きな波紋を呼んだ。
 『文春』は、宮内庁元幹部の言葉を伝える。「今回の苦言は、立場から言って、長官の一存というよりより、陛下のご意向に沿うものと考えるのが自然でしょう」と。
 この点について『文春』は、次のように書いている。天皇の「皇室外交」へのお考えは、次のようなエピソードからもうかがえる。平成20年(2008)5月、横浜でアフリカ開発会議が開催され、アフリカ諸国の首脳が来日した。宮内庁関係者によると、「陛下との会見を希望した国が多かったので、宮内庁の内部でさえ、優先順位をつけてはどうか、という案が出たんです。それを聞かれた陛下は、『決して分け隔てをしてはならない』と、強くたしなめられた。結局、参加国首脳、全員を招いてのお茶会を開かれました」と。そういう陛下だからこそ、今回の一件を深く憂慮されているという。別の宮内庁関係者は、「両陛下は周囲に『昭和天皇の御世から大切にしてきた、あらゆる国のその立場にある人に公平に分け隔てなくお会いする、ということが、簡単にないがしろに…されてしまった』と漏らされたと聞いております」と『文春』に語っている。

●小沢氏は激怒して牙を剥いた

 ところが、中国に続いて韓国を訪問し、李明博大統領と会見してから帰国した小沢民主党幹事長は、14日定例記者会見で、こう爆発した。
 「何とかという宮内庁の役人が、どうだこうだ言うのは、憲法の理念、民主主義を理解していない」「内閣に反対なら辞表を提出した後に言うべきだ」と決めつけ、「国事行為は、内閣の助言と承認で行われるんだよ。天皇陛下のお体が優れない、体調が優れないというならば、それよりも優位性の低い行事はお休みになればいいということじゃないですか。そうでしょう?」と記者にぶつける。さらに、「天皇陛下ご自身に聞いてみたら『手違いで遅れたかもしれないけれども、会いましょう』と、必ずそうおっしゃると思いますよ」とまで言い放った。
 どうして、天皇陛下の中国要人との会見について、小沢氏が、これほど激怒して、荒々しいことを言うのか。多くの国民は、小沢氏の訪中と特例会見の実現に何か関係があるな、と感じたことだろう。
 小沢氏は習氏の特例会見の設定を政府に働きかけたのかと問われて、次のように答えた。「私がお会いさせるべきだとか、させるべきでないとかいうことを言った事実はありません」と。
 だが、『文春』によると、この日の夜、“完全オフレコ”の場では、こう怒りを爆発させたという。
 「俺は、1ヶ月ルールがあるから、前からちゃんとやっておくように言ってたんだ。なのに平野は、何の調整もしてなかった。それも俺の責任になるのか!」
 小沢氏は、働きかけをした。だから、小沢氏は、羽毛田長官の発言に、牙を剥いたのである。一つは、自らを守るために。もう一つは、忠誠を誓う中国国家副主席の天皇陛下への謁見を、邪魔されないために。
 羽毛田長官の記者会見以後、「1ヶ月ルール」を無視して強引に決定された特例会見を取り止めるべきだという声が挙がった。しかし、12月15日、わずか4日前に決まった天皇陛下と習国家副主席の特例会見は、行なわれた。暴君・小沢一郎による天皇陛下の「私的利用」は、実現した。小沢氏に恫喝された鳩山総理大臣が、官房長官を通じて、宮内庁長官に指示したのである。

 次回に続く。